2023.04.27

国会議事録

令和5年4月27日 国土交通委員会

○高橋光男君 おはようございます。公明党の高橋光男です。
 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。
 本日審議する海上運送法等の改正は、昨年四月の知床遊覧船事故を受け、旅客船の安全、安心に万全を期し、二度とあのような痛ましい事故を起こさないようにするため、事業者の安全管理体制強化、船員の資質向上、行政処分の強化等を主に措置するものでございます。
 去る二十三日、事故後一年を迎え行われた追悼式典には、斉藤大臣が出席されました。私も、お亡くなりになられた方々と御家族に心からお悔やみ申し上げます。
 今回の事故が社会に与えた影響は大きく、一年たってもなお関係者の心の傷は癒えることはありません。国には関係者に対してどこまでも寄り添った対応を求めたいと考えますが、大臣の所感並びに再発防止に向けた決意を改めてお伺いします。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 一年前、四月二十三日に事故が起きました。翌日四月二十四日に私も現地に参りまして、御家族の方々とお話、対面をさせていただきました。
 今回、追悼式典、一年たちまして私も再び現地に赴きまして、乗船者の御家族の方とも面会をさせていただきました。このような痛ましい事故が二度と起きることがないよう、徹底的な安全対策を講じていかねばならないと決意を新たにした次第でございます。御家族にもその私の決意と不退転の覚悟をお話をさせていただきました。しっかり事故の再発防止に取り組んでいきたいと、このように思っております。
 そして、御家族の皆様が一日も早く平穏な生活を営むことができるよう、御要望をきめ細かく継続的にお伺いしながら、御家族の皆様への支援にしっかりと取り組んでまいりたいと決意しております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 是非国には、単なる情報提供等にとどまらず、関係者の方々に対して、今おっしゃられたように、きめ細かく継続的に支援をしていただくこと、その御要望をしっかりと踏まえた御対応に努めていただくことをお願い申し上げます。
 続きまして、今回新たな取組の柱の一つが、船舶安全基準の強化でございます。そのため、来年度、令和六年度から改良型いかだや業務用無線設備導入等が義務化されます。したがいまして、今年度中の整備が求められるところでございます。
 この点、特に中小零細事業者に対する支援が不可欠と考えます。支援を円滑にしていくため、国としてどう取り組むのか、お伺いします。
○政府参考人(高橋一郎君) お答えを申し上げます。
 御指摘の改良型救命いかだ、業務用無線設備、非常用位置等発信装置などの安全設備の導入について予算面で手厚い措置を講じておるところでございますが、当該補助制度の詳細、また補助金の申請手続について、地方運輸局や業界団体と密接に連携し、説明会などを通じて丁寧に情報提供を行ってまいります。
 こうした取組を通じ、中小零細事業者を始め、事業者がこれらの安全設備を円滑に導入できるよう、しっかりと支援してまいる所存でございます。
○高橋光男君 是非、この点につきましても、国のきめ細やかな支援をお願いいたします。
 さて、衆議院の審議では、安全確保のためには、設備整備を行うとしても、やはり技術者による目視等が重要であるといった議論がございました。そのこと自体、私自身否定するものではございません。
 一方で、フェリーなど、大型旅客船事業者からは、知床事故を受けた安全対策は重要である一方、どんどん制度を厳しくして、人手もどんどん増やせばいいというものではない、海難事故の大半はヒューマンエラーであり、人の判断や経験に頼る限り、幾ら会社の管理体制を強化したり人を増やしたりしても事故はなくならないといったお声もいただきました。この点、そもそも船員不足の中でいかに安全を確保していくのか、また、船舶の規模に応じてどのような対策を強化すべきかといった視点も重要と考えます。
 現場からは、事故の再発防止のためには、人手を増やして安全を担保する従来型の安全対策のみならず、人の判断に頼ることなく、省力化した上で安全運航ができるような技術開発を推進し、それを普及させるための制度面での環境整備も併せて重要といった御指摘もいただいております。そうした意味におきまして、国として自動運航などの省力化技術の開発推進やその普及のための環境整備にも注力し、しっかりと支援していただきたいと考えます。
