2022.03.24

国会議事録

令和4年3月24日 外交防衛委員会

○高橋光男君 公明党の高橋光男です。本日は、また質問の機会をいただきましてありがとうございます。
 私も、まずウクライナ支援に関してお伺いしてまいりたいと思います。
 昨日のゼレンスキー大統領の演説をお聞きして、何よりロシアの侵略をやめさせることが最大の支援だと感じました。我が国は国際社会と結束して厳格な制裁を継続していくことを求めます。同時に、今我々の目の前で苦しんでいるウクライナの人々、子供たちに手を差し伸べるために、我が国としてできることを最大限行っていかなければなりません。
 この点、今月十四日、公明党は松野官房長官に対し、ウクライナ人道支援、避難民受入れに関する緊急提言を行いました。この提言を受けて、政府として新たな受入れ制度を創設することを決定し、その後閣僚会合やタスクフォースなども行われ、検討が進んでいるものと承知しますが、最新の検討状況並びに今後の全体方針についてお伺いします。
○国務大臣(林芳正君) ウクライナ避難民の我が国への受入れを進めるために、三月十八日、官房長官の下でウクライナ避難民対策連絡調整会議、これを開催いたしまして、ウクライナから避難を余儀なくされ日本への避難を希望するウクライナの方々につきまして、同日以降はいつでも受け入れ、政府一体となって国民の理解もいただきながら必要な支援を行っていくということを確認したところでございます。
 昨日でございますが、この下に置かれましたウクライナ避難民の対応に関するタスクフォース第一回会合においても、ウクライナ避難民に対する各種支援に係る取組等について、避難民の方が安心して日本に滞在できるよう、支援の具体的な在り方について政府横断的に取り組んでいくこと、これを確認したところでございます。
 引き続き、ウクライナ情勢や避難民の方々のそれぞれのニーズ、これをしっかり踏まえながら、必要な支援を迅速かつ的確に行うことができるように対応してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 今後の検討に当たりましても、是非、我が党の提言の要望事項を十分に踏まえていただきたいというふうに思います。
 そして、本日は、特に避難民の方々が日本に実際に来られるようにするために重要と考えられる事項に関してお伺いしてまいりたいと思います。
 そこで、配付資料を御覧ください。
 こちらは、ウクライナの避難民の方々を受け入れられるようにするために必要なことを私なりにまとめさせていただいたものでございます。
 まず、ここに、ゼロ、一、二、三というふうに書かせていただいております。我が国の人道支援に始まり、それを国内に展開し、そしてまた国内で避難される方々、国外へ避難される方々の移動の支援を行っていく。またさらには、避難先国での、この周辺国での滞在を支援していく、こうした人道支援を今実際行っているところでございます。
 そうした中で、先ほどもございましたが、総理が表明されたように、更なる人道支援のニーズに対しては、我が国としても応じていく、更に上乗せをしていく、こうした意向であるということも承知しております。
 一方で、私が今日取り上げたいのは、こちらの資料の左側の分でございまして、まさに我が国として、避難を求める方々、これは一般の方々でございます、そうした方々を実際に特定していく、また掌握していく努力というものが大変重要ではないかという点でございます。なぜなら、今現在、国内でも様々な自治体の御協力もいただきながらこの受入れ体制の整備が進んでいるところでございますけれども、実際に現地を出られて、そして日本に来られるようにならなければ、実際こういう受入れが進まないからでございます。
 そうした中で、何点かお伺いさせていただきたいと思います。
 この点、通常であれば、避難先の政府経由でそうした方の照会をいただく、またあるいは、我が方の在外公館に直接申し出てこられる方々が普通であるというふうに思います。一方で、我が国が支援する例えば国際援助機関、あるいは今、日本のNGO、ジャパン・プラットフォームというところもこれから現場で活動されるというふうに承知しておりますが、そうした活動の中で申し出てこられるような避難民の方々も受け入れるようにしていくべきというふうに考えます。
