2021.03.16

国会議事録

令和3年3月16日 農林水産委員会

○高橋光男君
公明党の高橋光男です。
 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。
 まず初めに、直前の通告となって恐縮ですが、私も米国産の牛肉の緊急輸入制限につきましてお伺いしたいと思います。
 こちら、昨晩、未明にニュースが入りました。この日米貿易協定に基づきまして、この輸入量が基準数量に達するということで、セーフガードが発動されれば、関税率が三十日間、現在の二五・八%から三八・五%に引き上げられるというような情報が入りましたけれども、政府としての事実確認をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(水田正和君)
お答えいたします。
 そういった報道がなされていることは承知をしております。
 本年度の牛肉輸入量でございますが、前年、全体といたしましては、前年の同期に比べまして、二月までの輸入量でございますが、比べて減少しております、五%ほど減少しておりますが、こういった中で、豪州産が減っている関係もありまして米国産は前年同期に比べて増えていると、若干増えているという状況にございます。
 そういう中で、セーフガードが発動するかどうかの見込みにつきましては、農林水産省として言及をすることは市場に予断を与えるということでございます。発言は差し控えさせていただきたいと思います。
○高橋光男君
ありがとうございます。
 今の時点では、政府として市場への影響等からなかなかそういったことについて明確に御答弁いただけない状況というのは理解いたしますけれども、本件が与える関係者への影響というのも甚大です。それは国内にとどまらず、まさに今、日米関係、まさに2プラス2があったり、また来月には総理の米国への訪問も予定されています。まさに、そういったタイミングにおいてこのセーフガードが発出されれば、日米関係に水を差すようなことがあってはならないというふうに思いますので、政府としてしっかりと丁寧に説明をしていただくことをお願い申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 続きまして、GoToイートについて野上大臣にお伺いしてまいりたいと思います。
 この件につきましては、先週の金曜日に予算委員会におきましても大臣にお伺いしたところでございますけれども、本日は追加で明らかにさせていただきたいことについてお尋ねしていきたいと思います。
 まず、緊急事態宣言が解除された都府県における食事券の販売再開についてでございます。
 国は、宣言を発出したときには一時停止の検討要請をそうした対象地域に対してされておきながら、解除された府県に対して再開の指針を示していないと承知します。コロナの分科会の提言によれば、ステージ1、2に相当する地域で実施することは基本とするというふうに示されています。しかしながら、既に宣言が解除され、全指標でステージ2に、2以下になっているにもかかわらず再開が未定のままになっているところがございます。例えば岐阜県などです。
 こうしたところにおいて本事業を再開することに差し支えはあるのでしょうか。明確に御答弁をお願いします。
○国務大臣(野上浩太郎君)
今先生からお話あったとおり、GoToイート事業につきましては、昨年九月の分科会におきまして、各都道府県においてステージ1、2に相当すると判断される地域で実施することを基本とし、3、4に相当すると判断される地域では慎重に対応すべきと、そういう提言がなされております。
 他方で、農林水産省としても、これまで、年末を控えた十二月十七日あるいは緊急事態宣言を受けた一月七日、十三日、二月二日及び二十六日など、節目節目でこの食事券の発行一時停止等について都道府県に地域の感染状況を踏まえた検討要請をしてまいりました。
 こうした検討要請をした後も繰り返し各地域と意見交換を行ってまいったわけでありますが、このような緊密な連携の結果、緊急事態宣言が延長された二月二日時点では、緊急事態宣言の対象地域を含む三十二都道府県で食事券の販売一時停止がされておりました。一方で、三月十五日時点では、食事券の販売一時停止が行われている地域は十四都道府県にまで減っております。また、これまでの間、感染が広がっていない東北ですとか山陰においては停止等がなされておりません。
 このような状況で、これまでも分科会の考え方に沿って、地域の感染状況を踏まえて、また地域の飲食店への営業時間の短縮要請等とも併せて、食事券のこの一時販売停止の判断が各知事の下で明示的になされているわけであります。
 農水省としても、感染状況を見極めつつ、委員の御指摘も踏まえながら、食事券の販売再開も含めた対応の検討が進められるように、引き続き緊密に連携をして対応してまいりたいと考えております。
○高橋光男君
