2022.06.02

国会議事録

令和4年6月2日 外交防衛委員会

○高橋光男君 おはようございます。公明党の高橋光男です。本日も質問の機会をいただき、感謝申し上げます。
 前回に続き、磯崎官房副長官に水際対策についてお伺いしたいと思います。お忙しいところ、ありがとうございます。
 さて、政府は、六月十日から観光目的による短期滞在の外国人の新規入国を原則として認める方針を表明しました。これに対して、前回の質疑でもお願いしましたように、G7諸国並みの水際対策とし、観光客を受け入れるのであれば、是非、親族、知人の入国も制限をすべきではなく、その要件を緩和してほしいと、その後も政府に強く求めてきました。
 そうした中、昨日、政府は、親族・知人訪問目的の外国人の入国に係る緩和措置を発表したと承知しています。その判断に至った背景及び理由につき教えてください。
○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) お答えをさせていただきたいと思います。
 政府としましては、コロナ禍での水際対策の下におきましては、特段の事情がある場合に入国を認めるという、こういう考え方を取ってまいりました。親族・知人訪問につきましては、個別の事情ごとに配慮すべき、事案ごとに配慮すべき事情を丁寧に酌み取りながら、人道上配慮すべき、こういう事情がある者につきましては新規入国を認めてきたところでございます。ただ一方で、親族・知人訪問目的での入国につきましては、委員からの御指摘も含めまして、円滑な入国、これを求める声があったということも承知をいたしております。
 委員御指摘のとおり、今般、G7並みに円滑な入国を可能とする方針の下で、流入リスクに応じた検疫体制を取りながら、入国者の総数を一日一万人めどから二万人めどに拡大をしながら、スムーズな入国を確保する措置を六月一日から実施したところでございます。その中で、併せて親族・知人訪問目的での入国につきましても円滑な入国を可能とする、こういう措置をとることにしたものでございます。
 具体的には、短期滞在の在留資格を取得する者で親族訪問目的、これについては基本的に全てということ、又は、知人訪問目的につきましては、婚約者や事実婚関係にある者といった親族に準ずる関係があると認められる者あるいはその訪日の必要性があると認められる者につきましては、類型的に入国を認めるということで明記をさせていただきました。委員からもしっかりと周知をすべきというお話もございましたし、ホームページにも掲載をして周知に努めているところでございます。
 政府としては、引き続き、入国を認めるべき外国人が円滑に入国できるように、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○高橋光男君 御丁寧な答弁、ありがとうございます。
 そうしましたら、今御説明になられましたこの親族・知人訪問につきまして、昨日更新された政府公開文書についてお尋ねしてまいりたいと思います。
 お配りした資料一を御覧ください。
 親族・知人訪問につきましては、この青枠部分に新たに記載されています。この部分に関しましては、昨日から数多くの質問を私もいただいているところです。
 そこで、順に鈴木外務副大臣にお伺いします。
 まず、親族につきまして、これは訪問目的を問わず親族訪問全てが認められるものと理解してよろしいでしょうか。
 次に、新たに明記された知人訪問について、この括弧内にある親族に準ずる関係が認められる者には、いわゆる国際カップルも含まれるのでしょうか、同性カップルも含まれるかも併せて御答弁願います。
○副大臣(鈴木貴子君) まずは親族に関してでありますけれども、目的を問わず入国を認め得ると承知をしております。そしてまた、この今般の緩和の対象というのは知人の部分でありますけれども、委員御指摘のように、そしてこれまでも取り組んでいただきましたように、国際カップルや同性カップルを含み得ると理解をしております。
○高橋光男君 同性カップルも含まれるという理解で、大変重要な御答弁だったかと思います。
 続きまして、資料の二の一を御覧いただければと思います。
 これも同様に昨日更新された文書でございまして、ここの、2の(2)のキは資料一と同様の記述ですけれども、ここの注釈五というのが次のページに記載されています。この部分、以前は親族のケースのみの記述でしたが、知人に関しまして、新たに、親族に準ずる関係にある者として、婚約者や事実婚関係とございます。また、訪日の必要性が認められる者として、結婚式又は葬儀に参列する者ともございます。
 では、これらの事実を査証手続においてどのように証明すればよいのでしょうか。さらに、病気の知人を訪問する者ともございますが、これを証明するには、疾患の種類を問わず、例えば医師の診断書などの提出によって認められるものなのでしょうか。
