2023.04.06

国会議事録

令和5年4月6日 国土交通委員会

○高橋光男君 おはようございます。公明党の高橋光男です。
 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。
 議題の気象業務法等改正に対しては、賛成の立場です。時間が限られておりますので、早速関連事項について質問に入ります。なお、配付資料をお配りしております。詳細はちょっと説明できませんけれども、適宜御参照いただければと思います。
 一昨日の趣旨説明でもございましたように、近年の自然災害の頻発化、そして激甚化の中で、適確な防災対応がこれまで以上に重要性を増しています。そのためには、多様な人材の活用が不可欠です。
 そこで、公明党は、気象庁OB、OG等への委嘱による気象防災アドバイザーの創設をリードし、推進してきました。概要につきましては配付資料一の一を御覧ください。
 そこで、現在の委嘱状況や任用状況について、まずお伺いします。
○政府参考人(大林正典君) お答え申し上げます。
 ただいま委員から御紹介にありました気象防災アドバイザーにつきましては、自治体で御活用いただく取組を推進しており、これまでに百九十一名に委嘱し、令和四年度には二十九名の気象防災アドバイザーが三十六自治体において活動したところです。今後も、地元の気象台長から市町村長へ気象防災アドバイザー活用の働きかけを実施するとともに、自治体の防災担当者にアドバイザーの助言の効果を実感いただくよう取組を進めること等により、引き続き気象防災アドバイザーの拡充、活用等に取り組んでまいります。
○高橋光男君 今ございましたように、これは令和二年度から委嘱制度が始まり、百九十一名に委嘱している一方で、活動しているのは二十九名と少ないですので、自治体への働きかけなど更なる努力を是非よろしくお願いします。
 そして、このアドバイザー制度を参考に、市町村で不足する技術職員についてもOB、OGを活用して、平時においては助言、有事の際には応援業務を担っていただくような委嘱制度を国交省と総務省が連携して構築していただきたいと、公明党としても要望を行い、私自身も昨年十月、当委員会において、斉藤大臣のリーダーシップで具体化するようお願いいたしました。大臣からは、今後検討を加速させるため、総務省と連携した検討体制を速やかに構築し、一定の方向性を出していく旨、御答弁いただきました。
 その後、資料一の二にございますように、ニーズ調査というものも結果が出たところでございます。これを受け、国は都道府県に対し、OB、OGの活用も含む技術職員確保計画を本年六月頃までに策定するよう要請したと伺いました。資料一の三にもございます。こちら御覧ください。
 この点につきまして、私は重要なことは、平時も含めた市町村の人員不足を解消するための実効的な取組を早く具体化することだと考えます。
 そこで、是非国交省として主体的にOB、OG活用に向けた優良事例をつくっていただきたいと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 委員の御提案もございまして、国土交通省では、昨年十一月に総務省と連携した検討体制を構築いたしまして、都道府県による市町村への支援状況や市町村における支援ニーズなどを調査してまいりました。この調査結果なども踏まえまして、昨年末に、総務省から都道府県に対して、OB、OGの活用も含めた技術職員確保計画の策定が要請されているところでございます。
 これを受けて国土交通省では、五月から六月にかけて、技術職員確保計画の検討状況を把握するとともに、計画の策定に当たっての課題に対して具体的な助言を行うなど、計画の策定促進に向けた取組を実施しております。
 国土交通省としては、引き続き、各地域の事情を踏まえつつ、総務省と連携し、このような取組を通じて、OB、OGの活用も含め技術職員の確保に向けた優良事例の形成に努めてまいります。
 また、民間の土木系の、技術系の方の活用ということも大いに必要になってくるのではないかと思っておりまして、御提案を受けてしっかり取り組んでいきたいと、このように思っております。
○高橋光男君 ありがとうございます。大臣から力強い御答弁いただきました。
 調査結果にもございますように、これはもうニーズがあることは明らかでございまして、また、OB、OGの活用に当たっては、資料一の四でお示しをしておりまして、これは和歌山県の先行事例で二〇一三年から実施されているものなんですけれども、これ、人材バンクのようにしてOB、OGを登録していただいて、そして配置をしているものなんですが、課題としましては、市町村の予算確保、また居住地、業務内容とのマッチングですね、こうしたもの、明確になっているところでございます。
