2022.03.08

国会議事録

令和4年3月8日 外交防衛委員会

○高橋光男君 公明党の高橋光男です。
冒頭、ロシア軍によるウクライナ侵略は力による一方的な現状変更の試みであり、即時停止するよう、断固非難いたします。
冒頭、個人的な経験で恐縮ですが、私は、前職の外務省に入って間もなく、紛争直後のアフリカのアンゴラという二十七年間も内戦をした国に約三年赴任しました。多くの人命が奪われ、国土は焦土と化し、世界一とも言われる地雷が埋設されました。米国と旧ソ連が後ろ盾となった代理戦争の深い爪痕を目の当たりにし、戦争ほど悲惨なものはないと心に刻みました。
今後、もしロシアの暴挙によりウクライナにかいらい政権が樹立され現政権との間でゲリラ戦のような展開となれば、同様の事態に発展することを最も恐れております。誰よりも一番不幸になるのは無実の民衆です。断じてそうさせてはなりません。ウクライナ国民の皆様への心からの連帯の意を表明しつつ、本日の議論と重複する部分もあろうかと思いますが、大臣所信に関して、まずはウクライナ危機に関して質問させていただきます。
最初に、三月四日のG7外相会談について、外務大臣にお伺いします。
ロシアがウクライナ侵攻をやめない場合、更なる厳しい制裁を科す方針で合意したと承知します。先ほど佐藤正久先生からございましたように、自国領空の飛行禁止区域設定等が議論されておりますが、一層の強化のために、G7間で議論されている措置、また日本として追加的な手だてが何か考えられるのか、これまで講じてきた制裁の効果についての政府の認識とともにお伺いいたします。
○国務大臣(林芳正君) 今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為でございます。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難をするということでございます。
そうした考え方の下で、我が国は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携し、迅速に厳しい措置を打ち出しております。このような我が国を含む各国の措置により、通貨ルーブルの暴落、株式市場の取引停止、外国企業の撤退や操業停止の動きといった様々なロシア経済への影響、既に出始めていると、こう認識をしておるところでございます。
我が国としては、引き続き、今後の状況を踏まえつつ、G7を始めとする国際社会と連携し、有効と考えられる取組、これを適切に検討、対応してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 今、G7と結束して更なる制裁の強化に努めていくというような趣旨の御答弁ございましたけれども、今なおそれでもロシアの今のこの軍事侵攻というものを止められるまでには至っていないわけでございまして、やはり更なる制裁の強化について、我が国独自の強化したその制裁の実施ということも是非不断に検討をお願いしたいと思います。
続いて、先週、国連総会の緊急特別会合で採択された決議に関してお伺いします。
今回の決議は、国際社会の大きな意思を示す重要な成果だと考えます。他方、この圧倒的な声をロシアに届ける外交努力が必要であることは言うまでもございません。今朝、林大臣より、日本としては特使派遣を考えないと、そういった御答弁ございましたけれども、今回決議で示されたロシア、ウクライナ間の紛争の平和的手段による即時解決のためには、プーチン大統領への国連特使派遣を働きかけるべきではないでしょうか。
また、グテーレス事務総長はなぜ現場を訪問しないのでしょうか。少なくとも、ウクライナ周辺国の支援の現場なりとも訪問するとともに、現地から対話努力を呼びかけるよう、国連に対し働きかけるべきではないでしょうか。
もちろん、国連だけでは解決できない状況であることも事実です。
そこで、米、ロ、EU、ウクライナなどの多国間の対話のフォーマットが必要と考えます。ユーラシア地域の平和と安定の観点からは、中国、インドの参加を求めてもよいと思います。実際、中国の王毅外相も、必要に応じ仲裁に入るともしています。インドも、モディ首相が、和平に向けた最高レベルの直接対話にコミットすると昨日ゼレンスキー大統領に伝えた模様です。
