2020.11.24

国会議事録

令和2年11月24日 農林水産委員会

○高橋光男君
おはようございます。公明党の高橋光男です。
 今臨時会より農水委員会に所属させていただくことになりました。初質問の機会をいただき、ありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。
 冒頭、我が国の食を支えていただいている全ての農林水産業の従事者の皆様、食品産業、飲食業の関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。
 では、早速質問に入らせていただきます。
 まず、山田錦を始めとする酒造好適米への支援について、国税庁並びに野上大臣にお伺いします。
 コロナ禍を受けて、清酒業界や原料の山田錦の生産現場が試練に立たされています。令和元年産の山田錦は、酒蔵から引取りの猶予を求められています。地元のJAによれば、その数三万から四万袋、約一千トン前後に及びます。蔵元に無理に引取りを押し付けることになれば、来年の生産申込量への影響は避けられません。仮に処分することになれば、約一億円の損害とも聞いております。今年秋に収穫した二年産も同様の問題となる可能性があります。
 そして、来年産必要量につきましては、今年の年末年始にかけて契約がなされた後、生産計画に応じて作付けが行われる予定ですが、どの程度になるか見通しが立っていません。
 国も水田活用の直接支払交付金等を通じて支援をしていただいていますが、二年産はコロナ前の生産計画に応じて作付けがなされることになっていたため、転換はほとんどできませんでした。実際、国の支援で他品種への転換ができたのは、九月末時点で、全国五百八十九ヘクタールのうち、地元兵庫は僅か二十五ヘクタールと聞いています。県も応援事業を行っていますが、十分に活用されていないのが実態です。
 一方、お配りした資料一の一にありますように、清酒の輸出も昨年比で確実に今年は減少しています。そうした中、現地では、全国唯一の酒米研究交流館といったところがあるんですけれども、こうしたところを拠点とした品質の更なる確保、向上のための技術開発や、消費喚起のための特別ウエブサイトでの「山田錦」乾杯まつりなどを開催しています。
 いずれにしましても、日本酒の消費、輸出を後押しし、原料の要、日本の宝とも言うべき山田錦の生産体制をポストコロナ時代も維持発展していくことは国の責務だと考えます。
 そこで、まず国税庁においては、国内消費を盛り上げる応援セミナーや販売促進等の地域の取組、輸出促進については、資料一の二にありますとおり、昨年比で大幅に減少している米国等への輸出回復の後押し、近年輸出が増えている香港、台湾、豪州等に対しては更なる強化を支援していただきたいと思います。
 次に、農水省におきましても、既存の支援事業を通じた日本酒の国内販売や輸出促進、輸出用の日本酒に用いる酒造好適米の安定的生産に資する取組などを強化していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いします。
○政府参考人(木村秀美君)
お答え申し上げます。
 国税庁におきましては、酒類業振興のために様々な取組を行っております。
 まず、新型コロナウイルス感染症拡大への対応として、令和二年度第一次補正予算において措置された酒類の国内消費回復・拡大支援事業において、例えば日本酒関連の取組としまして、地域の酒販店が試飲等を通じ地元の酒類等の魅力や特色を伝える酒販店フェアや、全国の酒蔵の情報を多言語で登録して表示する取組などの施策を実施しております。
 一方、新型コロナの影響で海外におけるプロモーション等に制約はあるものの、日本産酒類の輸出促進に向けてブランド化推進事業や酒蔵ツーリズム推進事業の実施、香港やオーストラリア等の現地バイヤーと酒類製造者等との間でのオンライン商談会の開催、国内の輸出商社等と酒類製造者等とのマッチング支援など、創意工夫しながら日本産酒類の認知度向上と海外販路開拓に取り組んでおります。
 また、本年中に策定を予定しております農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略において輸出重点品目を定め、それぞれ目標を設定することとされており、清酒についても重点品目に位置付けることとしております。
 このように、農林水産物・食品の輸出拡大に向けた政府全体の方針を踏まえ、関係省庁、機関とも緊密に連携しつつ、日本酒を含む日本産酒類の更なる輸出促進、酒類業の振興に向けて取り組んでまいる所存でございます。
○国務大臣(野上浩太郎君)
