2023.03.06

予算委員会

令和5年3月6日 予算委員会

○高橋光男君 公明党の高橋光男です。
 本日、予算委員会での質疑の機会をいただき、感謝を申し上げます。
 早速質疑に入らせていただきます。時間限られておりますので、簡潔かつ的確な御答弁をよろしくお願いします。
 ロシアによるウクライナ侵略から一年がたちました。現在、世界が直面する最大の人道上の危機に我が国としてどう対処していくのか、目下最重要の外交課題の一つと考えます。
 そこで、まず総理にお伺いします。
 公明党は、先月二十一日、政府に対し、身寄りのないウクライナ避難民への生活費等の支援延長を申し入れました。これを受け、政府は一年延長を決定しました。是非きめ細やかな支援の継続をお願いします。そして、身寄りのある方々への支援も国が主導していくべきです。また、受入れ自治体は、財政支援、通訳の確保、就労、教育支援等を国に求めています。是非、自治体に丸投げせず、国の責任で行うことを求めます。
 一方、昨年春の決算委員会でも求めさせていただいたように、他の紛争避難民、すなわちアフガニスタン、シリアなどからの避難民への公平な支援も重要です。このうち、特にアフガン避難民のみに対し在留資格の更新時に身元保証人の支援を求める要件、これは撤廃していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) ウクライナ避難民の方々へのきめ細やかな支援、これは重要なことです。御党の提言にもあった身寄りのない方々への生活費等の支給期間を一年間延長することといたしました。委員御指摘のとおりであります。そして、身寄りがある避難民のニーズを踏まえた必要な支援も引き続き実施をし、政府全体でウクライナ避難民の方々に寄り添った受入れのための生活、就労、教育等の支援を行ってまいります。
 さらに、ウクライナ避難民以外の方についても、本国事情等を踏まえ、人道上の配慮が必要と認められる方については適切に対応してまいります。

 そして、アフガニスタンの方からの在留期間の更新については、入管庁において昨年十二月に身元保証書の提出を求めない、取扱いを見直しており、この取扱いを徹底するとともに、関係者の方々に対してしっかりと周知をしてまいりたいと考えています。
○高橋光男君 是非、我が国に定住を希望する紛争避難民が自立して生活ができるような包摂的な支援の継続をお願いするとともに、公明党としましても、国と地方議員の連携でお支えしてまいります。
 次に、ウクライナ復興のための日本の支援についてお伺いします。
 現地の松田大使からは、特に我が国の戦後復興の経験、知見への期待が大きいというふうに聞いております。この点、現在実施中の地雷除去支援等に加えて、戦後の復興、そして阪神・淡路大震災や東日本大震災で培った創造的復興の経験を我が国として提供すべきと考えます。
 また、戦禍の長期化に伴い、ウクライナ国内や周辺国に避難した児童への精神的なケアを含む教育支援も急務です。具体的には、紛争国での教育支援を専門とする国際基金であるECWへの我が国初の拠出、また、私自身も現地で要望を受け、総理と外務大臣に直接申入れをさせていただきましたが、隣国ポーランドのようなODA卒業国においても、避難民児童の学びを支えるための二国間協力など、ウクライナの未来を担う子供たちへの支援を拡充すべきです。御所見をお願いします。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 復興に関する知見共有については、既にウクライナ側との間で東日本大震災からの復興の経験を共有するオンラインセミナーを開催するなどしてきておりますが、引き続き日本側の幅広い関係者が連携した協力を進めていきたいと考えています。

ウクライナ及び周辺国等に避難した子供の精神的ケアを含む教育支援は重要であり、これまでも日本のNGOやユニセフ等の国際機関を通じた緊急人道支援、これを実施してきております。今後、ECWを含め、各機関の特性を考慮しつつ、効果的な教育支援について引き続き前向きに検討していきたいと思っています。
 公明党調査団から提言があったODA卒業国への無償資金協力については、避難民を多く受け入れているポーランドへの支援が可能となるよう、今般新たに整理を行いました。協力の具体的な検討を進めてまいります。
○高橋光男君 最後の部分大変重要でございまして、ポーランドというのはEUの国でございますので、この途上国指定をする、そして二国間の協力を可能にするというのは、これは私が知る限り初めてのことではないかというふうに思います。しっかりとした二国間協力も実施していただくように、林大臣にはよろしくお願いいたします。