これらの関係国をつなぐ橋渡し役を我が国として担っていくべきではないでしょうか。
○政府参考人(岡野正敬君) ロシアによるウクライナへの侵略問題の本質は、プーチン政権が各国からの呼びかけを聞き入れない形でウクライナのいわゆる中立化や非ナチ化を実現すべく武力行使に及んだことにあると思います。
こうしたロシアの行動は明白な国際法違反であり、国際社会が一致して非難し、厳しい行動を、対応を取ることが求められています。その中で、グテーレス事務総長は、ロシアの行動を国連憲章違反と、憲章に反するとして厳しく非難しました。また、グテーレス事務総長は、国連憲章に基づく紛争の平和的解決方法を利用することを求めたり、国連としてあっせんする用意があると述べたりしています。また、国連危機調整官を任命し、現場の人道支援の調整に当たらせたりするなど、現下の情勢を受けた取組を行っていると承知しています。
また、各国もロシアに対する働きかけを様々な形で行っていますが、プーチン大統領は、そのような状況の中で、自らの要求が全て満たされたときのみ停戦に応じるという立場を対外的に明らかにしているというのが現状であるかと思います。
こうしたプーチン大統領の強硬な姿勢に対応すること、これは容易ではございませんが、日本としては、引き続き、今後の状況を踏まえつつ、G7を始めとする国際社会と連携し、有効と考えられる取組を適切に検討、対応してまいりたいと思います。
○高橋光男君 ロシアとしては、全くその対話の扉を閉ざしているわけでは私はないというふうに思っております。
実際、トルコが仲介してロシアとウクライナの間の外相会談といったようなお話もございますし、またIAEAの、巻き込んだですね、そうした対話というものも受け入れる用意があるとロシアは言っているわけでございまして、確かにプーチン大統領に直接働きかけることは難しいかもしれませんけれども、そうした状況だからこそ外交努力が大変重要でございまして、日本としてやはり指導力を、独自の外交を展開していくことが極めて重要であることを強調させていただきたいと思います。
続いて、私個人としての意見となりますけれども、今ウクライナで起きていることは、私は事実上ジェノサイド、集団殺害に当たると言わざるを得ないというふうに考えております。
少なくとも、ジェノサイド条約の定義にある集団、すなわち今回の場合はウクライナ国民の構成員に重大な肉体的又は精神的な危害を加えていることは明白であるからです。この点に関し、ウクライナによるロシアへの提訴を受けて、国際司法裁判所、ICJが昨日、本日と審理を行っております。ロシア代表団がボイコットしたという報道もございますが、ICJのドノヒュー裁判長は、事前にロシア外相に対して緊急通知を送り、仮保全措置の命令が出た場合に備えて準備するよう求めたとの報道もございます。
そこで外務大臣にお伺いしますが、政府としてこの事態をジェノサイドとして認められるとお考えでしょうか。少なくとも仮保全措置の命令が出た場合に、ウクライナ国民の人命を守る根拠となるだけでなく、ロシアの世論を変える上でも大きな力になると私は考えます。同措置が出た場合は、日本政府としてロシアを非難する声明を発出することも併せて要請したいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 二月二十六日でございますが、ウクライナは、ロシアを国際司法裁判所、ICJに提訴するとともに、ロシアによる軍事行動を直ちに停止することを命ずる暫定措置を指示すること等をICJに要請をしました。ICJの口頭弁論は昨日実施されております。
我が国は、ICJによるこのような速やかな対応を支持しております。このICJの暫定措置命令ですが、当事国を法的に拘束をするものでありまして、ICJの判断を見極め、適切な場合には国際社会と連携して暫定措置命令に従うよう強く要請していくことが重要であると考えております。
また、ジェノサイドについてのお尋ねがありましたが、我が国として、ウクライナにおいて多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止めております。ジェノサイドがあったかどうかについてでございますが、現地の状況等を把握する必要があり確定的なことは申し上げられないわけでございますが、国際刑事裁判所検察官による捜査や今後の事態の展開を注視していく考えでございます。
