2022.03.16

国会議事録

令和4年3月15日 地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会

○高橋光男君 公明党の高橋光男です。本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。
最初に、野田大臣に、まち・ひと・しごと総合戦略における地方創生移住支援事業についてお伺いします。
本事業は、地方へのUIJターンによる起業、就業者を創出するため、地方創生推進交付金により支援するものとして令和元年度から開始しました。
配付資料を御覧ください。この三年間の実績をまとめたものです。令和元年度、百二十三人、二年度、五百六十三人、三年度は十二月末までで千百三十一人となっています。一見順調に増えているように見えますけれども、実はこれ、令和六年度までの第二期総合戦略において六年間で六万人が目標とされていますので、進捗は至って不十分と言わざるを得ません。
もう一つの別の起業支援事業につきましても、令和元年度、三百七十八件、二年度、四百四十件、三年度は推計値で七百件程度というふうに伺っておりますけれども、そもそも、この事業につきましては、令和六年度までの目標件数、これ決まっていないというふうに聞いております。このままでよいのかというふうに考えます。
特に、先ほどもございましたが、東京への転入超過数の九割以上が進学、就職で転入すると思われる十代後半から二十代前半の若者でございます。よって、国として若者の地方回帰をどのように動機付け、また後押ししていくのか、極めて重要かと考えます。
つきましては、この本件事業、改善どう図っていくのか、また加速化の流れをどうつくっていくのか、国の課題認識とともに、来年度の予算案も念頭に、今後の取組について野田大臣にお伺いします。
○国務大臣(野田聖子君) 地方創生移住支援事業では、二〇一九年度から二〇二四年度までの六年間で六万人を目標としており、御指摘の、本年度の暫定値までを含めて合計千、あっ、千八十、八百十七人、達成率は約三%となっています。
また、地方創生起業支援事業については、地域における起業件数を増加させること、魅力の向上、稼ぐ力の向上につながる大変重要な取組であり、本事業がより活用されるよう、自治体との連携や適切な目標の在り方等について検討を進めてまいります。
両事業において、政府広報等を通じてこの周知に努めるとともに、地方からの声に応えて対象要件を緩和する制度の拡充を行ってきたところですが、特に東京圏に居住する方々への周知が不十分であったと深く認識しています。このため、地方移住の機運醸成に向けたサイト、いいかも地方暮らしによる情報発信に加えて、令和四年度には優良事例の収集と横展開を図ることにより、制度の周知徹底をしっかり図っていきます。
昨年十一月に行いました内閣府の調査では、地方移住に当たっての懸念として仕事や収入面が多く挙げられている、そういうことから、地方に魅力のある仕事、適した仕事をつくるとともに、道府県が運営している移住希望者と地域企業との求人をマッチング、そのサイトを、マッチングするサイトを充実させてその一層のPRに努める。そういうことにより、若い人たちの移住への不安というのを軽減して、地方へ人の流れを確かなものにしてまいりたいと存じます。
○高橋光男君 答弁ありがとうございます。
 来年度から、子育て世帯加算とか新たな要件緩和だとか様々な取組をやっていくんですが、私がお聞きしているところ、この独身の例えば若者に対する、若者ですね、そうした人たち、若者に対する何か特別な取組がこの事業の中で位置付けられているかというと、それでも必ずしもそうではないという中で、国もほかの様々な取組をやっているかというふうに思いますけれども、しっかりこれ、今折り返し地点にあると思います。令和六年度までの残り三年間、どれだけ国がしっかり実績を残せるのか、大変重要だというふうに思いますので、大臣のリーダーシップに御期待申し上げます。
 続いて、地方創生において重大な課題の一つである離島振興についてお伺いします。
 昨年十一月、公明党離党振興対策本部として、私の地元兵庫県の家島諸島に、同僚の伊藤孝江議員、竹谷とし子議員、里見隆治議員らとともに訪問させていただきました。その際にいただいた現場の要望の一つとして、離島航路補助制度の補助対象航路につきまして、唯一かつ赤字の航路のみならず複数航路の場合も対象にしてほしいというお声をいただきました。
 この点、国によれば、今年度から、同一の航路を複数事業者が運航する場合であっても、それら二事業者が共同運航に関する国交大臣の認可を受けられた場合には支援対象航路となるということになったというふうに承知しますが、まず実績をお伺いしたいと思います。
