2022.03.16

国会議事録

令和4年3月16日 外交防衛委員会

○高橋光男君 おはようございます。公明党の高橋光男です。本日は、来年度予算の委嘱審査に関して質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まず、外務省の主たる予算であるODA、開発協力に関してお伺いします。
 コロナから丸二年余りがたちました。国境をまたぐ人の往来という制約の中にあっても、オンライン等を活用しながら、様々工夫しながら我が国の開発協力を進めてきたと承知します。例えば、JICA海外協力隊は、現在、三十七か国三百十二名が海外で活動中と承知しますが、是非、隊員の安全と健康を守りつつ進めていただきたいと思います。
他方、日本への研修員受入れの本格的な再開が必要と考えます。新たな水際措置を受けて、長期のJICA留学生やこれまでなかなか日本に渡航できなかった短期研修員も着実に受入れ再開すべきと考えますが、現状並びに今後の計画についてお伺いいたします。
○大臣政務官(三宅伸吾君) 新型コロナ感染拡大を受けまして、JICA留学生、短期研修員、共に受入れを一旦停止をいたしておりました。ただ、JICA留学生につきましては、二〇二〇年十月以降、既に受入れを再開しております。短期の研修員についても、今般の水際対策の見直しを踏まえ、受入れを早期かつ着実に再開していきたいと考えております。
また、JICA海外協力隊の派遣についても、一旦停止の後、二〇二〇年十一月以降、順次再開をしてきております。できるだけ早く派遣規模を新型コロナ感染拡大前の水準に戻せるよう、派遣国の安全と、そして隊員の健康には十分に注意しつつ、政府としてJICAの取組に協力してまいりたいと思っております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
直接人が触れ合い、そしてまた文化にも触れ、また学び合う、こうした技術協力というものは極めて重要でございますし、我が国らしいまさに国際貢献でございますので、引き続きしっかりと進めていただくようによろしくお願いいたします。
続いて、国際保健についてお伺いいたします。
 コロナ危機によって、人間の健康保障のために、これは国境はない、関係ないということが明らかになりました。日本がこれまで主張してきたユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成、そして、人間の安全保障を指導理念とするSDGsのゴール三、全ての人に健康と福祉をという目標を実現していかなければなりません。そのためには、官民一体となった保健分野への更なる投資と国際社会における日本の力強いリーダーシップが不可欠と考えます。
林大臣は、先ほど予算案の説明におきまして、第一の柱として、コロナに打ちかち、感染症対策を主導すると述べられましたが、その点に関してお伺いいたします。
新型コロナ感染症をめぐる日本の国際支援の第一の柱がCOVAXファシリティーです。コロナワクチン等を途上国に提供するこの枠組みは、公明党が政府の参加を働きかけ実現し、これまで貢献を積み上げてまいりました。今般、四月八日に四月以降の資金需要に照らした閣僚級の増資会合が行われることになったと承知しますが、我が国の対応方針についてお伺いいたします。
○国務大臣(林芳正君) 我が国は、あらゆる国・地域におきましてワクチンへの公平なアクセスの確保が重要と、こうした考えの下でCOVAXに貢献をしてきております。
具体的には、昨年六月に、COVAXワクチンサミット、これを共催をいたしまして、我が国として、COVAXへの合計十億ドルの財政支援、また各国・地域に対する約四千二百万回分のワクチン供与等、積極的にワクチンの関連支援に取り組んでまいっております。
途上国のワクチン接種率の向上に向けては、輸送、そして接種能力、こうしたものの強化、これが一層重要となっております。このお話のありました増資会合を含めて、COVAXへの今後の貢献について、こうしたことも踏まえながら、どのような対応が可能か検討してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
もう一つの柱が、ラストワンマイル支援と承知いたします。
この点、私、昨年四月、茂木前大臣に対して質問させていただきまして、当時、大臣からは、ワクチンをその国に届けても最終的に一人一人に接種しなくてはならないと、保冷設備や運搬手段を含むラストワンマイル支援を日本の強みを生かしてしっかりと取り組んでいきたいと答弁をされました。