 そして、続いて、日本の学生たちへの支援について永岡文科大臣にお伺いしてまいります。
 先月、公明党学生局としてQカレという懇談会を通じて得た声を踏まえた提言を大臣にお渡ししました。配付資料、そしてこちらのフリップを御覧ください。(資料提示)写真は、そのときの模様と学生たちの主な声をまとめたものです。
 まず、上の二つについて、第一に、高等教育無償化の拡充を求める声、給付型奨学金、授業料等減免を中間所得世帯まで拡大してほしいとの声がありました。
 この点、先般、衆議院での公明議員の質問を受けて、総理は、来年度から多子世帯や理工農系の学生などの中間所得層への対象拡大を行う方向と答弁されました。大事なのは、それで満足しないでいただきたいということです。ここに記載のように、芸術や医療系の専攻をする学生の負担もとても大きいんですね。是非、今後、御配慮をお願いいたしたいと思います。
 もう一つは、留学費用の負担軽減です。
 こちらも給付型奨学金を充実してほしいと伺いました。コロナ禍で留学を断念した学生も多く、最近は円安による負担増も大きいです。是非、希望すれば留学できるように、国費及びトビタテ!留学JAPAN等の給付型奨学金を充実していただきたいと考えます。御答弁をお願いします。
○国務大臣(永岡桂子君) 高橋委員にお答えいたします。
 先日、二月の二十一日だったかと思いますけれども、御党の学生局の皆さん、高橋先生が先導いただきまして大臣室まで来ていただきまして、そこで提言書をいただきました。そこに記載のあった学生の声も拝見いたしました。本当に、困難を抱える学生であっても、経済的な状況にかかわらず、本当に修学の継続ですとか留学を後押しすることが重要と改めて思いを強くした次第でございます。
 給付型奨学金等につきましては、令和六年度から多子世帯や理工農系の学生等の中間層に拡大することとしております。また、貸与型奨学金の減額返還制度につきましても、これは、子育て等のライフイベントを踏まえまして、柔軟に返還できますように制度の見直しを進めているところでございます。
 海外留学の支援につきましては、国費によります留学支援において、大学生向けでは、支援対象の人数の拡大ですとか、また、円安などへの対応といたしまして、新たな渡航支援金の給付をしたりしております。また、高校生向けも短期留学のプログラムの支援拡充を進めるとともに、官民協働のトビタテ!留学JAPANの第二ステージ、これを高校生の派遣を拡大して来年度から開始をしたいと考えているところでございます。
 今後とも、意欲ある学生らの後押しができますように、教育費の負担軽減に努めてまいります。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 続いて、通信制大学生への就職活動支援についてお伺いします。
 いわゆる通教生の数は、コロナ禍を受けて増加したとの国の統計もございます。彼らが就職活動に当たり、大学のキャリアセンターが活用できない、また、通学生と比べてレポートの提出以外アピールできる点が少なく、面接時に大変苦しいといったような声をもらいました。
 是非、国として、大学の通教生の就活支援について実態を把握していただくとともに、改善していただきたいと思います。
 また、就活に臨む通教生への配慮事項を記した通知を経済界に発出していただけないでしょうか。
○国務大臣(永岡桂子君) 先生御指摘の通信教育課程に通う学生さん、通教生と申し上げてよいのかと思いますけれども、その方々の就職活動につきまして、必ずしも十分に実態を把握できていないために、まずは、通教生の特有の課題がどういうものであるかということをまず確認をしてまいりたいと考えております。
 その上で、通教生が抱えます課題を大学と情報共有をいたしまして、関係省庁から経済界に出す学生の就職活動に対します要請文に通教生の特徴を踏まえたこれは配慮事項を盛り込むことを検討するなど、就職を望みます学生さんに寄り添った対応、これを努めてまいりたいと考えております。
○高橋光男君 是非よろしくお願いします。
 次に、不登校児童生徒への支援についてお伺いします。
 昨年度、小中学校における不登校児童の数は二十四万五千人を超え、過去最多になっています。多くの子供たちが学校の学びから置き去りにされている事実は、教育の根幹に関わる大変憂慮すべき状況だと考えます。