 また、その認可のためには、事業者間の中で共同経営について協定を結ぶ必要があります。しかしながら、この事業者間での協議ってなかなかこれは難しいんです。そして現在、この原油の高騰を受けてこの離島航路の経営を更に圧迫している。
 そうした状況を踏まえて、制度のより柔軟な運用とともに、先月、公明党として、新たな離島振興ビジョン二〇二二という提言を行わせていただきましたが、しっかりと関係者間で円滑に協議が進むように、国として地方自治体との間で連携を強化していただきたいというふうに考えますが、国としてどのような改善を図っていくのかについてお伺いいたします。
○政府参考人(宮武宜史君) まず、実績の方からお答え申し上げます。
御指摘の制度につきましては、御案内のとおり、今年度、令和三年度から制度を開始しております。これは国土交通大臣の認可を受けること前提になりますけれども、同一地点を結ぶ航路を複数の事業者が運航する場合であっても補助の対象とするという制度でございます。現時点においては、本制度に基づく事業者からの認可の申請は出ておりません。
私ども国土交通省といたしましては、本制度について離島航路事業者に対して広く周知を行うと、これは既に行っておりますが、あわせて、本制度を活用する可能性のある航路において、直接私どもの方から関係の事業者そして地方自治体に対して共同経営認可申請に必要な事項を示すなど、個別に丁寧な説明を行っております。
引き続き、本制度が活用されるように、地方自治体と連携しながら周知を図ってまいりたいと思います。
○高橋光男君 しっかり本当に国として乗り出していって、地方自治体に、これは地方自治体任せにするのではなくて、事業者間のその協議が進むようにこれしっかり対応していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 もう一つ、離島活性化交付金についてお伺いします。
 私たちが訪れた坊勢島というところでは、漁業体験事業というものを国が支援していただいております。これ実際、市内の小学生を対象にして、船に乗って漁業の様子を間近に見れる貴重な体験ができます。令和二年から開始して、一応三年間ということで御支援いただいているところでございますけれども、御案内のとおり、今コロナ禍、またさらにはこの燃油価格高騰という厳しい状況にあるにもかかわらず、これ着実に実施していただいています。この支援の継続を望む現地の声、非常に大きくて、私自身も実際乗船させていただいたんですけれども、本当に教育的に大きな意義がある事業だというふうに感じました。
 ポストコロナの離島振興のためにも、事業を行う漁業関係者の皆様に燃油対策を抜かりなく手当てしていただくとともに、厳しい中にあってもこうして地道に継続をしていただいている事業を国として引き続き支援していくことが重要と考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(吉田幸三君) お答え申し上げます。
家島諸島における漁業体験事業に関しましては、コロナ禍でございますけれども、令和二年度、それから三年度で約六十回の実施を行っており、大変好評いただいております。国交省といたしましても、今後とも強力にこのような取組の支援をしてまいりたいと思っております。
以上でございます。
○高橋光男君 力強い御答弁いただき、ありがとうございます。
続いて、高齢者のデジタル活用支援につきましてお伺いします。
公明党は、今年の一月から二月にかけて、高齢者への支援拡充を含む全国一斉アンケート調査を行いました。その中で、高齢者の方々に、困っていること、心配に思っていることは何ですかという項目を立てた中で、デジタル化への対応に不安を感じる方が七十代、八十代の方では四五%と、非常に高いニーズがあることが判明しました。
 公明党はこれまで、デジタル技術を誰もが活用できる社会の実現を目指し、スマホの活用の、使い方を始め、オンラインでの行政手続などを丁寧に教えてくれるデジタル活用支援員による講習会又は相談会を小学校区単位で開催するように求め、政府に実施していただいているところでございます。
国は今、コンビニや携帯ショップでのサポートや講習会を実施中と承知しますが、現場からは、行政から地域に出向く、こういう出張申請であったり、また、申請窓口で写真を撮ってもらいたいといったような御要望が寄せられています。そうしたきめ細やかな対応を自治体ができるように国として体制強化支援を行うべきと考えます。
 また、マイナポイント第二弾の活用に当たってはマイナンバーカードの取得を進める必要がございますが、高齢者には依然として、財産などの個人情報が漏えいするのではないかと、また、カードを紛失してしまったらどうしようと、そうした懸念の声が寄せられております。
