2022.04.06

国会議事録

令和4年4月6日 国際経済・外交に関する調査会

○高橋光男君 公明党の高橋光男と申します。
 本日は、貴重な御説明の機会いただきましてありがとうございました。
 私からは、北岡参考人に二つ手短にお伺いしたいと思います。
 本日のテーマであるこの海洋政策を進めていく上でも、また日本のこの開発協力を進めていく上でも欠かすことができないこのODAでございますが、このODA予算、日本は、近年少し持ち直しているものの、まだ〇・三%、GNI比ですね、がやっとの程度であるという中で、昨年七月の日経新聞の御投稿をちょっと拝見したんですが、これを、せめて国連が目標と定める〇・七%の半分の〇・三五%には早く引き上げるべきだと、で、やはり〇・七%という高みも目指していくべきだというお考え、一方で、同時に、防衛費も一%、これを引き上げていくことにも賛成されていらっしゃるというふうに承知をいたします。
 その中で、その同じこの日本の国家予算の中でそうした予算どのように捻出していけるのかということについてのお考えが一つと、あわせて、今年、国家安全保障政策、あと防衛大綱、また中期防の改定、これはやはり防衛というそういったところでの基本文書を変えるものでございますけれども、あわせて、やはり日本の外交のツールであるこのODA、その開発協力大綱ですね、こちらも変えるべきではないかというふうに考えておりまして、まさにそういうことの中で推進力となってこのODAの予算の確保にもつながっていくというふうに考えますが、どのようにお考えになるかという点が一点です。
 もう一つは、ウクライナの支援の関係でございますが、現在JICAはモルドバの方で調査を実施して、これから二国間援助を進めていかれるというふうに承知をしています。これはすばらしいことだというふうに思います。
 一方で、私、気になるのは、その他の周辺国に対する支援なんですけれども、やっぱりこれらの国は非ODA国でもあって二国間の援助ができないという制約がある中で、今、事実上、国際機関やNGOの支援に頼っているという部分があるわけですね。一方で、もう今本当にこの抱え切れない、こうした大きな、多くの避難民を支援していくためには、この二国間でのやっぱり援助というものもやっぱりできていく、できるような、そういう合意もつくっていくべきではないかというふうにもちょっと考えるところでございます。
 例えば、直接的な支援ができないにしても、まさに日本が得意とする人材育成の部分であったり、中長期的な、この間のゼレンスキー大統領が期待を寄せるその復興の部分でも、これはウクライナ国土の復興ということもあろうかと思いますが、ウクライナとても元々はやっぱり、今の、現在でいうとそのODAの対象でない中で、今後中長期的に我が国として、まさにこの開発協力という世界の中で、このウクライナ及びその周辺国にどのように関わっていくべきかというふうにお考えになられているかについてお伺いしたいと思います。
○参考人(北岡伸一君) ありがとうございます。
 防衛、安全保障三文書の改定につきましては、最も大きな安全保障、国家安全保障、NSSは、あれ、起草者は実は私でございまして、自分で言うのはなんですけど、そんなに大きく変える必要ないと思っているんです。もちろん変えなくちゃいけないところはあるんですけれども、大枠は、日本は大体こういう方針で行きますよということなので、そのもうちょっと下の中期防とかですね、そっちの方を変える必要があると思っていまして、その一つのポイントは、私は専守防衛という考え方をもう少し柔軟にして反撃力は持つようにするというのは大事ではないかというふうに思っている次第です。
 あと、もちろん国税ですので無駄は許されませんので、長期に考えますと、やっぱり日本の武器の多くはアメリカから買っているんですけれども、これが高過ぎるというのが私の印象ですね。大体、これは言うまでもないんですけれども、アメリカから買うとかって決めていたら向こうは競争しませんから、ですから、私は個人的には、前のジェットファイターは、本当はユーロファイターを買うべきだったと思うんですよね。インターオペラビリティーとか問題あるんですけれども、多少はその売手の方でも競争してくれないと、値段は言いなり、納期はいいかげん、ブラックボックスは開示しないと、これでは本当にもう言いなりなんですよね。それはやめると。そして、日本でも、やっぱり最後は自力なんで、日本でももう少し自力生産に力を入れると。
