2023.04.24

決算委員会

令和5年4月24日 決算委員会

○高橋光男君 公明党の高橋光男です。本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。
 早速質問に入らせていただきますが、冒頭、陸上自衛隊ヘリ墜落事故で亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げます。また、防衛省を始め、関係者のこれまでの捜索活動にも心から敬意と感謝を申し上げますとともに、再発防止策の徹底、そして今、現下で行われております自衛隊によるスーダン在留邦人の退避も安全第一で遂行されることをお願いいたします。
 さて、予期せぬ有事や激変化する自然災害に対処するための自衛隊の役割がますます重要になっております。この点、幅広い防災訓練への参画が不可欠だと考えます。
 本年二月、地元兵庫、伊丹駐屯地を訪問させていただきました。その際、模範的な取組をお伺いしました。例えば、市街地で有害物質が確認されたことを想定した第三師団と市の消防局との共同訓練や、南海トラフ地震を想定した近畿二府四県の防災担当職員との統合防災演習などです。是非こうした取組を全国に普及し、コロナも下火になる中で住民の参画も得て訓練を行うことは防災意識向上のために有意義と考えますが、防衛大臣の答弁を求めます。
○国務大臣(浜田靖一君) 防衛省・自衛隊では、関係省庁や地方公共団体等と共同で防災訓練を実施しております。
 陸自第三師団以外でも、例えば陸自第十五旅団においては、大地震を想定した災害対処訓練を沖縄県と共催をしております。この訓練は、自衛隊、地方公共団体、関係機関が参加し連携強化を図るとともに、住民の方々も見学しており、防災意識の向上を図る上で大変有意義だというふうに考えております。
 防衛省・自衛隊としては、議員の御提案も踏まえ、部隊と地方公共団体との連絡調整等も機会を通じて災害対応における連携を一層深めることができるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋光男君 力強い御答弁ありがとうございます。
 続きまして、外交関係についてお伺いします。
 まず、ウクライナ支援につき質問いたします。
 昨年九月、公明党は、ウクライナ避難民支援・東欧調査団を派遣しました。私も一員として参加しました。その結果を踏まえ、林大臣に提言をお届けしました。これを受け、昨年度二次補正では、越冬支援を始め、六百億円の支援が決定されました。
 我が国は、ロシアの侵略開始以降、本日で一年と二か月が経過しますが、総額七十一億ドルの支援を行ってきました。
 そして、配付資料一を御覧ください。
 こちらにございますように、先月、総理のウクライナ訪問時には、新たな五億ドルの追加支援が表明されました。
 そこで、具体的な支援に関して、先月の予算委員会でも求めた事項について順にお伺いしてまいります。
 まず、短期的な取組として、教育支援について伺います。
 この点、総理にも求めましたように、ウクライナの将来を担う子供たちへの支援は大変重要と考えます。是非、今般のJICAによる二国間支援では、ウクライナ国内の遠隔教育センターへの物資供与に加えて、子供たちのメンタルケアを含む技術協力を実施すべきです。また、繰り返し要請しますが、主要国の中で我が国が行っていない、教育を後回しにはできない基金、ECWへの初拠出の早期実現や、JICAと教育のためのグローバルパートナーシップ、GPEとの支援連携が必要と考えます。いかがでしょうか。
○大臣政務官(秋本真利君) お答えいたします。
 ウクライナ及び周辺国等に避難した子供の精神ケアを含む教育支援は重要であります。これまでも日本のNGOやユニセフ等の国際機関を通じた緊急人道支援を実施してきております。厳しい財政状況ではございますけれども、御指摘のGPE、ECWも含め、各機関の特性を考慮しつつ、効果的な教育支援の在り方については引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。
 また、二国間支援におきましては、生活再建のため、ウクライナが整備を進める遠隔教育センターへのタブレットやパソコン等の支援行うのみならず、ウクライナ側との緊密な意思疎通を通じてニーズを確認しながら、子供たちのメンタルケアを含めた技術協力についても協議してまいりたいというふうに思っております。
○高橋光男君 次に、中長期的な復興支援に関してお伺いします。
 この点、総理にも、我が国の創造的復興の経験を伝える重要性を訴えました。総理からは、日本側の幅広い関係者が連携した協力を進めていきたい旨御答弁いただいたところでございます。