やはり、都道府県の判断に委ねるということにはなっているかと思うんですけれども、国として、繰り返しになりますけれども、一時停止に当たって検討を要請した以上、解除された地域に対しては、もう使っていいんですよという、そうした明確な再開の指針というものを示していただくことがやはり大事かと思いますので、引き続き緊密に連携していただければと思います。
 続いて、関連ですけれども、飲食店が自ら行う店先でのテークアウト、また、宅配、デリバリーについてお伺いしたいと思います。
 これはまさに会食ではございません。感染のリスクもほぼないことから、私は緊急事態の措置の対象外だと思います。その意味では、緊急事態宣言やステージのいかんにかかわらずテークアウトやデリバリーは利用可能だといった政策は推進していくべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
 また、実際にも北海道などでは導入されているところでございます。私の地元兵庫はまだ病床確保のみがステージ2まで下がっていませんけれども、先日、飲食店で従事する若者たちとのユーストークミーティングというものを私たち行っておりまして、その中でもそうした要望を受けています。例えば、そうすれば、これから協力金が先細りしていく中においても、飲食店への経済支援とともに配達員への雇用も生まれ、そして、コロナによって収入が減ってしまった方への支援も間接的に行うことができるのではないかという御意見です。
 この点、是非国として、自治体任せにせず、明確な支援の方針を示していただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(野上浩太郎君)
コロナのこの基本的対処指針におきましては、飲食を伴う懇親会等、大人数で長時間に及ぶ飲食といった場面での感染が起きやすいと、こういう飲食につながる人の流れを制限する必要があるとの評価がなされております。こういう評価も踏まえながら、GoToイート事業では、緊急事態宣言となった地域で食事券等の利用を控える、利用者に呼びかけをしておるわけであります。
 しかしながら、緊急事態宣言の対象地域等であっても、これ感染症対策の観点から問題となっていない、飲食店自ら行う今お話のありましたテークアウトですとかデリバリーにつきましては、これは食事券等を利用していただくことは可能だと考えております。このため、今御指摘があった北海道を始め幾つかの道県では、食事券等の利用を控えるよう利用者に呼びかけている期間中であっても食事券の利用をしてのテークアウト、デリバリーを積極的に進めていると聞いております。
 農林水産省としても、こうした旨をお知らせしているところでありまして、引き続き周知に努めてまいりたいと考えております。
○高橋光男君
まさに食事券等の利用を控えるよう利用者に呼びかけている期間中であっても食事券を利用してテークアウト、デリバリーを積極的に進めているということですので、やはりそういった意味においても、緊急事態宣言の対象となった地域は特にそうですけれども、なかなか再開の意思を示し、決め切れない、そうした中でもこうしたデリバリー、テークアウトというものは利用できるんですよということをしっかり国として示していただくことが大事かというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 続きまして、緊急事態宣言外の地域についてです。
 時短要請もないため国から協力金も一切対象となっていない飲食店が大変厳しい状況にございます。国による新たな一時支援金ももらえない可能性が高いです。一方で、そうしたところでも徹底した感染予防策、例えば換気、消毒、飛沫飛散防止などしっかり行っていただいているお店が大半だと思います。
 こうした緊急事態宣言対象外の地域の飲食店への支援策をいま一度国として一層講じていくべきと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(野上浩太郎君)
今お話ありましたとおり、飲食店につきましては、感染状況が厳しくなく時短制限もされていない地域であっても、この全国的な自粛ムードの影響を受けまして大変厳しい状況にあるとの話も伺っております。
 農林水産省としては、引き続き、このGoToイートの食事券事業につきましては、昨年十二月に決定した経済対策におきまして追加して発行するとされた分も含めて、各地域と緊密に連携しながら執行してまいりたいと考えております。なお、既に昨年秋から販売した分が完売している地域もありますので、現在、そうした地域と追加分の準備に向けた調整を行っているところであります。
 また、累次にわたる補正予算で、この需要減少等の影響を受けた国産農林水産物等の販売促進ですとか販路の多様化を支援する事業を措置をしておりまして、これでも、新たにデリバリーですとかテークアウトに取り組む飲食店に対して、インターネット販売サイトを通じた食材の調達あるいは資材費等を支援していることとしております。
