2020.06.16
国会議事録
令和2年6月16日 内閣委員会
○高橋光男君
公明党の高橋光男です。本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
さて、本年の通常国会も明日会期末を迎えることとなりました。今次国会は、新型コロナウイルス感染症という未曽有の危機への対処を国政の最優先課題として取り組んできました。その中での今回の科学技術基本法の二十五年ぶりの初の実質的な改正となります。
改めて、このコロナ禍の中において本法改正を行う意義、必要性につき、竹本大臣の御認識をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹本直一君)
科学技術基本法は平成七年の制定でございます。二十五年ぶりになりますけれども、初の実質的な改正でございます。そういう意味で非常に重要な改正だと考えております。中身を申し上げますと、法の対象に人文科学のみに係る科学技術、イノベーション創出の概念を追加することが一つ。もう一つは、振興の方針として国内外の社会的課題への的確な対応を規定するなど、今後の科学技術イノベーション政策の在り方を定めるものでございます。
新型コロナウイルス感染症対策では医学のみならず経済学、社会学、法学等様々な知見が必要であるように、複雑化する現在の諸課題に立ち向かうには、人間や社会の在り方を研究する人文科学を含めた総合的な科学技術政策が必要でございます。本法案を基に、科学技術イノベーション政策の抜本的強化を図ってまいりたいと考えております。
○高橋光男君
ありがとうございます。
私は、今大臣が御指摘になられたように、人文科学を含む様々な学問分野の英知を結集してコロナに打ちかっていくこと、また、その前提として、コロナ禍で苦しむ研究開発人材を最大限支援するという政府の意思を明確に示すことに今回の改正の意義、目的もあるというふうに考えます。
本日は、今私たちが直面しているこの状況を踏まえて、これら二点の観点から質問させていただきたいと思います。
まず、若手研究人材への経済的支援についてお伺いします。
科学技術は国家発展の要でございます。危機下ゆえに科学技術の力が必要です。何より大事なのは、本日も様々御指摘ありましたが、科学技術を担う研究人材を支えていくこと、まさにその生活をしっかりと支えていくことだと思います。特に、コロナ禍において、人文・社会科学分野を含む若手研究者への支援は待ったなしであります。彼らなくして日本の科学技術の未来はありません。その観点から、公明党が推進し実現した、大学院生を含む困窮学生支援のための学生支援緊急給付金の迅速な給付が重要と考えます。
先週八日の参院本会議での我が党山本香苗議員への答弁で、安倍総理は、学業の継続が困難と認められる全ての学生等に確実に行き渡るよう支援する旨表明されました。そこで、この給付金についてお伺いします。
まず、第一次募集、六月の十九日までというふうに聞いておりますが、この今の給付状況、そして第二次の募集の開始時期、方法について。また、次に、各大学には配分額があるというふうに承知しますが、例えば各大学の一次募集で配分額を上回った場合でも認められる余地はあるのか、反対に下回った場合にはその要因は何なのか精査をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
そしてさらに、この支援は対象総数四十三万人想定したものでございます。全体の執行額が不十分であるのであれば、本来は要件を満たしているのに申請を断念しているケースが多いのではないかというふうに思います。私自身もそうした学生からの相談をこれまで受けてきました。総理が約束されたように確実に行き渡るようにするには、例えば、第二次募集に当たっては、要件の緩和、簡素化、明確化、また各大学が柔軟かつ迅速な審査、受給を行い、対応に差が出ないようにする必要があると考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(森晃憲君)
新型コロナウイルス感染症の影響で学生等が進学、修学を諦めることがないようにしっかり支援していくことが何より重要と考えてございまして、アルバイト収入の大幅な減少等により大学等での修学の継続が困難となっている者を支援するために、大学院生を含む大学等の学生等を対象に、学びの継続のための学生支援緊急給付金を創設しております。
今回の給付金は、スピード重視の観点から、国として対象となる学生等について一定の要件は示すものの、最終的には、一番身近に学生等に接している各大学等において学生等の実情に沿って総合的に判断し、選考した上で日本学生支援機構に支援していただく、そういう仕組みとしてございます。