日本酒につきましては、先生今御指摘のとおり、国内外の出荷量も減っておりますし、その影響で酒造好適米についてもその需要が大幅に減少しているという状況であります。
 このため、農水省では、需要拡大ですとか輸出促進に向けまして米穀周年供給・需要拡大支援事業による日本酒の販売拡大の取組への支援、国内のイベントですとかあるいはオンライン商談等々でありますが、に向けての支援ですとか、あるいは水田活用の直接支払交付金によります輸出用日本酒の原料となる酒造好適米への支援、あるいは日本酒等の輸出に取り組む事業者とこの海外バイヤーとのマッチングを推進するためにジェトロによりますオンライン商談会の実施等の支援を行っているところであります。
 農林水産省としても、今国税庁からお話ありましたが、国税庁と連携をして引き続き日本酒の需要拡大、輸出促進を行うことによって、酒造好適米の安定的な生産を図れるように取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋光男君
ありがとうございます。
 是非とも、今大臣おっしゃられたように、日本酒といえば国税庁になるわけでございますが、生産の現場はこれは農水省でございますので、しっかりと政府一体となってこの山田錦の生産現場、またこの日本酒の需要そして輸出の拡大に向けて取り組んでいただきますようにお願いを申し上げます。
 続いて、原発事故による食品等の輸入規制緩和、そして撤廃に向けた働きかけについてお伺いしたいと思います。
 政府は、先週二十日に、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略(骨子案)を公表したと承知しております。重要品目となった清酒を含め、日本が強みを持つ産品を最大限に生かし、輸出を伸ばしていくことは大事だと思います。
 一方で、原発事故に伴い諸外国・地域で継続している福島県を始めとする産品の輸入規制の緩和、撤廃に向けた働きかけの強化、加速化も不可欠と考えます。言わば強みに光を当てるだけではなく、影の部分もしっかりと手当てしていただきたいというふうに思います。
 現在、規制を設けた五十四か国・地域のうち、引き続き十八の国・地域で継続をしております。特に、我が国からの輸出額が大きく、輸入停止を続けている国・地域、すなわち香港、中国、台湾、韓国、マカオ、米国への働きかけを政府一体となって続けることが重要と考えます。
 このうち、例えば中国は、資料二にございますように、十都県産の日本酒を輸入停止しています。全体では酒類の輸出実績というのはこちらの下の表にございますように増加傾向にありますが、この十都県産につきましては、日本酒のみならず全ての食品の輸入停止を続けています。しかしながら、なぜかその一つの新潟産の米だけは輸入しています。米はよくて酒は駄目、これは極めて非合理的な扱いだと思います。
 いずれにしましても、日米貿易協定やRCEP等で自由貿易が進む中におきまして被災地の食品等が取り残されるようなことがないように、来年の東日本大震災十年を見据え、全世界での完全撤廃の目標期限など具体的な目標を設定して、戦略的かつ着実に緩和、撤廃が実現するよう働きかけるべきと考えますが、野上大臣の御所見をお願いいたします。
○国務大臣(野上浩太郎君)
輸入規制の撤廃は、これまでも最重要課題の一つとして政府一体で取り組んでまいりまして、今お話ありましたとおり、三十六の国・地域において規制が撤廃をされたわけであります。残り十八か国・地域ということになりますが、この規制につきましても、科学的根拠に基づいて直ちに撤廃すべきというのが我が国の立場であります。
 本年四月に農林水産物・食品輸出本部を設置をいたしまして、この取り組むべきスケジュールを示して実行計画を策定して対応しているところでありますが、委員御指摘のとおり、来年には、三月には震災から十年目の節目を迎えるわけでありますので、この節目に向けて輸入規制が一日も早く撤廃をされるように、今コロナ禍の状況でありますが、世界的なコロナの拡大の状況もあって、相手国の事情に応じて、テレビ会議ですとかあるいは電話もそうですし、メールもそうでありますが、そういうことも活用しながら、今様々なレベルで規制撤廃に向けて働きかけを行っております。
 引き続き、検査証明書の簡素化などの規制緩和も含めて、交渉を粘り強く行ってまいりたいと考えております。
○高橋光男君
ありがとうございます。菅総理は、十月一日に行いました関係閣僚会議におきましても、関係省庁一体となった体制をつくって、各国の輸入規制緩和に取り組んで、品目別に具体的な目標を持って取り組む必要があるというふうに表明されたというふうにも承知しております。重ねて申し上げますが、被災地が取り残されるようなことがないように、具体的な目標設定と戦略的な働きかけの強化をよろしくお願いします。
