2019.11.07

国会議事録

令和元年11月7日 内閣委員会

○高橋光男君
公明党の高橋光男です。
 まず、改めて、この度の台風十五号、台風十九号、そして二十一号関連の豪雨により犠牲になられた方々に衷心よりお悔やみ申し上げるとともに、今なお被災者の皆様に対し、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
 台風十九号については、最新の政府発表によれば、十三都県で死者九十五人、行方不明者五人、七十四河川百四十か所で決壊するなど、各地に甚大な被害をもたらしました。
 東日本大震災からの復興の光がようやく見え始めた中だったのに。これは、今回最も犠牲者が多く、今なお最大数の避難者がいらっしゃる福島県を先日視察させていただいた際に本宮市の住民の方から伺った切実なお声です。政府としても真摯に受け止めていただかなければならないと考えます。
 被災地の寒さも一段と厳しさを増しています。政府には、一日も早い復旧復興のために、どこまでも被災者第一、被災者目線に立って、お一人お一人に寄り添った支援に全力で取り組むとともに、災害に屈しない強い国づくりのために、必要な対策、十分な予算措置を講じていただきたいと思います。
 この点、菅官房長官は、先日の所信的挨拶におきまして、台風十九号等に関し、被災者の皆様が一日も早く安心して暮らせる生活を取り戻せるように全力を尽くすと述べました。
 公明党としても、先月二十五日、台風十九号等からの復旧復興に向けた七十五項目にわたる政策提言を提出したのに対し、菅長官は、しっかりと取り組んでいくと応じました。
 その後、十月二十九日には激甚災害と大規模災害復興法に基づく非常災害の指定が閣議決定されるとともに、報道によれば、今週中には包括的な生活再建支援策が打ち出されるものと承知いたします。まさに、内閣の最重要政策として取り組まなければならない喫緊の課題であることに鑑み、本日は台風十九号等の被害への対処を中心に質問させていただきます。
 まず初めに、避難所体制についてです。
 避難所生活という過酷な環境の中にあっては、特に、高齢者、障害者、乳幼児などのいわゆる要援護者に配慮した避難所運営が重要であることは言うまでもありません。今なお避難所にいるそうした方々への配慮、例えば、防寒対策やインフルエンザ、ノロウイルスを始めとする感染症対策はもちろんのこと、引き続き、多様なニーズに応じてきめ細やかな支援策を講じていただきたいと思います。
 一方、今回の被害を通じて、避難所運営における女性への配慮不足の課題も浮き彫りとなりました。特に、更衣室や授乳室のスペースがないといった問題や、女性被災者からは、避難所に女性のスタッフがおらず女性特有の悩みを相談できないといった声が各地で寄せられました。これに対し、公明党より個別に自治体に働きかけ、配置が実現したケースもございます。
 この点、避難所運営に関しては、六年前にできた、男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針というものがございます。この指針は、阪神・淡路大震災や新潟中越地震の経験を踏まえ、男女共同参画の視点を取り入れた体制の確立が重要といった観点から策定されたものです。これによれば、例えば避難所等の相談体制に関しては男女両方の相談員を配置することなどが記載されています。しかし、今回徹底されていたとは言い難いかと思います。
 こうしたことが災害のたびに繰り返されぬよう、政府には、今回の経験を踏まえ、女性に配慮した避難所環境の整備を徹底していただきたい。具体的には、女性スタッフを必ず避難所に配置すること、女性にとって必要な支援物資を提供すること、更衣室、授乳室、男女別のトイレを配置することなどです。
 政府はこのほど、女性に配慮した避難所運営指針を改定する方針を表明したと承知いたします。そこで、新たな指針の策定に当たり、政府はこの度の対応をどう受け止めているのでしょうか。また、指針を現場に浸透させ、実行していくためにどのように取り組まれるお考えでしょうか。
○国務大臣(橋本聖子君)
まず、この度の災害により亡くなられた方々に心からのお悔やみを申し上げ、災害に遭われた被災者の皆様方にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