 例えば、そうした関係者の方々に、日本大使館に橋渡し役を務めていただく、またそして、そのような連携の下での受入れ支援を積極的に行っていくべきというふうに考えます。つまり、我が国の人道支援とこの避難民受入れを結び付けていくことを求めていきたいというふうに思います。そのために、周辺国の我が方公館の人員体制強化なども必要ではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 外務省としては、引き続き、周辺国におきまして、この訪日希望者からの照会対応、そして相手国の当局や国際援助機関、さらにはNGOを含む関係者との連絡調整、そして連携と、こういうことで訪日に向けた支援や、そしてさらには、国内の関係機関への情報提供、訪日希望者どういう方がいらっしゃるかと、こういったこと、情報を提供しフィードバックを行うということをしっかり連携を取ってやってまいりたいと思いますし、国内においては、主に国内においては、関係省庁ともしっかり協力してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 じゃ、続いて、この資料の五にある査証申請に関してお伺いしたいと思います。
 避難民の方で本邦に知人、親族がいない方々への短期滞在の査証発給に当たっては、招聘人や身元保証人を不要とし、招聘理由書などの書類は不要とするという理解でよろしいでしょうか。
 いずれにしましても、申請人が必要な書類などを含めた手続に必要な情報を早急に作成して、周辺国の大使館のホームページ等を通じてウクライナ語で周知していくべきではないでしょうか。また、旅券もなく避難される方もいらっしゃるかというふうに思います。そうした方々には、周辺国に所在するウクライナの公館との連携も必要というふうに考えます。
 さらに、これは資料の五ダッシュの方に書かせていただいているんですけれども、日本に渡航後の円滑な受入れを進めていくためには、本邦到着後、日本に到着後、どの自治体が受け入れ、また企業等の支援が受けられるのか、これをあらかじめ調整できるようなシステムや、それを運用する体制を構築していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(股野元貞君) お答え申し上げます。
 日本に親族、知人がおられないウクライナ避難民の方につきましては、日本国内での受入れ体制が整っている場合には、招聘理由書や身元保証書の提出がなくても査証発給をすることに、することとしております。また、ウクライナ大使館、ウクライナ避難民の方の査証取得のために必要な情報につきましては、在ポーランド日本大使館のホームページではウクライナ語での案内を既に行っているところでございますが、ポーランド以外のウクライナ近隣の日本大使館に対しても同様の案内を行うよう指示することとしております。
 また、ウクライナ旅券を有さないで避難された方につきましては、ウクライナ近隣の日本大使館において個別の相談に応じることとしておりまして、現地ウクライナ大使館や必要な関係機関とも連携しながらしっかり取り組んでまいりたいと思います。
 また、本邦に入国した後の対応につきましても、このウクライナ避難民対策連絡調整会議等での機関を通じまして、国内機関としっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○政府参考人(君塚宏君) 岸田総理が受入れを表明された今月二日以降、二十二日までに百七十四名のウクライナからの避難民が我が国に入国しています。先ほど外務大臣から御答弁ございましたですけれども、官房長官の下にウクライナ避難民対策連絡調整会議が設置されておりまして、この会議を司令塔として、関係省庁が連携し、自治体や企業、NGOなど、支援を申し出てくださる方々とのマッチング等を行っていくこととしております。
 出入国在留管理庁では、このウクライナから日本への避難民に関して、対しまして、住居や就労機会の提供等の支援を検討されている自治体や企業等からの情報を一元的に把握するための窓口を設置いたしまして、このウクライナ避難民の受入れに関するヘルプデスクと併せまして入管庁ホームページに掲載したところでございます。既に、この窓口におきまして、メールや電話で、メールや電話を通じまして多くの自治体や企業、団体から受入れの協力が表明されておりまして、住居提供などに関しまして種々の情報を頂戴しているところでございます。こうした協力をいただきながら、受入れに向けた取組をしっかりと進めていくことが重要と考えております。
 今後、自治体や企業、団体から寄せられたこうした支援情報を十分に活用しまして、今委員からも御指摘を賜りました体制整備なども含めまして、様々な連携を図りながら、期待に応えられる受入れ支援を実施してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 今の法務省の御答弁なんですけれども、相談窓口をつくられたりヘルプデスクを設けられたりとされていることは大変良いことだというふうに思うんですが、それというのは、あくまでやはり国内向けのものでございまして、実際に避難されたいという方々がどのようにしてそうしたその支援にアクセスできるのか、この調整がやはり一番重要かと、要かというふうに思います。