 農水省としても、このGoToイートの食事券事業に加えまして、これらについても活用しながら、飲食店の支援に努めてまいりたいと考えております。
○高橋光男君
ありがとうございます。
 第三次補正の、五百五億円ですかね、このGoToイートに割り当てられている分というのはまだまだ未執行というふうにも承知していますので、しっかりとした継続的な飲食店に対する支援を農水省としてしっかり行っていただくようにお願いします。
 そうしましたら、続きまして、輸出拡大実行戦略に基づく輸出促進策についてお伺いしていきたいと思います。
 国は、第一次の輸出産地のリストを二月十六日に二十三品目で公表したと承知します。次の追加公表というのはいつになるのでしょうか。また、今後、産地の事業者等に対し輸出額や生産量の目標などを盛り込んだ事業計画の策定が求められ、その後、計画が認定されれば、予算や技術面で手厚い支援が行われるものと承知いたします。一方、選定段階で都道府県や市町村の自治体が間に入っていないところもございます。私の地元、兵庫もそうです。また、必ずしも今回の募集を知らず、後追いで参入したい事業者が参画すること、これは可能なのでしょうか。
 いずれにしましても、今回、輸出産地にならなかった地域も含めた公平な実施を図っていく必要があると考えますが、今後の進め方について御答弁をお願いします。
○政府参考人(太田豊彦君)
お答えをいたします。
 今委員御指摘のように、輸出産地実行戦略におきまして、主として輸出向けの生産を行う輸出産地、これを今年度中にリスト化するということになっておりまして、二十三品目、三百五十三産地のリスト化を二月十六日に行ったところでございます。その公表におきまして、調整中となっておりました合板であったり酒類につきまして、あるいは既に公表している品目の新たな産地につきまして、現在、追加公表に向けた作業をしておりまして、農林水産省のホームページにおきまして近日中の公開を予定しているところでございます。
 この輸出産地のリスト化につきましては、品目によって検討の方法は異なりますけれども、農林水産省といたしましては、都道府県あるいは業界団体に説明をしつつ作業を行っているというところでございまして、今後とも、都道府県の輸出振興策との整合性やリスト化の公平な実施が図られるように、しっかりと連携しながら輸出産地の掘り起こしを行うとともに、適時、輸出産地のリスト化、リストに追加を行っていくということとしております。
 また、公表した輸出産地におきまして、産地での輸出額の目標あるいは取組の内容を具体化するために、必要に応じまして輸出促進法に基づく輸出事業計画の策定を行いまして、国としてその計画の実現のために補助や融資等の支援を行っていきます。この輸出事業計画につきましては、重点品目以外でも輸出促進法に基づく輸出事業計画の認定を受け付けるなど、輸出目標とその実行のための課題と対策を明確化する産地、事業者に対しましては引き続き支援を行ってまいります。
○高橋光男君
今、最後におっしゃられた点ですね、重点品目以外の品目につきましても、輸出事業計画の認定を受けていただくことによって重点品目と同様の支援が受けることができるということを明確に答弁いただいたと思いますので、そのような対応をしっかりお願いいたしたいと思います。
 続きまして、一月二十二日、菅総理の所信に対して我が党の山口代表が、地方の農産物の鮮度を保ち、輸出するための物流基盤、具体的には地域別の集積地の設置を提案させていただきました。これに対して総理は、輸出対応型の集荷施設や地方空港の活用を進めると答弁されました。では、今後具体的にどう進めていかれるのでしょうか。関係省庁間の連携はもちろんでございますけれども、広く関係事業者からの御要望を踏まえた調整が不可欠と考えますが、野上大臣の御所見をお伺いします。
○国務大臣(野上浩太郎君) 
輸出物流の構築につきましては、先般、御党の山口代表に御提案いただきました内容も踏まえまして、輸出拡大実行戦略に基づいて今その方策について検討しているところであります。
 港湾や空港の具体的な利活用等の方策、あるいは輸出のための集荷等の拠点となる物流施設の整備、活用、海外におけるコールドチェーンの拠点整備、確保の方策等、この輸出物流の在り方につきまして、今国土交通省とも連携をしながら、輸出に取り組む事業者等との意見交換を行っているところであります。
 その結果を踏まえまして、本年夏を目途としましてこの輸出物流の実現のための実効性のある方策を提案していきたいと考えております。
○高橋光男君
そうしましたら、続きまして、ちょっと順序を変えるんですけれども、担い手確保について私もお伺いしてまいりたいと思います。
 コロナ禍における労働力確保、これは当然この農林水産業においても非常に重要であるということは論をまちません。そこで、厚労省と熊野政務官にお伺いしてまいりたいと思います。