○高橋光男君 是非しっかりとその現地の状況を見極めて、人権上の今危機が、まさに人道上の危機も含めて今ウクライナで起きているわけでございますので、日本政府としてしっかりと対応をお願い申し上げたいと思います。
 続いて、邦人の安全確保と退避支援についてお伺いします。
まず、現在確認されている邦人、在留邦人の最新の数をお伺いしてまいりたいと思います。また、在日ウクライナ人の家族などの日本への退避受入れにつきましては、先日、政府の表明を受けて希望者が実際出てきているのか、事実関係をお伺いします。
また、昨日、リビウの日本大使館連絡事務所から大使館員が退避したとのことですが、陸路でのウクライナ西部への避難、国外脱出、また避難後の支援など、具体的にどのような側面支援を行っているのでしょうか。これから行っていくのでしょうか。ポーランドなどの周辺国に逃れたとしても、日本への移動は容易ではございません。政府は既にチャーター機を手配したとのことですが、ともかく希望される方々の安全な退避に向けて、政府として万全を期していただきたいと考えます。
林大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 在ウクライナ大使館は、これまでも全在留邦人に対して館員総出で個別の電話により何度も出国を働きかけるなど、退避の呼びかけを行ってきたところでございます。また、連日、領事メールというものを在留邦人の方々に発出し、出国先の入国要件等の情報提供を含む様々な形で情報提供を行い、退避を支援してまいりました。また、加えて、在留邦人からの個別の電話での相談や問合せ、応じてきたところでございます。
在留邦人の陸路でのポーランドへの出国を支援するべく、リビウ市に臨時の連絡事務所を開設するとともに、このウクライナから退避してきた邦人の受入れを支援すべく、このポーランド側のジェシュフ市に臨時の連絡事務所を開設をいたしております。御指摘のあったように、ポーランドからほかの国へ移動するためのチャーター機の手配等も準備として行っておるところでございます。
今御指摘が、お触れになっていただいたように、昨七日でございますが、ウクライナ情勢が一転、一層緊迫して、リビウにおいてもリスクが著しく高まったことから、リビウ連絡事務所にて勤務する在ウクライナ大使館員を一時的に国外に移転をさせております。ただし、同事務所は閉鎖はせずに、安全を確認しつつ機動的に運用し、情勢が落ち着き次第、リビウによる執務、これは再開をする予定にしております。このリビウ事務所に大使館員が不在の間は、近隣の在ポーランド日本国大使館や同館のジェシュフ連絡事務所等を拠点として、ウクライナの在留邦人の安全確保や出国支援に最大限取り組んでいくところでございます。
三月六日時点でございますが、確認されている在留邦人数は約八十人でありまして、現時点までに邦人の生命、身体に被害が及んでいるとの情報には接しておらないところでございます。
○高橋光男君 あわせて、四日、政府が発表した非殺傷装備品等の提供についてもお伺いしてまいります。
 昨日、総理は、我が党三浦信祐議員の質問に対し、防弾チョッキ、ヘルメット、防寒服などを提供する方向で調整をする、一日も早く必要な物資を届けたいと述べられました。自衛隊機で運ぶものと承知しますが、最新の調整状況をお伺いします。
また、今朝の御答弁では、ウクライナ政府に提供するものとお聞きしましたが、これらは民間人に提供される支援物資が含まれると考えてよいでしょうか。加えて、既に我が国として表明した一億ドルの規模の借款の支援、また同額の規模の緊急人道支援も非常に重要でございます。今後どのように提供していくかについてもお伺いいたします。
○政府参考人(萬浪学君) 防衛省から、防衛装備品の提供のところにつきましてお答え申し上げます。
 まず、輸送の方法でございますけれど、一日も早くということで、まさに四日にこの検討を発表いたしましたときに、防衛大臣より、これを自衛隊機等によりですが、速やかに提供すべく輸送のための体制を確立するようにとの指示を出していただいております。これを踏まえて、まさに現在、輸送に向けた最終的な準備、調整をしているところでございます。