また、当面困っている学生等を緊急に支援するため、五月十九日の閣議決定をもって直ちに募集を開始するとともに、各学校に対し、特に支援の必要性が高い学生等については順次推薦するよう依頼をいたしました。その結果、実際に五月二十九日には学生等への入金を開始しておりまして、現時点で既に四千名以上への支給を決定してございます。
さらに、対象となる学生等の大学等の推薦を二回に分けて行うこととしてございまして、現在一回目の推薦を受け付けているところでございますが、今後、各学校における学生等の推薦状況を調査し、その結果を踏まえまして、六月十九日以降、二回目の推薦が行われる予定でございます。推薦に当たりましては、各大学ごとに配分額を提示しておりますが、第一次推薦の際にこの配分額を超える者がいた場合には、直ちに選考はせず保留として、二次推薦において改めて選考する、その旨周知をしているところでございます。
文部科学省といたしましては、大学等に対しまして、今回の給付金は大学等において学生等の自己申告状況に基づき総合的に判断していただくよう推薦する仕組みとなっていることや、審査に際しまして、学生等のヒアリングなどを通じて、実情に寄り添った形で審査、判断いただきたいことについて繰り返し周知をしてきてございまして、引き続きこの旨徹底してまいりたいと考えております。
今後、第一次募集段階での大学等におきます学生の申請状況を調査をいたしまして、その結果を踏まえて、六月十九日以降、二回目の推薦が行われる予定でございまして、要件に合致する学生等が支援を受けられぬといった事態がないように、その支援に万全を期してまいりたいと考えております。
○高橋光男君
是非、万全を期していただきたいと思います。
今、給付数四千を超えるというふうにおっしゃいましたが、先ほど私申しました四十三万という意味ではまだ百分の一しか今受けていないという状況でございますので、とにかく柔軟性、また迅速性を持って御対応いただくようにお願いいたします。
続いて、修士課程学生への奨学金制度と博士課程学生への生活費相当額の給付に関してお伺いしたいと思います。
まず、奨学金制度につきましては、返還困難者に対しては、日本学生支援機構の事業に関しましては返還猶予や家計急変の証明書類を柔軟に対応するなどの措置が進んでいます。一方で、自治体や民間の奨学金事業というのは別途ありますが、これらについても、内閣官房、総務省等関係省庁間の連携の下で実態把握を努めていただくとともに、同様の措置がなされるよう周知、要請を行っていただきたいと思います。また、いずれの事業につきましても相談体制を拡充すべきと考えます。
次に、生活費につきましても、本年一月に総合科学技術・イノベーション会議で策定をされました若手研究者支援総合パッケージにおきまして、生活費相当額程度を、当面、修士課程からの進学者数の約五割に相当する学生が早期に受給することが目標になっていると承知します。
他方におきまして、この生活費相当額、月額十五万円以上、年間百八十万円以上というふうにされているものですけれども、これを受給できている博士課程の学生は全体の一割程度にしかすぎません。また、この十五万円には授業料減免分も含まれておりますので、実質月額十一・五万円から十二・八万円というふうにも言われております。これは東京都の単身の生活保護費よりも一万円から二万円程度少なく、扶養家族がいればとても養える水準ではございません。
この点、本年中に策定される第六期科学技術基本計画におきましては、最新の目標値、生活費相当額、達成方法等が示されるものと承知しますが、先ほど大臣がおっしゃったように、当事者である若手人材の声にどこまでも寄り添っていただき、コロナによる厳しい影響を十分に加味した上で策定をいただくようお願いします。
とりわけ、この生活費相当額の給付につきましては、現在の目標の修士からの進学者数の五割以上に給付が早期かつ確実に達成されるように財源確保が必要かと考えますが、いかがでしょうか。
以上につき、御答弁をお願いします。
○政府参考人(森晃憲君)
初めに私の方からは、自治体や民間奨学金事業の関係、それから関係府省との連携による取組についてお話し申し上げます。
日本学生支援機構においては、従来より、地方公共団体や民間団体等が主体となって行っている奨学金事業につきましてホームページで関連情報を掲載しておりますが、返還支援の充実に資すりますように、例えば、これらの団体に対しまして、日本学生支援機構における返還期限猶予制度や奨学金の相談窓口など返還支援の取組内容を周知することや、当該ページに各団体が行う返還支援の情報を新たに掲載することなどについて日本学生支援機構と連携しつつ検討してまいりたいと考えております。
また、政府といたしましては、地方創生の観点から、内閣官房と総務省、文部科学省が連携をいたしまして、地方公共団体が地域産業の担い手となる学生の奨学金返還を支援するための取組を推進しておりますが、この中では日本学生支援機構の奨学金のみならず地方公共団体の貸与型奨学金も対象としているところでございまして、平成三十一年度には三十二府県三百五十五市町村が奨学金返還支援を進めているところでございます。