 内閣府では、平成二十五年に、地方公共団体に向けた、男女共同参画の視点からの防災そして復興の取組指針というものを策定しております。この策定では、委員が御指摘されましたように、平常時から、意思決定の場への女性の参画の推進、そして災害時の男女のニーズの違いに配慮した対応等の必要性を示しておりまして、内閣府から随時その活用を促しているところであります。そして、今回、台風十九号の接近に先立ちまして指針の活用を改めて促すとともに、発災直後には特に被害の多かった五県に個別に活用を働きかけたところです。
 この度の台風災害における各自治体の指針の活用状況等については、今後の被災地の状況を見ながら、負担を掛けない配慮をして、しかるべき時期に把握していきたいというふうに思います。
 問題として御指摘ありましたように、まだまだ、直前に、あるいはその直後にしっかりと女性に対しての配慮を被災地あるいは避難所でしていただきたいというふうに言いましても、その場その場で状況が変わってきております。毎日求められるものが違ってくるという状況の中で、女性やあるいはお子様、そして特に小さなお子様を抱えられた女性の方々、あらゆる対応に対してしっかりとやっていかなければいけないということを改めて認識をいたしました。
 今、大変な状況の中で被災を、復旧復興に努められているような状況でありますので、その状況を今すぐに検討していくということには逆に現場に大変な御迷惑をお掛けすることにもなりますので、しっかりと寄り添いながら、状況を把握して、そして次の指針に向けていきたいというふうに思っております。
 六年たちましたので、改定に向けて、今お話を申し上げましたようなものをしっかりと組み込みまして、改定に向けて努力をしていきたいというふうに思っております。
 活用を促進するための方策についても、これがしっかりと策定されたとしても、現場に浸透させて、そして実行されなければ意味がないものだというふうに思っておりますので、引き続き、関係省庁としっかりと連携強化を図りながら、次の策定に向けて全力を尽くしていきたいと考えております。
○高橋光男君
ありがとうございます。
 まさに大臣おっしゃったように、今回初めて災害の発生前にそうした女性等に配慮した避難所運営を要請されたり、また事後の対応をされたことは評価いたします。
 しかし、おっしゃられたように、まさに平時の対策というものが一番こういった緊急時において重要でございまして、まさに、台風接近の直前に要請したといっても現場がすぐに対応できるものでもないかというふうに思います。
 現行制度におきましては、男女共同参画センターなどが中心になって現場では取り組むものとも理解いたしますけれども、そうした体制の在り方も含めて、政府が新たに作られるそうした指針がまた現場で徹底されるよう、不断の努力を行っていただくことをお願いいたしたいと思います。
 そして次に、住まいの確保についてお聞きします。
 今なお、十都県、十の都県におきまして約三千人の避難者がいらっしゃいます。寒さも厳しくなっている中、避難者や被災者の皆様の住まいを確保することは急務であると考えます。
 一方で、先日訪問した郡山市におきましては単身用の空き部屋は逼迫している状況であったり、また、お会いした本宮市の高松市長からは、市営住宅は残り僅かであって、東日本大震災時の災害公営住宅も一〇〇%埋まっている状況とも伺いました。その他、震災後に設置した借り上げ住宅や応急仮設住宅があるようでございますけれども、それらの改修もしたいと言っておりますが、国の支援が必要といった要請がございました。
 こうした被災地の実態や被災者の多様なニーズに即して、公営住宅のほか、寒冷地仕様の仮設住宅を含めた応急仮設住宅などの建設とともに、いわゆるみなし仮設住宅、すなわち民間賃貸住宅などの空き家、空き室を確保していくことが必要となってきます。
 また、あわせて、修理業者の不足も今言われています。それにより、被災住宅の改修、修繕作業に時間を要している地域もございます。そうした方々に対しては、一時避難先として、みなし仮設又は公営住宅等への仮入居を可能な限り認めていただきたいと考えます。
 そして、こうした手続には罹災証明書が必要かと承知いたしますけれども、福島などでは引き続き発行が遅れている自治体が多数ありますので、認定手続の簡素化及び迅速化を重ねてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(今井絵理子君)
お答えいたします。
 災害において自宅を失い避難された方々ができるだけ早く公営住宅や仮設住宅などの安定した住居に移行し、安心した生活を取り戻せるよう住まいの確保に努めていくことは、高橋議員がおっしゃるように、大変重要であると感じております。