 いずれにしましても、申請に当たって特に必要とされる書類は何なのかにつきまして、明確に御答弁をお願いします。
○副大臣(鈴木貴子君) 今ほども委員からも御丁寧に御説明がいただきましたように、この知人の部分においては、この婚約者、事実婚関係といった親族に準ずる関係がある者、また、結婚式、葬儀への参列、病気の知人を訪問するといった訪日の必要性のある者の入国が認められるようになったところであります。
 これに伴いまして、本邦に居住する知人を訪問する者が在外公館にてその査証の申請をする際には、査証の申請書、旅券、顔写真、本邦に居住する知人が作成する防疫措置厳守の誓約を含めた招聘理由書、また、写真や手紙といった知人関係を証する書類などの基本書類に加えて、婚約者、事実婚関係を示す疎明資料、結婚式の招待状、葬儀参列のいわゆる案内書、案内文といったもの、また、病気の知人に関しましては、一般的な医師の診断書というものを提出をいただくこととしております。
○高橋光男君 そうした細かなこれらの認められるようなケースにつきましてはここに記載がないわけでございまして、その点につきましては、様々やはり在外の査証窓口において問われることでございますので、しっかりとこれ周知していただく必要があるかというふうに考えております。
 そして、その中で、やはりこれまで二年半近く、今こうした入国制限ともいうべきこの水際措置、水際対策というものが政府によって取られている中で、私は本当に今回のこの親族・知人訪問の緩和を決断していただいたことは政府の努力として私は多とするものでございますけれども、一方で、その長年の間大変厳しい状況に置かれた方々に寄り添った丁寧な対応というものが大変重要だというふうに考えます。
 ここで、私、週末に台湾の方からいただいた一通のメッセージを紹介させていただきます。
 今日で会えなくなって八百三十四日目です。二年半の間、政府は私たちの苦しみを考慮してくれませんでした。心が痛くて、毎日寝ることも食べることもできません。悲しいです。私たちは関係を続けようと必死に努力してきました。でも、未来を見通せないので、夏までに会えないなら別れようと思います。どうか私たちを助けてください。
 こうした方というのは珍しくありません。大切な恋人、また大切な家族と会えず、苦しんでいる方々が少なからずいらっしゃいます。そして、片方は日本人の方なんですね。政府には、水際対策がこのような残酷な人権侵害ともいうべき問題をもたらしているということを我が身に置き換えて、是非改めて認識していただきたいと思います。
 ともあれ、そうした方々のきずなを取り戻すためにも、一日の猶予もないと私は考えます。そのためには、申請現場の混乱を回避し、今回の変更を受けて新規に入国できる方が本当に円滑に入国できるようにすること、そしてそのためには在外での統一的な対応を確保することが不可欠だと考えます。
 そこで、窓口での対応や対外的な周知、広報等の対応も含めて、全在外公館に訓令を発出していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○副大臣(鈴木貴子君) まず、高橋委員のこれまでのこの本委員会におきましても継続的にこの問題取り上げていただきましたことに、私からも心からの敬意を表させていただきたいと思います。
 水際対策、政策といいながらも、当事者の皆様にとってはまさに入国制限だと、このようにも認識をしておりますし、しっかりと我々も過去からも学びを、反省をさせていただきながら次につなげていきたいなと、このようにも思っております。
 その上で、この委員会でも何度となく委員から、その広報発信、しっかりとその必要な人に届くような広報、周知に努めるべしという強く御意見、意見具申を頂戴をしていたところであります。
 それを踏まえまして、今回新たに訓令をという今御意見、御質問だったと思いますが、実は、これまでの委員の御指摘を踏まえて、既に五月の三十一日には、まずホームページ、外務省のホームページに特段の事情の緩和をしましたということの周知、加えて、それぞれの在外公館に対しまして、特段の事情のその範囲の緩和と、それに基づく査証の受理から発給までの具体的な対応について既に指示もさせていただいたところであります。
 また、その個別の手続等に差があってはならないという委員からの御指摘、大変強く重く受け止めさせていただいております。引き続き、査証発給に向けて、必要な手続、書類、個別の事情も考慮をしながら適切にかつ公平に進めていくべく、外務省挙げて取り組んでまいりたいと思います。
○高橋光男君 真摯な御答弁、本当にありがとうございます。しかしながら、これは外務省だけではできないんですね。