こうした取組を通じまして、学生が卒業後に返還困難に陥ることのないように、引き続き、関係府省とも連携しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○政府参考人(松尾泰樹君)
私の方から、委員御指摘の博士課程学生への生活費相当額の件についてお答えさせていただきます。
委員御指摘のとおり、次代を担う若い学生がしっかりと博士後期課程に進学いただくということはこれ非常に重要でございまして、そのためには経済的支援といいますか処遇の向上というのが重要だと思っております。そういったことを踏まえまして、内閣府におきましては、関係省庁とも連携をしながら、本年一月に研究力強化・若手研究者支援総合パッケージというのを作成いたしました。その中で、先生御指摘のとおり今一〇%くらいの方々でありますけれども、それをできるだけ多く、五割近くまでということで目標を立てさせていただいたところでございます。
この具体的な方法でございますけれども、多様な財源、これ国だけのお金ということではございませんけれども、しっかりと国もお金を用意しながら、多様な財源による優秀な博士課程後期学生へのリサーチアシスタントとしての例えば採用でありますとか、あるいは奨学金等の充実、そういったことを基にしてしっかりと対応していきたいと思っております。これは、現在検討しております第六期の科学技術基本計画、ここでも様々な方々の意見、声を聞きながら、しっかりと対応していきたいと思っております。
○高橋光男君
ありがとうございます。是非しっかりとお願いいたします。
続いて、特に大学院生の学習の保障の観点から幾つかお伺いしていきたいと思います。
まず、今回のコロナ禍において研究活動が困難になった理由の一つには、図書館の利用制約がありました。特に人文社会科学系の学生が大きな影響を受けました。緊急事態解除宣言の後、大学図書館は感染防止策を取った上で再開をし始めていますけれども、引き続き限定的な利用の大学も見受けられます。今後の第二波、第三波に備え、遠隔で研究活動を継続できるような環境を整備することは急務と考えます。
具体的には、文献のアクセス改善、これを図っていくことが重要でございます。この点、政府は、先月末に策定した知的財産推進計画二〇二〇において、絶版等により入手困難な資料などの図書館保有資料へのアクセスを容易にするための取組を進める方針と承知します。また、今年の夏には、十七の連携機関、約七十のデータベース、二千万件のメタデータを集約したジャパンサーチというものが正式公開されます。
ついては、これらの周知も含め、政府として研究者へのデジタルアーカイブへのアクセス改善をどう進めていくお考えでしょうか。
○政府参考人(三又裕生君)
今委員から御指摘をいただきましたジャパンサーチを始め、デジタルアーカイブの利活用促進につきましてお答えを申し上げます。
ジャパンサーチと申しますのは、アーカイブ化された多様なデジタルコンテンツのタイトル、作者名、所在等に関する情報、いわゆるメタデータをまとめて検索できる国のポータルサイトでございます。
このジャパンサーチは、現在、十一の分野の七十一のデジタルアーカイブと連携をしておりまして、この中には、人文社会科学系の学生や研究者による活用が見込まれますもの、例えば国立国会図書館サーチや国立公文書館デジタルアーカイブ、また、人間文化研究機構統合検索システム、nihuINTと呼んでおりますが、こういったものが含まれてございます。
このジャパンサーチの運営につきましては、国立国会図書館を中心に関係省庁等から成る委員会が主体となって取り組んできておりまして、昨年二月に試験版が公開され、既に利用をされております。加えまして、ユーザーの利便性向上のための機能改善を行った上で、今年の夏に正式版を公開する予定でございます。
今後は、産学官フォーラムの開催などを通じまして、こうした正式版の公開などに関して大学関係者や研究者を含めた幅広い方々に対しまして周知を図ってまいりますとともに、このジャパンサーチの連携対象となりますデジタルコンテンツの拡充を促す取組や、二次利用のためのガイドラインの作成、普及を通じてデジタルアーカイブの更なる利活用を促進してまいりたいと考えております。
〔委員長退席、理事上月良祐君着席〕
○政府参考人(森孝之君)
図書館資料のアクセスについてお答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、今般の新型コロナウイルスの感染拡大による図書館の休館などによりまして、図書館資料の閲覧、利用が困難となったということに伴い、学生、研究者等を中心にインターネット等を通じた絶版等資料へのアクセスなどについてニーズが顕在化しているというふうに承知をしてございます。