 国が来年度以降本格始動するデジタル推進委員のお力もお借りしてサポート体制を一層充実させていくべきと考えますが、どのように実施していく方針かにつきましてお伺いいたします。
○政府参考人(阿部知明君) お答えいたします。
市区町村におきましては、公民館やワクチン接種会場などの高齢者も含めた住民が集まりやすい場所で本人確認の上でカードの申請を受け付けます出張申請受付でございますとか、申請時に無料の顔写真撮影などの支援を行う申請サポートなどに取り組んでいただいてございます。
総務省では、こうした取組に必要な経費につきまして国費により支援するとともに、その優良な取組事例を全国に横展開してございます。また、御紹介ございましたデジタル活用支援推進事業におきましても、高齢者等が全国の携帯電話ショップなどでカードの申請方法などを学べる講習会など開催してございます。
引き続き、関係省庁と連携しながら、高齢者も含めた皆様が円滑にカードを申請できる環境整備に総務省として取り組んでまいります。
○副大臣(小林史明君) 高橋委員御指摘のとおり、これは省庁との連携が重要だというふうに思っています。先ほど総務省から答弁のあった推進事業ですね、これに加えて厚労省が障害者向けの事業もやられているということで、これらの取組に参加していただいている方々も我々のデジタル庁で推進するデジタル推進委員として位置付けて一体的にやっていこうと。さらに、それに加えて、そういう講習会があるよというところを地域の公民館とかで声掛けをするような方々にもこのデジタル推進委員になっていただいて、かなり幅広い人材層でこの取組をやっていきたいというふうに考えております。
こういった形で、全体でデジタル化を推進する中で、誰一人取り残されないデジタル社会の実現を目指していきたいというふうに考えております。
○高橋光男君 ありがとうございました。
副大臣が今おっしゃった、まさにその身近な方々ですね、その高齢者の方々にとって身近な方々にそうしたサポートをしていただく、その意味において、先ほどデジタル庁の方から、今御紹介いただきましたデジタル推進委員、大変重要でございますので、しっかりと後押しをしていただくようにお願い申し上げます。
続きまして、デジタル田園都市国家構想における外国人高度IT人材の位置付けに関してお伺いします。
 日本人のみならず、外国人の高度IT人材の確保は今後のイノベーションにとって重要であることは言うまでもございません。しかしながら、最近、高度外国人IT人材育成を行う大学機関から次のようなお声をいただきました。我が国の高度外国人材の受入れ政策や企業における前提が、長い間日本語能力をベースにしてきたと。この背景には、日本経済が強いことが背景にあったけれども、その相対的地位が低下の一途をたどっていることから、いずれこのモデルが機能しなくなり、人材流出が止まらなくなることが危惧されるというものです。実際、移民政策系、MBA系、また労働政策系などの様々な学会においてこの問題が論じられているそうです。
コロナ禍のみならず、日本企業において日本語の習得や使用が強要されることによってそうした人材の日本離れが顕著になっていないか、懸念いたします。長引く厳格な水際対策もあって、一度失ってしまえば、そうした人材を取り戻すことというのは容易なことではないというふうに考えます。
つきましては、国として早急に必要な対策を講じていくためにも、まず私は実態を把握すべきではないかというふうに考えます。また、このデジタル田園都市国家構想の実現会議でも、今議論されているデジタル推進人材には外国人高度IT人材もしっかりと位置付けて議論していただくこと、また、来年度の当初予算の中で、そうした人材の確保や定着に資する施策を、しっかりとそうした事業も行っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(宮路拓馬君) 御指摘のとおり、デジタル田園都市国家構想の実現に向けては、その担い手となるデジタル人材の育成、確保が必要不可欠であると考えております。
そのため、全ての労働力人口が相応のデジタルリテラシーを獲得できるようにするとともに、デジタル技術の活用による課題解決を牽引する専門的なデジタル知識、能力を有する人材をデジタル推進人材として、二〇二二年度からの五年間で二百三十万人育成することとしており、その二百三十万人には外国人材も含まれております。
