2022.04.20

国会議事録

令和4年4月20日 国際経済・外交に関する調査会

○高橋光男君 公明党の高橋光男です。
 本調査会の最終報告に向けて、これまでの三年間に行われた調査を踏まえ、意見を申し述べたいと思います。
 本調査会は、「海を通じて世界とともに生きる日本」をテーマとし、様々な切り口から海に関する課題について調査を行ってきました。冒頭、鶴保会長を始め関係者の皆様の御尽力に感謝申し上げます。
 まず、海洋秩序の在り方に関して申し述べた後、三点にわたって課題ごとに意見を表明します。
 我が国を始めとする国際社会の繁栄にとって海洋の安全確保は至上命題であり、国連海洋法条約を中心とする海洋法秩序の維持が重要です。我が国として、海上保安庁の人員、装備などの体制強化に加え、坂元参考人から御指摘のあったように、海保と自衛隊の緊密な連携の下でグレーゾーン事態にしかるべく対処していく必要があります。
 同時に、国際社会において法の支配が共通の価値として支持され、中国などが力による現状変更を志向しないように直接働きかけるほか、国際社会と連携して抑止する外交を展開する必要があります。
 この点、北岡参考人から述べられたような島嶼国に対する海上保安能力向上や、それらの国々の国内及び海上法執行に係る法整備支援は、我が国が標榜する国際社会における法の支配の強化及び国益に資する具体的取組として強化すべきと考えます。
 その上で、個別課題の第一は、資源、エネルギーについてです。
 現下のウクライナ情勢もあり、その安定確保の重要性を改めて痛感しています。資源やエネルギーは、経済だけでなく国民の命や暮らしにも直結するものであり、自給率の向上が不可欠です。二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、環境や国民負担にも留意しつつ、再生可能エネルギーを拡大することが急務です。
 その際、調査会で石田参考人や佐藤参考人が述べられたように、洋上風力発電は海洋国家である我が国の強みを生かせるものと考えます。広大なEEZの活用の検討も含め、市場規模を拡大し、それをてこに我が国関連産業の振興にもつなげていく戦略的取組が求められます。
 とりわけ、レアアース泥については、加藤参考人から高い潜在力が指摘されました。高い優先順位を持って開発を進め、国際的なレアアースのサプライチェーンを構築できれば、我が国のみならず国際経済の安定的な発展にも寄与するものと考えます。
 第二の課題は、海洋環境についてです。
 この関係では、道家参考人や東梅参考人から述べられたように、生物多様性がSDGs実現の土台であることを踏まえ、その保全に向けて我が国がリーダーシップを発揮していくべきと考えます。
 その意味で、途上国支援のための生物多様性日本基金について、昨年十月、政府から十億円の追加拠出が発表されたことは評価したいと思います。同基金の運用の実効性もしっかりとチェックしつつ、必要に応じ更なる拠出も検討すべきと考えます。
 また、我が国漁業者の権益を守る上で、IUU漁業規制のために政府の一層の取組が求められます。さらに、海洋プラスチックごみ問題についても、国際条約づくりのプロセスが本格化することから、我が国の技術やノウハウを国際標準化していくことも念頭に積極的にコミットしていくべきと考えます。
 第三の課題は、海洋人材の育成確保です。
 人づくりは国づくりであります。これまで我が国の発展は、海洋人材の存在とその育成によっても支えられてきました。今後も人的基盤を確かなものとしなければ海洋国家としての将来も危ういため、強力かつ着実な取組が不可欠と考えます。
 具体的には、松浦参考人が述べられたように、外航船員の約九割を外国人に頼る現状は経済安全保障上不安があり、日本人船員の養成に一層力を入れるべきと思います。その際、船員志望者の定着に不可欠な働き方改革は言うに及ばず、教育や表彰などを通じて船員という職業に対する社会的な評価を高める取組を行う必要があると考えます。
 また、海洋開発人材について、海野参考人が指摘されたように、海底油田などの開発フィールドで培ったノウハウを持つ欧米の企業や研究機関との連携を通じた人材養成は効果的であるほか、足下の現場作業員を養成する必要性に対する指摘は示唆に富むものであったと考えます。
 最終報告では、以上のような観点も踏まえつつ、我が国が取り組むべき課題や具体的な政策の方向性を明らかにしつつ、実効性のある提言が行われることを期待し、私の意見表明を終わります。

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