2023.04.18

国会議事録

令和5年4月18日 国土交通委員会

○高橋光男君 公明党の高橋光男でございます。
 本日は、三名の参考人の皆様にそれぞれ御専門の知見に基づいて貴重な、大変貴重な意見陳述を賜り、感謝申し上げたいと思います。
 この度の地域公共交通活性化再生法の改正につきましては、元々この法案、法律自体が、地域の主体的な取組によって地域の旅客運送サービスの持続可能な確保に資する取組を推進することが目的であるということが私は大変まず重要なことだと思っておりまして、この法案につきましては、これまで四度にわたり改正をされてくる中で、直近の令和二年の改正においては、地域公共交通計画、こういうものを作成することを義務化したり、また、地域旅客運送サービスの継続事業を創設するなどの様々な政策手段が可能となってきたところでございます。
 そして、今回の法改正の主眼というのは、まさに官民の間、交通事業者間など、地域の関係者の連携、協働、そしてこれは共創ということ、共に創るということで、利便性や持続可能性、生産性が向上するように、地域公共交通ネットワークを再構築するリデザインをすることが目的となっているものと承知いたします。
 その上で、私、一番重要なことは、地域の発意とか創意ですね、この創意というのは創る方の創意ですね、や工夫をどのように行政として応援とか支援とかしていくということかというふうに考えておりまして、とりわけ住民目線に沿ったこの地域独自の取組の重要性に関して、そうしたものを支援していくことについての参考人のそれぞれの御意見をお伺いしていきたいというふうに思います。
 ちょっと前置きが長くなりますが、私、地元兵庫県では、実はJRのローカル線の維持が大変問題となっておりまして、四路線六区間が赤字収支の状況でございます。
 そうした中で、兵庫県は、昨年にはいち早くJRローカル線維持・利用促進の検討協議会というものを設置いたしました。そして、JR西日本も参画する中で、様々今議論されております。
 そうした中で、JRの方の意見としては、やはりこの議論というのはノスタルジーではなくて現実直視で、現状維持ではなく未来志向で議論してほしいというようなこともコメントされておりまして、別の交通機関への転換など、幅広い議論を求めているところでございます。
 もちろん、事業者の立場に立てば十分理解できるところなんですけれども、私は、幅広い関係者が参画されるような今回の再構築協議会における議論においては、やはり事業者目線の効率性や経済性の観点だけではなくて、地域住民や沿線住民が今後持続的に安心して暮らしていけるような、まさに住民及び利用者目線に立った議論が大事だというふうに思っておりまして、一つちょっと具体的な事例を取り上げさせていただきたいんですけど、私、加古川線というところがあるんですが、ここで、実は西脇市というところが対象となっております。ここが一番非常に収支が悪くて厳しいとされているところなんですけれど、この市長と私、一時間ぐらいお話をさせていただく中で、様々な利用促進策を考えているんだという中で、一つ、通学自転車を使ったサイクルトレインの運行というものを提案されました。
 具体的には、主に高校生等の通学利用を想定しつつ、将来的には沿線の小中学校の統合が行われる見込みでして、そうした小中学生の通学手段、またこれから部活動の地域移行がなされる中において、自転車でまさにそういう地域のクラブにですね、通学の途中に、また沿線上にそういったところがあるわけですから利用していく、こうしたようなことの取組を是非進めていきたいというふうにおっしゃっていて、また通学者に対する定期券購入の補助をこれ市独自でやろうということも検討をされております。
 それで、これまでこのサイクルトレインというのは主に観光目的では用いられているものだというふうに承知しておりますけれども、こういう通学目的でこうしたものとして使っていくことについてのまさにお考え、まさに行政の側、また事業者の側、それぞれあるかと思いますし、また研究者としては、桜井参考人は、ドイツとかヨーロッパではもう通常行われているようなことだというふうに聞いておりますけれども、それぞれの御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(森雅志君) 僕も、ヨーロッパで、自転車を載せるというのを、電車に乗った経験が何度かあります。それほど違和感がないです。分解して載せるわけじゃなくてそのまま乗ってくるんですが、スペースさえ確保しておけば大変便利な取組だというふうに思っています。
 高校生がそれを使うことになって一車両で何百人も増えるかというと、そんなに生徒数多くないでしょうからそうはならないと思いますけど、しかし、新しい取組としてそれが弾みの一つになるんではないかというふうに思います。
 私は、そもそも親が高校生を学校まで送迎すること自体が余りいい社会ではないと思っていますので、少しでも自分で通学する機会を増やすという意味からも意義が大きいというふうに思います。
○参考人(吉田千秋君) まず、通学定期については、実感したんですけれども、今のサイクルトレインも一緒なんですけれども、鉄道会社側は通学で使ってくださいねという宣伝を一切していないです、どこの鉄道会社も、まあ来るのを待っている状況だと。これを、例えば今、市の方にお願いして教育機関に通して、高校生になったら通学定期使ってねという話をしてやられてきたところが結構伸びているというのがあるので、恐らくこのサイクルトレインというのもそういう契機になって、行政と一緒に話を持っていくと通学の利用の増加になることは間違いないと思います。
 ただ、使うというか、事業者側としては、ふだんぎりぎりの採算性でやっていますので、ふだん一両で百二十人の高校生さんに乗っていただいているんですけれども、ここに自転車載っけるとなるとあと二両付けなきゃいけないなという、その辺の費用増なんかをちゃんと行政の方でちょっと見ていただくような形で、これのおかげでかえって鉄道会社がマイナスになったということにならない配慮がいただければ、すごく有望な話だと思います。