 政府の見解並びに今後このような課題にどのように取り組むのかにつき、御答弁をお願いします。
○副大臣(石井浩郎君) お答えいたします。
 今般の知床における事故を受けまして、旅客船の安全、安心対策が喫緊の課題であることから、本法律案に盛り込まれた対策を始め、必要な安全対策を早急に講じてまいりたいと考えております。
 また、委員御指摘のとおり、必要な技術開発を進めまして、今後、ヒューマンエラーに起因する海難事故を防止していく等の観点から、船舶の自動運航技術の積極的な活用も大変重要と考えております。
 そのため、国土交通省といたしましては、陸上からの船舶の操作等により船員をサポートする自動運航船を令和七年までに実用化することを目指しておりまして、自動で衝突を回避する機能等の技術開発や実証への支援を平成二十八年度より継続的に行っているところでございます。
 また、こうした先進的な取組を通じまして、令和三年度には自動運航船の設計や運航等における留意事項をガイドラインとして取りまとめるとともに、国際ルールの策定に向けた国際海事機関での議論を主導するなど、必要な環境整備を進めているところでございます。
 国土交通省といたしましては、自動運航船の実用化及び普及に向けて、引き続きこうした取組を積極的に進めてまいります。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 まさに大型の船舶については、そうした自動化技術の開発というのは大変重要な取組になろうかというふうに思います。もちろん、小型の船舶につきましては人がしっかりと目視をする、こうした様々な取組を通じた安全管理体制の強化を是非よろしくお願いいたします。
 続きまして、今回の法改正による規制強化によって事業継続意欲をそぐようなことになり、ましてや撤退を招くようなことがないようにするためには、船舶事業者に対する幅広い支援が重要と考えます。その観点から幾つかお伺いしてまいります。
 まず、海運へのモーダルシフトの推進についてお伺いします。
 先般も、地域公共交通活性化法の議論の中で、鉄道へのモーダルシフトというお話がございましたが、今日私が申し上げたいのは、海運へのモーダルシフトでございます。
 近年、中長距離フェリーを中心に新造船への代替建造が進み、輸送力の強化が図られております。一方、コロナ禍で需要が伸び悩み、せっかく強化した輸送力が十分に活用されていない状況となっております。そうした中、二〇二四年問題で深刻化するドライバー不足への解決策の一つとして、海運へのモーダルシフトの推進がますます重要になるものと考えます。
 利点としましては、船に乗っている間はドライバーが休めること、ドライバーがいなくても運搬が可能な無人航送もできること、さらには、陸送から海上輸送への転換によってCO2排出量は五分の一となることから、環境にも優しいことなどが挙げられます。現場からも、フェリーの輸送力にはまだまだ余裕があるので、是非ともフェリーや貨物を積んだトラック、トレーラーをそのまま運べるいわゆるローロー船などの活用に国として更なる後押しをしてほしいというお声をいただいております。この点、斉藤大臣の御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 二〇二四年問題を踏まえまして、フェリー、それからローロー船など、モーダルシフトを更に進めていく必要があると考えております。
 輸送の効率化に資する船舶の大型化を促す船舶特別償却制度を始めとする税制上の支援措置、それから船舶共有建造制度による金利優遇などによりまして、モーダルシフトの受皿となるフェリー、ローロー船の建造支援を行っているところでございます。
 また、工場や配送拠点を再編し、海上輸送にシフトするなどの革新的なモーダルシフトの取組を行った荷主や事業者を表彰することで、他の事業者においても参考としていただき、モーダルシフトの浸透を図っているところでございます。
 さらに、本年三月に設置された関係閣僚会議を踏まえまして、物流の生産性向上を図るため、荷主、物流事業者間等における商慣行の見直し、それから物流の標準化やDX、GX等による効率化の推進、荷主企業や消費者の行動変容を促す仕組みの導入を進めるべく検討を進めております。
 国土交通省としては、関係省庁と一層緊密に連携し、モーダルシフトを強力に推進してまいりたいと決意しております。