 そこで、副長官に是非お願いしたいのが、まさに今回の政府文書、私はこれまだまだ本当に不十分だというふうに思います。今回こうやって質疑をする中でようやく分かったこともございます。しっかりとこれ丁寧に、この政府文書をもう一度見直していただくなりして書き直していただく、分かりやすい文書にしていただくように是非御指示いただけませんでしょうか。
 そして、今、この親族、知人というのを今日は述べておりますけれども、入国ができていない方々の中には、ワーキングホリデーであったりとか、また大学に所属していない短期研究者などの方もいらっしゃいます。こうした方々の入国も是非緩和して認めていただくべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) 御指摘のワーキングホリデーを目的とする外国人の方、あるいは大学に所属しない外国人の研究者につきましても、今年の三月一日以降、日本国内の受入れ責任者が所在する場合につきましては、厚生労働省の入国者健康管理確認システム、ERFSですね、ここにおける所定の申請を完了していただければ新規入国を原則認めるという手続になっております。したがいまして、この点につきましては、商用あるいは就労等の目的での外国人の新規入国者の皆様の枠組みと異なるものではないということでございます。
 いずれにしましても、今委員からございましたように、政府としましては、今後とも、このERFSの対象となり新規入国を認められ得る方が円滑に入国することができるように周知を行ってまいりたいというふうに思っております。
○高橋光男君 是非よろしくお願いいたします。
 最後になるかもしれませんけれども、今日は開発協力大綱についてもお伺いしたいと思います。
 我が党の谷合幹事長が先般、決算委員会で質疑させていただきましたように、二〇一五年の策定以降、SDGs、気候変動条約、いわゆるパリ協定、新型コロナの発生などの開発課題や今般のロシアによるウクライナ侵略を始めとする人道危機など、国際情勢の変化を受けまして、年内改定の国家安全保障戦略において外交力の柱として開発協力を改めて位置付けた上で、ODAの拡充につながるように大綱を改定していくべきだと考えます。
 一方、私自身、前職時代に実はこの大綱の改定、実務で携わせていただきました。したがって分かるんですけれども、この改定、大変な作業なんですね。経済界、自治体、学界、市民社会、NGOと様々な関係者を巻き込んで行う必要があるというものです。地方での公聴会やパブリックコメントもしなければなりません。なぜならば、国民的な議論と支持こそが大綱には必要であって、まさに大綱の基盤となるものだと言えるからです。
 前回は発表から改定まで約一年要しました。したがって、私は、逆算をするのであれば、明年G7の議長国となる我が国としても、遅くとも来年の国連総会でのSDGsサミット、またUHC、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・ハイレベル会合までに改定ができるように、また、来年併せて改定される予定のSDGsの実施指針も併せてこの大綱の下でしっかり策定していく、こうしたことを是非今年の夏までに政府として正式に表明すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○副大臣(鈴木貴子君) 委員御指摘のように、二〇一五年にこの大綱が策定以降、本当に解決すべき開発課題というものが拡大をした、してきた、複雑化もしてきたと、このように思っております。時代に即した開発協力の在り方というものを模索するのは政府としてこれは当然のことである、また責務だと、このようにも考えております。
 そういった意味で、この新たな国家安全保障戦略の策定に当たりましても、その中において、この開発協力の在り方についてしっかりと議論をしてまいりたいと、このように考えております。
 あわせまして、その外交日程、逆算をしながら、お尻をしっかりと見据えた上で動いていくべし、おっしゃるとおりであると思っておりますし、適切なタイミング、そしてまたプロセスを検討するとともに、多様な皆さんのお声をしっかりと広くあまねく頂戴をする、企業、自治体、学識者、また市民社会を始めとする皆さんからの御意見もしっかりと頂戴をしながら、時代に即したより良い大綱作り、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○高橋光男君 開発協力大綱の改定につきましては、公明党としましても非常に高い関心を持ってフォローしていきたいというふうに思いますので、是非とも政府には鋭意検討を進めていただくよう、そしてこうした発表をしっかりとしかるべきタイミングにしていただくようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 本日はありがとうございました。

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