 兵庫県では、「創造的復興」の理念を活かしたウクライナ支援検討会が発足し、先週金曜に初会合が開催されました。年度内には報告書が取りまとめられるというふうに聞いております。国として、是非こうした自治体との、自治体のイニシアチブとも連携した取組を進めるべきと考えます。
 関連して、ウクライナの追加支援の中には、こちらにございますように、地雷対策、瓦れき処理のための地雷除去機や建機等、復興に欠かせない重要な資機材も含まれております。ここは、これまで途上国で活躍してきました日本製の地雷除去機等を積極活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(秋本真利君) お答えいたします。
 ウクライナの迅速な復旧復興に寄与すべく、日本の持つ経験や知見を活用しながら支援をすることは重要だと思います。その観点から、被災地自治体の持つ復興に関する知見を活用し得る余地は大きいと思っております。御指摘にあったような自治体主導の取組の重要性も踏まえて、自治体との連携の在り方について検討してまいりたいというふうに思います。
 また、これまで日本が長年にわたり地雷除去を支援してきたカンボジアとの協力の下、ウクライナ政府職員に対しまして地雷探知機の使用訓練を実施した上で同機材を供与いたしました。
 今後も、これまで途上国で活躍してきた日本製の地雷探知機、地雷除去機等も積極的に活用し、日本の顔が見える支援を実施してまいりたいというふうに思っております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 御指摘のように、まさに我が国は、カンボジアなど地雷汚染国に対して、様々な技術協力も含め、またさらにはこの重機、地雷除去機を提供し協力してきた歴史がございます。しっかりとこうしたものをウクライナで活用していただくことをお願いいたします。
 続いて、ODA卒業国であるポーランド支援についてお伺いしてまいりたいと思います。
 まさに資料二でございますが、私、この点、官邸に要望を行った際に、従来のODAの枠組みにとらわれない支援の必要性を訴えさせていただきました。そして、林大臣に要望させていただいた際には、DAC、開発援助委員会統計指示書をお見せし、避難民支援であれば二国間援助は可能であり、是非実現していただきたいと申し上げました。そして、先月、予算委員会で総理からは、ポーランドへの二国間支援が可能となるよう新たに整理を行い、協力の具体的な検討を進める旨御答弁いただきました。
 そこで、この資料にございますように、そうした流れの中で、児童にバスを提供するための、ODA卒業国であり、かつ先進国であるポーランドへの二国間ODAの初案件として草の根無償を決定していただき、感謝を申し上げます。是非、調査団が現地で要望を受けた、私たち調査団でございますけれども、ウクライナ児童のための学校プロジェクトへの無償資金協力もお願いいたします。
 さらに、我が方大使館に経済協力担当官を配置すること、これ大変重要だというふうに考えております。そうした人的な体制の強化、またさらには、卒業国であっても、緊急下のこのポーランドの国のような国に対してはですが、速やかに途上国認定を行うといったような趣旨をしっかりODA大綱、開発協力大綱の改定にも反映していくべきというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) ポーランドは、最大のウクライナ避難民受入れ国かつウクライナに近接する隣国としてウクライナの人々に対する日本の支援を実施する上での重要性に鑑み、このODAを通じた二国間支援が可能となるよう整理をしたところでございます。
 今、高橋委員から御指摘のあったこの我が方大使館の体制強化、これも含めて、やはりこのウクライナ支援の最前線にある今回のポーランドのようなODA卒業国への支援の在り方、これにつきましては、相手国の負担能力に応じて、ニーズを踏まえ、この今まさに行っておりますこの大綱の議論も含めて引き続きしっかりと検討してまいりたいと思っております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 続きまして、その今言及させていただいた我が国のODA政策の基本指針でございます開発協力大綱改定についてお伺いしてまいります。
 林大臣に、この点につきましても公明党の提言をお持ちし、最近、案文が提示されたところでございます。その関連で、最初にODA予算の在り方についてお尋ねします。
