2022.10.27

国会議事録

令和4年10月27日 国土交通委員会

○高橋光男君 おはようございます。公明党の高橋光男です。国土交通委員会での初の質疑の機会を頂戴し、ありがとうございます。
 大臣の所信挨拶に関して、早速質問に入らせていただきます。
 まず、地域経済を支える観光の再生について大臣にお伺いします。
 所信では、本格的な観光復興の実現に取り組むとおっしゃいました。ホテル、旅館業者の本年上半期の倒産は三十八件、二年ぶりに前年同期比増加に転じました。長引くコロナ禍の中、生き残りを懸けて必死に営業されている観光業への支援は待ったなしです。全国旅行支援もその一つですが、もう一つ重要な政策に高付加価値化事業がございます。詳しくは配付資料一を御覧ください。
 これは、観光地再生に向けた地域計画に基づく宿泊施設の改修事業等を支援するものです。国に確認したところ、これまで認定された地域は百三十八、一方で、申請の半分にも満たない状況です。現場からは、一日の限られた時間で、限られた期間の間で工事を終えるのは大変困難だというお声もいただいております。
 そこで、是非、年度をまたいで計画的、継続的に実施できるよう、予算の拡充、上限額の引上げ、制度の改善充実をお願いしたいと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) この高付加価値化事業については、非常に関心が高い、そして申込みも今どんどん来ているところでございますが、資材不足などで年度内に完了しないという、そういう御不満もいただいております。
 このため、政府といたしましては、本年六月に閣議決定された骨太の方針におきまして、基金化などの計画的、継続的な支援策が可能となるよう制度を拡充すると、そういう旨、骨太の方針に盛り込んだところでございます。
 また、今月十一日に開催された観光立国推進閣僚会議におきまして、岸田総理からも、持続可能で高付加価値な観光産業の実現を目指し、総合経済対策に宿泊施設のリノベーション支援を盛り込み、取組を加速させるようにとの指示がございました。この方向でしっかり頑張っていきたいと思います。
○高橋光男君 是非、明日発表される予定とも伺っております総合経済対策にもこの事業をしっかり反映をしていただいて、長期的な支援に結び付けていただくようによろしくお願いいたします。
 続いて、外国人訪日客、インバウンドの回復についてお伺いします。
 言うまでもなく、観光立国、地方再生のためには、インバウンドの需要の回復、拡大が不可欠です。今後のインバウンドの本格的回復に向けて様々な取組を行うと大臣も所信で述べられました。そのために大事と感じること、私自身、実体験に基づいてお伝えをしたいと思います。
 先日、党のウクライナ避難民支援調査団というものから帰国した際のことです。機側、この飛行機の機側から空港ターミナルにバスで到着した際に、人がごった返していました。そこで、MySOSアプリ、これは資料二にございますように、空港検疫のために質問票等をスマホ上で入力できるものでございますが、そのインストールと登録を求める係員が大声で走り回っていました。真剣に仕事をされている係員の方を責めるつもりはございませんが、外国人は何事だというふうに見ていました。空港は国の玄関です。第一印象が重要であり、日本のイメージに直結するのではないでしょうか。
 十月十一日からの水際対策撤廃により今後インバウンド増が予想される中において、国交省がもっとリーダーシップを取り、スマートな方法やスムーズな動線の改善を図るべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(清水真人君) お答えいたします。
 MySOSは、入国時の検疫手続に必要な情報を事前登録をするもので、厚生労働省より入国者に対して利用をお願いしているものと承知をしております。日本に入国する前にあらかじめ必要な情報をMySOSで登録し確認手続を済ましておくファストトラックを利用することにより、空港での検疫手続が簡素になり、スムーズな入国ができるようになります。
 このため、国土交通省としても、日本に入国される方にファストトラックを利用していただけるよう、航空会社を通じて航空券の予約ウエブサイトや出発前の事前メールによる周知や、航空、空港内出発エリアでの日本に帰国予定のある旅客への周知に取り組んでいるところであります。また、検疫手続の実施に伴う旅客の動線を確保するため、必要な空港内スペースの確保について航空会社に協力要請を行っているほか、動線の見直しにつきましても、厚生労働省、財務省及び出入国在留管理庁と協力し、政府全体としてより円滑な入国が可能となるよう取り組んでまいります。
 国土交通省としては、引き続き、水際対策の着実な実施のため、関係省庁と連携して対応をしてまいります。
