2023.02.22
国会議事録
令和5年2月22日 外交・安全保障に関する調査会
○高橋光男君 公明党の高橋光男と申します。
本日は、三名の参考人の皆様に貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。
あさってでロシアによるウクライナ侵攻から一年がたちます。そうした中において、我が国が今世界が直面しているこうした危機をどのようにして乗り越えていくのか、そのことが本当に今問われている状況の中で、我が国としてどのように関わっていくべきなのか、そのことを議論するためのこの調査会の場であり、新しい国際秩序を構築していくための方途を考えていく場としていきたいなというふうに私自身も考えているところでございます。
今日お話ありました地雷除去のお話も、私、公明党の地雷対策プロジェクトチームというのの事務局長をさせていただいておりまして、元々、前職外交官をさせていただいた際に、アンゴラで私仕事を始めて、二十七年間内戦した国で、ここにも実は、先ほど永井先生がおっしゃられた日建さん、当時、山梨日立さんという会社で地雷除去機、雨宮社長にも現地でお会いして、今協力も日本が進めてきているところでして、地雷除去のみならず、不発弾処理、またさらには、目加田先生からございました地雷回避教育、さらには犠牲者支援、こうしたことをパッケージで日本がやっていくべきだというふうに思っております。
なぜならば、ウクライナというのは非常に食料生産国でもあり、そうした様々、国土が地雷で汚染されていれば開発、復興というものが進まないわけでございまして、世界の食料安全保障にとっても大変重要な課題だというふうに思っておりますし、これから日本としてしっかり関わっていくべきだというふうに思います。
そのように申し上げた上で、先ほどもう様々議論がございましたので、私はちょっと全体的なお話として、まず、目加田参考人と土井参考人にお伺いしたいんですけれども、今回のこのウクライナ危機において、前々回の調査会でも私質問させていただいたんですが、国際法の観点からそのときは聞いたんですけれども、ロシアによる様々な戦争犯罪、また人道に対する犯罪、また集団殺害、ジェノサイドですね、こうしたものに対する、が問われているわけですけれども、そうしたものに対して、非常に、不処罰、いわゆるインピエンティーの問題、この問題を本当に乗り越えていかないといけないというふうに思っています。
なぜならば、規範、すなわち条約とか公約とか、そういうようなものを国際間で作っても、それを破るような、ロシアのような国が出れば、本来もっと責任を負うべき安保理常任理事国のようなこうした国が言わば異端国家みたいになっているわけでして、そうした国に、他国、独裁国家等が追随していく可能性があると、それを非常に私は恐れるからでございます。
すなわち、このルールブレーカーに対する対応、国際秩序を立て直していくためにはどのようにすればいいのか、この点についてお二人の御所見をお願いします。
○会長(猪口邦子君) それでは、目加田参考人からお願いします。
○参考人(目加田説子君) ありがとうございます。
非常に難しい問題でして、多分ここで数分の答弁で私が何かお答えになるようなことを申し上げることは非常に難しいかなと思うんですが、これまでのこの戦争犯罪を犯してきたリーダー、例えば、ぱっと思い浮かびますのは、旧ユーゴスラビアのミロシェビッチですとか、の裁判につきましても二十年あるいはそれ以上の年月を掛けて、つい昨年ですか、ポル・ポトの当時の幹部の判決が去年終わったところでございますけれども、戦争犯罪を裁くということは簡単ではないですし、そのとおり、ルールブレーカーをどういうふうに処罰していくのかということについてはすぐ答えを持ち合わせておりませんが、もうパーシスタントリー、もう執拗にですね、絶対に最後の一人まで逃さないという姿勢を国際社会が団結して貫いていくと、それは法の支配できちんと裁くということを徹底するということが一つ大事なのではないかなというふうに思っております。
それを実践してきたのが、例えば旧ユーゴスラビアの国際法廷であったり、あるいはルワンダもそうですし、カンボジアもそうですし、実践してきて、今はCICC、ごめんなさい、ICCという国際刑事裁判所がございますので、幸いにでもですね、なことに、昨年、そういった戦争犯罪と人道に対する罪というようなことが疑われて以降、ICCの、国際刑事裁判所の検察官などが現地に入ってかなり証拠の保全というものは進めているというふうに理解しておりますので、そういった姿勢は、国際社会が、これは思想とか、あるいは、何というんでしょう、イデオロギーとは関係ない部分で、徹底的に人道主義というのを貫きながら団結して立ち向かっていくという必要があるのかなというふうに考えております。
以上です。
○会長(猪口邦子君) それでは、土井参考人。
○参考人(土井香苗君) ありがとうございます。
非常に大きな問題にまた短く答えるのが難しいんですけど、ちょっと三点だけ話させていただければと思います。
人権の中でも、特にアカウンタビリティー、まあ人道に対する罪、戦争犯罪等の国際犯罪に関するアカウンタビリティーを確保する方法についての御質問というふうに伺いました。