 私の地元、神戸でも様々な今体制を整えていただいております。例えばワンストップの生活相談窓口であったりとか、また言語サポート、住宅サポートと、市営住宅を提供していただいたり、そうした体制を組んでいただいているんですけれども、じゃ、実際にそうしたところにどのようなこのウクライナの、ウクライナからの避難民の方々を受け入れられるのか、そうした希望者の方々をどのようにしてそうしたところに受け入れていただくのか。これは、やはりつなぐ、こうしたシステム、受入れ調整システム、大変重要だというふうに思います。
 古川大臣が、報道によれば、ポーランドを訪問される予定というふうにもお伺いしております。是非、こうした円滑な避難民受入れ体制の構築を政府には強く求めたいというふうに思います。
 そして、もう一つが日本への渡航支援でございます。
 この点、実際、ポーランド等から日本への移動の飛行機代が非常に高いということで支援を求めるお声をいただいております。我が国として、例えばこの渡航費用を支弁していく、手当てしていく、こうした可能性もあるでしょう。一方で、できる限りの支援を行っていくという観点からは、例えば、可能であれば、何らかの手段で我が国が用意したこうした航空機をもって例えばこのウクライナ人の方を日本に輸送する、こうしたことも可能性として検討していくべきではないかというふうに思います。
 この点、例えば自衛隊機を用いて輸送を行うことは、今この国会で審議中の自衛隊法改正いかんにかかわらず、現行規定でも可能かどうかについてまずはお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(岩本剛人君) お答えいたします。
 一般論としましては、現行の自衛隊法第八十四条の四項におきまして、生命又は身体の保護を要する邦人の輸送のために自衛隊機等を派遣し、その際、外国人についても同乗者として輸送することは可能であります。
 委員も御承知のとおりかと思いますが、今般の法改正によりまして、我が国の国籍を有しない者のうち、邦人の配偶者又はお子様、我が国国民と同視できるものの保護を行うために自衛隊を派遣し、輸送を行うことが可能となってまいります。また、その他の外国人につきましても、これまでどおり主たる輸送対象者の同乗者として輸送をすることが可能であります。
 その上で、今回のロシアによるウクライナ侵略に対しましては国際社会が結束して対応することが大変重要でありまして、我が国としましても、G7を始めとする国際社会と連携しながら、ウクライナ及び避難民を受け入れる近隣国に寄り添った支援を引き続き実施していく考えでございます。
 防衛省・自衛隊としましても、引き続き関係省庁と連携しながらできる限りの支援を行っていく所存であります。
○高橋光男君 今回のこの法改正によって輸送可能になるのは、ただいまの政務官の御説明によれば、やはり邦人、配偶者、その子など、我が国国民と同視できる方にとどまります。現行法でも可能なのは、やはり主たる輸送対象者であるすなわち邦人の同乗者に限られるという、こうした今制約があるわけでございます。
 この点、三月八日に私もこの場で質疑させていただいたんですが、その際、林外務大臣が答弁されたような、在留邦人の避難用に手配したチャーター機があるというふうに承知しております。そのチャーター機を是非このウクライナの避難民の方々を日本にお連れする、輸送するために活用していくべきというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○副大臣(鈴木貴子君) 委員のまさにその人道的見地という御視点、外務省としても重くそしてまた受け止めさせていただき、また共有をさせていただいていると思っております。
 ちょうど昨日でありますけれども、ウクライナ避難民の対応に関するタスクフォース第一回会合、開かれたところでありまして、その場において、この支援の具体的な在り方について、まさにその人道的見地を含めて政府横断的に取り組んでいくことが確認をされたところでもあります。
 また、日本への避難を切に希望をされており、かつ、例えばですが、渡航費用が出せない方がいた場合にどのように支援をするのかということを事前に考えておくということ、非常に重要であると思っております。同タスクフォースの下で関係省庁が連携し、政府横断的に人道的見地を踏まえて対応、また検討をさせていただきたいと思っております。
○高橋光男君 是非、これはもし実現すれば初めてのことだというふうに思いますが、こうしたウクライナの避難民の方々をどうしたら安全に、また迅速にこの日本にお連れすることができるのか、そうしたときに日本としてできることは最大限やっていくべきと私は考えますので、こうしたチャーター機の活用も含めて是非御検討を進めていただきたいというふうに思います。
 そして、十五日、岸防衛大臣からは、ウクライナへの支援をめぐって、自衛隊の装備品などの物資の一部を米軍機で輸送すると発表されたと承知します。大臣が表明されましたように、このウクライナに対する日米共同での連帯の意思、日米同盟のきずなの下、引き続き国際社会と結束してロシアの暴挙に対して毅然と行動していく意思を高く評価したいと思います。