 御指摘のとおり、日本語を求めるということについては、政府においても、文科省、厚労省、経産省のプロジェクトチームにおいて、外国人留学生等の採用等における企業が直面する課題やつまずきやすい点が明らかにされておりまして、その中で、業務内容にかかわらず、高い日本語能力レベルを採用条件としたり、日本語による筆記試験を一律に課しているところ等が課題として挙げられております。
 そうした点を踏まえまして、今後、デジタル田園都市国家構想実現会議において更に議論を深め、デジタル人材の育成、確保及び定着、特に外国人高度IT人材の定着に資する政策や事業の検討に取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。しっかり是非よろしくお願いします。
 そうしましたら、もう最後になるかと思いますが、水際対策の緩和と技能実習生の支援についてお伺いいたします。
地方創生の文脈において不可欠な存在であるのが、私は技能実習生だというふうに考えております。
 そこで、まず今月の緩和措置を受けて、技能実習生の受入れ状況についてお答えください。簡潔にお願いします。
○政府参考人(君塚宏君) 水際措置の見直し後である三月一日から十三日までの間の技能実習生の新規入国者数は、速報値ではございますが、百五十二人であります。
○高橋光男君 三月から始まって二週間程度たってたったの百、今おっしゃった程度ですね、百人ちょっとということで、まあ一日当たりに換算すれば、これ十人ぐらいしか入ってきていないという状況なんですね。
特に、本当に人材不足に悩む現場にとってこの問題は深刻でございます。来日が依然見通しが立たない状況の中で、例えば農業現場においては農作業が本格化する時期を前にして影響を懸念する声をいただいております。つきましては、留学生と同様に、私は実習生についても円滑入国スキームを導入するなど早急な支援策が必要と考えます。
また、地元の監理団体からいただいたお声として、長らく実習生が入国できず日本語から離れていると。そうした中で、日本語の学び直しが大変重要な課題になっていますと。そうした中で、今入国できたとしても、すぐにその仕事ができるという状況ではないという中で、しっかり一年間は継続して夜間のオンライン授業を実施するようにしたいけれども、その経費を国で負担してもらえないかという御要望をいただきました。
しっかり、その日本語能力というのは本当に重要な中において、これ、今制度上は、講習費として、結局は実習の実施する方々が負担しないといけないんですけれども、そうした方々も、コロナ禍の影響もあって資金的に潤沢ではございませんし、また生活実費なども準備しなければならないんですね。
 そうした中において、国が今現在留学生向けに行っているこのウイズコロナにおけるオンライン日本語教育実証事業を技能実習生に対して講習で行っている、講習を行っている日本語教育機関にも利用できるようにすべきとも考えますが、もう時間ないので簡潔にそれぞれお答えいただけますか。
○政府参考人(小林洋司君) お答えいたします。
水際措置の影響で入国できずに待機する技能実習生、多数に上っております。こうした技能実習生の入国を円滑に進め、監理団体による適切な監理や支援の下で技能実習の実施を早期に軌道に乗せることが非常に重要であるというふうに思っております。
この入国手続でございますが、基本的には実習実施者が受入れ責任者ということでありますけれども、事前申請、あるいは毎日の技能実習生の健康確保等について監理団体に委託して対応できることとしております。また、混雑を避けるということで、できるだけ月曜から木曜に到着する航空便等により入国するように促しているところでございまして、引き続き、入国が円滑、迅速に進み、技能実習が早期に軌道に乗るように取り組んでまいりたいというふうに思います。
また、日本語教育を含む講習でございます。これは、基本的に実習実施者から監理費を徴収した上で監理団体の責務として御対応いただくという考え方に立っておりますが、現在、技能実習機構で技能実習生に対する日本語教材開発事業というのも実施しております。その活用促進も含めまして、今後どのようなことが必要かについてよく研究してまいりたいというふうに思います。
○政府参考人(中原裕彦君) 御指摘のございましたウイズコロナにおけるオンライン日本語実習、日本語教育実習事業につきましては、入国前の外国人留学生の日本語教育環境を確保するため日本語教育機関が行うオンライン日本語教育を支援する取組ではございます。
技能実習生に対する日本語教育を目的とした事業ではないため直接的に支援できるものではございませんが、外国人留学生へのオンライン日本語教育において、地域の生活者としての外国人たるその技能実習生をも含めた在留外国人の方が参加することはあり得るものではないかというふうに考えてございます。
○高橋光男君 ありがとうございました。以上です。

一覧へ戻る