三点としましては、一つは、ICC、国際刑事裁判所の強化というものが必要だと考えております。今回、このウクライナ侵攻によりまして、ICCへの世界的な支持というものが、あと注目というものが高まっております。日本は非常に大きな財政的な拠出国、まあ日本第一位だと思いますけれども、ICCに関して二つ重要なことがあると思っています。
まずは、財政的な支援というのは非常に重要でして、予算を毎年加盟国会合で決めているんですが、ここで非常に、削るとか、マイナスになって、実質的なマイナスになるとか、そういったことに向けての強いプレッシャーがあることが多いです。なので、日本におかれましては、是非、ICCの必要な活動へのお金を付けるという考え方で是非とも世界的な交渉をリードしていただきたいと考えています。
もう一つは、政治的な支持ですね。ICCは、世界中様々なところで起きる国際犯罪に対して普遍的な立場で立ち向かうことが必要になっております。こうしますと、今回はロシア等が標的ですけれども、例えばアメリカ等が問題になることもございます。こういったときに、また、その問題になった国から、あるいはイスラエルとかもそうなんですが、いろんな国からICCに対して政治的なプレッシャーが掛かります。ここで、日本としては、どこの国、そういった政治的なプレッシャーではなく、やはりICCというのは原理原則に基づく組織であるという立場からのICCへの支持というものを揺るぎないものに今後ともしていっていただきたいというのが、二つ、ICCに関しての要望になります。
さらには、私の十項目の提案というのを挙げさせていただいたんですけど、このICCは、非常に重要なんですが、本当に数限られた特に責任のある人を裁くという目的のために設立されたものでして、その他の関係者を野放しにするということではやはり国際的な秩序というのは保たれないと考えます。
そこで、十項目のうちの三と七が少し本件に関係するんですけれども、七、普遍的管轄権、ユニバーサルジュリスディクションと申しますけれども、やはりICCで裁ける犯罪、加害者には非常に限りがありますので、なるだけその他の場所でも、日本を含め、例えば日本であれば北朝鮮の犯罪とかいろいろ、ミャンマーの犯罪とかも関連性がある土地でありますので、被害者たちも日本にいたりしますので、普遍的な管轄権というものを日本を含め世界中で行使していくということが非常に重要であるというふうに考えています。
あと、三番ですね。いわゆるマグニツキー法、人権侵害制裁法ですけれども、これも国際犯罪などの深刻な犯罪を犯した個人に対して金融等の、金融やビザの制裁を科していくという法制でして、多くの欧米諸国が既に制定しているものでありますので、今回のG7議長国に向けて日本でもしっかり制定していく必要があるのではないかということが国際的な世論として高まっておりまして、日本が抜け穴として利用されないように、こういった方向からも一貫した国際法の遵守というものを日本政府に指示していただきたい、そこを是非皆様の政治の力で実現していただければというふうに希望しております。
ありがとうございます。
○高橋光男君 残り時間少ないですけど、最後に羽場参考人に手短にお伺いしたいんですけど、資料に国連と結んでこのアジアとアフリカの平和と繁栄をということを述べられて、私もすごく大事なことだというふうに思うんですけれども、今機能不全となっている安保理を始めこの国連をどのように立て直していくのか、この件について御所見をお願いします。
○参考人(羽場久美子君) ありがとうございます。貴重な問題提起ありがとうございます。
先ほどのロシア・ウクライナ戦争とも関連するんですけれども、今G7については基本的にその二つの戦争についての方向性は一致していますけれども、G20、先ほど、昨年はインドネシア、それから今年はインドになりますけれども、この間、三週間、国連とインドとそしてASEANの国々を回って、かなりその温度差が違うように印象を受けました。
ASEAN、それからインドの国々、あるいはインドが今非同盟としてアジア、アフリカをまとめようとしているときに、ロシア・ウクライナ戦争については可能な限り早期の停戦、停戦によって戦後処理をきちんと客観的に行っていくというようなことを言っておりますし、これはグテーレス事務総長も今停戦に向けて動こうとしています。なおかつ、私はヨーロッパの専門でもありますけれども、マクロンやショルツも含めて、まずは停戦、そしてそこからその両者を公平に裁いていくというようなことが提言され始めていますので、G7に加えてG20、それから国連とも結びながら、いかなる方向で平和をつくっていくかということは併せて考えていかなければならないのではないかと思います。その国連が現在機能不全に陥っているというようなお話もありましたけれども……
○会長(猪口邦子君) まとめていただければ有り難いです。
○参考人(羽場久美子君) はい。
それがアジア、アフリカとの話合いの中で調整されることを期待しております。
ありがとうございました。
○高橋光男君 以上で終わります。ありがとうございました。