 米軍機につきましては、既に在日米軍と調整の上、輸送されたというふうに承知しますが、先ほどもございましたが、具体的な輸送物資内容、また今後の計画についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(萬浪学君) お答え申し上げます。
 ウクライナへの防衛装備品等の輸送の件でございますけれど、御指摘のように、米軍機につきましては、三月十六日に横田飛行場から出発し、既にウクライナ政府への引渡しを終えてございます。運びましたものは、米軍と調整の上でございますけど、防弾チョッキ、ヘルメット、防寒服及び双眼鏡を積載していたものでございます。
 この米軍による輸送機によるものを含めまして、これまでに運びましたものは、先ほども御答弁させていただきましたように、防弾チョッキが千九百着、ヘルメットが六千九百個、天幕、テントが二百四十式、カメラが約五十台と、いずれも概数でございますけど、といったものをウクライナ政府に引き渡しておりまして、今後、まだ民航機等を使いながら輸送をしておこうということで進めているところでございます。
 個別具体的にお答えすることは、まだ調整中のところもございまして差し控えますけれど、防衛省といたしまして、これらのものが全て、装備品等差し上げることになっているものが一日でも早く提供できるように取り組んでまいりたいと、このように考えてございます。
○高橋光男君 是非引き続きしっかり御対応いただくようにお願いいたします。
 続きまして、本題である今回の在日米軍駐留経費についてお伺いしてまいりたいと思います。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層の厳しさを増す中、国民の命と財産を守り、日本の平和と安全を確保していくことが不可欠です。
 一方で、我が国の厳しい財政状況という制約がある中において、恒常的経費である光熱料、光熱水料のです、削減、節減を図り、今回新たに訓練資機材調達費を計上するなどして、日米同士の、日米同盟の抑止力、対処力をより強化していくという目的のために合理的な形に再編されたものとして私も支持したいと思います。
 その意味におきまして、新たな同盟強靱化予算というものについて、この同盟の強靱化に資する内実の伴った予算にしなければならないことは言うまでもございません。また、こうした予算に対する国民の支持こそが日米同盟の私は基礎であるというふうに、基盤であるというふうに考えます。
 つきましては、政府として、今回計上した予算の必要性、また合理性、またその効果について、国民に分かりやすく説明していただくとともに、不断に発信をしていただきたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 今委員からは、分かりやすい説明というお話がございましたので、そういう御指摘も踏まえて、改めて御説明させていただきますと、例えば、新たに訓練資機材調達費の項目を設けておりますが、これは、在日米軍のみならず、自衛隊の即応性、また米軍との相互運用性の強化にも資する実践的な訓練を可能とするため、高度な訓練資機材を調達するための経費でございます。
 具体的な例を挙げさせていただきますと、実動演習とシミュレーターでの演習、これをネットワーク上で結合しまして、AIによって生成される仮想の敵、これをこのネットワーク上に出現させるということで、大変複雑かつ大規模な訓練を可能とするシステム、これを調達することを想定しておるところでございます。
 また、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、在日米軍があらゆる事態に適時適切に対応できるよう、必要な基盤、これをしっかり整備していくことが極めて重要であるということを踏まえまして、今後はこの在日米軍の即応性及びその施設・区域の抗堪性強化に資する航空機掩体や整備用格納庫等の整備といった事業を重点的に推進していくことといたしました。
 さらに、例えば、航空機の訓練移転について、米軍による訓練の日本国外への移転を一層促進するため、広大な空域など恵まれた訓練環境を有するアラスカを訓練移転先の対象とすることで一致をしたところでございます。
 これは、在日米軍の抑止力の維持向上と、この在日米軍施設・区域周辺における訓練活動の影響、これを軽減する観点から大きな意義を有しておるというふうに考えております。
○高橋光男君 詳細な御説明、ありがとうございました。
 訓練移転費については、是非、防衛省の方にもお伺いしたいと思いますが、この点、沖縄の負担軽減という大変重要な課題でございます。これまで嘉手納飛行場等に所属する戦闘機の訓練移転等に取り組まれてきたというふうに承知しますけれども、今後、今大臣から御説明のあったように、訓練移転先としてアラスカを対象とすることによって、米軍による訓練の日本国外への移転を拡充していくことで日米間で合意したというふうに承知しております。