○高橋光男君 十一月からは、実はこのMySOSがビジット・ジャパン・ウエブというものに統合されることになります。これは、入国時の検疫、入国審査、そして税関申告等の手続を一元的に行うウエブサービスです。入国に必要な手続を一まとめでできることは、利便性の向上、デジタル化の流れに沿うものであり、評価します。
 しかしながら、現在、政府サイトでは、入国が十一月十四日以降の方はビジット・ジャパン・ウエブ、十一月一日から利用可、を使用してくださいとしか案内されていません。もっと丁寧な事前広報、外国人向けの諸言語での周知、旅行代理店、航空会社等への重ねての協力要請の通知発出など徹底すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(秡川直也君) 空港到着時にスムーズにいくということのためには、やっぱり日本に入国する前に検疫手続等の事前登録を行っていただくことが重要だと思ってまして、今先生御指摘いただきました、本年十一月から検疫手続の事前登録機能がビジット・ジャパン・ウエブに統合されるということで、日本に入国される方は一元的にデジタルでCIQ手続を行うことができるようになるということです。
 それで、今後のインバウンドの拡大を念頭に置きますと、やっぱり訪日外国人が特に多く見込まれる国々を対象としまして、現地旅行会社やメディアに対してこのビジット・ジャパン・ウエブの事前登録を促すという情報掲載の働きかけを行います。それから、改めて、日本政府観光局、JNTOのウエブサイトとかSNS等を利用して情報発信を行って、本サービスの普及促進というのを図っていきたいと考えております。
○高橋光男君 是非、私が申し上げた航空会社等への周知の徹底、これも併せて是非国交省一体となってやっていただきたいですし、また政府一体となったやっぱり取組が重要と考えますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、関西国際空港の再生支援についてお伺いします。
 長引くコロナ禍で疲弊した関西三空港の中で、軸となる関西空港の再生は、関西経済全体の底上げ、経済成長にとって極めて重要です。まず関空が復活し、関西に多くの旅行客が戻るようにすることが重要です。しかしながら、現状、首都圏空港に比べて関空の戻りは必ずしも堅調とは言えません。この点、国の認識と関空再生に向けた大臣の御決意をお伺いします。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 関西国際空港が首都圏空港と並んで非常に重要な空港であるという認識、これは高橋委員と同じでございます。そして、しかしながら、このコロナ、今の現時点におきまして、国際、インバウンドの戻り、関西空港が首都圏空港に比べて遅れているというのも事実でございます。
 今後、新型コロナウイルスからの回復を見据え、関西空港を始め関西三空港それぞれの特性を生かして、関西経済の底上げ、さらには関西地域の発展につなげていくことが重要であると思っております。非常に重要だという認識は同じでございます。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 率直に御決意を述べていただいたということで、本当に関西にとって重要なことでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 あわせて、神戸空港の国際化についてもお伺いしたいと思います。
 実は最近、この取りまとめがなされまして、この神戸空港につきましては、関空、伊丹空港を補完する空港として効果的な活用が確認されました。とりわけ二〇二五年大阪・関西万博に向けて、国内線は一日の最大発着回数を現在の八十回から百二十回、国際線については、国際チャーター便の運用を可能とする旨、また、定期便についても、二〇三〇年前後を基本とし、一日最大四十回とする方向で合意されました。
 地元神戸市は、まず、まずは万博に向けて国際チャーター便を受け入れられる施設の整備に取り組む意向です。具体的には、飛行機が駐機するスポットの数を増やし、ターミナルを整備します。
 そこで、まず、駐機スポットは公共インフラですので神戸市が主体で整備しますけれども、国もしかるべくこの予算面、技術面での支援をしていただくようにお願いいたします。また、いわゆる駐機場全体を拡張することになりますので、このほど空港施設の変更に必要な許可手続の申請が国交省航空局になされたと承知いたします。
 ここで資料三を御覧いただきたいんですけれども、実は、この申請を受けて、公聴会、審査、そして大臣許可が行われる流れと承知いたします。神戸市としては、できる限り早く予算化、工事着手したい意向です。大臣許可後に控えている告示、入札公示、工事、完成検査等の必要な期間を考えると、来年の六月までにこの工事に着手しなければ万博には間に合わないというふうにもお聞きしておるところでございます。