 資料三の一を御覧ください。こちらは、我が国のODAに、二国間ODAにおける各分野の実績の推移を示したものでございます。我が国ODAは、経済インフラ支援、ハード支援に偏っている実態があることがこのグラフからもお分かりになるかというふうに思います。この点につきましては是正すべきだと、一昨年また昨年の決算委員会の場で質疑を重ねてきたところでございます。実際、ここ数年は、このコロナ禍を受けて、保健分野のODAが増額しているところでございます。一方で、よく御覧いただければ、この教育分野が微妙でございますが減っているところでございまして、人間の安全保障の観点からは、是非、保健のみならず教育分野も含むODAを拡充することが重要というふうに考えます。
 一方、なぜインフラ案件が多いのか。これにつきましては資料三の二を御覧ください。こちら、円借款の分野別承諾割合というものを示したものでございまして、これは大体十年間の推移を示したものでございますけれども、通常円借款では、こちらの赤枠で示しているように、運輸、電力、通信などの大型のインフラ案件を有償資金協力として支援しておりまして、一件当たりも大変高額となっているところでございます。
 私自身、インフラ支援の重要性を否定するものではございません。実際、今ODA以外の公的資金は、いわゆるOOFと言われまして、こちらにつきましても、JBICが輸出信用や直接投資金融などを通じて、主にインフラの海外展開支援を行っているところでございまして、新大綱案にも、こちらのOOFですね、これを是非、ODAとまた民間資金とも連携というようなことも記載されているところでございまして、しっかりとそうした連携は強化すべきだというふうに考えます。
 他方、ODAでは、保健、教育などの基礎生活分野、ベーシック・ヒューマン・ニーズというふうに言います、こちらを無償資金協力や技術協力で優良な案件を積極的に支援していくこと、また、円借款も可能な限り活用して援助効果を高めていくこと、この表でいいましたら、社会的サービスというもの、こうしたものを是非連動し、増額させていくことが重要だというふうに考えます。
 こうした取組がODAの戦略的な活用として重要と考えますが、こうした姿勢を是非新大綱にも反映させるべきと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 我が国は、人間の安全保障を確保する上で不可欠な分野として、これまでも、今御指摘のあったこの保健、それから教育を含むいわゆる基礎生活分野の取組を重視してまいりました。特に、この新型コロナ対策が世界的に喫緊の課題でありました二〇二〇年と二〇二一年においては、基礎生活分野の支援実績が増加しているというのは、先ほど高橋委員から御指摘があったとおりでございます。
 開発途上国は、経済インフラから保健、教育分野、人道支援を始めとする基礎生活分野まで様々な課題を抱えております。経済インフラに対しては有償資金協力など、そして保健分野を含む基礎生活分野に対しては無償資金協力や技術協力など、個別の案件ごとに各スキームの特徴を踏まえながらODAを戦略的に活用していく必要があると、こういうふうに考えております。
 この新たな開発協力大綱案の重点政策において、保健分野におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進や、教育分野において人間の安全保障を推進するために不可欠な人への投資、こういうことに言及をしております。
 また、効果的な開発協力のためのアプローチとして、無償、技協、有償のスキームを有機的に組み合わせて相乗効果を高める重要性、これについても盛り込んでおるところでございまして、先ほど御紹介いただいた、公明党さんからいただいた御提言、これも踏まえて、幅広い関係者の御意見をいただきながら、新しい時代にふさわしい開発協力大綱を作り上げていきたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 続きまして、私もオファー型協力につきまして、このODAの戦略的活用として我が国の脱脂粉乳の供与についてお伺いしたいと思います。
 危機に瀕する国内酪農家支援として脱脂粉乳を途上国に供与する方途を是非私は模索すべきだと考えます。
 先週、この点、当委員会でも、野村農水大臣からは、国は相手国政府の要請がなければ供与困難との答弁がございました。しかしながら、我が国もかつては米国の一九五四年制定の農産物貿易促進援助法に基づき、無償で脱脂粉乳の供与を受けていた歴史がございます。
