2022.02.02

国会議事録

令和4年2月2日 国際経済・外交に関する調査会

○高橋光男君 三人の参考人の皆様におかれましては、貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
 公明党の高橋光男と申します。
 まさに今、日本がほぼ一〇〇%輸出入を海上輸送担っている中で、いかにその人材を確保していくのか、育成していくのかって本当に喫緊の課題だというふうに思っております。
 その中で、私は、やはりまず若手を始めとするそうした人材を育成していくということも重要であるということを考えると同時に、より幅広く、広い世代に対しても海洋教育を提供していくことは大変重要だというふうに考えます。
 その観点で、まず賞雅参考人にお伺いしたいと思いますが、先ほどもございましたようなICT教育、遠隔教育のような環境をもう既に富山高専の方でお持ちだという中で、例えばそのリカレント教育であったりとか、また、シルバー教育と言っていいのか分かりませんが、社会人を経験した方たちに対してそういう人材育成を行っていく、この可能性についてどのようにお考えになるか、お伺いしたいと思います。
 二点目は、やはり技術力でそういった不足を補っていくという観点も大変重要だというふうに思っております。その観点から海野参考人にお伺いしたいんですが、最後に無人運航船プロジェクト、MEGURI二〇四〇、御紹介いただきました。この海洋開発の技術育成、技術者を育成していくと同時に、こういう運航の部分でのこういう技術を更に深めていく、こういったことも大変重要だというふうに考えておりまして、ある記事を拝見しましたら、国交省と海上保安庁との協力の下でこれ実証事業を進められているということですけれども、特に海域の利用について制度改革が必要だというふうにお考えになられていますようですが、どのようなことを期待されているのかについてお伺いしたいと思います。
 最後に、松浦参考人にお伺いしたいんですけれども、これから、やはりそれだけでも補えない海洋人材と考えたときに、外国人の登用というのは大変国内運送においても私は必要になってくるんじゃないかなというふうに思っております。国内においてはその輸送については自国船籍に限るとするカボタージュ制度、これ堅持すべきだと私も思いますけど、船員の補完人材をやはり外国人を受け入れるということで補っていくということも重要じゃないか。特に、水産業ではもう既に技能実習生を始めとする外国人の労働者の存在が欠かせなくなっているということ等考えると整合性が取れなくなってくるんじゃないかなというふうに考えますけれども、特に国内運送の中での外国人の登用についてどのようにお考えになっているかについてお伺いしたいと思います。
 それぞれ簡潔にお願いいたします。
○参考人(賞雅寛而君) 高橋先生、どうもありがとうございます。
 リカレント教育は大学、高専の方で、各教育分野の方で行われているところでございますけれども、船員養成に関しては非常に遅れていると私も思っています。
 それは、やはり陸上の会社から大学それから高専に対してリカレント教育の要請があって、県なり国なりの補助を受けてリカレント教育をやっているところなんですけれども、商船系の船会社の方はちょっと対応がばらばらで、なかなか県や国からの要請というのがつながっていないと私は感じています。リカレント教育をこれから、例えば三十代、四十代でこれから船をやりたいという方に対してなかなかいい道がないんですね。そこのところで私どもが、ICTですとかバーチャルリアリティーですとか、そういうものを使って遠隔の講義をするということは十分できます。ただし、そのところの道筋がまだ構築されていないんで、それをどこで構築するかということが一番の大きな問題ではないかと思います。
 以上です。
○参考人(海野光行君) 高橋先生、ありがとうございます。
 今、私ども、実証実験、無人運航船の実証実験続けておりますが、一番小さいものだと小型の旅客船から二百二十メートルを超えるようなカーフェリーで長時間の運航できています。ただ、実際に、じゃ、これですぐに導入できるかというと、実際そうではなくて、今技術者のいろんな意見を聞いていくと、今は五合目だと。で、これからこの月末に東京湾のふくそう海域を走らせるんですけれども、もしこれができれば六合目までやっと行けるだろうというぐらいの技術水準なので、まだ法的な部分の検討というのはちょっと先かなというふうに思っております。
 ただ、もしこれが七合目、八合目ぐらいになったときにはある程度の形で、言わば実証実験というよりも、実際に運航の中で走らせるような海域ですね、いわゆる特区みたいな形でそういうものを設けられるといいのかなというふうに思っております。例えば、一番やりやすいものだとやはり、来月の月曜日、苫小牧から大洗まで走らせるような長距離のものあるんですが、これはちょっと無理だと思いますので、一番いいのはやはり離島ですね。離島の航路の短いところが幾つかあると思いますので、そういった航路を一つモデルにしてこういった海域の利用というものを進めていくやり方というのは一つあるんじゃないかなと思っております。
○参考人(松浦満晴君) 高橋先生、どうもありがとうございます。
 先ほどお聞きになった内容が、まず、国内物流という形で、国内の中での外国人の登用という問題と、先ほど先生がちょっとおっしゃられました水産業で技能実習生等々ですね、外国人の方が入ってこられているということについては、これは一つでは語れないものがあるだろうというふうに考えております。
 先ほど私も話をしましたように、外航海運それとか水産関係では、もう既にパートナーという形で外国人、私どもの組合でも六万人規模の外国人の方と一緒に仕事をしております。ただし、国内海運の問題については、少なくとも日本国籍船であって、日本人がその運航を担うという形で法律もしっかりしております。
 その海運業を担う船社の方々もカボタージュ規制の堅持は、是非ともこれは堅持してくれという考え方でやっているわけですから、少なくとも、外国人がその船に乗り込むということではなくて、その船を動かすだけの日本人の船員を養成していくということに重きを置いていただきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○高橋光男君 ありがとうございました。
 賞雅参考人のお話、大変参考になりました。特に、お伺いしていると、負担もなぜか航海と機関士で、まあ何か機関士の養成については何か一部助成があるようなんですけど、航海の方は何かそれがなくて自己負担になっているというような、ちょっと制度のひずみもあるようですので、やっぱりそういったところにもきちっと国として対応していくようなことも大変重要かなというふうに思いました。
 あと、無人運航船のお話もありがとうございます。離島航路について、私も離島振興推進本部というのを党の中でやらせていただいている中で、やっぱりそういったようなことも、モデルの航路として、今の実証事業がうまくいけば、その先の展開も是非考えさせていただきたいなというふうに思いました。
 最後に、カボタージュ制度は私も堅持すべきだというふうに考えております。ただ、本当に今人材が足らない中でどういった対応ができるのか。おっしゃるとおり、まず日本人の育成を幅広くやっていくということは大変重要だというふうに思っておりますけれども、一方で、諸外国でそういうような例のないのかとか、補う部分で、そういった知恵はないのかというようなことも一応検討はすることもできないのかなという観点でお伺いした次第でございまして、引き続きまたいろいろと教えていただければと思います。
 本日はありがとうございました。

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