文化庁といたしましては、こうした状況を踏まえまして、著作権に関わる制度的な見直しについて検討していく必要があると、このように考えているところでございまして、文化庁では、文化審議会の著作権分科会におきまして、昨年度から、研究目的での自由利用を認める権利制限規定の創設について検討を開始をしているところでございますけれども、今後、それと併せまして、絶版等によって入手困難な図書館資料等へのアクセスを容易化するために、現行の著作権法における図書館関係の権利制限規定をデジタルネットワーク化に対応したものとすることについて、権利者の利益保護にも十分留意をしながら、来月にも検討開始をし、可能な限り早急に結論を得てまいりたいと、このように考えてございます。
○高橋光男君
ありがとうございます。
まさに著作権を絡むこれは課題でございまして、今おっしゃられたような権利制限規定などの整理が必要だというふうに承知しますが、是非利用者本位に立って、アクセスが容易になるよう御対応をお願い申し上げます。
続いて、研究時間の確保についてお伺いしたいと思います。
本日も何度かこの話題になりましたが、研究者が研究に専念するためには職務時間の中での学内事務等に掛かっている割合、時間というものをいかに減少させていくのかが重要な課題と考えます。実際、文科省のある調査におきましては、研究パフォーマンスを高める上で大学運営業務が最も大きな制約要因になっています。
政府は、若手研究者支援総合パッケージにおきましてもこの割合を半減することを目標に掲げ、学内会議等の業務の一層の効率化、また競争的研究費を学内業務の代行に係る経費として支出可能とする制度改革等を行っており、文科省はこの好事例の周知等されているものと承知いたしますが、是非、それらの横展開を含め、大学現場での一層の努力を促していく必要があると考えますが、どのように後押しされるのでございましょうか。
○政府参考人(森晃憲君)
大学教員に研究パフォーマンスを上げるための有効な手段を尋ねました科学技術・学術政策研究所のアンケートによりますと、研究時間については、大学運営業務、学内事務手続の効率化、それから教育専任教員の確保による教育活動の負担の軽減が多く挙げられるところでございます。
このため、文部科学省においては、学内での意思決定を担うことのできる職員の育成を図っていくことや、それから、教員の事務負担を軽減するなどの優れた取組を行う大学の好事例の周知、先ほど先生がおっしゃった横展開、そして、競争的研究費の直接経費の使途を拡大をいたしまして、教員が担っている講義やそれに付随する業務など研究以外の業務の代行に係る経費を支出可能とするなどの制度改革、こういった取組を進めてきております。
引き続き、大学教員が研究に専念できる環境づくりを推進してまいりたいと考えております。
○高橋光男君
ありがとうございます。
そうしましたら、続きまして、少し飛ばしまして、最後、二つお伺いしていきたいと思います。
竹本大臣にお伺いします。
まさに人文科学、そして今回、人文科学に限ったものというものがこの科学技術基本法の対象になるというのが今回の法改正の一つの目的でございますけれども、そうした人文科学や文理、文と理ですね、これの融合型の研究開発の支援についてお伺いしたいと思います。
現代社会には自然科学だけでは答えの出せない複雑な問題が多くございます。地球温暖化や生殖医療はその典型例かと思います。こうした難題に向き合うための文理融合による研究を我が国でも進めていく必要があると考えますが、これまでの国による支援実績は必ずしも多くはなかったと承知をいたします。
新型コロナ感染症対策も、冒頭大臣がおっしゃられたように、医学のみならず、経済学、社会学、法学等の多分野にわたる学際的なテーマでございます。こうした研究を進めるに当たっては、一つに、先端的研究施設を活用できる余地が大いにあるのではないかというふうに私は思います。
実際、私の地元兵庫には、今年度から試行的利用が開始したスーパーコンピューター「富岳」の研究資源を活用し、新型コロナ治療薬の物質研究や治療法等のみならず、新型コロナ感染拡大の社会経済的影響を明らかにする課題などの研究提案も募集されているところでございます。
今回の法改正を受け、新型コロナ感染症という多分野にわたる課題に対処するためには、こうした先端的研究施設も活用して、人文科学や文理融合型の研究開発に対しても国として最大限支援していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(竹本直一君)
全く先生のおっしゃるとおりだと思います。
新型コロナ感染症対策を含めまして、複雑化いたします現代課題に対峙するためには、人文科学の知見も含めた総合的な科学技術、イノベーションの振興が必要でございます。