 あとは、私は、どこを増やすべきかというと、人件費だと思うんです。人が足りないのですね。そういうところにちゃんと手当てをして、特に海自なんか人が集まりませんので、そうしたら手当を上げればいいじゃないか。普通、会社で人手がなければまずやるのは給料を上げることです。それを、他の公務員と切り離して、私は公務員ももっと給料を上げるべきだと思いますけれども、給料を上げていくということが必要で、あと、かつ、その高性能だけでなくて、安くて効果のある武器というのはあるんですよ、実は。ドローンですとかですね。ドローンはアルメニア・アゼルバイジャン紛争で非常に大きな効果を発揮しましたし、いろいろ、これもコストを考えながらやっていくということで進めることが必要だというふうに思っています。
 ODAの方は、私は更に、さっきから御紹介しましたような医療協力とか教育協力とかいうことをもっとやるべきだと思っています。それは結果的に、実際証拠は出ているんですけれども、日本に留学した人は大体日本が好きになるという傾向多いんですよね。幸いにして、我々からいうとですよ、中国に留学した人は中国を好きにならないんです、余り、ということが言われております。
 ともあれ、日本にもっと来てもらって、そして例えば、留学生じゃないんですけれども、外務省がやっているJETプログラムってありますよね。アメリカその他の英語をしゃべる国から先生に来てもらって日本で教えてもらうと。これ、田舎でやってもらうことが多いんです、地方で。すると、大体その地方は好きになるんですよ。
 そういう人の交流というのは日本はまだまだポテンシャルがあるというふうに思っております。こういうのを全部、JETは違いますけれども、ODA予算で広げていって、やっぱり〇・三五、まず〇・三五をなるべく早く達成して、次は〇・七に上げると。そのために、私は、遠回りかもしれないけど、一番最初に、まあちょうど昨年、三月末で理事長は退任したんでありますが、正面から財務省の若手、中堅幹部に毎年講演に行っておりました。なぜODAが必要かということをですね、正面から説得に行っておりました。
 それで、次のお尋ねの開発計画大綱の方です、ですが、これも割合コンプリヘンシブにできていて、そんなに変える必要はない。私は、ですから、文章いじりに時間掛けるよりは、具体的な政策を一つ一つやっていく、そして予算を付ける方がより重要で効果があると思っています。
 モルドバに行きましたけれども、その前に、そもそも我々はウクライナに結構支援しております。ウクライナでは、下水処理場というのが大きいんですけれども、もう一つ実は面白いプロジェクトは、お金はそんなに掛かっていないんですが、中央銀行の金融の透明化支援というのをやっておりまして、あのロシアと同じで、ああいうところではオリガルヒというのがおって、銀行の貸出先というのは非常に不透明なんですね。これは非常な企業秘密といいますか国家秘密で、どの銀行からどこにお金が行っているかというのを暴くと、下手すると消されます。危ない仕事なんですけれども、これを我々は支援していたんです。これはよそでもやっていまして、アフリカでなぜ割合利息の高い中国の金を借りるのかと。それは私は賄賂じゃないかと思っているんですけれどもね。
 そういうその金融のトランスペアレンシーを強化することは割合重要じゃないかと思って、余り知られていない支援なのでちょっと御紹介した次第なんですけれども。
 モルドバは我々の支援範囲です。しかし、難民支援という枠組みならこれは使えますので、モルドバには真っ先に我々行きました。次はポーランドに調査団をそのうち派遣いたします。
 それから、ウクライナの復興は、あれテレビ見ただけで、これ復興するのにお金掛かるだろうなと思うんですよね。でも、それはやっぱり、まあロシアが賠償金出すとは思いませんので、先頭を切ってやらざるを得ないなというふうに思っています。
 ウクライナにも問題はあったかもしれませんが、やっぱり超大国に、判官びいきで、単純な判官びいきで言うわけじゃないんですけれども、いじめられてきた長い歴史がある中でこういう国はしっかり支援したいと。ロシアの周辺国というのは大体親日国ですから、これは是非やりたいと思っています。
 それにつけても、やっぱりお金は要るので、是非いろいろ御協力をお願いしたいと思っています。
○高橋光男君 ありがとうございました。
 以上で終わります。

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