 続いて、熊野政務官にお伺いします。
 本年、西日本ではトビイロウンカによる水稲への被害が拡大しました。私の地元兵庫県も例外ではございません。県の西部など、中には田の六割で被害が確認された地域もあり、県の病害虫防除所によれば、一九八七年以来三十三年ぶりの大発生になりました。兵庫では、今年の初飛来が確認された六月下旬以降に増加、発生圃場率は八月上旬は九・七%でしたが、県の防除所が県全域に注意報を発出した八月二十七日には七七%に急増しました。その後、警報を発した九月十六日には一〇〇%に達しましたので、いかに急速に拡大したかお分かりいただけるかと思います。
 農水省は、十一月六日、防除所長会議を開催し、トビイロウンカの防除対策について議論を行ったと承知いたします。つきましては、特に小規模農家、家族農家への支援に加え、発生被害状況の掌握と現場への周知徹底、注意報、警報を出したタイミングが適切だったのか等の厳格な検証、来年以降の再来に備えた営農指導を始めとする実効的な対策が必要と考えますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(熊野正士君)
トビイロウンカにつきましては、本年は過去十年間で最も早いペースで飛来をし、また飛来量も多く、飛来地域も拡大したことが確認をされております。
 このため、先ほど委員御指摘ありましたけれども、本年八月に各都道府県に対しまして防除指導の徹底を促す通知を発出したところであり、各都道府県においても注意報や警報の発出により速やかな薬剤散布の徹底等を指導してきたところでございます。
 農水省といたしましては、次期作、次期作における被害の抑制に向けて来年の防除対策が本格化する前に、本年のウンカ対策における課題、問題点等をしっかりと検証をした上で、先ほど委員御紹介いただきましたが、水稲病害虫防除対策全国協議会、これを開催をいたしまして、ウンカの基本的な防除を各地域で効果的に実施するための方策を年内に取りまとめることといたしております。農業者の方々への丁寧な情報提供や防除指導を徹底してまいりたいと思います。
○高橋光男君
ありがとうございます。生産者の中には、ナラシ対策や、また収入保険にも入っていない、またさらには農業者共済などにも、この対象にならないような方もいらっしゃいます。しっかりとそうした方々に寄り添った御対応をよろしくお願いいたします。
 そして、次、続きまして、学校給食における都道府県産農水産物の活用についてお伺いしたいと思います。
 私の地元兵庫でも、県内の国公立小中学校を対象に、神戸ビーフ、地鶏肉、水産物が給食に供され、人気を博しております。兵庫のみならず、例えば和牛では、山形、宮城、岐阜、石川、三重、滋賀、鳥取、宮崎、鹿児島などで利用されており、最大計三千トンにも上るとされています。御協力いただいた関係組合、団体の皆様に感謝を申し上げます。
 この事業は、子供たちにとっては地元産品の魅力を実感できる教育的意義があると同時に、生産者支援に大いに役立っています。コロナ収束の見通しが立たない中、依然として在庫が多い産物に特化するなど、たとえ小規模であってもかかる支援は継続していく意義があると考えます。また、現在、学校給食での地産地消の取組というのは自治体レベルで行われておりますけれども、国の取組といえば、コーディネーターの育成、派遣等の支援にとどまり、予算も農水、文科と合わせて一億円強と極めて限定的と承知いたします。
 つきましては、国として来年度以降も学校給食に都道府県産の農水産物が活用されるよう支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(青山豊久君)
お答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響による在庫の滞留等を解消するため、学校給食や子供食堂への国産食材の提供の支援を始めとしました国産農林水産物等販売促進緊急対策事業を実施しております。本事業は、状況に応じまして対象品目を追加してきておりまして、先週十八日には、新型コロナウイルスの影響を受けまして需要が大きく減少しております中食、外食向けの米を新たに支援対象品目として追加したところでございます。
 委員御指摘のとおり、依然として地域の農林水産物の販売機会を失いまして販路に困っている生産者等も多くいらっしゃると承知をしております。新型コロナウイルス感染症の状況を注視しつつ、学校給食への食材提供の支援も含めまして、今後どのような対応ができるか検討してまいりたいと思います。
