2022.04.12

国会議事録

令和4年4月12日 外交防衛委員会

○高橋光男君 公明党の高橋光男です。おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。
 冒頭、林外務大臣におかれましては、先週二度の御出張、大変お疲れさまでございました。この
度、総理特使として訪問されたポーランド、及びG7並びにNATO外相会合出席のためにベルギー
を訪問されたという中で、まずその総括をお伺いしたいと思います。
 その上で、私自身も今月の一日の本会議で代表質問させていただいたこととも関連しますが、今回
の訪問結果を踏まえて、我が国として、周辺国を含む対ウクライナ人道支援と、あとNATOへの働
きかけをどのように行っていくのかについて御所見をお願いいたします。
○国務大臣(林芳正君) 私の出張に際しましては、委員長を始め与野党の皆様方に大変な御高配い
ただきましたこと、改めて感謝を申し上げます。
 ポーランド訪問では、ウクライナ避難民の置かれた状況や現地のニーズ、受入れに係る諸課題等に
ついて把握することができたわけでございます。
 ベルギー訪問では、NATO外相会合のパートナーセッションに日本の外務大臣としては初めて出
席をさせていただきましたほか、同時に行われましたG7外相会合にも出席し、基本的価値を共有す
る同志国間での連携を確認する機会となったわけでございます。
 今委員からもお話のありましたウクライナや周辺国への人道支援でございます。G7外相会合にお
いても国際的支援の強化の必要性というのが確認をされまして、特に人口比で最大の避難民を受け入
れているこのモルドバへの支援の重要性、これが改めて確認をされました。
 我が国は、ウクライナ及びモルドバを含む周辺国に対しまして、様々な国際機関やNGOと協力し
て、合計二億ドル、この緊急人道支援をしっかりと実施してまいりたいと思っております。
 また、避難民の受入れも我が国は進めておりまして、日本への渡航を希望するけれども、自力で渡
航手段を確保することができない避難民の皆様とともに、私は専用機でポーランドから帰国をいたし
たところでございます。今後も、当面、毎週政府がポーランドとの直行便の座席を借り上げて、避難
民の我が国への渡航を支援することとしておるところでございます。
 また、NATOの外相会合でございますが、ウクライナ情勢を始め、国際社会が厳しい安全保障環
境に直面する中で、基本的価値を共有する同志国間での連携を強化していく必要があるという点で一
致をいたしました。私からは、欧州とインド太平洋地域の安全保障、これを切り離して論じることは
できないということを強調させていただきました。
 こうした認識の下で、NATOを含む国際社会と連携して、ロシアに対する強い制裁措置等に適切
に取り組んでいきたいと考えております。
○高橋光男君 引き続き、このウクライナに対する人道支援、我が国としてリードしていくととも
に、また私も質問させていただいたように、このNATOとの関係におきましては、G7の中で非N
ATO国である唯一の国であるアジアを代表する我が国として、やはりしっかりとしたこの外交を展
開していただくように強くお願い申し上げたいと思います。
 続きまして、今回の防衛省設置法等の改正とともに、このウクライナ避難民の渡航支援の関係につ
きましてお伺いしてまいりたいと思います。
 まず、先ほど大臣も言及されましたように、政府専用機での帰路、ウクライナ避難民の方々をお連
れしたことは異例の対応ではございましたけれども、人道的措置として高く評価したいと思います。
 その中には、我が党の石川博崇議員と、またその地元大阪の公明党地方議員に御相談がありました。在日ウクライナ人の娘さんとそのお孫さんの二人も含まれておりまして、ポーランドへの脱出か
ら来日に至るまで現地大使館の職員がきめ細かに対応していただいたというふうにお伺いしておりま
して、私からも心より感謝申し上げる次第です。
 一方で、今回、なぜ渡航対象、支援対象が二十人にとどまったかという点については様々な指摘が
なされております。私は、第一に、非常に限られた期間においての調整が余儀なくされたという点が
あったかというふうに思います。その結果、少数にとどまったという側面もあるというふうに感じて
おります。
 したがって、単に数が少なかったことをもって否定的に捉えられるものではないというふうに考え
るところではございますけれども、同時に、政府として、その理由をしっかりと対外的に説明すると
ともに、今後も渡航支援を継続していく旨を、しっかりとこれを表明すべきではなかったかというふ
うにも感じるところでございます。
 特に、日本に身寄りのない五名の方々につきましてはどのように選んで受入れを決定したのか、こ