 現在、被災自治体において、住まいに関する意向確認が進められております。具体的には、十一月七日時点で、賃貸型応急住宅については九つの被災自治体において受付を実施しております。公営住宅等については、現在までに約千四百三戸の入居が決定されております。また、積雪や寒冷地でも安心して生活できる建設型応急住宅については、宮城県、茨城県、長野県において四市町村で百七十一戸建設準備に着手するなど、被災者の多様なニーズを踏まえた住まいの確保に向けて準備が進んでいると伺っております。
 また、住宅が半壊等の被害を受けているものの、修理により御自宅での生活が可能となる方々に関しては、住宅の改修、修繕を行う間、公営住宅等を一時的な避難先として使用することも可能とされています。
 さらに、罹災証明書の交付の前提となる被害認定調査の簡素化そして迅速化については、去年三月に被害認定基準運用指針というものを見直し、その中では、航空写真等を活用して全壊の判定を速やかに行うことができること等としたところであり、今般の台風第十九号の災害においても、被害認定調査における留意事項として取りまとめ、周知を図ったところでございます。
 引き続き、一人一人に寄り添い、そして被災地の声を伺いながら、住まいの確保に向けて全力で取り組んでまいります。
○高橋光男君
是非、引き続き御対応をよろしくお願いします。
 さて次に、災害廃棄物の扱いについて伺いたいと思います。
 今回の被害で多くの災害廃棄物が出ました。被災地にはまだ道路脇に多くのごみが置かれていて、十分な処理ができていないところもございます。
 災害廃棄物の量は、例えば郡山市においては東日本大震災時の五倍のペースで発生しています。しかしながら、市内に二つあるクリーンセンター、ごみ処理場でありますけれども、このうち一つは浸水で稼働停止となり、施設復旧の時期は未定となっています。現在、残り一つのセンターで対応していますけれども、一日の焼却能力は三百トンに対し、ごみの量は四百トン、すなわち毎日百トンたまっている状況であります。
 さらに、郡山におきましては中央工業団地の一帯が水没し、災害廃棄物の処理が第一の課題となっています。こうした工業団地は地域産業が集積し、そして、地域雇用にとって重要な役割を担っています。この度の災害によって団地内の企業が撤退することのないように特別の配慮と支援が必要と考えます。
 こうした地域での災害廃棄物については、広域処理、つまり他の自治体の協力の下で処理していますけれども、例えば郡山の場合は片道一時間半以上も掛かる南相馬市や浪江町に運搬しなければならず、最近になって県内の焼却施設での処理も始まったと承知いたしますけれども、運搬体制など、無理のない体制を確立していくことは引き続き大きな課題かと思います。
 そこで、国として、被災処理施設の早期復旧、再開のために必要な支援を行うとともに、膨大な災害廃棄物の回収、廃棄を進めるためには一層効率的な広域処理のための支援を行っていただきたいと思います。また、災害廃棄物が長期間保管されるような場合には安全性の確保等の措置もしっかりと講じていただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(松澤裕君)
お答え申し上げます。
 今回の災害で被災しましたごみ処理施設については、この施設復旧のための補助金、国庫補助率が二分の一でございます。交付税措置を含めますと最大九二・七五%の財政措置が可能となります。
 こうした財政的な支援に加えまして、先生御指摘のありました郡山市のごみ処理施設、クリーンセンターにつきましては、浸水で現在停止しておりますが、早期復旧、再開が非常に大事でございますので、私どももプラントメーカーと協議しながら、技術的な面からもできるだけ早く復旧できるように郡山市をサポートしているところでございます。
 また、先生御指摘のとおり、郡山市でクリーンセンターが停止したことに伴って生活ごみが処理できず、こちらについては、環境省保有の南相馬あるいは浪江の焼却施設、仮設の焼却施設に加えまして、現在、福島県内の自治体の焼却施設でも広域処理を実施しております。引き続き、この郡山市の生活ごみ、早急に処理が、たまっているものがなくなるように、処理先の拡充に向けて調整を行っていきたいと考えております。
 この生活ごみの広域処理、先生御指摘ございましたように、七十キロ遠方まで運んでおったりしますので、運搬経費が、例えば追加的に掛かります運搬経費、それから焼却の経費、追加的な経費について、これらのいわゆる掛かり増し経費についても、この度、災害廃棄物処理事業補助金の対象として支援をいたしてまいります。