 また、御指摘の提供の中身でございますけれど、これには、御指摘の防弾チョッキ、ヘルメット、防寒服のほか、テントでございますとか、先ほど出ましたカメラでございますとか、あるいは衛生資材、非常用の糧食、発電機といった民用にも使えるものがあるものは事実でございます。
 これらにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、ウクライナ政府にまず提供させていただいた上で、ウクライナ政府の管理していただきながらお使いいただく、配布していただくという考えでおります。
以上でございます。
○副大臣(鈴木貴子君) 外務省からは、今委員より御質問いただきました借款支援の関係と、緊急人道支援の部分について御説明をさせていただきたいと思います。
まず、借款でありますが、ウクライナからの要請を受けまして、世界銀行によるウクライナ向けの開発政策借款に対する協調融資という形で、少なくとも一億ドル規模の支援を検討しているところであります。具体的な内容については、まさにウクライナ政府及び世界銀行と調整中であります。
そして、緊急人道支援、これまた同額規模の一億ドル規模でありますが、まず、どのようにという点におきましては、困難に直面するウクライナの皆さんを支えるために、ポーランドなど周辺国に避難をされた方々や子供たちへの支援を含め、関連の支援要請にも応じる形でUNHCR、そしてまたユニセフなど、そういった国際機関等と協調して行っていくべく調整中であります。
また、その規模に関してでありますけれども、まさにこの緊急人道支援、我が国が他の国に先駆けて表明をさせていただきました。それが引き金となって、おかげさまでといいますか、国連のアピール、支援要請、約十七億円にある程度達成の見通しであるということも承知をしております。
いずれにしましても、現地の状況というのは大変流動的であります。ウクライナ政府、そして国際社会と緊密に連携しながら表明済みの支援をしっかりと迅速に、かつ確実に支援をしてまいりたいと思います。(発言する者あり)失礼いたしました、十七億です。日本円に換算いたしまして約十七、あっ、ごめんなさい、国連の支援要請が約十七億ドルです。失礼いたしました。
○高橋光男君 ありがとうございました。
私がまず民間人用の支援の有無についてお聞きしましたのは、先週末、地元神戸に、あるウクライナ人の女性の方が、安否の分からない御家族を含めた避難民の方々に救援物資を届けるためにポーランドに出発されるに当たって、個人で支援物資を送るのは限界がある、物資やボランティアを送る飛行機を日本政府に飛ばしてほしいと、そうしたお声があったからです。是非、自衛隊機も一度届けて終わりではなくて、必要に応じてそうした希望にも応えていく、物資を提供していく努力を重ねていただくことをお願い申し上げます。
また、既に避難民は百七十万人以上、最大四百万人にも達するとも言われております。保健医療、食料、避難民保護など、国内及び周辺国の支援ニーズは日増しに増加しております。国連のみならず、国連機関のみならず、ICRCやIOMなどの国連外の人道国際機関も含めた更なる支援要請に我が国として応じていくべきと考えますので、よろしくお願いいたします。
最後に、アジアにおいても台湾有事などへの備えが急務であるという観点から、防衛大綱、中期防の策定に当たっても今回のウクライナ危機を踏まえた議論が必要と考えます。今回の危機を受けて、有事を防ぐための予防外交の重要性、外交による平和的解決の必要性が改めて浮き彫りになったと考えます。
これらの政府文書の基となる国家安全保障戦略においては、外交の重要性を十分に踏まえた内容とすべきと考えますが、政府の方針をお伺いします。
また、予防外交の具体的な取組として、公明党は、アジアにおいても、ASEAN地域フォーラムのような非常設の協議体ではなく、OSCE、欧州安全保障協力機構のような常設の安全保障対話の枠組みの創設が必要だと主張しております。例えば東京において、関係国の代表、まずは在京大使などを招いた安全保障対話のフォーラムを立ち上げることからでも始めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(岡野正敬君) 御指摘の国家安全保障戦略の改定につきましては、総理の御指示の下、関係閣僚間での議論が行われるところでございますが、今般のウクライナ危機をも踏まえ、委員御指摘の外交の重要性、これをも念頭に置いて、外務省としても関係省庁と協力しながら検討していきたいと考えます。
