2022.04.19
国会議事録
令和4年4月19日 外交防衛委員会
○高橋光男君 おはようございます。公明党の高橋光男です。
本日は、旅券法改正等の審議でございます。旅券発給申請手続の電子化が図られることによりまして、利便性向上、窓口負担軽減につながるものでございます。賛成であり、異論は特にございません。
その上で、本日は、水際措置についてお伺いしてまいります。
我が国は、諸外国に比べて極めて厳しい措置を続けています。現在、外国人の新規入国が可能なのは、日本人、永住者の配偶者又は子、あるいは三月から緩和された措置の下での商用、就労や長期滞在の目的の場合とされ、ビジネス関係者、技能実習生、留学生などに限られます。それ以外は、人道上の配慮の必要がある特段の事情がある場合に限られます。
そこで、まず法務省にお伺いします。特段の事情とはいかなる事情かにつき端的にお答え願います。
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
個別の事案ごとに人道上配慮すべき事情があるときは、特段の事情があるものとして新規入国を認めております。人道上の配慮により特段の事情があるものとして、例えば病気である本邦居住者又は出産する本邦居住者の看護又は日常生活の支援をする親族、死亡又は危篤である本邦居住者を訪問する親族などがございます。
○高橋光男君 今の御指摘のように、いずれもその親族に限られているんですね。法務省のホームページ見ても、そのような、具体例としては全てが親族ということになっています。
しかしながら、最近、こんなケースがありました。ブラジルにいる日系三世の方で、定住者の在留資格を持ち、父親は日本にいます。その方が在外公館に問い合わせたら、あなたは二世までではないから駄目、父親が国内で問い合わせても、あなたは受入れ責任者に当たらないから駄目、そこで私に相談がありました。私は、家族離別のケースに当たるのではないか、父親は親として個人であっても受入れ責任者になれるはずだ、だから認めてほしいとお願いしました。幸い、その方は四月に入って入国できましたが、窓口情報の混乱を正してほしいとのお声をいただきました。
調べましたところ、定住者の資格を持っていながら未入国の方は依然六千人以上います。こうした方々が特段の事情に当たるか厳格に審査される一方で、ビジネス関係者は受入先がオンラインで受付済み証を入手すれば容易に入国ができます。
現行制度自体、明らかに不均衡と言わざるを得ないというふうに考えます。是正すべきではないでしょうか。
○政府参考人(小玉大輔君) お答えいたします。
いわゆる定住者の在留資格に該当する方につきましては、日本人、永住者の配偶者又は子、定住者の配偶者又は子で、日本に家族が滞在しており、家族が分離された状態にあるものといった方につきましては、特段の事情があるものとして原則として入国を認めております。また、これらに該当しない場合でも、個別の事案ごとに人道上配慮すべき事情があるときは特段の事情があるものとして新規入国を認めてきておりますところ、今後も個別の事情などを踏まえて丁寧に対応してまいりたいと考えております。
これまで、特段の事情につきましては出入国在留管理庁において具体例をホームページに公表するなどにより周知に努め、入国を希望する外国人の方のうち特段の事情が認められる方が円滑に入国できるよう対応してきたものと承知しております。
人道上配慮すべき事情があると認められる外国人の方がより円滑に入国できるよう、引き続き、各省庁が具体的かつ統一的な周知や広報ができるよう、関係省庁間での一層緊密な連携や情報共有に努めてまいりたいと考えております。
○高橋光男君 ですので、ホームページに載せられている情報がまさにその親族しかないということで、具体例がないんですよ。
私は、人道上の配慮の観点からは、是非、今日強調させていただきたいのは、長期間別離を強いられている未婚の国際カップルの外国人の入国も認めていただきたいということです。
お配りした資料にございますように、一日当たりの平均入国者数で見れば、上限を多少超えても容認している時期がございます。また、直近の上限一万人においては、まだ余裕がある時期で今現在あります。その上で、現行の受入れ責任者としての誓約事項を遵守してもらう、そして、要すれば、欧州などでも採用されている交際証明をもってカップルであることの真実性を担保する、このようにすれば純粋な観光目的の個人とは区別できるはずです。是非認めていただけないでしょうか。