 一方、現在我が国の食料援助では、基本的には政府米や穀物等が供与対象となっています。他方、東日本大震災の支援の一環で、福島県産のツナ缶なども供与されているところでございます。であれば、制度上脱脂粉乳も含まれ得ると考えてよいでしょうか。もし含まれるなら、今後提供メニューに加えるべきと考えます。そして、新大綱案の趣旨も踏まえ、途上国政府に提示をして、脱脂粉乳を供与できるよう、外交的に働きかけるオファー型協力を行うことが国益にかなうと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 今御指摘のあったこの食料援助につきましては、この実施の根拠となっております食糧援助規約上、援助品目として乳製品は排除されておりません。また、御案内のとおりだと思いますが、一方で、食料援助は被援助国の要請に基づいて実施してきておりまして、これまでにこのスキームにおいては脱脂粉乳を供与した実績はないということでございます。
 この開発協力大綱案では、被援助国のニーズを重視しつつも、ODAとその他公的資金など様々なスキームを有機的に組み合わせて相乗効果を高め、日本の強みを生かして協力メニューを積極的に提示するオファー型協力を打ち出したところでございます。
 この脱脂粉乳の供与につきましては、国会でも御議論がございましたので、日本のNGOそして在外公館等通じて、海外のNGO等に対して、日本にある脱脂粉乳を活用する意思、そしてニーズがあるかどうかを既に確認してきております。
 同時に、一般論として、食料支援、これは現地のニーズに加えまして、輸送のコスト、そして衛生管理、こういう状況も踏まえて近隣の地域での調達となることが多いと、こういう実情もありますので、そうした点も踏まえながら、個別具体的に検討してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 先ほど宮崎委員からもこの御質問あった際に、国は、要請があればというふうに言及されていたんですけれども、そんなことを言っていたら私はオファー型協力というのはできないというふうに考えます。日本のこの脱脂粉乳、スキムミルクというものは品質が高いんですと、また保管もできますと、栄養価も高い、そして子供たちのために役立つ、そういうものであるから、是非、この協力として、食料援助として受けませんかということを我が国から申し出る、まさにオファーをして、それによって是非実現すべき課題だと私は思います。
 供給量は本当に限られているかもしれません。しかしながら、国内の酪農家の皆さんにとっては、この国の姿勢を示す大変私は象徴的な取組になるというふうに思いますので、是非とも積極的に進めていただくことをお願い申し上げます。
 いずれにしても、様々な分野でニーズがある中で、限られたODA予算の取り合いになってはいけないということも事実でございます。したがいまして、ODA予算全体を増やす努力も不可欠だと考えます。
 防衛費は、安全保障関連三文書の改定でGDP二%が目標とされ、増額への工程が示されたところでございます。他方、国家安全保障戦略におきましては、我が国の国力の第一の要素とされたのが外交力でございまして、この外交力の源は、私は開発協力、ODAだと考えます。
 資料四を御覧ください。
 ODA実績につきましては、そうした中、政府の皆様の御尽力で増額をこれ着実に進めているところでございますけれども、現状、GNI比で〇・三五%程度にとどまり、国際目標〇・七%の半分にすぎません。財政状況が厳しいのは理解いたしますが、公明党が提言させていただいたとおり、早期達成に向けて、開発協力大綱において具体的な道筋を付けるべきと考えますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(秋本真利君) ODA実績の対国民総所得比〇・七%という国際目標の達成に関しましては、現在、我が国の厳しい財政状況を十分に考慮する必要がございますが、公明党から力強い提言をいただいていることも踏まえまして、ODAの戦略的活用を一層進めるとともに、引き続き様々な形でODAを拡充し、外交的取組の強化に努めてまいりたいというふうに思っております。
○高橋光男君 そうしましたら、あわせまして、財務省の秋野副大臣にお伺いします。
 副大臣には、公明党の国際保健始めとする取組に力強く御支援いただき、また財務省各位の御尽力には心から感謝申し上げます。
 私が確認したいのは、防衛費とODAというのはトレードオフの関係ではないということ、つまり、防衛費が増えたからといってODAを減らすようなことはしないでいただきたいと考えます。副大臣とともに進めてきた保健分野や、これまでお伺いしてきた教育支援、食料援助など、戦略性があり、我が国として支援するに値する協力についてはめり張りを付けて行うことが財政的にも望ましく、そのための予算はしっかりと確保すべきではないでしょうか。
 現在の新大綱案にもODAを様々な形で拡充する旨記載されているところでございます。是非、財務省も含め政府一体となって、防衛費のみならずODA予算も着実に増額していくべきと考えます。いかがでしょうか。