アジアの安全保障につきましては、欧州とアジアの中での状況が違うことから、設置されている、置かれているシステムが異なっているわけでございますが、ASEANの中心性を尊重する日本といたしましては、EAS、ARFを始めとするASEAN主導の枠組み、これをできるだけ守り立てて、積極的に貢献して実質的な成果を出していくことがまずは重要ではないかと考えております。
○高橋光男君 承知しました。
ただし、そのARFといっても、非常時といいますか、非常設のこういった対話のフォーラムでございまして、私はいつでもこうした危機が生じた際に安全保障の議論ができる、対話ができる、そうした場が必要だという意味で申し上げている次第でございまして、引き続き政府の是非検討をお願い申し上げたいと思います。
続きまして、東日本大震災から間もなく十一年となる中、昨年も米国などがこの日本産の食品規制の撤廃を表明し、また最近でも台湾が福島を含む五県の食品の輸入禁止を書類添付等の条件付で解除するなど、着実に前進しております。残る主要国・地域は、中国、韓国、香港、マカオなどです。この点、昨年三月の予算委員会において当時の野上農水大臣からも御答弁いただいたように、多国間会合での働きかけとともに、特に中国への働きかけの強化が周辺国、地域にとって極めて重要と考えます。
所信におきましては、林大臣から政府一丸となって働きかける旨述べられましたが、農水大臣、文科大臣の御経験を有する林大臣として、日中国交正常化五十周年のモメンタムを生かしながら、科学的根拠に基づく規制撤廃が一歩でも進歩するよう、二国間、多国間での働きかけを強化していただきたいと考えますが、御決意をお伺いします。
○国務大臣(林芳正君) 今、高橋委員からもお触れになっていただきましたが、この日本産食品輸入規制の問題、私が農林水産大臣であったときも含めて、ずっと長らく取り組んできた大変重要な課題であると考えております。
この東電の福島第一原発事故の後、五十五か国・地域が日本産食品等に対する輸入規制措置を導入したわけですが、これまでに四十一か国・地域が完全撤廃、そのほか十三か国・地域で緩和が実現してきております。
委員が御指摘のように、中国に対してですが、これまでもあらゆる機会を通じて働きかけを行ってきておりますが、私からも、昨年の十一月の日中外相電話会談において、王毅国務委員兼外交部長に対して、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃、これを強く求めたところでございます。
 また、これまでも政府全体としては、二国間のみならず、今御指摘をいただきましたけれども、WTOやASEANプラス3等、こうしたマルチの場においても、規制を維持している国・地域に対して早期の規制撤廃を求めてきておるところでございます。
外務省といたしましては、農林水産省ともしっかりと連携しながら、中国を含めた全ての国・地域における輸入規制措置の撤廃に向けまして、あらゆる機会を通じて政府一丸となって引き続き強く働きかけてまいりたいと考えております。
○高橋光男君 続いて、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントについてお伺いします。
 本日は国際女性デーです。SDGsにおいて我が国が最も遅れているのがジェンダー平等の実現です。国内的な取組と国際的な取組を車の両輪として進めていくことが大変重要です。特に、コロナ危機による景気後退によって、日本のみならず、世界的にも職を追われた方の多くが女性です。家族や身近な人の世話や看病をするため、キャリアを中断し、又は休職された女性も多く存在します。
そこで、これまで我が国主導で開催してきたWAW!、世界女性会議、これは二年ほど開催されておりませんが、そうした場に様々な分野で活躍するリーダーが集結し、コロナ禍を受けての日本及び世界におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントを議論し、一致協力した行動を取れるように我が国としてリードすべきと考えますが、いかがでしょうか。