 もちろん、適正な審査が行われることが前提となりますけれども、できる限り早期に大臣許可が得られるよう是非とも御配慮いただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今の御質問にお答えする前に、先ほど関西空港のお話もございました。
 この関西三空港につきましては、将来につきましては、関西三空港懇談会という地元の懇談会があって、そこでこの三空港をどうするかという議論が行われております。その取りまとめにおいて、二〇三〇年前後を目途に、関西三空港全体で年間五十万回の発着容量確保を目指すと、国際線ですけれども、国内、国際合わせてですけれども、目指すという地元の合意の実現が、地元で合意されておりますので、その実現に向けて国土交通省としてもしっかり取り組んでいく、その中にこの神戸空港、位置付けております。
 神戸空港の国際化につきましては、この懇談会におきまして出された結論でございますので、国としても今般の地元の合意を尊重していきたいと思っております。
 神戸空港の施設整備に伴う設置許可変更、設置許可変更申請については、昨日提出がございました。引き続き神戸市とよくコミュニケーションを取りながら、空港の安全性を確保するために必要な審査を適切に実施していきたいと思っております。施設整備への支援につきましては、これから神戸市と具体的に打ち合わせてまいりますけれども、まずは技術面に関する助言等の支援、協力をしっかりと行ってまいります。
 今般の関西三空港懇談会における地元の合意を踏まえ、国土交通省としても、関係自治体とも連携し、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

○高橋光男君 ありがとうございます。
 是非迅速に行っていくことが必要だというこの切迫した今状況の中で、様々なもちろん手続がこれから行われることになりますけれども、大臣自身しっかりと御関心を持っていただいて、来年の六月にはこの工事に着手しなければいけないと。これは大臣許可が前提になりますので、そこからまた入札等を行った上ででないと着手できないということを考えると、来年早々には是非この許可がいただけるような、そうした流れで進めていただくことを強く御期待申し上げます。
 そうしましたら、続きまして、公共交通支援の方に話題を移してまいりたいというふうに思います。
 コロナ禍の二年間、例えばタクシーの売上げにつきましては、コロナ禍以前と比べて平均で約四割減と大変厳しい状況に直面しています。加えて、ロシアによるウクライナ侵略の影響によるエネルギー需給の逼迫や急速な円安の進行により、燃料価格の高騰が続いています。
 タクシーに加えまして、トラック、バス、海運、旅客船、航空会社等の各事業者の負担軽減のためにも、是非、総合経済対策においても、一月以降も燃料価格の激変緩和対策事業を延長することを是非ここで明言していただきたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(清水真人君) お答えいたします。
 地域交通は住民生活や地域の社会経済活動に不可欠な社会基盤でありますが、新型コロナウイルス感染症の影響長期化や原油価格高騰などにより、より一層厳しい状況に置かれていると認識をしております。このため、国土交通省として、特にコロナの影響を受けた令和二年度以降、赤字補填の拡充を含むコロナ対応やDX化等、これまでにない手厚い支援を行ってまいりました。
 御指摘の燃料価格対策につきましては、政府として、国民生活や企業活動への影響を最小限に抑える観点から、本年十二月末まで激変緩和対策事業を継続することとしているところであります。
 現在、九月三十日の総理指示を踏まえ総合経済対策の策定が進められているところでありますが、その中で、関係省庁と連携をしつつ、来年一月以降も必要な支援を実施できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。
○高橋光男君 ありがとうございました。
 しっかりとした政府の今の御決意を示していただいたというふうに思いますので、明日発表される総合経済対策にしっかり反映されることを期待いたします。
 続きましては、このタクシーについて、より特化したお話をさせていただきたいと思います。
 乗務員が今二割減となっているということもお聞きしているところでございまして、今需要が回復しているこの時期においてこの新規の乗務員の方々の採用を推進していくことも極めて急務でございます。つきましては、二種免許の取得に対する支援のスキームを是非立ち上げるべきだというふうに考えますし、業界からそのようなお声をいただいているところでございます。
 あわせまして、女性乗務員の雇用促進を進めていくこと、これも大変重要だというふうに考えております。そのためには、夜間走行の安全に資する運転席と後部座席の間のパーテーション、これはいわゆる簡便な防菌アクリル板などではなくて、しっかりとした仕切り板の整備に対しても補助していくことも私は有意義だというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(清水真人君) お答えいたします。