 現在、コロナ禍の中で、一時的に雇用過剰となった企業と人手不足が生じている企業との間で出向又は移籍による失業なき労働移動が産業雇用安定センターのあっせんで進められているところでございます。
 そこで、実際にそうした取組で宿泊業、飲食業、製造業等の従業員が農林水産業へのマッチング、これができた数というのはどれぐらいなのでしょうか。地元でも淡路島の野菜生産への労働力不足が深刻な状況にあるため、島内の旅館業においてマッチングできないか、産雇センターに要請をしているところでもございます。是非国として、これまでの実績やそこで見えてきた課題を踏まえてしっかりと御対応いただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(達谷窟庸野君)
お答え申し上げます。
 産業雇用センターでございますが、企業間の移籍、出向を専門的に支援する公益財団法人でございまして、全国的なネットワークの下、昭和六十二年の設立以来、二十万人を超えるマッチング成立の実績があるところでございます。
 直近の実績といたしましては、令和二年四月から本年一月までの移籍と出向の合計で約八千五百件のマッチングが成立しており、そのうち農業、林業、漁業、鉱業等、鉱業はかねへんの鉱業でございますが、鉱業等につきましては、先ほど申し上げました約八千五百件のうち七十七件成立しているところでございます。
 厚生労働省といたしましては、昨年十二月に閣議決定いたしました総合経済対策に基づき、在籍型出向による雇用維持を支援することとしてございまして、第三次補正予算におきましても産業雇用安定センターによるマッチング支援体制の強化を図ったところでございます。
 今後とも、同センターの移籍、出向のあっせん機能を最大限活用するとともに、農業法人を始めとする農林水産業への在籍型出向のマッチングにつきまして、農林水産省様とも全国及び地域における在籍出向型等支援協議会に御参加いただきまして、連携を図ってまいりたいと思っております。これらによりコロナ禍における雇用の安定を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○高橋光男君
ありがとうございました。
 今実績おっしゃられましたけれども、八千五百件のうちの七十七件、これは一%にも満たないということですね。
 背景には、昨日も御説明いただいたんですけれども、雇用保険の問題というのもある。法人に対してはやはり五人以上雇用されているところに対してそうした出向、移籍というものをできるような状況にあるといいますけれども、やはり家族経営の農家さんであったり、そうしたところはなかなかこの枠組みは使いにくいという状況かというふうに思いますが、我が党としても、昨日、菅総理に対して、まさに追加の生活支援・雇用対策についての緊急提言というのを行わせていただきまして、そこにおいても、まさに雇用支援の拡充という中の一項目の中にも、この在籍型出向による雇用維持の支援、これを効果的に実施するために、やはりこの産業雇用安定助成金を活用したそうした支援というものをしっかり周知をしていただくとともに、そうしたものは非正規の労働者も対象となる、また部分出向も可能である、こうしたことをしっかり情報提供を行うことを申し入れたところでございます。
 この対象に当然ながら農林水産業も含まれるわけでございまして、そうしたところにもしっかり活用していただけるように、厚労省、また農林水産省と連携して対応していただくことをお願い申し上げます。
 続きまして、関連でございますけれども、労働力不足を補うための外国人雇用についてお伺いしてまいりたいと思います。
 現在、産地間連携等も進んでいるところと承知しますけれども、これを主に利用できるのは何らかの一年中作業がある大規模農家であって、小規模農家の大半は一年を通じて委託作業がないことから、労働力が必要なときは知人や親戚、また隣保に依頼しているのが現実です。そのような中、人材派遣会社と連携し、特定技能等の外国人をスポット的に三か月から六か月間、労働力が不足しているところに派遣する仕組みを模索している農業協同組合もございます。
 実際、このようなスポット労働力を確保できている他の地域の好事例などをより広範に全国的に推進するためにも国としてしっかりと後押しする必要があると考えますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(熊野正士君)
お答えいたします。
 農業就業者の減少や高齢化が進行する中、農繁期等における産地の労働力確保が重要な課題となっております。議員御指摘のとおり、産地では従来より農繁期の人手として地域の人にお願いするなどにより対応しているとともに、近年は民間企業等において農業の人材派遣や農作業受託を行う動きも出ていると承知をしております。
 特定技能外国人を雇用し、農家に派遣する仕組みにつきましては、労働者派遣事業者が出入国在留管理庁から認められた場合に実施することが可能であり、こうした仕組みの活用や国内の人材確保の取組により産地の労働力確保を進めていくことが重要と考えております。