 また、御指摘ございました工業団地の中小企業から発生した災害廃棄物の処理につきましても、市町村が生活環境保全の観点から処理が必要だと認められると判断した場合には、災害廃棄物処理事業補助金の補助対象として応援していくことが可能でございます。
 なお、今回の災害におけます補助制度では、国庫補助が二分の一、交付税措置を含めますと最大で九五・七%の財政措置が可能となっております。
 広域処理につきましても、県内での広域処理を中心にしつつ、必要に応じて県外での処理も含めて処理先の確保を現在進めておるところでございます。
 最後に、仮置場の保管の問題でございますが、環境省の職員が巡回を行うなど、火災防止の安全対策、こういったことを確認をして、市町村に対して助言を行っているところでございます。
 引き続き、市町村や被災した中小企業からの相談に丁寧に対応して、災害廃棄物の処理が円滑、迅速に行われるように全力で取り組んでまいりたいと思います。
○高橋光男君
次に、医療施設の早期復旧についてお願いしたいと思います。
 自治体の中には、町の中心的医療施設が浸水により甚大な被害を被ったところがございます。例えば、本宮市には谷病院という中心病院がございます。そこで、お配りした資料を御覧いただければと思います。一枚目から四枚目が、私自身、視察させていただいたときに撮らせていただいた写真でございます。
 ここは、一階部分が二メーター五十センチ、ほぼ天井まで浸水し、受付、診察室、調理室、ボイラー室など、全て水につかってしまいました。また、高額なMRI、レントゲン等を含む医療機器も使えなくなりました。
 こうした医療施設の復旧、再開のための支援につきましては、昨年七月の豪雨災害のときにも活用された医療施設等災害復旧費補助金制度というものがございます。しかし、この現行制度におきましては、谷病院のように医療機器がリースの場合、これも高額な金額がまだ残っているようです。そして、レントゲンバス、送迎車などの車両については補助の対象にならないものと承知します。
 こうした地域医療の拠点となっている病院施設の早急な復旧、再開は、地域住民の健康福祉にとって極めて重要であることは言うまでもございません。寒さも厳しくなる中、今回の台風で被災した病院施設が早期復旧、再開できるよう、病院が直面する困難な状況に真摯に寄り添い、国として十分な支援を行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(迫井正深君)
御答弁申し上げます。
 被災した医療施設に対しましては、医療施設等災害復旧費補助金によりまして、建物の工事等の復旧に要する費用について、公的医療機関及び特に優先度の高い救急医療や周産期医療等の政策医療を実施しております民間医療機関へ二分の一を補助いたしております。さらに、台風十九号が先般激甚災害に指定されたことから、公的医療機関に対しましては二分の一から三分の二への補助率の引上げ、それから、対象となります民間医療機関に対しましては補助額の上限の撤廃、それから一定額を超える医療機器を補助対象へ追加されるといった対応がなされております。
 今後、被災された都県を通じまして復旧のための所要額の把握をいたしまして、関係省庁とともに協議を行った上で必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
 それから、福祉医療機構におきます医療貸付事業により災害復旧に係る融資での支援も行うことといたしておりまして、これらの取組を通じまして医療機関の早期復旧に努めてまいりたいと考えております。
○高橋光男君
まさに、今おっしゃったようなこういった制度の活用というものは、今回策定される包括的な生活再建支援策の中でも盛り込まれるものと考えますけれども、やはり従来制度の範囲内でしか手当てできないという、そういった制約があるのかもしれませんけれども、今後、補正予算の編成等を通じて必要な追加的支援を行うなど、現場のニーズに応える御支援を是非ともよろしくお願いいたします。
 そして次に、なりわいの再建についてお伺いしたいと思います。
 復興を進めるためには、なりわいの再建に向けた支援が不可欠なことは言うまでもございません。被災した中小企業にはグループ補助金等の活用を積極的に進めていただくことが重要かと考えます。
