2020.03.16
予算委員会
令和2年3月16日 予算委員会
○高橋光男君
公明党の高橋光男です。
この度、初めて予算委員会で質問に立たせていただく機会を頂戴しましたことに御礼申し上げたいと思います。
私からも、まず初めに、この度の新型コロナウイルス感染症によりましてお亡くなりになられた皆様に心からお悔やみ申し上げますとともに、今なおこの感染症と闘われている患者の皆様、御家族の皆様に厚くお見舞いを申し上げたいと思います。
まず、総理にお伺いします。
先週金曜、新型インフルエンザ等対策特措法改正案が成立しました。おとついの記者会見で、総理は、緊急事態宣言につき、現時点では発出する状況にはないとしつつ、その判断に当たっては、我が党の主張も踏まえて二点確認されました。まず、専門家の御意見を伺いながら慎重に行うこと、そして、仮にも宣言をされる場合には、同様の記者会見を開き、宣言を決定するに至った背景を説明するとともに、政府としてできる限り分かりやすい説明を行うことです。
しかしながら、緊急事態宣言は、私人の権利制約を伴うため、国民生活、そして経済への影響は避けられません。そのことに十分配慮の上、万が一、専門家の御意見も踏まえた慎重な判断の下で宣言を行わざるを得ない場合には、国民の皆様への御理解とそして御協力が得られるように、丁寧な説明はもちろんのこと、影響を受ける国民、事業者への支援策も同時に明らかにしていただきたいと思います。また、国際社会への影響も踏まえて、海外にも我が国の方針を正確に公表することが大事だと考えますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
御指摘の緊急事態宣言の決定のプロセスについては、法案審議の中でも様々御議論をいただき、附帯決議においても国民への説明責任を果たすことが盛り込まれているところであります。
緊急事態が宣言された場合、私権が制限される措置をとる可能性があることから、議員御指摘のとおり、専門家の意見や決定に至った背景、また影響を受ける国民や事業者への支援策について、政府として国内外に向けてできる限り分かりやすく説明する機会を設けたいと考えております。
○高橋光男君
ありがとうございます。
次に、国交大臣、赤羽大臣にお伺いします。
同じ地元兵庫でも、最近になり急速に感染者が増えています。昨日も、一日で十一人の感染者が出たという報道もございました。そんな中で、最も影響を受けている産業の一つが観光業です。
この週末、私は、有馬、城崎、湯村温泉などの現地のお声を伺ってまいりました。バスやタクシーの関係者のお話も伺った機会もございます。旅館ではキャンセルが相次ぎ、四月から五月の予約状況が、その数が前年比で軒並み六割、七割も減っております。スキー場も暖冬と新型コロナの影響で大打撃を受けています。資金繰りにつきましては、先ほど杉議員の質問に、梶山大臣からも最大限配慮して行われるというふうにおっしゃいましたが、経営が苦しい事業者ほど、融資の相談をむげに断られるケースも少なからず出ています。このままでは商売を続けられないと旅館や小売店などが次々と自主廃業し、風情ある町並みを維持できるのかさえ懸念されています。
もちろん、観光需要が回復するためには感染拡大の防止が最優先です。一方で、裾野が広い観光業に携わる事業者が向こう数か月を乗り越えるためにも、早急かつきめ細やかな支援が必要です。速やかな融資の実行、要件緩和、雇用調整助成金のこの特例措置、今北海道にしか認められませんが、そうした要件をまた拡大していくこと、省庁の垣根を越えて、あらゆる手を尽くして観光業への緊急支援を実施すべきではないでしょうか。
また、終息後を見据えた具体的なキャンペーン策、例えば地域振興旅行券や高速道路の無料化なども検討すべきではないでしょうか。
○国務大臣(赤羽一嘉君)
まず、高橋委員におかれましては、地元の観光業界の皆様の生の声をお伝えいただきましたことに心から感謝を申し上げたいと思います。
大変厳しい状況でございまして、業界の中では倒産ですとか一時的な休業を余儀なくされている方々も出ているという状況でございます。また、観光産業は、旅行業や宿泊業のみならず、貸切りバスですとかハイヤー・タクシー業、また飲食業、物品販売業など裾野が大変広く、地域経済全体に深刻な影響が出ていると認識をしておるところでございます。
その対策として、三つの柱を掲げて今取組を進めております。
一つ目は、一日も早いこの感染の封じ込め、これは最大の支援策だというふうに認識をしております。今、関係省庁と連携しながら、また関係の業界の皆様にも大変協力をいただきながら、一刻も早い感染の封じ込めに全力を挙げているところでございます。