れ明確な説明が必要かというふうに考えますが、御答弁をよろしくお願いします。
○政府参考人(徳田修一君) お答えを申し上げます。
 今回、政府専用機に御搭乗いただいたのは、在ポーランド日本大使館あるいは在ウクライナ日本大
使館に対しまして日本への渡航を相談してきたウクライナ避難民の方々のうち、日本への渡航を切に
希望するものの、現在自力で渡航手段を確保することが困難な避難民の方々でございます。
 具体的な人数は、このような方々の渡航を支援すべく、所要の調整、手続を進めた結果、最終的に
二十人となったということでございます。
 今後についてのお尋ねもございましたけれども、今後も当面、日本への避難を切に希望しているも
のの、現在自力で渡航手段を確保することが困難なウクライナ避難民の方々に対しまして、当面、毎
週政府がポーランドとの直行便の座席を借り上げて、人道的観点から我が国への渡航支援を行うこと
としてございます。
 その身寄りのない避難民の基準といいますか、話でございますけれども、現在私どもが取っており
ます、日本政府が取っております対応、これは、一国が他国の領土を侵略するという国際社会でまれ
に見る暴挙が行われていると、そういうウクライナが瀕する危機的状況を踏まえた人道的観点からの
緊急措置でございます。そのような観点から、避難される方々にまずもって安心できる避難生活の場
を提供すべく政府全体として取り組んでいるところでございまして、今申し上げた歴史上まれに見る
今回の事態の非人道性に鑑みて、身寄りのない方々も含めて受け入れるといった例外的な対応を行い、関係省庁が連携して避難民の円滑な受入れと生活支援を行っていくこととしてございます。
○高橋光男君 続きまして、今回の法改正との関係で、どのような方々が新たに渡航支援対象になる
のかという点についてお伺いします。
 例えばですが、このウクライナの事案に照らして言えば、今、ウクライナ国内にとどまっているウ
クライナ国籍の例えば邦人の配偶者の方、実際にいらっしゃるかというふうに思います。単身でそう
した方が緊急避難を要する場合に、邦人の同乗がなくても輸送することができるのかどうかにつきま
して、法文に照らして防衛大臣の御答弁をよろしくお願いします。
○国務大臣(岸信夫君) これまでの現行法のですね、自衛隊法の八十四条の四におきましては、主
たる輸送対象者はあくまでも生命又は身体の保護が要する邦人ということであります。同様の状況に
ある外国人は、余席がある場合に同乗させることができるとの扱いですが、今般の法改正によりまし
て、御指摘のありました邦人の配偶者を含む特定の外国人については、現地に邦人がいない場合であ
っても自衛隊を派遣して輸送を実施できるようになります。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 ただいま御指摘のように、今回の法改正によりまして、仮に現地に邦人がいない場合でも、邦人の
配偶者を含む特定の外国人が輸送可能になるという点は大きな変更だと考えます。
 とはいいましても、やはり政府専用機、自衛隊機等の活用につきましては、基本的に邦人が搭乗し
た場合の上での輸送が念頭にあると。したがいまして、ウクライナの場合におきましても、この避難
民のみを輸送するために用いることは現時点でも必ずしも想定されていないというふうにも理解いた
します。
 そこでお伺いしたいのですが、既にポーランド等においてこの手配しています邦人の緊急避難用の
民間チャーター機につきましては今後どのような扱いになるのかについてお答え願います。
○政府参考人(安藤俊英君) お答え申し上げます。
 今般、ウクライナの在留邦人につきまして、従来からウクライナに生活の基盤をお持ちであった
が、現下の厳しい状況の中で今回帰国を希望し、かつ自力で渡航手段を確保することが困難な方々に
対しまして、商用便の座席を確保する形で帰国のための支援を行うことといたしました。
 御指摘のありましたポーランドから他の国に移動するために手配していましたチャーター機につき
ましては、今後は、必要な事態が生じた、発生した場合に改めてその手配の必要性を検討することと
しております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 今後、不測の事態というのは全く起こらないとも限らないわけでございまして、やはり邦人の緊急
避難用に確保して、このチャーター機というものを引き続き確保しつつですね、有事の際にはしっか
りとそうした輸送、その際には避難民の方々も要すればしっかり同乗いただいて避難できるようなそ