 一方、個人店舗などの小規模事業者にとっては、グループ補助金を利用することは簡単ではございません。この度の激甚災害指定を受け、例えば雇用調整援助金については助成率の引上げや支給限度日数の延長などの特例措置が認められました。一方で、被災した小規模店舗の再建には数千万円が必要なところも多くあります。私も本宮市でそうした複数の個人店舗を視察させていただきました。
 しかしながら、現行の小規模事業者持続化補助金におきましては、上限が平時では五十万円、西日本豪雨災害のときも特例措置において二百万円でございますので、それだけではとても事業の再開が困難な状況です。融資の枠組みがあるといっても、多重債務に陥るおそれがあることから、利用は容易なことではございません。東日本大震災で被災した事業者が再度被災しているところもございます。
 ついては、政府には、こうした小規模事業者が直面する個別の困難な状況に寄り添い、現存の補助額の上限額や国負担率を引き上げる、あるいは新たな補助金制度をつくるなど、更に踏み込んだ支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(渡邉政嘉君)
お答えいたします。
 東日本大震災からの復興の途上で今回の台風等の被害に遭われた地域の中小企業・小規模事業者の皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。再度被災されました中小企業・小規模事業者も含め、被害状況に応じ必要な支援を講じていくことが重要と認識しております。
 御指摘の小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が商工会、商工会議所と一体となって策定する経営計画に基づいて行う販路開拓等の取組を支援するものとして、原則、補助上限額五十万円、補助率三分の二で措置しております。
 一方で、同補助金におきましては、災害により被災した事業者向け支援として、例えば西日本豪雨の際には、補助上限額を災害救助法が適用された地域に所在する八府県の事業者は百万円、本激基準を満たした広島県、岡山県、愛媛県に所在する事業者は二百万円に引き上げ、機械装置の導入、広告宣伝費、開発費などを支援しております。
 被災地の生活やなりわいを支援する施策パッケージにつきましては、現在、政府内で取りまとめに向けた大詰めの調整を行っているところでございます。被災企業の一日も早い事業再開に向けた対策を早急に講じてまいります。
 具体的には、御指摘のグループ補助金も含め、被災した建物や設備の復旧に対する補助を始め、設備、備品の修繕や販路維持の支援、商店街のにぎわいを取り戻す再建の支援など、被災地に寄り添う幅広い支援策について検討を進め、取りまとめを急ぎたいと考えております。
○高橋光男君
今回の災害の被災県の多くは、農林水産業も重要な産業におきまして被害が深刻な状況にあります。農林水産関係の被害総額は二千億円を超え、農業用施設だけで約一千二百億円、農作物も百六十億円を超えるなど、日に日に規模が増している状況です。
 福島でお会いした農業関係者からは、例えば、ライスセンター、選果場、ビニールハウスといった施設の復旧は農家の力だけではどうにもならないといったお声や、特に大規模農家では被害範囲が広範にわたるため自力で再建は難しいといった声を伺いました。
 政府は、このほど、土砂撤去や農業用ハウス再建等の補助をするための支援パッケージを策定したと承知します。是非、早期の営農再開のため、各地の実情を踏まえ、農地に散乱するごみの撤去、出荷前の作物等の補償、生産施設、機械や集出荷施設の復旧など、早急に必要な支援を行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(岩濱洋海君)
お答えいたします。
 台風第十五号、第十九号等による農林水産関係の被害につきましては、十一月六日時点で約総額三千七億円の被害という形になっております。甚大な被害だということで認識しております。
 特に台風十九号では、浸水被害を受けました米や果樹、トラクター等の農業機械の水没などが生じております。現在、現場からの御要請がある被災果樹農家の未収益期間が長くなることへの対応、また収穫後に農家が保管していた大量の米が冠水してしまったこと、さらに営農再開のための農業機械等の修繕、再取得について、支援の内容の最終的な詰めを行っているところでございます。