 このため、農林水産省といたしましては、今後も出入国在留管理庁と連携をし、特定技能外国人の派遣の仕組みやこれを活用した優良事例について周知、普及していくとともに、日本人も含めた労働力確保のため、令和三年度予算において農繁期の異なる他産地や他産業と連携した人材確保の体制づくりへの支援を実施することとしております。
 今後、こうした取組を積極的に進めることにより、産地の労働力不足に対応してまいります。
○高橋光男君
ありがとうございました。
 しっかりとした、これは外国人の雇用に限った話ではございませんけれども、来年度の予算には先ほど御答弁いただいたようにこの人材確保の体制づくりの支援ということで予算を計上されているというところで実施されていくかと思いますので、現場への周知、また関係機関との連携をしっかり行っていただき、必要なところに必要な支援が届くように御対応をお願い申し上げます。
 続きまして、山田錦の生産者への支援について引き続き熊野政務官にお伺いしたいと思います。
 今年度、水田活用の直接支払交付金を通じて、我が地元兵庫県内で輸出向けの日本酒原料として酒造好適米が支援を受けた面積、これは僅か五十九ヘクタールにとどまりました。これは、面積ベースでは全国で支援を受けた酒造好適米の中で一三%、そして新市場開拓米に占める割合に至っては一%にも満たない非常に限られたものです。
 つきましては、この令和三年度においても同様の支援、これを単に継続していただくだけじゃなくて、しっかりとこれから国として今後日本酒を輸出重点品目として輸出強化をしていくのであれば、その原料である良質な酒米への支援待ったなしだと私は思います。そのために、現場で本当に必要とされている生産者の方々にこの支援の枠組みを利用していただけるように最大限の努力をしていただくことを求めたいと思います。
 つきましては、国として、この交付金を通じた酒造好適米への支援と現場の活用に対する課題についてどのように認識されていて、今後どのように円滑な実施を図っていくお考えかについてお尋ねいたします。
○大臣政務官(熊野正士君)
日本酒は輸出有望品目であります。令和二年の輸出金額は前年比プラス三%となるなど、今後更に輸出拡大が期待される品目と考えております。
 水田活用の直接支払交付金におきましては、輸出用日本酒の原料となります酒造好適米の生産に対し、新市場開拓用米として十アール当たり二万円の支援を行っているところです。
 この本支援の活用のためには、酒造メーカー等と産地、生産者が連携をし、具体的な輸出戦略を持って日本酒とその原料となる酒造好適米の生産に取り組んでいくことが必要であると認識をしております。輸出先、販路を開拓できるよう、国内外のイベントへの出展や、輸出に取り組む事業者と海外バイヤーのマッチング等を支援しているところです。
 農林水産省といたしましては、引き続き、地方自治体や関連団体等と連携をし、説明会等を通じてこれらの支援策を酒造メーカーや産地、生産者等にしっかりと周知をし、有効に活用されるよう推進してまいります。
○高橋光男君
しっかりとお願いをしたいんですけれども、こうした山田錦への支援ということを行うツールとしては、直接支払の交付金のみならず、水田活用のリノベーション事業についても同様に言えることについて、これから具体的にちょっとお伺いしてまいりたいと思います。
 第三次補正におきまして、この水田リノベーション事業、三月五日で募集が締め切られたと承知しています。生産者向けの取組支援につきましては、要望が予算額二百七十億円の倍程度あったと報じられているところでもございます。一方、地元では、県の当局から本事業に関心のある酒造メーカーに対して直接の周知や情報提供は行っていなかったことが判明しました。そのため、要望提出までの期間が余りにも短く、十分に対応できなかった実態がございます。これは一者のみならず複数者から伺い、私自身、大変驚きました。
 そのため、以下二点についてお伺いしたいと思うんですけれども、まず、都道府県ごとの応募状況、これ一体どうなっているんでしょうか。いずれにしましても、国として生産県、消費県の差別なく公平に執行していただくことが大変重要だと考えますが、いかがでしょうか。
 続いて、都道府県に対し、事業者が余裕を持って公募できるような十分な期間を提供するよう、私は管理を徹底すべきだと思います。具体的には、民間事業者が情報を早期に入手できるように、国による直接のアウトリーチが大変重要だと思います。
 政府の今後の対応ぶりについてお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(熊野正士君)
水田リノベーション事業への要望調査は三月五日に締め切り、現在、集計、内容確認を行っているところですが、予算額を超える要望額となる見込みでございます。