 その上で、実際にどの程度負担軽減がなされるのか、これは判然としない点もございます。この点、併せて関係者への丁寧な周知行っていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(岡真臣君) お答え申し上げます。
 訓練移転につきましては、先ほど外務大臣の御答弁の中にもございましたけれども、日米間の協議の結果、航空機の訓練移転について、米軍による訓練の日本国外への移転を拡充し、広大な空域など恵まれた訓練環境を有するアラスカを訓練移転の対象とすることについて日米間で合意をしたところでございます。
 グアム等への航空機の訓練移転、これ従来からも、委員御質問のとおり、実施をしてきているところでございますが、本来であれば嘉手納飛行場等で実施予定であった航空機による訓練の一部をグアム等に移転することで、嘉手納飛行場を始め各飛行場周辺の住民の皆様に対する騒音の影響が一定程度軽減されているものと認識をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、日米間の調整が整い、アラスカも含めて今後の訓練計画等が決まりましたら、地元自治体を始め関係者に丁寧に説明をしてまいりたいと考えているところでございます。
○高橋光男君 是非、しっかりと現地の住民の方々に御理解いただけるような御説明をよろしくお願いいたします。
 続いて、今回のウクライナ侵略を受けて、我が国周辺での有事の備えについてお伺いしたいというふうに思います。この点も大変重要な課題だと私も思っております。先ほど、松川先生の御質疑もございましたが、台湾有事への備えについてお伺いしたいと思います。
 台湾有事に関しましては、今朝もあったかと思うんですが、昨年の日米首脳共同声明にありますように、まずは台湾海峡の平和の、平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促すという基本姿勢というのは堅持しなくてはならないというふうに思います。
 一方で、今般のウクライナ戦争を受けて、我が国として台湾有事への備えが重要であることは論をまたないというふうに思います。専門家の中にも、米国がウクライナの防衛のためにロシアと全面的な戦争に踏み切らないと判断した結果、中国が一気に台湾支配を実行に移すということは十分に考えられると思います。我が国としてしかるべき対応をしていく必要があるというふうに思いますけれども、今、その点でまず、中国軍によるこの我が国周辺での最新の動向の分析をまずお伺いしたいと思います。
○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。
 台湾をめぐる情勢の安定は、南西地域を含む我が国の安全保障にとって重要であると考えておりまして、委員御指摘のとおり、我が国としましては、台湾をめぐる問題については、対話により平和的に解決されることを期待するとの立場でございます。
 その上で申し上げますと、近年、中国が軍事力の強化を急速に進める中、中台の軍事バランスが全体として中国側に有利な方向に変化し、その差は年々拡大する傾向が見られます。
 また、中国軍機による台湾南西空域への度重なる侵入を含め、中国は、台湾周辺における活動を更に活発化させるとともに、新型の航空機を投入するなど、その態様も多様化、高度化させてきております。例えば、台湾国防部の発表によりますと、二〇二〇年の一年間で中国軍機延べ約三百八十機が台湾南西空域に侵入したとされておりますが、二〇二一年には延べ九百七十機以上が同空域に侵入したとされ、前年の約二倍以上になっております。二〇二二年に入ってからも、これまで既に延べ二百五十機以上が同空域に侵入されたとしております。
 こうした台湾周辺での中国側の軍事活動の活発化と台湾側の対応によりまして中台間の軍事的緊張が高まる可能性も否定できない状況となっておりまして、防衛省としては、今後も強い関心を持って注視してまいりたいと思います。
○高橋光男君 ただいま御説明のあった実態を踏まえるならば、我が国としても米国に委ねるのではなくて、台湾防衛当局との間で実質的な防衛協力をすべきではないかといった御意見であったり、その具体例としても、防衛人材の交流であったり、ホットラインを構築したり、また防空識別圏などの情報共有体制も構築していくべきではないかというふうにおっしゃる識者もいらっしゃいますが、政府としての見解を伺います。
○政府参考人(増田和夫君) 委員今御指摘ありましたけれども、有識者の方々の中には、台湾防衛当局との間での協力を強化すべきだというような御主張をされる方がいらっしゃることは承知をしております。