 昨年十二月、今年一月と、公明党は二度にわたり、子供の多様な学びの機会充実のための提言を行いました。これを受け、永岡大臣は不登校対策の抜本強化のための計画作成を発表され、今年度内に取りまとめる方向とも承知しております。
 この点に関しまして、高校生からは、不登校の子供たちの居場所が少ないと感じると、是非、それぞれの個性を生かせるフリースクールを始め、学びの場を増やしてほしいといった声をもらいました。
 私の地元神戸にも、探求型学習を実践されまして、不登校であった児童が生き生きと学ぶすばらしいフリースクールがございます。
 一方で、この経済的な負担というのは大変大きいんですね。これを求める、軽減を求める声というものをたくさんいただいている中でございまして、東京都では、我が党、公明党都議会の働きかけもございまして、不登校の小中学生でフリースクールを利用する、そうした児童に対しては年間最大二十四万円までこの補助を拡大するといったようなことであったり、我が党の兵庫県議団は、須磨区選出の島山清史議員が先導する形で、来年度の最重要要望事項の一つに通学費や授業料への経済的支援制度の創設を求めております。
 是非、国として、教育委員会に対しまして、このフリースクールに関する理解、これ是非促進していただきたいというふうに思います。
 そして、経済的支援の在り方につきましては、国の調査研究事業というものがあるんですけれども、これ、まだ一年に三つの自治体ぐらいしかこれ手挙げていないんですね。これ、もっと十分に活用していただけるように国には働きかけをしていただきたいと思います。
 しっかりと自治体とも連携する中で、子供たちの多様な学び場を確保するための支援を最大限行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
 文部科学省におきましては、フリースクールなどで学びます困窮家庭の不登校児童生徒に対する経済的支援の在り方に関する調査研究を実施しておりますが、先生おっしゃいますように、手を挙げる自治体が少のうございます。つまり、応募数が少ないのが現状でございます。
 教育委員会におけますフリースクール等の理解が十分とは言えないというのが現状かと思いますが、引き続きまして、こういう、こうした関係機関との連携するための取組に対する支援、これは行ってまいりたいと考えております。
 また、通常の学級に入りづらい児童生徒が相談支援を受けるための学校内の特別な教室の設置につきましては、約七割が、全ての学校に整備している、又は整備している学校があると市区町村教育委員会は回答しております。そんな中でも、文部科学省といたしましても設置の促進に努めてまいりたいと思っております。
 さらに、先日行われました有識者会議におきまして、私の方から、こうした観点も含めた不登校対策の検討に当たりましての方向性、これをお示しいたしまして、有識者等の御知見を伺いました。今後、現場の実態等も把握した上で、その上で年度内を目途に実効性のある不登校対策、これをまとめたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。
 続いて、斉藤国交大臣に障害者用のICカードの活用につきましてお伺いします。
 公明党はこれまで、このサービスの実現に向けまして、障害者団体の皆様のお声をいただき、そして政府に一緒になって要望を行い、積極的に訴えてまいりました。国にも働きかけをいただきまして、今月十八日からは関東地域での鉄道やバスの事業者がこのサービスを開始いたします。ほかにも既に関西で導入されておりますけれども、是非、ユニバーサル社会実現のために、鉄道事業者等によるこのサービスが全国一円に広がるように働きかけいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 障害がある方の社会参加の促進に向けて、当事者の利便性向上や負担軽減を図るため、障害者用ICカードの導入を進めることは非常に重要な政策的課題でございます。
 このため、国土交通省では、鉄道事業者等に対して障害者用ICカードの導入を働きかけてまいりました。この結果、委員御指摘のとおり、既に導入されている関西圏に加え、関西圏では平成二十九年から導入されております、関東圏で今月十八日からサービスを開始し、さらに、中京圏においては、JR東海が来年二〇二四年春を目途にサービスを開始することを発表するなど、着実に障害者用ICカードを導入する地域が広がっているところでございます。