○政府参考人(小玉大輔君) お答えいたします。
水際対策につきましては、令和四年三月一日からこれまでの水際対策の骨格を段階的に緩和し、外国人の新規入国につきまして、受入れ責任者の管理の下、観光目的以外の新規入国を認めているところでございます。この措置における受入れ責任者は、入国者を雇用する又は入国者を事業、興行のために招聘する日本国内の企業、団体等でありまして、入国者の防疫措置等について誓約した上で事前に申請を行うものとされているところです。
また、現在の内外の感染状況等も踏まえまして、委員御指摘のような事例につきましても、本邦で婚姻手続を行うなどの個別の事情を踏まえまして、入国を認めている事例があるものと承知しております。
人道上配慮すべき事情があると認められる外国人の方がより円滑に入国することができるよう、個別の事案について問合せがなされた場合は丁寧に対応するとともに、先ほども申し上げたとおり、政府全体として適切な周知、広報に努めてまいりたいと考えております。
○高橋光男君 適切な周知を図ること、また、関係省庁間でその連携を図っていくこと、これは当然であります。
しかしながら、私が申し上げたいのは、おっしゃるようなその個別の事情というのはまだまだ狭いんです。また、特段の事情という曖昧な表現が大きな壁になっています。日本での婚姻手続をする場合は認めるなんて、私は国際的に見ても恥ずかしい対応だと思います。
小玉参事官御答弁いただいて、あなたとは、私は昨年末以来、この水際対策の緩和に向けて何度もやり取りして、少しずつですが、鋭意努力していただく中で実現をしていただきました。今、私は国際カップルの方々から悲痛なお声をたくさんいただいています。苦しんでいる日本人の方々であります。外国人だけの問題では決してありません。二年以上も引き離されています。それだけで人道上の配慮が必要ではありませんか。是非、国としてそうした現実を直視して、当事者に寄り添った対応をお願いいたします。
林大臣、最後にお伺いしたいと思います。
外国人に対して依然こんな対応をしているのは日本ぐらいです。それは大臣自身もよく御存じだと思います。同じ島国の英国などは、既に水際対策を完全撤廃しております。日本が現行措置を継続することは外交的にもマイナスだと思います。是非、苦しんでいる方々を救うためにお力添えいただけないでしょうか。最後に一言お願いいたします。
○国務大臣(林芳正君) 昨年十一月末のオミクロン株につきまして、国民の命を守るべく慎重の上にも慎重を期すと、その考え方の下で厳しい水際対策を取ってきたところでございます。
その後、今やり取りいただいたように、内外の感染状況等が変化しまして、主要国の中で水際対策の緩和を進める国、今御指摘のあったとおり、そういう国が出てくる中で、我々としてもオミクロン株の科学的知見が徐々に蓄積されたことを踏まえて、三月一日から、先ほど御説明があったように、受入れ責任者の管理の下で観光目的以外の新規入国を認めるなど、これまでの水際対策の措置を段階的に緩和してきたところでございます。
政府として、引き続き、内外の感染状況等や我が国への渡航ニーズ、これを踏まえながらその時々に応じた最適な水際対策を実施していく考えでありまして、外務省としても、今、高橋委員から御指摘がありましたような人道上の配慮、また国際的な人の往来の重要性、こういうものを十分考慮しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 真摯な御答弁ありがとうございました。
確かに、国内の感染を抑えなければならない重要性を私も否定するものではございません。しかしながら、その知見が重なる中において、やはりこの二年以上もの間、そうした日本への入国が制限されている、そのことは本当に、私はそのこと自体で人道上の配慮が必要な事態に今至っているというふうに思っておりますので、是非とも政府として、引き続きそうした方々の入国を認めていただけるような鋭意御検討をお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。
ありがとうございました。