○副大臣(秋野公造君) お答えをいたします。
 ODA予算に限らず、予算の具体的な在り方につきましては、その時々の政策課題や執行状況、財政状況なども踏まえつつ、毎年度の予算過程、予算編成の過程において検討していくということになります。
 その上で、我が国は直近二〇二二年のOECDデータで世界第三位のODA供与国ということでありまして、令和五年度予算におきましても、現下の国際情勢にしっかりと対応できる予算を確保しているところであります。
 ただ、私たちとしても、高橋委員の御指摘のとおり、こうしたODAをいかに戦略性を持って効果的に活用していくかが日本の外交力にとって大変重要であると考えております。極めて厳しい財政状況ではありますけれども、ODAが最大限に効果を発揮するよう、しっかりと高橋委員御指摘のめり張り、それから優先順位付けを行った上で、引き続き必要な予算を確保してまいります。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 続きまして、G7広島サミットについてお伺いします。
 これまで我が党要請のとおり、是非、首脳による広島平和記念館本館への訪問、そして被爆者の声に触れる機会を是非実現していただきたいと考えます。
 サミットまで一か月を切りました。ロジ面での調整は大詰めかと思います。大臣、本件につきましては、G7軽井沢外相会合で要請をしていただけましたでしょうか。こうした形での被爆の実相に触れた上でのコミットメントでなければ、核なき世界への本当の意味での力強いコミットメントにはならないと考えます。
 是非、そうした上で、核兵器廃絶や原発施設攻撃回避など、G7としての姿勢を具体的に成果文書に示すべきと考えますが、サミットに向けた我が国としての決意を伺います。
○国務大臣(林芳正君) 各国のハイレベルを含めまして、国際社会に対して被爆の実相、これをしっかりと伝えていくということは、核軍縮に向けたあらゆる取組の原点として重要だと考えております。こうした観点も踏まえつつ、G7広島サミットの日程について有意義なものとなるようにしっかりと検討しております。
 各国との具体的なやり取りを含め、外交上のやり取りについてお答えは差し控えねばなりませんが、私が議長としてG7外相と取りまとめましたこのG7長野県軽井沢外相会合のコミュニケに、世界の指導者等に対して広島及び長崎へ訪問するように促しているところでございます。
 先般のG7外相会合では、G7として核兵器のない世界へのコミットメントを再確認をするとともに、各国から、岸田総理が提唱したヒロシマ・アクション・プラン、これは核兵器のない世界の実現に向けた歓迎すべき貢献であると、こういう評価もいただいたところでございます。
 また、ロシアによるザポリージャ原子力発電所の継続的な占拠、そして軍事化、これを非難するとともに、ウクライナにおける原子力安全及び核セキュリティーの強化を支えるIAEAの取組への支持、これも確認をしたところでございます。
 また、G7外相会合では、広島サミットに向けまして、引き続きG7として緊密に連携していくと、これを確認をいたしました。G7広島サミットでは、広島と長崎に原爆が投下されてから七十七年間核兵器が使用されていないという歴史、これをないがしろにすることは決して許されないとのメッセージ、これを力強く世界に発信したいと考えております。
 G7外相会合の結果も踏まえつつ、核兵器のない世界の実現に向けてG7メンバーと議論を深めてまいりたいと考えております。
○高橋光男君 是非、林大臣のリーダーシップに御期待申し上げます。
 次に、日伯、すなわち日・ブラジル関係についてお伺いします。
 資料五を御覧ください。
 今月、対面では三年ぶりとなる日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議がブラジルで行われました。賢人会議からは、日本メルコスールEPAの交渉開始、両国の観光ビザの免除など、両国の関係緊密化に向けた一連の提言がなされたと承知いたします。
 これらの要望に対する政府の受け止めと、ルーラ大統領がこのG7サミットで訪日される予定でございますが、その訪日に向けた期待、そして今後の日伯関係強化、特に早期の岸田総理訪伯も実現すべきと考えますが、政府としての決意をお伺いします。
○大臣政務官(秋本真利君) 四月十日にブラジル・リオデジャネイロで第十一回日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議が開催され、持続可能な将来に向けた協力をテーマに議論が行われたと承知しております。