今回の法改正で人文科学のみに係る科学技術というのを追加いたしましたけれども、御指摘の先端的研究施設の活用も含めまして、人文科学や文理融合型の研究開発をより一層推進するための方策について検討し、次期の基本計画などにも積極的に位置付けてまいりたいと考えております。
特に、今回のコロナという全く予測しなかったものの体験を、まさにこの文理融合型の研究開発が非常に必要であるということを痛感させられました。そのときに、一つのツールとして大きく活用できる可能性があるのは、お話にもありました「富岳」のような最先端のものを使うことによって、我々が普通は知覚しないような鋭い切り口からある種の結果が出てきて、それがコロナへの対応に役立つということもあり得るんだろうというふうに期待をいたしておる次第でございます。
計画にしっかりと盛り込んでいきたいと思っております。
○高橋光男君
ありがとうございます。是非しっかりと取り組んでいただければというふうに思います。
〔理事上月良祐君退席、委員長着席〕
それでは最後に、日本版SBIR制度の見直しについてお伺いしたいと思います。
この見直しによって、政策課題の解決に資する革新的な研究開発等の促進を目的として、大学発のベンチャー等のスタートアップ、中小企業等に対し新たに指定補助金が交付され、イノベーション創出が期待されるところでございます。
新型コロナ感染症の拡大を受けた国民の生活様式の急激な変化、例えば、今言われておりますが、新しい生活様式に応じた革新的なサービスを提供しているテクノロジー系スタートアップ企業等への支援を私は強化すべきではないかというふうに思います。
分野は、例えば飲食業では、テークアウトやデリバリーの注文をスマホで簡単にできるモバイル注文サービスというものもできております。そのほかにも、建設業、教育、介護、テレワーク、外国人支援等、サービスの内容は多岐にわたり、省庁横断的な連携に基づく後押しが必要ではないかというふうに思います。
新たにできる補助金制度におきましては、米国のSBIR制度のように、本改正法成立後には、施行までに分野横断的な統一的なルールが策定されることになるというふうに承知をしておりますが、それを待たずとも、特に苦しむ中小企業を支援するスタートアップ企業等に対して、現行の枠組みを使ってでもフルに活用して積極的に支援をすることが重要であり、統一的ルール策定に当たっても、私は、社会的な課題として、優先的な課題として位置付けるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(竹本直一君)
近年は科学技術のシーズ化が非常に細分化いたしまして、研究開発や実用化の道筋も非常に複雑化いたしております。イノベーションを通じて解決すべき社会課題も多様化いたしまして、スタートアップ等の持つ多様性と機動性が重要な役割を果たすと期待しているところでございます。このため、御指摘のとおり、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた社会変革の対応といった社会課題の解決に向けて、スタートアップ等の研究開発及びその成果の社会実装の加速が必要と考えております。
特にこの場合において参考になるのが、お話のありましたアメリカのSBIR制度でございます。アメリカのSBIR制度は、研究費の約三%を必ず中小企業に回すということで、中小企業もそのベンチャーというかスタートアップに活躍できるように、そういう仕組みとしてつくっておりまして、しかも仕組みだけでは駄目で、それを具体にどうアメリカが中小企業を役立てるように、ベンチャーから役立てるようにやっているかということを、よく我々としても研究をして、それを参考にしてやっていきたいと思っております。
プロジェクトがありますと、ファインディング、フォーメーション、それから可能性調査、そして実現とだんだんなっていくんですけど、従来のSBIR制度は単純に中小企業の困っているところの経営安定化のために補助金を出すという程度のことに限られていたような感じがします。それをそうじゃなくて、ベンチャーが何かやるときに各段階においてシームレスにそれを指導していっているのがアメリカの制度であると思っております。これは非常にいい参考になるもので、我々はそれを参考にしながら、日本でもベンチャーが育つような、そういう手助けをしたいなと思っております。
○高橋光男君
ありがとうございます。
まさにその継ぎ目のないそうした取組に全力で政府としても取り組んで支援をしていただくようにお願いいたします。
本日お尋ねしましたように、科学技術の将来を担う若手研究人材への経済的支援に万全を期すこと、新型コロナという国難克服のために、人文科学、文理融合型研究開発や新たな生活様式の定着に資するイノベーション企業等に対しても、国として全面的にバックアップしていくことを重ねてお願い申し上げて、私の質問とさせていただきます。
本日は大変にありがとうございました。