○副大臣(鈴木貴子君) まさに国際女性デーの本日、そしてまた、この委員室をぐるっと見渡しましても、この環境下の中、大変有り難い貴重な御質問を頂戴をしたと思っております。
委員御指摘のように、まさに我が国の取組、進捗を国内外に発信するとともに、この女性をめぐる様々な課題に対して包括的に、それぞれの分野におけるまさにリーダーとも言える皆さんが集結をして議論をする、このことに大変な大きな意味が、意義があると、このようにも思っております。
委員はそれこそ、あの立ち上げのときの第一回のタスクフォースでこの議論を牽引をされてきたということも承知をしているところでありますが、この過去二年、コロナ禍ということで開催ができなかったのもこれまた事実であります。
ただ一方で、今後の開催日程について政府部内で調整をしているところであります。新型コロナのまさにこの状況、行方を見つつということにはなりますが、適切な時期に開催したいと考えております。とりわけこの新型コロナ感染拡大後の初めての開催となるわけでありますので、その点をしっかりと踏まえながら、この浮き彫りとなった潜在的な課題、とりわけ女性の雇用であるとかケア労働、こういった分野についてもしっかりと議論をしてまいりたいと思っております。
何よりも重要なのは、議論のための議論ではなく、その議論を踏まえていかに行動していくかであると思っておりますし、また、このSDGsの目標とターゲットの進展のためには、まさにこのエンパワーメントの部分、この分野という部分が必要不可欠である、一体のものである、このような認識をしております。しっかりと議論を重ねた上で具体的な政策に結び付けてまいりたいと思います。
○高橋光男君 最後に、林大臣にお伺いしたいと思います。
開発協力についてでございますが、開発協力における本年最大のイベントの一つが今年八月のTICAD8、第八回アフリカ開発会議です。大臣は所信において、アフリカ開発の針路を示していきたい旨述べられましたが、来年は第一回会合から三十年の節目、二〇二四年は国際協力開始七十年に当たり、また二五年には日本でのTICAD9へと続いていきます。
これまでアフリカ開発を主導してきた日本として、ポストコロナの希望と活力あるアフリカを開いていくための具体的なビジョンを示し、国際社会をリードしていく上でも極めて重要な機会となると考えます。TICAD8の成功に向けた大臣の意気込みをお尋ねします。
○国務大臣(林芳正君) 今委員からお触れいただきましたTICADでございますが、初めての開催となりました一九九三年以降、今おっしゃっていただいたように、四半世紀を超える歴史を誇っておるフォーラムでありまして、アフリカ開発を推進するため、アフリカのオーナーシップを支える形で日本が主導してきたところでございます。
新型コロナがアフリカの経済社会にも甚大な影響を及ぼす中、国際的な連携こそが今こそ重要であると考えます。このTICAD8を通じて、アフリカ自身が主導する発展、これを我々が引き続き力強く後押しをすると、そして、ポストコロナも見据えて、アフリカの開発の針路、これを示していかなければならないと考えておるところでございます。
このTICAD8に先立ちまして、TICAD開催、あっ、TICAD閣僚会合、これを今月の二十六日及び二十七日に開催をする予定にしておりまして、私が議長を務める予定になっております。この会合でアフリカ諸国との連携を確認しながら、TICAD、TICAD8の議論につなげてまいりたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 今回の国連総会の特別緊急会合で多くのアフリカの国が棄権をしました。そうした国々は、やはり旧ソ連との関係、そうした中で、私が先ほど冒頭述べたアンゴラもそうなんですけれども、今残っている政権のバックグラウンド持っている方、多くの方が旧ソ連で教育を受けた人たちなんですね。そうした方々に、本当に今、この平和と安定、国際秩序を守っていく、そうした試みの中で大変今岐路に差しかかっているわけでございまして、こうしたTICADの場も生かしながら国際秩序を立て直していく、そうした試みを是非日本外交に期待を申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
本日はありがとうございました。

一覧へ戻る