次に、事業を継続すると、そのために資金繰りと雇用の継続の応援が大事だということで、セーフティーネット保証、これ第五号の対象業種に宿泊業を加えさせていただいたり、また、雇用調整助成金の要件緩和も、今委員お話しのとおり、実施をしているところでございます。今後も、引き続き事業者のニーズをしっかり聞きながら、必ずしも国交省の所管ではありませんけれども、申請手続の簡素化、迅速化、また更なる要件緩和ですとか補助率の拡大、また返済期間の大幅な猶予、また公租公課の減免など、政府部内でしっかりと私自身求めていく決意でございます。
そして、三つ目でありますが、こうした事態の状況が落ち着き次第、私は、間髪入れずに反転攻勢に転じて、観光需要喚起のための具体的な、効果的な施策を講じたいと、こう考えております。
実は、一昨日、十四日、JR常磐線が九年ぶりに全線開通をいたしました。ふるさとを追われ、苦難の日々を強いてこられた福島県浜通りの被災者の皆様にとりましては、この全線開通はまさに本格的な地域の復興への強力な後押しになると大変喜んでいただくことができました。私自身も、長年にわたりまして、ここでこの案件深く関わってきた一人といたしまして万感胸に迫るものがございました。また、今月末には、沖縄経済にとって大変大きな影響がございます那覇空港の第二滑走路の供用が開始となります。
国交省として、このように予定をされているインフラ整備を着実に進める一方で、高橋議員最後に御提言いただきましたような内容も参考にさせていただきながら、宿泊、日帰り旅行や地域の物産等の消費を強力に喚起することができる方策など、考え得る支援策を積極果敢に実行し、国内外から多くの皆様に我が国の各地の観光資源を堪能していただけるようしっかりと準備を進めてまいりたいと、こう思っておりますので、今後とも御指導よろしくお願いいたします。
○高橋光男君
ありがとうございました。
ただいまおっしゃられた三本柱がしっかり観光業の皆様に届きますように、その実施を是非よろしくお願いします。
続きまして、予備費の運用について伺います。
今年度の予備費、昨年の台風十九号支援、これで一千三百十六億円、そして今回の新型コロナ対策でも、その第一弾、第二弾合わせて計二千八百十八億円が計上されました。大事なのは、私は、その金額そのものではありません、一刻も早く支援を必要とされる方々にお届けすることだと思います。
さて、台風十九号等の支援には、中小企業・小規模事業者の持続化補助金というのがございます。ところが、この補助金、台風から五か月を過ぎてもなお、執行率は僅か四%です。公募、つまり申請の募集はこれまで昨年十二月に一か月間、一回のみでした。次は四月と聞いています。
台風の後、私自身も、福島に二度、そして最近も長野の被災地を訪れた際に、まだまだ復興というものはこれからだと実感しました。もっと被災地に寄り添った迅速で切れ目のない予算の運用、すべきではないでしょうか。
そう強くお訴えした上で、梶山経産大臣にお伺いします。
既に台風関連の支援を受けた、またこれから希望される、あるいは希望される小規模事業者の方でも、今般の新型コロナウイルス支援での、この対策支援での持続化補助金も重ねて申請できますでしょうか。また、迅速な手続を進めるためには、更なる周知徹底、電子申請の普及等の簡素化、相談窓口である商工会等への支援など、体制強化が必要ではないでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君)
まず第一に、御指摘の三月十日に公募を開始しました生産性革命推進補助金ですけれども、台風十九号関連の持続化補助金を受けた事業者も申請が可能であります。例えば、台風十九号対策関連の持続化補助金において被災した施設の復旧費用について採択を受けた小規模事業者が、今回の補助金において販路開拓のためのチラシ作成費用について支援を受けることができるということでもあります。
第二に、台風十九号関連のグループ補助金、持続化補助金の執行については、委員、議員御指摘のとおり現時点では執行率は低いものの、機動的な予算の執行に取り組んできたところであります。例えば、台風十九号関連の両事業においては、十一月八日に予備費が閣議決定された直後から各事業者への説明会等を開始をし、グループ補助金は十一月二十九日、持続化補助金は十二月十七日には公募を開始をしております。特にグループ補助金については、西日本豪雨のときよりも一か月前倒しして交付決定を行っております。この結果、両補助金で千二百五十八者を採択をして支援をしてきているところであります。
その上で、御指摘の施策の周知徹底、申請書類の簡素化、窓口体制の強化は極めて重要な課題であると認識をしております。
経済産業省では、今回も全国千五十か所の相談窓口を通じて施策パンフレットの配布を行うなどの施策の徹底的な周知、持続化補助金の記載項目を八項目から四項目に簡素化した上でウエブ申請システムのJグランツの導入による申請の簡素化を今後予定するとともに、災害時における商工会、商工会議所の人員体制の強化予算も活用をして窓口の強化に、特に商工会関係は小さな商工会が多いと承知しておりますので、そういったところの強化をしてまいりたいと思っております。
