2023.02.15

国会議事録

令和5年2月15日 外交・安全保障に関する調査会

○高橋光男君 本日は、三人の参考人の皆様、大変貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
 時間限られていますので、本日は佐野参考人、また鈴木参考人に、今日、赤松先生の方から冒頭ございましたG7の成果について、もう少しちょっと踏み込んだお話をちょっとお伺いしたいというふうに思っております。
 二点ございます。
 一点は、実際そのG7の首脳間で何を合意するのかという、その文章上といいますか、声明上ですね、どのような文面をやはりイメージできるのかという点でございます。もう一つは、済みません、実際その対話の枠組みというものを、今後、その拡大抑止の議論とともに緊張緩和のために必要だという鈴木参考人御指摘ございましたけれども、これをどのように具体的に進めていくのか。この二点についてちょっとお伺いしたいと思います。
 一点目につきましては、特に私は、被爆の実相に触れていただいて、例えば広島の平和記念資料館を訪れていただき実際そういった被爆者の話を伺っていただいて、その上でその首脳がどのような決意をそこで示すのかということですけれども、やはり、一つやはりキーとなるのは私は核兵器の先制不使用の、禁止、この点だというふうに思っております。
 その中で、例えば、今P5の方では昨年一月にこの宣言がなされたわけですね、核兵器は絶対使ってはならないということでございますので、少なくとも、米仏英、ここの国についてはそこは合意がある。その中で、その後、ロシアがこれをほごにするような核の恫喝というのをやっているわけですけれども、一方で、中国、またさらにインドも、先制不使用というのは大体、もうしないということを宣言しているような国があって、やはりこのG7の場でこのことをより一歩踏み込んで宣言ができれば、私はロシアに対しても一つの牽制になるのではないかというふうに思っています。
 場合によっては、先ほど佐野参考人がおっしゃられたように、CISとかBRICSの関係国ですね、を例えばG7のアウトリーチの会合みたいなふうにして呼んで、核兵器の議論だけじゃなくて、ウクライナ危機をどのように乗り越えていくのかということについて議論する場としても、そういうようなことを議論してもいいんじゃないかなというふうに思っておりますので、そのような考え方についてどのように思われるかについて御忌憚のない御意見をお伺いできればというふうに思います。
 二点、それぞれよろしくお願いします。
○会長(猪口邦子君) それでは、佐野参考人からどうぞ。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。
 G7ですから、核軍縮にとどまらず様々な議論をすると、やはりウクライナ、それから東アジアにおける情勢というのは議論されると思います。私、直接絡んでないから何が今どう動いているかということを申し上げられませんけれども、常識としてそういうことなんだろうと思うんですね。ですから、安全保障の問題と同時に核の話も出るでしょう。
 そこで、先制不使用をG7でという御提案でございますけれども、私、先ほど申し上げましたように、先制不使用も含めた宣言政策には無理があると思います。なぜならば、検証できないから、そしてそのときのリーダーの意思によって幾らでも変わり得るからですね。かつてソ連が先制不使用というのを言ったことがありますけれども、それを撤回した経緯もございます。簡単に撤回できちゃうんですね、そういう言葉だけの約束というのは。そういう言葉だけの約束に国の安全保障を懸けることは、私は不適当だと。したがって、今回のG7の会合で先制不使用について議論するということはまずないんじゃないかと思いますね。そういう考え方、そういう希望を持たれているということは重要ですけれども、私は現実的じゃないと思います。
 それから、あれですか、拡大抑止と同時、抑止と同時に対話を進めていくと、どういう形でやるかということは先ほど申し上げましたけれども、つまり中身についてじゃなくてどういうふうな形でアメリカにということだと思いますが、アメリカとの間では拡大抑止協議もありますし、2プラス2という形で外務大臣、防衛大臣間の協議もあります。それから、かなり頻繁に首脳会談も開いておりますので、そういう中でグローバルなイシューというのは当然議論されるわけですね、日米間だけではなくてグローバルなイシューというのはありますので。まあ、当然安全保障の問題が出てくると思いますので、そういうところで中国との対話の重要性というのを日本が強調できたらと、望ましいなというふうには考えます。
○会長(猪口邦子君) それでは、鈴木参考人、どうぞ。
○参考人(鈴木達治郎君) ありがとうございます。
 核戦争は絶対戦ってはならないというのは是非文言に入れていただきたいと思います。でも、それだけでは私は不十分だと思うんですが、今回G7なので核保有国が三か国しかないので、先ほどちょっと申しましたが、気候変動とかパンデミックとか、今地球が直面している人類にとって重要な課題というのが、共通の課題がありますけれども、それと核軍縮を結び付けて、これ持続可能性というさっき言葉で表しましたけど、要するに、人類が直面している危機にG7が団結して闘うという、協力してやるという、そういう宣言の中に核リスクを入れていただいて、核兵器問題についての認識の広がりをしていただきたい。そのためには、広島で行うわけですから、広島に是非各国の首脳に来てもらうという宣言、それも是非中に入れていただきたいなと。
 それから、ちょっと今日は議論になっていませんでしたけど、実は、私の専門の原子力施設への攻撃ですね、ウクライナの問題について言えば。これも、戦争になったときに原子力施設への攻撃を全面的に禁止するという、そういう合意も是非入れていただければと思います。
 以上です。
○高橋光男君 ありがとうございました。

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