 水際対策の緩和や全国旅行支援の開始により、旅行者を始めとする移動需要の回復が見込まれる中、コロナ禍を経て減少したタクシー運転者の確保は喫緊の課題であると認識をしております。
 国土交通省においては、業界からの要望の強い二種免許取得を含めた運転者の確保、育成に向けた支援について、現在取りまとめを行っている総合経済対策に盛り込むよう検討を行っているところであります。
 また、タクシー業界において更に女性が活躍できるようにするためには、女性が安心して働けるよう、防犯面での対策を始め、女性トイレや更衣室の整備を行うなど、女性にとって働きやすい職場環境を整備することが大変重要であると考えているところであります。議員御指摘の点も含め、現場の女性運転者の声をしっかりと聞きながら、タクシー業界においても更に女性が活躍できるような環境整備の方策について取り組んでまいります。
 以上であります。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 本当に女性運転手の方の活躍って大変私、重要なことだというふうに思います。
 私、地元兵庫なんですけれども、実はお世話になっているタクシー会社の社長さんが女性の方で、その方、運転もしながら社長もされていらっしゃると。その方がおっしゃるには、まさに毎日のようにですね、女性のドライバーが襲われたりとか、夜間にですね、そういう事例がツイッターとかそういうSNSで発信されているのにすごく心を痛められているんですね。しっかりそうした安全対策を講じていくことが私はこういう乗務員の方々を確保していく上でも大変重要なことだと思いますので、しっかりと現場のお声に寄り添っていただきますようによろしくお願いいたします。
 続きまして、JRのローカル線維持についてお伺いしたいと思います。
 言うまでもなく、JRのローカル線は、地域住民の日常生活や観光交流など地域活性化には欠かせない重要なインフラでございます。
 斉藤大臣には本年五月、兵庫での宿泊、観光事業者との懇談においても、JRの地方路線を廃線にしないと心強いお言葉をいただき、感謝を申し上げます。一方で、その後、経営効率の悪い路線がマスコミに公表され、現地では、民営化されたJRが多くの地方路線切捨てやむなしの方向で進んでいくのではないかと大変危惧しています。先日、公明党兵庫県議団の皆さんとも一緒に大臣に要望させていただきましたが、その際、大臣は、七月に取りまとめられた有識者検討会報告書を踏まえて検討する旨表明されました。
 ここで、資料四にございますように、御覧いただければと思いますが、私の地元兵庫にも廃線が危惧される路線が四つほどございます。これらはいずれも通勤通学など生活に欠かせないインフラであると同時に、災害時には迂回ルートとして利用されるいわゆるリダンダンシー機能などがあり、兵庫県ではいち早く協議会が設置されたところでございます。
 このように持続的に頑張ろうとしている地域を応援していく必要があると考えます。そのため、路線維持に向けた国の関与はもちろん、国として、特定線区再構築協議会、これがこれから様々できていくことになりますけれども、こうした協議会をベースとする合意形成、合意実現に向けた支援を積極的に行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 先ほども申し上げましたが、この夏にローカル鉄道についての有識者会議の報告が出されました。
 この有識者検討会において、公共交通再構築の必要性が高く広域的調整が必要な線区については国が中心となって新たな協議の場を設置すること、それから、鉄道を維持する場合、他の輸送モードへ転換する場合のいずれの結論に至った場合においても、国として制度面、財政面から頑張る地域を応援すること等の提言がなされたところでございます。
 これを受けまして、次期通常国会への提出も視野に法改正の検討を進めるとともに、協議会の開催、現状の分析、実証事業の実施等を通じまして、関係者の合意形成に取り組む、取り組もうとする地域や、合意に基づき実際の公共交通再構築の実現に向けて財政支出を含めて本気で取り組もうとする地域に対する支援の在り方について政府部内で調整を進めているところでございます。
 兵庫県におきましても、JR西日本と沿線自治体のメンバーが各路線ごとの活性化策を話し合う新たな協議の場が設けられましたが、こうした前向きな取組が各地域で進むよう、まずは実効性ある仕組みづくりにしっかり取り組んでいきたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 本当に非常に地元では関心の高い事項でもございます。これはもう全国的な課題でございますので、しっかりと大臣のリーダーシップに御期待申し上げます。