 本事業は、米の生産県、消費県にかかわらず、実需者との連携や低コスト生産技術等の取組を要件として、取組面積や主食用米の削減面積等に応じてポイント付けを行い、ポイントの高い順に予算の範囲内で採択する補助事業であります。事業の実施要綱及び実施要領において、これらの採択審査の手法を含め、委員御指摘のとおり、事業の執行の透明性、公平性、客観性を担保してまいります。
 次のお尋ねでございますが、水田リノベーション事業につきましては、国として、現場での検討期間が確保されるように、補正予算案が閣議決定をされた翌日、十二月十六日に全国会議を開催し、事業概要や要件、農業者向けパンフレット等をお示しするとともに、ホームページにも公表し、速やかな事業周知を行いつつ、要望調査の期間も二か月、一月七日から三月五日まで設けるなど、丁寧な対応を行ってきたところです。
 また、民間企業等の様々な事業者、事業関係者への周知については、直接タイムリーに情報をお伝えするべく、フェイスブック等のSNSやMAFFアプリ、メールマガジン等のデジタル媒体をフル活用した情報発信のほか、民間企業等から成る実務者団体を通じた周知も図ってまいりました。
 委員御指摘の酒造メーカーに対しましては、昨年十二月に農林水産省の担当者が日本酒造組合中央会を訪問し、傘下の酒造組合や酒造メーカーに対する周知を依頼したほか、年明け一月にも、日本酒造組合中央会原料委員会において改めて本事業の説明と活用検討をお願いするなど、直接周知、情報発信をしてまいりました。
 農林水産省といたしましては、委員からの御指摘を踏まえ、都道府県に対しまして周知、情報発信の徹底をお願いするなど、都道府県とも連携を図りながら、今後とも引き続き、事業関係者に対しまして丁寧な周知、情報発信に努めてまいります。
○高橋光男君
ありがとうございます。
 本当に今回の私、事例はゆゆしきことだというふうに思いますので、情報提供の徹底、都道府県からしっかり行っていただくこと、非常に大事だと思います。中央の団体に伝えたからといって、その傘下の企業にくまなく行き届くかというと、必ずしもそうでないという側面もあるというふうに思いますので、しっかりと農水省として責任を持って御対応いただくことをお願い申し上げます。
 続いて、牛マルキンについてお伺いしたいというふうに思います。
 この生産者負担金の猶予措置に関してでございますけれども、私も昨年の十二月、畜産物価格に関する本委員会においてお尋ねしたところでもございまして、野上大臣にお伺いしていきたいというふうに思います。
 国は現在、生産者負担金の納付再開、これを検討しているものと承知します。具体的には、月平均の枝肉価格がキロ当たり二千三百円が三か月間超えた場合に、その後、二か月間の準備期間を経て納付を再開する方針というふうに伺っています。現在のところ、一月はキロ当たり二千五百七十四円、二月は二千五百五十三円と承知しますので、このままでは六月から負担金が再開されることを大変懸念しているところでございます。
 地元の但馬牛の生産費、これ、県の畜産協会によれば、今年十月まで百二十万円を超えているところでもございます。昨年の秋以降、GoToキャンペーンや和牛保管事業等によって確かに販売金額は上昇しているところでございますけれども、今後のコロナ禍の影響によっては採算割れの可能性も十分に考えられるところでございます。
 飼料代金の借入れの返済というのも迫られているところでもございまして、このように我が地元兵庫県では生産者の経営が不安視されているところなので、是非九月までの支払免除お願いしたいところでございますけれども、万一それが困難であったとしても、但馬牛の生産基盤の維持のため、現在のような高い負担金単価、これ九万五千円、全国一高いところでございます、に関しましては生産者の資金繰りに配慮して対応していただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(野上浩太郎君)
牛マルキンは、御案内のとおり本来保険的な制度でありまして、生産者が負担金を支払うことが原則でありますが、今コロナの影響によりまして、枝肉価格大幅な下落を踏まえまして、昨年四月からこの納付猶予を実施をしているところであります。
 このような中で、昨年十一月以降、枝肉価格も回復をしまして、生産者の資金繰りも改善していることから、昨年十二月、納付再開の考え方を、一定の条件を満たせば生産者負担金の納付を再開するということと定めたわけであります。具体的には、令和三年一月以降、食肉中央卸売市場の和牛去勢の全規格平均の枝肉価格が三か月連続でキロ二千三百円を超えた場合に、その後、準備期間として二か月を経て納付を再開することといたしました。
 現在の状況としては、一月に続き二月もこの二千三百円を上回る見込みとなっておりまして、これが引き続き三月も上回った場合には、この定めから申し上げますと、六月から全国で納付再開となるわけであります。