○高橋光男君 しっかりと陸送また海運、この両面でのモーダルシフトの推進というものが極めて重要かというふうに思いますので、国にはしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 続きまして、ジェットフォイルの更新支援についてお伺いします。
 この点につきましては、昨年、離島振興法の改正の際に私も取り上げさせていただきました。その際、今後のジェットフォイルの新造や代替に向けて、国は旅客船事業者の現状を常に丁寧に確認しつつ、事業者や関係自治体の意向を積極的に把握し、製造事業者とも緊密に連携し、円滑かつ効率的に進むよう努めると御答弁をいただいたところでございます。
 以来、約半年が経過いたしました。安全航行確保のためにも待ったなしの課題だと私は考えます。国の取組状況につきましてお伺いいたします。
○政府参考人(高橋一郎君) お答えを申し上げます。
 今回の離島振興法改正を踏まえまして、海事局の担当者が関係事業者や自治体を個別に訪問いたしまして、各事業者の経営体力、あるいは各航路で運航している様々な船舶の更新時期などを踏まえつつ、ジェットフォイルの更新の実現に向けた費用負担の在り方や更新スケジュールなどにつきまして議論を重ねておるところでございます。また、これに加えまして、製造事業者とも、建造体制の維持方策、各事業者との調整状況など、最新の状況について情報交換を行っております。
 今後とも、旅客船事業者の現状確認、あるいは事業者や関係自治体の意向の把握、製造事業者との緊密な連携等、しっかりと力を尽くしてまいる所存でございます。
○高橋光男君 是非とも、関係自治体又は事業者、こうしたところに丁寧にお話を伺っていただくとともに、現行の制度で果たしてこの更新ができるのかといったような私は課題があるかと思います。
 船舶共有建造制度というものもございますけれども、これはあくまで船舶につきましては融資となっておりまして、融資制度でございますので、これにつきましては自治体の負担も大きくなるわけでございますし、一方で、ジェットフォイルの寿命というのは今四十年と言われている中で、平均今三十三年がたっているところでございます。こうしたところの更新を進めていかないと、いつ何どきジェットフォイルも海難事故というものが起きないとも限りませんので、しっかりと国には速やかに検討を進めていただき、しっかりとした支援の枠組みをつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 そうしましたら、最後になろうかというふうに思いますが、離島定期航路支援についてお伺いしてまいります。
 令和三年度から、一航路二事業者の共同運航につきましても、特例的に補助が適用されるようになりました。一方で、お伺いしましたところ、以後、まだ一件も実績がないというふうにお伺いしております。
 背景としましては、事業者間の協議がなかなか進まないことがあるようでございますけれども、我が党としましても、一昨年、ここにいらっしゃる竹谷とし子本部長始め、私も、離島振興対策本部ということで、公明党の方で訪問させていただいた家島諸島始め対象航路がございます中で、しっかりと国には関係者間での協議が進むように申入れもさせていただいてきたところでございます。
 私、この点、是非適用されるようにするには、今、共同運航について事業者間で協定を結ばないといけない、こうしたことが非常に大きなハードルになっているわけでございますけれども、この要件を緩和するとか、また、あるいは新たな支援策をやはり講じるなど、何らかの対策を行っていただく必要があるというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(高橋一郎君) お答え申し上げます。
 共同経営を行うことを要件として離島航路補助の支援対象とする制度につきましては、当該制度を活用する可能性のある航路におきまして、直接、個別に丁寧な説明を行っているところでございますが、現時点では本制度に基づく事業者から認可の申請は出てきておりませんものの、引き続き、本制度が活用されますよう、地方自治体と連携しながら周知を図ってまいりたいと存じております。
 また、離島航路、離島補助航路以外の事業者への支援につきましても、令和四年度補正予算を活用して、キャッシュレス決済の導入など、事業者の経営改善に資する支援を実施してございます。
 今後とも、事業者の声に丁寧に耳を傾けながら、必要な対応を行ってまいります。
○高橋光男君 ありがとうございました。

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