 特に、私は過疎化防止の観点からもこれは本当に大事なことだというふうに思っています。お配りしたもう一枚の資料があるんですけれども、北部の山陰線というところがございまして、この地域は、資料四の二にございますように、実は基幹道路すら今未整備なところでございまして、整備されるのは令和十年度以降のところもございます。高速道路もないと、JRまで廃線されるということになれば、そんな地域に人がとどまり続けることはできるでしょうか。観光客が来るでしょうか。国による積極的関与や支援が重ねて重要だということをここで強調させていただきたいですし、是非よろしくお願いいたします。
 続きまして、防災・減災に関して伺ってまいりたいと思います。
 もう二年前になりますけれども、令和二年七月豪雨を受けて、私は、災害真っただ中の七月九日、内閣委員会で、熊本県球磨村千寿園での被害を受けて、円滑に垂直避難ができるようにするための設備整備に必要な経費の補助を求めるとともに、新規の施設建設についてはより安全な場所に絞るといった対策を講じるべきと要請をさせていただきました。
 その後、国は、垂直避難施設整備を進めるための新たな支援スキームを創設していただきました。以来、資料五になりますけれども、整備が進められているところでございます。御覧のとおり、これ防災・減災、国土強靱化五か年加速化対策の中でも目標を定めて行っておりますけれども、件数を見ると、これ一千百七十五を目標にしているんですが、今のところ整備されている、この支援によって整備されたところは、百六十二件という形で大変低調にとどまっておるところでございます。
 そこで、ハード、ソフト面、両面において施設利用者の避難の実効性を高めるための取組とともに、しっかりとこの関係省庁協力の下でこれ進めていく必要があるというふうに考えますけれども、御見解をお願いいたします。
○政府参考人(斎須朋之君) お答え申し上げます。
 高齢者施設等の水害対策の強化といたしましては、令和二年七月より高齢者施設等における水害対策の支援メニューを創設いたしました。垂直避難用エレベーター、スロープ、避難スペースの確保等の改修工事等に対して補助を行っておるものでございます。令和二年度五十九事業、令和三年度百三事業ということでございます。
 これに加えまして、地域医療介護総合確保基金を活用した高齢者施設等の整備につきまして、令和三年度より、原則、災害レッドゾーンにおける新規整備を補助対象外としたほか、今年度より、災害レッドゾーンに立地する老朽化した広域型施設の移転建て替え支援などの取組を行っているところでございます。
 こうしたハード面に加えまして、ソフト面におきましても、令和三年度介護報酬改定におきまして、高齢者施設等に対して業務継続計画、いわゆるBCPの策定を義務付けております。その上で、介護職員向けの防災研修の実施でありますとか、防災相談窓口の設置等に対する支援も行っているところでございます。
 高齢者施設等の水害対策を推進していくに当たりましては、各地域それぞれ御事情がございますので、この国の支援を一層活用していただけるように地方自治体に働きかけていくことが重要だと考えております。この防災・減災、国土強靱化五か年加速化対策の目標を達成するために、様々な機会を捉えて働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 こうした取組も含めまして、今後とも関係省庁としっかり連携して、ハード、ソフト面、両面から取り組んでまいりたいと考えております。
○政府参考人(岡村次郎君) 国土交通省の取組についてお答え申し上げます。
 高齢者施設において大雨の際に円滑かつ確実に避難を行うためには、各施設の水害リスクに対応した的確な避難確保計画を作成するとともに、災害時の状況を想定した訓練、これを行うことが重要でございます。
 令和二年七月豪雨で人的被害が発生しました高齢者施設では避難確保計画が水害に対応したものになっていなかった、こういったことを踏まえまして、令和三年五月に水防法及び土砂災害防止法を改正をし、市町村が避難確保計画や訓練の内容を指導する枠組みを強化いたしました。また、国土交通省では、避難確保計画の作成・活用の手引きというものを作ってございますが、この内容の改定や研修などを通じて高齢者施設や市町村を支援しているところでございます。
 引き続き、高齢者施設において実効性のある避難体制が確保されるよう、これらの支援を継続し、関係機関とも連携しながら高齢者施設の利用者の安全確保の取組を進めてまいります。
○高橋光男君 それぞれありがとうございます。
 まさに、高齢者施設だといってもやはり国交省もしっかりと関与していただかなければいけないということで、ハード、ソフト両面についてしっかり支援していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、地方自治体の技術職員の不足の解消についてお伺いします。