 この納付再開時の負担金の単価につきましては、これはALICが再開条件を満たした段階での枝肉価格等を踏まえて単価を見直しまして、都道府県ごとに新たに設定をするということになりますが、納付猶予されております現在の負担金単価はコロナ禍で枝肉価格が大幅に下落した中で設定されたものでありますので、これに比べて納付再開時の単価はかなり低くなると見込まれているところであります。
 いずれにしましても、生産者負担金の再開、納付再開につきましては、現場で混乱が生じないように周知を丁寧に行うなど、これしっかりと準備を進めてまいりたいと考えております。
○高橋光男君
本当に御丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございます。まず、現場は大変不安を抱いているところでございますので、今大臣御答弁いただいたように、しっかり御説明をいただくようにお願い申し上げます。
 そうしましたら、最後になりますけれども、世界農業遺産の登録申請と、日本農業遺産を受けた地域への支援についてお伺いしてまいりたいと思います。
 これ、併せてお伺いしますが、私、十二月の委員会の質疑におきまして、兵庫美方地域の但馬牛の飼育システムについて、今現在の世界農業遺産への登録の申請状況についてお伺いしたところでございました。そのとき御答弁いただいたのは、FAOにおいて継続審査中であって、畜産と水田農業との関連性を明らかにすべき等との指摘がなされているところと承知しますけれども、最新の状況についてお伺いしたいのと、いずれにしましても、今申し上げたように、但馬牛が大変厳しい状況でございますので、その産地を応援していく意味におきましても働きかけを一層強めていただきたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
 もう一点が、日本農業遺産に関してでございます。
 うれしいことに、本年二月、新たな日本農業遺産として、地元兵庫でも水稲、タマネギ、畜産による生産循環に関しまして南あわじ地域、そして黒大豆に関しまして丹波篠山が日本農業遺産に認定されたところでございます。
 一方で、この日本農業遺産を世界農業遺産につなげていく取組が私は大事だと思いますし、この日本農業遺産に認定された地域に対する支援というのも大変必要だと、重要だというふうに思いますけれども、どのように国として行われていくのかにつきまして、まとめて御答弁お願いします。
○政府参考人(牧元幸司君)
お答えを申し上げます。
 まず、この兵庫美方地域における但馬牛のシステムの関係でございますけれども、平成三十一年二月に日本農業遺産として認定されますとともに、世界農業遺産への申請承認がなされまして、令和元年十月に国連食糧農業機関、FAOに申請を行ったところでございます。
 FAOからは、今委員から御指摘ございましたように、畜産と水田農業との関連を明らかにすべきというような御指摘があったところでございまして、昨年二月にFAOに対しまして指摘事項を踏まえた申請書の修正を提出をしているところでございます。その後、十一月にはこのFAOの世界農業遺産科学助言グループにおきまして議論がなされたというふうに聞いておりますけれども、現在、FAOにおいて引き続き継続審査中というような状況でございます。
 農林水産省といたしましても、このFAOからの指摘に対しまして、申請地域と連携して適切に対応することによりまして、世界農業遺産の認定に向け取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、南あわじ地域、丹波篠山地域でございますけれども、本年二月に日本農業遺産に新たに認定をされたところでございます。認定を活用したこの観光促進などの地域振興につなげる効果というものが大いに期待をされているところでございますので、農林水産省といたしましても、認定地域の取組を後押しするために農山漁村振興交付金におきまして活動計画策定事業等の再委託に対しまして配慮を行っているところでございます。こうした事業の活用によりまして、認定地域を支援してまいりたいと考えております。
 そして、さらに、この世界遺産を目指すということでありますれば、今回、この日本農業遺産の認定に際して専門家会議から指摘をさせていただきましたような評価とか課題とか、こういうものを十分御検討いただきたいというのがまずでございます。
 その上で、この世界農業遺産の次回の募集は令和四年早々というふうに聞いております。そこに申請いただくことが可能でございますので、この世界農業遺産の申請を希望する認定地域に対しましては、国内に世界農業遺産等専門家会議というような専門家の集団がございますので、それらの専門家による助言等を通じまして必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○高橋光男君
時間が参りましたので、以上で終わります。

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