 こうした人材バンクにつきましては、今、和歌山県と、あと徳島県、これやられているんですけれども、私はこれ、県だけにとどめず、例えばですけれども、地方整備局が広域的に例えば音頭を取って人材バンクをつくって、そしてこのマッチングを行うとか、こうしたようなこともできるのではないかと思いますし、大臣がおっしゃられた民間人材の活用もそうしたところに包括的にやっていくということも私は御提案申し上げたいと思います。
 いずれにしましても、国交省として、是非、自治体の実情に寄り添い、総務省の制度等を活用しながら具体的な優良事例を主体的に練り上げていただくことをお願い申し上げます。
 続きまして、個別避難計画についてお伺いします。
 兵庫県では、令和二年度より、ケアマネジャー、相談支援専門員などの福祉専門職の方が、地域とともに、避難行動要支援者である在宅の高齢者や障害者などの個別避難計画を作成するための事業を行っております。資料二を御覧ください。これは公明党兵庫県議団が推進し、実施されてきたものでございます。
 この兵庫県の取組は防災と福祉の連携事業と呼ばれまして、市町や自主防災組織、そして御家族の方々にも御協力いただく中で、実効性のある個別避難計画の策定が進められております。経費につきましても、赤の下線部分にございますように、県と市町が折半する形で一件当たり報酬七千円が福祉事業所に支払われているところでございます。
 このように、県が推進役となって市町での個別避難計画の策定を後押しする、いわゆるこれ兵庫モデルと言ってよいかと思いますけれども、国も令和三年度から支援を行っていただいておりまして、私としては、是非ともこの兵庫モデルを全国展開していただきたいというふうに考えております。
 一方で、計画作成に当たっては課題もございます。例えば、要支援者にとってみれば、個人情報がこれ地域に漏れるのではないかといったような不安というのをお聞きしているところでございます。また、国につきましては、こうしたものに対しては是非個人情報の保護措置、しっかり周知していただきたいと思います。
 また、この計画の策定に当たっては、この福祉専門職や社会福祉施設等の協力を得ることが大変重要でございますけれども、是非国が責任を持って財政的な手当てを行っていただきたいと考えますが、以上について、御見解をお願いします。
○政府参考人(上村昇君) 内閣府においては、市町村の個別避難計画の作成を支援するため、そのノウハウの蓄積、普及に取り組んできており、令和三年度からは優良事業を全国展開するためのモデル事業を実施しています。
 委員御指摘の兵庫県においては、令和三年度、四年度とモデル事業に参画いただくとともに、計画作成に携わる福祉専門職に対し市町が支払う報酬に対する助成のほか、条例制定、ガイドライン作成、研修実施などに取り組んでおり、県内の全ての市町が取組に着手するという成果を得るなど、全国をリードする取組の一つと認識しております。
 御指摘のあった個人情報の保護については、災害対策基本法上、情報の提供に当たっては避難支援等の実施に必要な限度に限るなど各般の措置を講じているところ、一層の周知を図ってまいります。
 また、個別避難計画の作成に要する経費については、令和三年度から地方交付税措置が講じられています。
 内閣府としては、こうした取組に加え、今後、兵庫県などの先進的な取組を参考として効果的な取組の全国普及を図り、個別避難計画の作成が進むよう取り組んでまいります。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 現在、兵庫県のような取組進んでいるところは、私がお聞きしている限り六都県ほどというふうにお伺いしています。公明党としても、是非、国と県のネットワークを生かして、この防災と福祉の連携、兵庫モデル、全国展開を後押ししていきたいと考えます。
 続きまして、要配慮者利用施設における避難確保計画の作成と避難訓練についてお伺いします。
 国の水防災意識社会の再構築に向けた緊急行動計画というものがございまして、これによれば、令和三年度までに対象施設における計画作成、避難訓練の実施が定められていたものと承知をいたします。そこで、全国における最新の計画作成数、避難訓練の実施状況についてお伺いします。