○参考人(桜井徹君) 自転車ですが、自転車というのは、交通論では、徒歩、歩く、フッティングと、フット、歩く、ウオーキングと、その延長が自転車です。こういうのをアクティブトランスポートとかアクティブモビリティーといいます。アクティブというのは、自分の中の内燃、自分、人間自身が持っている力で動くということです。それに対して自動車はパッシブで、内燃機関を使って、エンジンを使って外部エネルギーで動くわけです。
 コロナ禍で、ドイツを始めヨーロッパでは、このアクティブトランスポートですね、エネルギーを使わない、自分のエネルギーで自分のことをやるというアクティブトランスポートが出てきています。そういう意味で、やはり自転車が有効だと、健康にもいいということです。特に若者は自転車をやればいいと思います。その際に、公共交通機関とそういうアクティブトランスポートをドッキングさせるということが重要ですね。
 通学定期が通勤定期よりも安いということで、その部分を補填してはどうかということで私計算したことがあって、二千億円から三千億円ぐらいあれば、大体日本全体の鉄道の通学定期が通勤定期並みにしても国が負担すればいいということになっていまして、事業者の方も助かるんじゃないかと思います。
 特に、豊岡では交通連合という考え方でやっているように聞いております。私の友人も関わっているようですけど、交通連合ですね、ドイツの運輸連合だけじゃなくて、自家用有償運送をも含めた、まあドイツよりも進んだ形になるかもしれませんが、そういうものをやっているので、どしどしそういうのをやっていただきたいなと思っております。
○高橋光男君 それぞれ本当に前向きに御答弁いただいて、ありがとうございます。
 私も、是非こうした取組は、今般の法改正で新たに取り入れられます地域のまさに関係者の方々がそういう合意形成を結んでいくに当たって、そうした取組をまずやってみることに対して、国が例えば調査事業であったりこの実証事業として応援をしていく。やってみて、実際、今、吉田参考人おっしゃられたように、様々な課題も出てくるかとも思うんですが、実際、それほどこの利用者が通学者が増えることで増えないというような結果になるかもしれませんけれども、やっぱりそうしたような取組をやっていく中で、実際、地域の方々がそういう鉄道の活用の在り方ということについて、やはり理解も深まるでしょうし、それもやってもなおなかなかやっぱり難しいということでしたら、その先、また更に議論していくというような方向性があり得るかというふうに思いますので、私どもしっかり国に求めてまいりたいというふうに思います。
 残りの時間もちょっと手短にそれぞれお伺いしてまいりたいのが、今回のこの枠組みの中で、まさに再構築協議会というものが、なかなか、何というんでしょう、新たな取組として果たしてこれが機能していくのかということが非常に問題というか課題になろうかというふうに思います。
 そうした、そもそも国が関わることについて、これ自体について、どのようにして皆様がそれを受け止められているのか。もちろんこれ、まずはその地域の自治体が主導してやっていかないといけないことを、なかなかそういったものが、動きが見られないときに国まで関与してやっていきますよということなんですけれども、このことについての、実際、これが本当に実効性を伴った取組となり得るのかどうかについて、恐れ入りますが、森参考人と吉田参考人にそれぞれお伺いしたいと思います。
○参考人(森雅志君) 今までの法定協議会というのは、事業者側と自治体とで、妥協点を見付けようとしないでただ自分の主張を続けていくということが見られたと思います。今度の制度は、昨年の鉄道局の検討会でたたき台できたものがベースになっていると私は受け止めていますが、例えば、検討期間というものが三年と、目安としてですね、もちろん延長もあり得ると思いますが、そして国が関わるということを、それぞれ行間を読むと、いい計画がまとまれば国はしっかり支援するというふうに立て付けを読んでいくのが素直な読み方ではないかというふうに思います。これ以上言うとお叱り受けるかもしれませんが、私の受け止め方はそういう受け止め方です。
 一応期限を切る、切るから議論を急ぐ、で、まとまらない場合どうするんだといったら会議がなくなるんじゃなくて延長というテクニックは、当然、行間を読むと想定されているというふうに思いますので、しかし、対立しているものを誰かがきちっと、ここまでのみ込んでくれませんか、これはどうですかということを国が果たしていくという、そして、その上で、財政的に負担も一定程度国が関与していくということだろうと思っております。そうならないと意味がない、ないと思いますけど。
○参考人(吉田千秋君) 今、十五年うちの鉄道をやってきて体感的に感じるのは、やっぱり鉄道会社自体がやっぱりいろんな問題が起こってきて、行政ともお話しするんですけれども、その中で、さっき言った国営公園との連携だとか、それから今の旅行会社との連携とかいうときに、どうしてもやっぱり、特に延伸の話なんかは市の方から国の方にちょっとお話ししながら進めているんですけれども、今までのうちの事例なんかを見ていくと、やっぱりその中に国が入っていただいて仲立ちしていただくとか、それから国の下で話合いをやるというときに、すごく今までの事業が効果的に進むんじゃないかなという体感は法案を読む限りは大丈夫なんで、是非、これは国の力もいただきながら全国の先進事例にやっていきたいなと思っていますんで、私はすごくこの法案については国の会議は本当に期待をしております。
○高橋光男君 貴重なコメントをありがとうございました。
 今日いただいたお話、またさらにはいただいた御回答も踏まえて、しっかりと、私もまた機会があれば、是非国に対して、この取組が、法改正によって、本当に地域のためになる法改正になるように求めてまいりたいというふうに思いますので、しっかりその決意も込めて、最後コメントさせていただきまして、私の質問とさせていただきます。
 本日は誠にありがとうございました。

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