しかしながら、残念なことに、アフリカなどにおいてはコロナワクチンの有効期限が切れて大量に廃棄されたり、またあるいは、忌避されて多くが返還されたりしている国もあるというふうに聞いております。ワクチンを相手国政府あるいは国際機関を通じていかに実際に接種していくかが重要と考えます。是非、本当に一人一人に届くような支援を強化していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) このワクチンへの公平なアクセスを確保し、またワクチン接種を更に進めるためには、先ほども申し上げましたように、接種国の接種能力を強化するということが極めて重要だと認識をしております。
こうした意識から、政府は、昨年三月以降、合計七十七か国・地域に対しまして総額約百八十億円のラストワンマイル支援、これを実施してきておりまして、ワクチンの保管、輸送に必要な冷蔵庫、車両等の供与を通じて、ワクチンを接種の現場まで届けるためのコールドチェーン体制の整備等を行ってきております。
また、ワクチン忌避対策の観点からでございますが、先月二十五日に新たに決定をいたしましたこの中南米及びアフリカを対象とした支援に市民への啓発活動、これを含めておりまして、これによりワクチン接種の重要性、これを社会全体に認識をしてもらう取組、これも進めてまいりたいと考えております。
今後も、途上国の実情やニーズ、これをしっかり踏まえながら、コールドチェーンの整備やワクチン接種の加速化に向けた支援、これに取り組みまして、途上国におけるワクチン接種率の向上、これに寄与してまいりたいと思っております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
続いてですが、官民連携についてお伺いしたいと思います。
 これも大変重要だというふうに思います。なぜならば、今年だけでも様々、数多くの増資会合が予定されておりますけれども、我が国のODAだけでやはりこの貢献をし続けていくというのは大変財政上、今、日本政府も大変厳しい中で、これは大変難しい課題だというふうに考えるからでございます。
そうした中で、民間資金の更なる動員を図っていき、オールジャパンでの取組が国際的にも評価されるようにしていく、こうした試みも大変重要ではないかというふうに考えております。この点に関しましては、社会面、環境面のインパクトを測る指標をつくって投資家が評価できるような仕組みの構築を提唱されている専門家もいらっしゃるというふうに聞いております。
政府としてどのように課題を認識し、今後促進していくお考えなのかについてお伺いいたします。
○政府参考人(赤堀毅君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、グローバルヘルス分野において民間企業の取組の重要性は増しており、感染症を始めとする健康危機への備えの強化やユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成を含む様々な課題の解決に向けて、我が国の民間企業の活力を生かすことが重要であると考えております。
現在、グローバルヘルス戦略の最終取りまとめに向けた検討が進められておりますが、その中間とりまとめにおきましても、グローバルヘルスへの投資に取り組む民間企業を後押しするため、好事例の普及や、投資により見込まれる効果、インパクトの適切な測定、可視化について検討していくとされております。
最終取りまとめを踏まえ、政府全体また官民共同でしっかり検討をいたしたいと思います。
○高橋光男君 今言及されたグローバルヘルス戦略につきましては、私も公明党の国際保健推進委員会の事務局長を務めさせていただいておりまして、今関係者のヒアリング等も続けさせていただいているところでございますので、しっかりこうした官民の協力につきましても提言をさせていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
そして、次なる世界規模の感染症発生に備えて、パンデミック条約、これ大変重要でございまして、早期締結に向けた日本の主導が大変重要だというふうに考えております。
この点、岸田総理は二月二十五日の参院予算委員会におきまして、我が党西田実仁議員の質疑に対して、国際的な議論に貢献していくという決意を表明されました。先月行われました政府間交渉会議の結果、日本は副議長国に就任したというふうにも聞いております。
G7でも進んでいる百日ミッション、これ、次なるパンデミックに備えて検査法、それが発生した場合には検査法、また治療法を百日以内に確立させるという試みでございますけれども、こうした取組とも連動しながら、来年のG7議長国として日本がこの議論を主導していくべきと考えますが、どのように貢献していくかについてお伺いいたします。
○大臣政務官(三宅伸吾君) いわゆるパンデミックへの対応に関する新たな法的文書の作成についての御質問をいただきました。
今後、法的文書のまず要素をしっかりと検討し、この夏に開催予定の第二回政府間交渉会議において法的文書の形式が特定される予定でございます。