 本年の四月、地方創生・デジタル社会形成特別委員会の場でも取り上げさせていただきました。総務省は令和二年度から復旧・復興支援技術職員派遣制度を実施していますが、まだまだ十分な実績がございません。そこで私が提案させていただいたのは、資料六を御覧いただければと思いますけれども、公明党が推進して導入されました気象防災アドバイザーの例がございます。これを参考にして、技術職員のOB、OGを活用して、平時においても助言等をいただく、有事の際には応援業務を担っていただくような委嘱制度を国交省と総務省が連携して構築していただきたいと要請させていただきました。その際、国は、OB、OGの活用を有効な方策と認め、関係省庁や自治体とも連携、対応策を検討する旨答弁しました。その後、公明党としても、来年度予算の概算要求に向けた提言においても重点要望をさせていただいたところでございます。
 特に、平時の技術職不足解消は喫緊の課題です。現在、市町村におけるニーズ調査を両省連携の下で行っていただいていると承知しますが、好事例の周知徹底といった従来の取組にとどまらないもう一歩の努力が必要と考えます。是非、調査結果を踏まえて、大臣のリーダーシップの下で具体化できるよう検討を進めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。総務省と併せて、それぞれ御答弁願います。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) まず私の方から答弁させていただきます。
 自然災害が起きたとき、それから、今老朽化が、大変各インフラの老朽化が進んでおります。それらへの対応と、地方の役場で技術職員が不足しているという声、私も地方を回ったときに本当に各首長さんからお聞きするところでございます。そういうところへの技術的支援を進めていくことが非常に重要だと思っております。
 この認識の下、まず災害発生時でございますけれども、テックフォースによる支援、それから、国や地方公共団体のOB、OGも登録されている災害復旧技術専門家派遣制度の周知など行っていきたいと思っております。
 また、平時ですけれども、一つは、国の研修への地方公共団体職員の参加の呼びかけ、それから二番目に、産学官民で構成するインフラメンテナンス国民会議を活用した地方公共団体の課題解決の支援など行っているところでございます。
 議員御指摘の技術職員のOB、OGの活用については、現在、都道府県に対して、市町村への支援状況や市町村からの支援ニーズに関する調査等を総務省とも連携しながら実施しているところでございます。今後、検討を加速させるため、総務省と連携した検討体制を速やかに構築し、一定の方向性を出すべく検討を進めてまいりたいと思っております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 しっかりとこれ、国交省としても、総務省が既に制度あるわけですけれども、この両省の連携の下で進めていくこと、大変重要だというふうに思います。
 気象防災アドバイザーの例も既にかなりの実績を積み重ねて、短期間で、いるところでございまして、様々な雇用形態とか難しい点はあろうかというふうには思いますけれども、是非国交省としてこれリーダーシップを取ってやっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、技能者の育成支援につきましてお伺いします。
 先日、地元のある左官業者から、若年技能者等への実技指導などを支援する国事業の予算削減に対して懸念のお声をいただきました。実際、コロナ禍により、この二年でこの事業の予算は約半減しています。実際これ、令和二年では三十五億円程度だったのが、この令和四年度の予算では二十億円弱ということを聞いております。
 このため、例えば兵庫県では三十七団体が参加する技能グランプリ・フェスタというものがございまして、これ資料の一番最後に付けさせていただいておりますけれども、国の予算が削減されたため、この右側にございますものづくり体験コーナー、これが縮小されて、貴重な子供たちへの体験の場が奪われているところです。
 ポストコロナ社会が見えてきた今こそ、この物づくりの現場のこれからを支える若年技能者育成のための予算を十分に確保していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
 建設業を始めとする物づくり産業におきましては、就業者が減少するとともに、高齢化が進む中、担い手の確保、育成は重要と認識してございます。
 厚生労働省におきましては、若年技能者人材育成支援等事業などを通じまして、物づくりの魅力を伝えることや技能尊重の機運醸成を図るとともに、若年技能者の技能向上のために、ものづくりマイスターによる実技指導を行っているところでございます。
 御指摘の事業の予算額につきましては、新型コロナウイルスへの対応等のため、ここ二年削減せざるを得なかったところでございますが、若年技能者の確保、育成は継続的に取り組んでいくことが重要であると認識しており、令和五年度の予算編成におきましては必要な予算の確保に努めてまいります。