 国土交通省としては、いまだ導入されていない地域の障害者の方々の御不便を一日でも早く解消するため、引き続き鉄道事業者等に対して導入に向けた検討を強く要請してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 恐らく最後の質問になろうかと思いますが、加藤厚労大臣、そして総理にお伺いしたいと思います。
 現在、サイレントパンデミックと呼ばれる薬剤耐性菌、いわゆるAMRによる感染症が世界的に増加をしております。分かりやすく言えば、細菌に対して薬が効かなくなるという問題です。有効な対策が取られなければ、二〇五〇年には何と年間一千万人以上が死亡すると言われております。したがいまして、AMR用の抗菌薬の開発や提供は極めて重要な課題となっております。
 そのうち、特にカルバペネム系抗菌薬に耐性を示す細菌につきましては、死亡例はもう本当に世界的に広がっておりまして、悪魔の耐性菌というふうにも言われております。これに対する抗菌薬の開発が急がれている中でございますけれども、問題は、世界各地域で耐性型が異なるために全てに効くこの薬というのはまだ存在しないということなんですね。
 そうした中で、新たに全ての耐性型に効果を示す画期的な抗菌薬を開発し、臨床の最終段階に来ている国内メーカーがございます。公明党は、そのメーカーに先般ヒアリングを行いまして、それを受け、国に対して、先週ですが、市場インセンティブの導入、G7の議題として日本が提案し、世界と連携していくこと、新たな抗菌薬の国内製造を可能とするための支援を要望させていただきました。
 そこで、この我が党の要望に対する厚労大臣の受け止めと、また、総理から、これは昨年四月、この本委員会で総理に、我が党、秋野公造議員の質疑を受けまして、骨太の方針にも日本が主導的な役割を果たす旨明記されたものでございますけれども、その当時にはこの薬はなかったんですね、今開発中の最終段階のもの。そして、今申し上げたように、大変有望な画期的な国内メーカーによる抗菌薬の開発によって局面が変わってきた中での現在の御認識、そして、G7広島サミットでも国際協調の基盤となり得るこうした我が国発の創薬の取組を是非紹介していただき、具体的な連携を深める結果を出していくための御決意をお伺いいたします。
○理事(片山さつき君) まず、加藤厚生労働大臣。
○国務大臣(加藤勝信君) 薬剤耐性、AMRについて、薬剤耐性菌の増加は、感染症の治療を困難にし、国民の健康に重大な影響を及ぼすものであります。平成二十八年に薬剤耐性対策アクションプランも取りまとめ、対策の実施に努めております。
 薬剤耐性菌に対する抗菌薬については、またそれが再びAMRを生まないように、真に必要な患者に限り使用するということで、大変使用用途が限定される、結果として十分な売上げが見込まれないということとなります。企業等からは上市後の市場インセンティブの制度化の要望があるところであり、まずは市場インセンティブの実現可能性を具体的に検証するため、令和五年度から新たにモデル事業を実施することとしており、着実にそうした取組を進めていきたいと思っております。
 なお、御指摘のAMR抗菌薬については、現時点で未承認となっており、ただいま治験中とお伺いをしておりますが、国内製造に向けた支援措置について、そうした段階ですから今一概にお答えすることは困難でありますが、国内での薬剤耐性菌の動向等を踏まえつつ、必要な検討を進めていきたいと考えています。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 薬剤耐性を含む感染症危機管理のための治療薬を確保することは極めて重要であり、昨年六月の骨太の方針においても、薬剤耐性対策の国際的な議論において日本が主導的な役割を果たす旨盛り込んでおります。
 国内製造企業においては、一九五〇年代より各種の抗菌薬を開発してきた歴史があり、現在も最新の知見を踏まえて薬剤耐性菌に対する抗菌薬の研究開発が進められていると承知をしています。国内の研究開発の進展を踏まえ、政府としては、薬剤耐性対策の国際協調を促すため、その議論を日本が牽引していく必要があると認識をいたします。
 五月のG7広島サミットでは、長崎における保健大臣会合の成果を踏まえて、薬剤耐性対策を含む国際保健上の諸課題への対応に関する議論、主導してまいりたいと考えています。
○高橋光男君 以上です。ありがとうございました。

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