○高橋光男君
ありがとうございます。例えば神戸ビーフの給食などぜいたくだと思われる方いらっしゃるかもしれませんけれども、これ、単に食べるだけでなく、例えば和牛のルーツ、また神戸ビーフの定義など学びます。私は子供の時分からこうした地元の一流食材に触れて学ぶことも食育の重要な一環だと思いますので、前向きな御検討よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、GoToイート関係につきましてお伺いします。
 二十一日、先週の土曜日でございます。菅総理は、急遽、食事券の新規発行の一時停止やポイント利用を控えるよう都道府県に検討を要請しましたが、現場の混乱は必至かと思われます。特に、食事券の発行停止はいつまでなのか分からないのであれば、一月末までと今なっていますこの期限も柔軟に延長すべきだと思います。いずれにしましても、政府には現場への周知が行き届くよう丁寧な説明をお願いしたいと思います。
 また、GoToイート登録飲食店が食事券を回収し現金化するためには、都道府県ごとに扱いは多少異なりますけれども、大体申込みは月一回のみ、受付には一回当たり食事券二十枚以上が必要といったような形になっています。今回の一時停止が各地域での迅速な現金化の妨げとならないよう、換金申込回数や換金に必要な一回ごとの食事券数の下限などにつきましては柔軟に御対応いただきたいと思います。
 続いて、もう一つお伺い、併せてさせていただきます。
 本年度一次補正におきましては、新型コロナの収束を見据えたインバウンドの需要回復を推進することを目的としました衛生管理、空気換気設備の導入、店舗の改装などのための緊急支援事業を実施したと承知をいたします。しかしながら、インバウンドしばらく戻ってきません。他方、飲食店におきます感染防止の取組は、周知のとおり、大変急務でございます。
 ウイズコロナ時代の新しい生活様式に中長期的に対応するため、経産省の持続化補助金による感染防止支援に加えまして、農水省としても、例えば換気設備導入や配膳ロボット等のIoTの活用など、極力多数の中小の飲食店が衛生管理、生産性向上に資する施設整備ができるようにするための支援策が必要と考えますが、いかがでしょうか。端的にお願いします。
○大臣政務官(熊野正士君)
お答えいたします。
 新型コロナウイルスの感染状況については、極めて警戒すべき状況が続いております。
 こうした中、二十日の新型コロナウイルス感染症対策分科会において、分科会から政府への提言がございました。これを受けまして、本日二十四日、農林水産省としては、GoToイート事業については、食事券の新規発行の一時停止及び食事券やポイントの利用を控える旨の利用者への呼びかけについて各地域の感染状況等を踏まえた検討を行うよう、各都道府県に要請したところでございます。また、一月末までとしている食事券の販売期限につきましては、一時停止の期間、執行状況、都道府県の意向等を踏まえる必要があります。まずは、農水省としても、都道府県が感染状況を見極めつつ対応の検討を進められるよう、引き続きバックアップしてまいります。
 GoToイート事業は、新型コロナウイルス感染症により甚大な影響を受けた飲食店の需要を喚起するものでございますので、飲食店の資金繰りに配慮する必要が重要と考えております。各地域における振り込み頻度が月一回、月二回としている事業者や、金融機関窓口で随時受け付けて数日程度での入金としている事業者など様々ですけれども、どの地域の事業者においても、基本的には最低月一回以上の振り込みがあるところでございます。
 御指摘の点につきましては各地域の食事券発行事業者と調整を進めてきたところであり、その結果、ある事業者では、当初、請求から換金まで三十日、月一回の振り込みであったところ、二十一日、月二回の振り込みに改善した事例もございます。引き続き、事業の趣旨も踏まえまして、柔軟な対応ができるよう努めてまいります。
 また、もう一つ、インバウンドの需要喚起の……
○委員長(上月良祐君)
時間が参っておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。
○大臣政務官(熊野正士君)
はい。
 政府全体として措置をしております雇用調整助成金や無利子無担保の融資、持続化給付金の支給に加えまして、様々な支援を検討して措置をしてきたところでございます。
 今後とも、外食業の事業が継続できるようしっかりと取り組んでいきたいと考えてございます。
○高橋光男君
以上で終わります。

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