うした体制が必要かというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、七日、総理が発表されたこの日・ポーランド間の直行便の一部座席借り上げについて
お伺いします。
 この仕組みにおきまして、もう既に六名の方が、ポーランドから入国されている方もいらっしゃる
と承知していますが、この便は日本に週一便という中におきまして、他の周辺国の方々にも、この避
難民の方々ですね、そうした方々は日本に渡航を希望する場合にどのような支援が可能かについてで
すが、そうした方々につきましては、その周辺国からポーランドへの移動、これもしっかり大使館で
連携して支援していく、そしてこのワルシャワに集約して、日本に輸送をお手伝いする、こうした観
点も大変重要かというふうに考えますが、そのような理解でよいのか。また、いずれにしましても、
その継続した避難民の方々に対して、この周辺国も含めてですね、支援していく、渡航支援をしてい
くということが重要かというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(徳田修一君) お答え申し上げます。
 先ほど御答弁させていただきましたとおり、当面は毎週政府がポーランドとの直行便、委員御指摘
のとおり週一便でございます、これを借り上げて渡航支援をすることを想定してございます。
 ポーランドからの便といたしましたのは、ウクライナ避難民の方々が最も多く避難していると、約
六割近くの方がいらっしゃると、そういう実情を踏まえて、ポーランドからの便を用いて渡航支援を
行うとしたものでございまして、引き続き現地のニーズの把握に努めながら適切な対応を政府全体で
不断に検討してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 最後に、この現地に残留されている方、残留されています在日ウクライナ人の御家族
の方々への支援についてお伺いしてまいりたいと思います。
 最近、ポーランドに残留されています在日ウクライナ人の御家族、具体的には日本人男性の奥様の
お姉様が現地にいらっしゃるんですが、日本から子供用の薬であったり防寒着であったり衛生用品等
の必要な物資を届けてほしいと、そのためにはどうしたらいいのかという御相談を受けました。この
点、例えば、EMSにつきましては、既に三月以降このポーランドへの引受けというのを停止してい
ます。民間レベルではなかなかこの郵送というのはできない、大変お困りの状況でございます。
 事前に法務省に確認しましたら、法務省の相談窓口はそうした相談は受け付けていないということ
でしたが、例えば、人道的観点から我が方の在外公館等で受け付けるなどの対応はできないものか、
御答弁をお願いします。
○副大臣(鈴木貴子君) 委員御指摘のとおり、EMSの引受けというものは本年三月から停止をし
ていると承知をしております。ただ、一方で、大変時間は通常以上に掛かっているようであります
が、航空便、そしてまた船便というものは、今も民間業者を通じた送付というものが可能だというこ
とも事実関係として承知をしております。
 在外公館として、今委員御指摘のような形で個人の物資の送付を受け付けるということは、今の現
状では大変困難ではありますが、先ほど大臣の答弁にもありましたように、緊急人道支援のこの二億
ドル、その中では、まさに薬であるとか防寒着、また衛生用品、こういったまさにニーズの高い、若
しくはニーズに照らし合わせた支援というものを今させていただいております。
 委員の御指摘を踏まえまして、なお一層、今度はその緊急人道支援のお金だけでなくて、そういっ
たものが必要な方に必要なタイミングで届くように、現地の国際機関、若しくはまたNGOの皆さん
ともなお一層連携をさせていただきながら、最後のところまでしっかりと外務省としても全力を尽く
してまいりたいと思います。
○高橋光男君 御答弁ありがとうございました。
 まさに私もその御相談された方に申し上げているのは、日本の支援というのは、例えばこの無償資
金協力で、国際機関であり、またNGO等を通じて必要な物資をお届けしていますということを御説
明しているんですが、やはりピンポイントでそうした必要な方々に必要な物をお届けしたい、そうし
た在日のウクライナの方で大変お困りの方もいる、そうした問題もなかなか焦点が当たらないです
が、そうした光の当たらない課題についても、日本政府として、しっかりとこれからも継続して支援
していただく御努力を重ねていただくことをお願い申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。
 ありがとうございました。

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