 また、私が承知する限りでは、兵庫県では、計画につきましては九割程度行われている一方で、避難訓練については半分程度だというふうに承知しております。背景としましては、コロナ禍においてそうした訓練ができなかったという事情があったかというふうに思いますけれども、今年も出水期が近づいておりますし、また、コロナにつきましても一定の落ち着きを見せているところでございますので、改めて国から自治体に対して通知を発出するなどして避難訓練の実施を促していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(岡村次郎君) お答え申し上げます。
 水防法及び土砂災害防止法では、市町村の地域防災計画に定められた要配慮者利用施設に対し、避難確保計画の作成と訓練の実施を義務付けているところでございます。
 避難確保計画の策定状況でございますが、令和四年九月末時点で、洪水については対象施設の八五%に当たる約九万九千施設、土砂災害は八六%の約一万八千施設で作成済みとなってございます。
 また、避難訓練につきましては、令和四年三月末時点で、洪水については対象施設の三六%に当たる約四万施設、土砂災害は四二%の約九千施設で実施しているところでございます。
 国土交通省では、これまでも訓練実施と報告の徹底について通知したほか、訓練の実施方法を解説する手引を作成するなどの支援を行ってきたところでございます。
 また、今般、新型コロナウイルス感染症が五類に移行する予定であることも踏まえまして、施設管理者に対し、訓練の必要性や実施方法のポイント、これを周知するためのリーフレットというのを作成しておりまして、これを事務連絡にて近日中に発出し、訓練の実施などを促進してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 是非よろしくお願いいたします。
 最後に、高齢者施設の垂直避難施設整備についてお伺いします。
 この点につきましても、昨年十月、当委員会で私、質問させていただきました。厚労省の答弁によれば、防災・減災、国土強靱化五か年加速化対策で定める令和七年度までの目標数千百七十五件に対し、最初の二年間、すなわち令和二年、三年度の整備実績は百六十二件と大変低調でございました。厚労省は、関係省庁ともしっかり連携してハード面も取り組むと答弁されたところでございます。
 そこで、令和四年度の整備状況についてお伺いしたいのと、あわせて、国として、この対象区域における施設全体のうち何割を整備しようと目標とされているのか、これ是非知りたいと思います。また、この整備をやはりこれ加速させていくためには都道府県とも連携した集中的な取組が必要と考えますけれども、今後どのように対応するのかにつきましてもお答え願います。
○政府参考人(斎須朋之君) お答えを申し上げます。
 垂直避難用エレベーター、スロープ、避難スペースの確保等の改修工事等に関する補助につきましては、国土強靱化五か年加速化対策におきまして、令和七年度までに千百七十五件を目標としてございます。令和四年度は四十四事業、令和二年度からの累計でいいますと二百六事業に対して支援を実施することになります。
 この施設整備を推進する観点から、昨年十一月の交付金の二次協議におきましては、水害対策強化事業を優先的に採択すること等をいたしました。今年度につきましても、既に水害対策強化事業を優先的に採択する方針をお示ししているところでございます。
 御指摘の本事業の対象地域、対象区域でございます災害レッドゾーン及び災害イエローゾーンに所在する高齢者施設等の数につきましては、現在、調査を実施しているところでございます。
 いずれにいたしましても、高齢者施設等の水害対策を推進するに当たりましては、各地域それぞれの御事情があると考えておりますので、ハード、ソフト両面の国の支援を一層活用していただけるように自治体に働きかけていくことが重要と考えております。引き続き、関係省庁とも連携しながら、高齢者施設の防災・減災対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋光男君 時間が参りましたので終わりますが、今、令和五年度です。五か年の加速化対策、国土強靱化のですね、これのちょうど折り返し地点でございまして、是非この人材の確保であったり施設の整備など課題はたくさんあるところ、目標までしっかり国として責任を持って取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

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