 同会議の提言書では、日メルコスールEPAの早期締結、ブラジルの一般旅券所持者に対する短期滞在査証免除措置の導入、グリーン、脱炭素分野における各種取組等に関する提言がなされました。翌十一日に、賢人会議のメンバーはアルキミン副大統領にこの提言書を提出したと承知しております。
 日本とブラジルとの間の経済関係には大きな潜在力があります。引き続き経済関係を強化していくことが必要です。メルコスールとの経済関係強化の在り方については、今般の賢人会議提言書も含め、国内の様々な意見も踏まえながら引き続き議論を継続してまいりたいと思っております。
 なお、ブラジルの一般旅券所持者に対する短期滞在査証免除措置の導入につきましては、現在、関係省庁と鋭意協議を行っております。両国間のハイレベル対話を一層活発化させていくことも重要であります。我が国は様々な国際課題についてブラジルと緊密に連携していきたいと考えており、ハイレベルの往来の可能性も含め、引き続き様々な関係強化の方策を検討してまいりたいというふうに思っております。
○高橋光男君 ブラジルは日系人の存在もあり、大変重要な国でございます。
 一方で、今、ロシアや中国、そうした中で、よくBRICSと言われますけれども、そうした中で本当にブラジルとの関係というのは大変我が国にとって重要だというふうに考えておりますので、二国間、また多国間の課題に取り組むに当たってしっかりと外交を進めていただくことをお願いいたします。
 続きまして、日韓関係、特に若者交流についてお伺いします。
 近年冷え込んだ日韓関係を再強化するに当たって、若者の直接交流促進が重要と考えます。この点につきましては、昨年三月、尹政権発足前に外交防衛委員会で取り上げまして、林大臣からは、対面での交流促進も視野に入れて、青少年を中心とした相互理解の促進等に今後とも積極的に努めたい旨御答弁いただきました。
 昨年、一部実施されたことでございまして、資料六を御覧いただければというふうに思います。
 韓国から来た若者による心のこもったインスタグラムなどのSNSの発信です。ここにありますように、単なる観光では得られない経験とある、まさにそのとおりだと思います。こうした機会を是非提供していく貴重な取組をこれからも是非強化をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 将来を担う若い人材の人的交流を目的とした対日理解促進交流プログラム、JENESYSを通じた日韓間の交流事業、これは新型コロナウイルスの影響によって令和二年度以降オンラインの事業実施となっておりましたが、今御紹介いただいたように、令和四年度には一部対面での事業を再開をいたしました。
 令和五年度におきましては、新型コロナウイルスの感染状況等を見極めつつ、対面での招聘、派遣事業、これ全面的に再開をいたしまして、昨年度よりも交流人数を数百名規模で拡大することを予定しておりまして、日本政府として引き続き未来を担う若者たちの交流を支援してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 最後に、日・アフリカ関係強化について短くお伺いします。
 岸田総理はゴールデンウイーク中にアフリカ四か国を訪問される予定と伺いました。アフリカとの関係では、本年で三十周年となるTICADプロセスで進めてきた、平和と安定、経済、社会など様々な課題があるところでございます。是非、九年ぶりとなる総理のアフリカの複数国歴訪を生かし、G7サミット、二〇二五年TICAD9、これは是非関西での初開催、私、神戸での開催を期待するところでございますけれども、今後の日・アフリカ関係強化に向けた政府の御決意をお答えください。
○大臣政務官(秋本真利君) 今回の岸田総理によるエジプト、ガーナ、ケニア及びモザンビークへのアフリカ歴訪の機会においては、アフリカの主要国の首脳と会談を行いまして、G7広島サミットに向け、法の支配に基づく国際秩序の堅持に向けた日本の決意を改めて伝達をするとともに、様々なグローバルな課題への対応における連携等、幅広く意見交換を行う予定でございます。
 さらに、TICAD8において打ち出したとおり、日本は、アフリカとともに成長するパートナーとして、アフリカの持続可能な成長に向けて協力を強化していく強固な意思を今回の訪問を通じて改めて示したいというふうに考えております。
 二〇二五年に開催予定のTICAD9に向けては、TICADのプロセスを推進し、これまでに培われた日・アフリカ関係を一層深化させてまいりたいというふうに思っております。
○高橋光男君 以上で終わります。ありがとうございました。

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