こうした取組を通じて、自然災害や今般の事象により影響を受けている事業者が再建に向けた取組を着実に実行できるように、支援に万全を期して全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○高橋光男君
ありがとうございます。
まさに被災地でもコロナの影響を受けている、そうした地域は多くあるわけでございますので、ただいまおっしゃったように、そうした施策を、現地の実情にまさに寄り添って行っていただきますよう、よろしくお願いします。
続きまして、放課後児童クラブ、いわゆる学童保育について、まとめてお伺いしたいと思います。
まず、感染症防止のために御協力いただいておりますこの事業者の皆様に敬意を表したいと思います。
緊急対応策第二弾では、学童保育一クラスへの支援額が一万二百円から三万二百円へ拡充されました。特に、学校の一斉休業に対応するため、自治体の依頼を受けて開所時間を午前中からにされた事業者にとっては大事な手当となります。この拡充費用、自治体から国に見込額で申請することになっておりまして、実際に御協力いただいた事業者の数や必要額を自治体が正確に把握した上で申請する形にはなっていません。したがいまして、そもそも自治体が国に申請しなければ、事業者に払うべき費用が届かないといったこともあり得ます。
そこで、衛藤大臣にお伺いします。
協力事業者への支払が確実になされるよう、国として、自治体から漏れなく申請されるようにしていただきたい。そして、実際に事業者へ払われたかもこの自治体に報告を求めるなどして、確認をお願いします。間違っても、自治体の都合で事業者に支払をしないといったようなことがないようにお願いします。
また、学童保育を経営する事業者の多くが三月末の決算です。国として、支払時期を明らかにし、早急に書面などで自治体に明示するとともに、事業者にも分かるようにしていただけますでしょうか。
さらに、多くの事業者は三月二日から開所時間を延長しています。その日に遡って拡充費用を支払うべきと考えますが、以上三点、端的にお願いします。
○国務大臣(衛藤晟一君)
今回の財政措置の申請が行われているかどうかを、丁寧にこれを確認をさせていただいています。その場合、いろんなことがあれば、市町村に対応をちゃんと求めていきたいと思っております。
また、三月二日に遡及をして、これは、交付要領は小学校の休校が始まった三月二日に遡及して適用するということを行ってまいりたいと思っております。
また、三月中に概算で払えるようにということの指導をして、依頼をしてまいりたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
〔理事三宅伸吾君退席、委員長着席〕
○高橋光男君
ありがとうございます。しっかりお願いいたします。
ここで総理にお伺いしたいと思います。
これまで述べた教育や経済支援に加えまして、感染防止のために昼夜を分かたず御尽力いただいている保健所や医療機関などの現場の御負担は本当に大きく、大変苦しい状況です。先週の公聴会でも尾身先生から御説明があったとおりです。こうした現場を支える方々の不安、負担をどう軽減していくのかが重要だと思います。
この国家的危機を乗り越えるためには、リーマン・ショックのときのように、例えば申請窓口で御助力いただいた社会保険労務士の方々による御支援を仰ぐなどして外部資源も総動員し、現場体制を拡充すべきではないでしょうか。また、一つの地域に負担が集中しないよう広域連携も推し進めるべきです。
こうした実施体制を整え現場を支えていくこと、そして次回対応策にはその具体策を示すことを是非総理のリーダーシップで実現していただけないでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
新型コロナウイルス感染症対策の現場の窓口で働く方々の負担軽減、大変大切なことだと思います。
帰国者・接触者相談センターの業務を地域の医師会や医療機関に外部委託することを可能とし、また、保健所等の体制整備のために非常勤職員の雇用に係る経費を助成するなどの対策を実施をしてきているところでありますが、また、様々な支援策の申請手続をできる限り簡素化することで申請者の方や窓口対応する方の負担を軽減し、迅速かつ確実に支援が届くように引き続き徹底させたいと思います。
○高橋光男君
ありがとうございます。
もう時間なくなりましたが、外務大臣、申し訳ありません。今晩、総理がG7首脳テレビ会議にも出られます。来月にはG7の外相会談がございます。ここで、やはり、例えば中国などを含めるG20、これにハイレベルの会合を日本が呼びかけるなどして、しっかりとこの国際社会一致して、協力して新型ウイルスの対策に臨んでいく、対策にしっかり取りかかっていく、そうした取組を是非、総理、また、のリーダーシップの下で、日本政府としてしっかりとこの国際社会をリードしていただけますようにお願い申し上げて、私の質問を終わります。
本日はありがとうございました。