 総理の御指示を踏まえまして、被災者の生活となりわいの再建に向けた対策パッケージ、これが今週にも打ち出されるということになりますが、追加的な支援策を打ち出しまして、被災農家の営農の継続につなげてまいりたいというふうに考えております。
○高橋光男君
続きまして、地方整備局の人員体制強化について最後お伺いしたいと思います。
 今回、災害の現場におきましては、自衛隊、警察、消防のほか、全国各地の国交省地方整備局の職員で構成されますテックフォース、緊急災害対策派遣隊が派遣され、対応しています。この機会に、関係当局や、またボランティアの皆様の方々も含めて、その御尽力に敬意を表したいと思います。
 さて、お配りした資料の五ページ目を御覧いただければというふうに思います。
 年々、テックフォースの派遣回数は増えている状況にございます。例えば、昨年は十二回、延べ人数は一万六千七百九十人でした。一方、今回の台風対応においては、昨日の時点で六百六十八人、延べ一万七千七百二十五人となっています。これはすなわち、既に昨年一年分の派遣総数を上回っている状況です。
 被災自治体からは、被災した道路、河川等の災害査定の迅速かつ柔軟な対応、国や県が管理する河川の抜本的な治水対策等の要望がなされており、既に国直轄の復旧事業も相当程度進行中と承知いたします。
 こうした災害復旧事業には調査、設計、用地買収、工事発注、監督等が必要ですが、これらを担うのも地方整備局です。一方、お配りした資料の次のページにございますとおり、地方整備局等の定員数は年々減り続けています。十八年間で六千五百人、約二〇%も減少しています。
 そこで、内閣人事局担当の武田大臣にお伺いしますが、地方整備局の定員管理につき、これまでどのような考え方に基づき、どのような査定を行ってきたのでしょうか。
 また、併せて次の質問もさせていただきます。
 それは、まさに定員数は減少の一途をたどっている中、国交省によれば、今年度も六百十一人が合理化されたことを受けて、七百七十二人の定員要求を行っているようでございます。しかしながら、これ、例年認められるのは要求数の約半分程度とのことでありまして、これでは減る一方となるかと思います。
 そして、こうした相次ぐ激甚災害への緊急対応のみならず、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策の下でインフラ整備の拡充を現場で担っているのも地方整備局です。これらの事業を進めていくには、今こそ地方整備局の定員純減の傾向を食い止め、体制をしっかりと組んでやっていかなければならないのではないでしょうか。
 つきましては、地方整備局を取り巻く実情をよく把握していただき、同局の職員についてはこれまで定員管理の枠から外すなどして適切な人員の量を確保していく必要があるのではないかというふうに考えますが、まさに防災担当でもございますし、そして内閣人事局を所掌されておられる武田大臣のまさにお考え、また決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(武田良太君)
御指摘のように、相次ぐ災害における国交省、なかんずく地方局の皆さん方の活躍ぶりというのは目をみはるものがありました。現に、被災地の多くの皆さん方も、ブルーシートの配布でありますとか、決壊しましたそうしたものに対しても二十四時間体制で緊急の対応に当たってくれたということで、本当多くの方々が感謝をしていただいております。
 現在、その人員が減っている、需要は上がっているのに人員が減っているということを御指摘だと思いますが、御承知のように、国家公務員の定員管理、これは閣議決定事項でありまして、内閣の重要政策への対応に重点的に増員を措置する一方で、その増員の原資を確保するために、五年間で一〇%以上の合理化に取り組んでいるところであります。
 地方整備局につきましても、平成三十一年度査定では、平成三十年七月豪雨等災害への対応や、テックフォースのマネジメント機能強化等を始めとする防災・減災対策等の重要課題への対応に重点的に定員を措置したところであります。
 よって、今後とも、その政策課題、そして現場の実情、こうしたものをしっかり我々は情報を集めながら、的確なる判断でこの定員管理には努めてまいりたいと思います。常に、その代わり、減員するにしても増員するにしても、実情を見直す努力、これを怠らずに定員管理に励んでいきたいと、このように考えております。
○高橋光男君
ありがとうございました。是非これからもよろしくお願いします。

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