我が国は、感染症危機への対応を強化するとの目的に賛同をいたしております。また、新たな法的文書の作成に関しまして、我が国の経験や知見を踏まえつつ、積極的に議論に貢献をしてまいります。加えて、事務局の一員としても、先ほど委員の方より、同会議事務局の副議長国に選出されたという御指摘ございました。事務局の一員としてもプロセスを主導してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
続いて、ちょっと順番を変えて、日中協力についてお伺いしたいと思います。
 両国間の懸案事項に対して言うべきことは言う、一方で、両国のため、地域のため、また世界のために協力できることはしっかり行っていくべきだというふうに私は考えます。大臣は所信におきまして、先ほども言及されましたが、共通の諸課題については協力する御意向を表明されました。
私は、その一つが環境・気候変動分野だというふうに考えます。この点、両国は環境保護協力協定を結ぶなど、長年協力してきた経緯がございます。特に、日中友好環境保全センターを中心に先進国との共同プロジェクトや途上国支援なども行ってまいりました。
こうした日中間の協力の歴史や素地があること、また、本年は日中国交正常化五十周年であることも踏まえて、環境や気候変動問題に対して、二国間、多国間の協力を通じて、中長期的な観点から、共に対処していくための協力文書の策定などを目指していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 気候変動問題を始めとする環境分野は国際社会全体が取り組むべきグローバルな課題であり、委員から今お話のありましたように、日中間では環境分野に関する長年にわたる協力や対話の実績があるわけでございます。
私自身も、昨年十一月の外務大臣に就任直後の日中外相電話会談におきまして、中国側と意見交換を行い、こうした国際的な課題について、共に責任ある大国として行動していく必要性、これを指摘したところでございます。
先般の参議院外交防衛委員会、当委員会における所信においても申し上げたとおり、日中関係は、日中双方にとってのみならず、地域及び国際社会の平和と繁栄、これにとって重要であり、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、共通の諸課題については協力すると、こうした建設的かつ安定的な日中関係を双方の努力で構築していくことが重要と考えております。
こうした考え方の下で、環境分野における今後の協力の在り方については、御指摘の点も踏まえつつ、両国間で議論をしていきたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございました。
日中関係大変重要でございますので、大臣のリーダーシップに御期待申し上げます。
最後に、日韓関係についてお伺いいたします。
先ほどもございましたけれども、やはり、新大統領誕生を受けまして、日韓関係をまた再構築していく、そうした試み大変重要でございます。
その意味におきまして、ハイレベルでの対話につきましても、先ほど大臣から御答弁あったように、緊密な関係を築けるようにしていただきたいと思いますが、私が注目しているのは、新政権が、未来世代を中心に両国の市民間の開かれた交流を拡大する方針と打ち出している点でございます。
この点、コロナ禍によってオンラインでの交流が続く状況を改めて、例えば日韓の大学生や高校生の交流プログラムなど、次代を担う青年間の、青年の間でのリアルでの交流を是非今年こそ実施していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 先ほどもお答えしましたように、岸田総理と尹次期大統領との間の電話会談において、できるだけ早く対面でお会いしたいというやり取りがあったところでございます。
また、日韓関係が非常に厳しい状況にある中においても、両国の国民間の交流、これ非常に重要であると考えております。
 韓国との間では、青少年交流を含む人的交流事業である対日理解促進交流プログラム、JENESYS等を通じて、一九八九年度以降、これまで累計四万名を超える人材が交流を行ってきております。
二〇二〇年度以降は、今お話がありましたように、コロナ禍によりオンライン形式を最大限活用して、日韓の青少年との交流、招聘、派遣を継続してきておりますが、新型コロナウイルスの感染状況等を見極めつつ、今お話がありましたように、対面での交流の促進も視野に入れて、青少年を中心とした相互理解の促進等に今後とも積極的に努めていきたいと考えております。
○高橋光男君 以上で終わります。ありがとうございました。

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