 他方、政府といたしましては、台湾は日本にとって、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人でございます。その上で、日本の台湾に関する基本的立場は、一九七二年の日中共同声明のとおり、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくということで一貫しておりまして、台湾との関係につきましてはこうした立場に基づき適切に対応していく考えでございます。
○高橋光男君 あと、外交努力というのも大変大事だというふうに思います。クアッドやASEANとの関係強化につきましては、例えばさきの総理のインド訪問においては、実際首脳声明に示されたように、実質的な防衛協力、これ確認されました。また、カンボジア訪問においても、海上自衛隊との共同訓練などで一致したことを私としても評価したいと思います。
 政府としての今回の総理訪問の意義、総括と、今後の展望についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(實生泰介君) お答えいたします。
 先ほどおっしゃった総理のインド訪問、それからカンボジア訪問ですね、インド訪問については、ロシアへの、就任後初めての二国間の訪問先として、十九日から二十一日にかけて、日米豪印の一員であるインド及び本年のASEAN議長国であるカンボジアを訪問したわけです。両国との間で、力による一方的な現状変更をいかなる地域においても許してはならないということを確認し、ウクライナ情勢をめぐり連携していくということで一致をいたしました。また、こうした状況だからこそ、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を一層促進していくという重要性を確認したというところです。
 安全保障、防衛協力の分野においては、インドとの間では、2プラス2の早期開催、二国間や多国間での共同訓練の継続ということで一致いたしました。あと、カンボジアとの間では、海上自衛隊による寄港を含めた継続的な訪問、二国間の訓練、人道支援、災害救助といった協力の強化で一致し、こうした取組を通じて自由で開かれた海洋秩序の強化に向けて防衛行動を協力していくというようなことになっております。
 こうした成果も踏まえつつ、日米豪印首脳会合や本年のASEAN関連会議なども通じて自由で開かれたインド太平洋の実現に向け各国と連携していくという、そういう考えであります。
○高橋光男君 ありがとうございました。
 最後になりますが、我が国の装備品提供を含む災害協力についてお伺いしてまいりたいと思います。
 東日本大震災から十一年がたちました。その際も、米軍からはトモダチ作戦始め災害時の協力を通じて我が国と米国との間の同盟関係を深化させてきました。この関係というのはこれからも、この災害対処力という観点からも私は向上させていく必要があるのではないかと思います。
 そうした中で、実際そうした災害が起きた有事の際の共同行動のみならず、例えば我が国メーカーが有する災害対処力に資する新規含む装備品への海外移転、また、特に、米国のほか、G7、クアッド諸国等への移転を進めていくことは私は有意義ではないかというふうに思います。この点について、国の基本的な認識をお伺いしたいと思います。
 また、そのような装備品をここ数年で我が国として供与した実績があるのか。また、特に災害対処能力向上に資する我が国のこのメーカーに対する支援体制はどうなっているのか。是非強化していただきたいというふうに思いますが、お尋ねいたします。手短にお願いいたします。
○政府参考人(萬浪学君) お答え申し上げます。
 御指摘ございましたように、欧米諸国あるいはインド太平洋諸国に対して、災害対処能力を有するものを含めて装備品を移転する、これを装備移転として進めていくこと、これは意義があるものと考えてございます。
 また、災害対処のみを目的にして近年防衛装備品を移転した実績というのは、これはまだないのでございますけれど、一般に装備品の移転に当たっては、メーカーのみならず国の方もですね、防衛省の方も、当局間での交流でございますとか、あるいは装備品の維持、整備の支援でございますとかいろんな形で、あるいは今後の投資についての事前の調査でございますとか、そういったところでメーカー側と緊密に連携をしながら装備移転を進めてまいりたい、このように思ってございます。
○高橋光男君 是非、そうした装備品につきましても海外への移転が進むように、私としても今後も求めてまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 少し時間が早いですが、以上で終わりたいと思います。本日はありがとうございました。

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