○高橋光男君 実はこの予算の元になっているのが雇用特別会計と、いわゆる雇用調整助成金等ですね、そういうものにも使われている予算が元になっているというように伺いました。離職者対策のためにそうした予算をそちらに向けざるを得なかった背景はよく分かりますけれども、やはり私は、先ほど申し上げたように、ポストコロナの今光が見えてきた、だからこそ、こうした貴重な物づくりの体験できる場をやっぱり奪ってはいけないというふうに思います。
 また、地元の中小建設業者からは、この技能者をやはり失えば事業自体が成り立たなくなるんだというような懸念のお声もいただいています。その点、若手の技能者にとって希望が持てる職業としていくこと、これ、先ほど、大臣は建設業四団体の代表とも定期的に直接意見交換を行っているというふうにもお伺いしましたけれども、また、あわせて、設計労務単価も十年連続引上げを行っていると、こうした賃上げ等の取組もやっているということをお伺いしましたけれども、やっぱり若い方たちが希望を持ってこうした職業に就けるような取組というのは大変重要だというふうに思いますので、是非官民一体となった取組を政府全体で進めていただくようにお願いいたします。
 そして、恐らく最後になるかもしれませんが、知床遊覧船を受けての救助・救急体制強化等の推進についてお伺いしたいと思います。
 この事故の対策検討委員会による最終取りまとめ、これ本年中に行われるというふうに承知いたしますけれども、事業者の安全管理体制、監査・行政処分の強化など、中間取りまとめで示された改善事項はしっかりと行っていただきたいと思います。
 一方で、有事の際の救助・救急体制の強化も併せて重要と考えます。特に、北海道東部地域ではこれまで海上保安庁の体制が手薄だったことは否めませんので、しっかりと強化していただくようお願いいたします。
 もう一点は、実は平時においても、例えば海保の船員の健康相談等を広域で充実化していくに当たっては、ICT技術を活用していくことも可能と考えます。この点、国内には、実はICT技術を活用して遠隔で必要な集中医療やこの健康相談サービス等を提供できるスタートアップ企業が既にございます。
 つきましては、こうした技術等を活用していくことでこの体制強化を図ることは、広い意味でやはり私は重要だというように思いますし、また、岸田政権が重視するそのスタートアップ企業支援にも私は資するものだというふうに考えますので、是非有意義な取組だというふうに思いますが、いかがでしょうか。海上保安庁お願いします。
○政府参考人(石井昌平君) お答え申し上げます。
 海上保安庁では、北海道東部地域における救助・救急体制の強化を図るため、釧路航空基地のヘリコプター増強及び機動救難士の新たな配置、オホーツク海域に面する部署への大型巡視船の配備などにより、救助・救急体制の強化をしたいと考えております。このため、令和五年度予算概算要求におきまして、これらの強化に必要な予算十・三億円、定員十九人の増員を要求しているところであり、予算、定員の確保に向けしっかりと取り組んでまいります。
 また、海上保安庁では、職員の健康相談などのため、各海上保安部などに健康管理医を置いているほか、管区海上保安本部などに看護師などの資格を有する職員を配置することにより、福利厚生の充実化を図っております。
 海上保安庁といたしましては、委員御指摘のICT技術の活用も含め、引き続き、巡視船乗組員など職員の更なる福利厚生の充実などを図るべく、所要の検討を進めてまいります。
○高橋光男君 残りちょっとだけありますけれども、是非空き家対策について手短にお答えいただきたいと思います。
 現在、国の補助は、自治体負担があるために、厳しい財政状況の中では、民間側から使い勝手が悪いというようなお声をいただいているところでございます。
 空き家を活用したモデル事業の企画提案等を支援する直接支援なども行っていただいていると承知いたしますが、必ずしも十分とは言えない状況の中で、既存支援の柔軟化、好事例の横展開等を支援すること、大変重要かというふうに考えますが、最後にお願いいたします。
○政府参考人(塩見英之君) お答え申し上げます。
 国におきましては、空き家の利活用を促すためのモデル的な取組を直接支援をさせていただいておりますけれども、国が直接支援をしております都合上、その成果につきまして必ずしも市町村等の施策に十分反映されていないという点がございますので、先生からの御指摘を踏まえまして、今後、市町村の空き家の活用施策の充実につながりますように、国の支援をいたしました様々なモデル的な取組を自治体に横展開できるような取組を進めてまいりたいと思います。
○高橋光男君 時間が参りましたので、以上で終わります。
 ありがとうございました。

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