2024.12.19

国会議事録

令和6年12月19日 農林水産委員会

○高橋光男君 おはようございます。公明党の高橋光男です。
 本日は、大臣所信への質疑の機会いただき、ありがとうございます。
 持続可能な農林水産業を未来に継承するための課題は山積しております。国の責任は大変重要でございます。今日は、一年務めさせていただいた政務官の経験も踏まえて、早速質問に入らせていただきます。
 まず、補正予算で手当てをされました共同利用施設整備支援について伺います。地域の生産活動に不可欠なライスセンターなどの基幹施設の多くは老朽化が進んでおります。私自身、地元のJAから更新への強い御要望を受けてまいりました。その中で、今回新たに実質二百億円増となる支援の拡充を高く評価いたします。
 そこで、二点お伺いします。
 この事業を円滑に進めていくにはJAから申請を受ける都道府県の役割が重要だと考えておりまして、計画的に整備していく必要があります。国は都道府県とどのように連携して進めていくのか。もう一点は、この現場の大きなニーズに応えていくためには、新たな基本計画の初動五年集中対策の主要な取組として位置付けて、この単発的な予算手当てだけではなくて、当初予算と一体的に来年度以降も予算を確保して継続していくべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(江藤拓君) 委員の言われるとおりだと思います。
 これは、都道府県の方でしっかりコミットしていただかないと困る。先ほどもちょこっと触れましたけれども、県がコミットしてくれれば補助率が最終的に六割に上がりますから、これはやはり県も、UR対策でやった施設がほとんどなので、大体もう経年劣化三十年ですよ、大体三十年たちゃ古いですよね。これをこの機会にやはり更新して、生産性それから労働効率性を上げていくということは極めて合理的な話だろうというふうに思っております。
 そして、この来年度の、新年度予算との連携ですけれども、これは繰越しができますので、補正予算であっても当然連続性を持たせてやらなければならないと思っておりますから、補正で付いた分はしっかり握っておいて、そして新年度で付いた分と重ねて継続的な政策としていきたいと考えております。
○高橋光男君 大変心強い御答弁ありがとうございます。
 続いて、米の品不足問題についてお伺いしたいと思います。今年の令和の米騒動は、端境期の特殊事情による問題だと片付けるべきではないと私は考えます。実際、公明党としましても再発防止を講じるよう申入れを行ってまいりました。
 そこで、大臣にまずお伺いします。今回の問題や再発を防止していくための対策についての御認識について、端的にお答えいただければと思います。
○国務大臣(江藤拓君) 端的にということですので端的に申し上げますが、やはり情報の発信が足りませんでした。やはりこの事態をなかなか予見することは難しかったと思いますが、随時随時、しかるべき様々なメディアも使ってもっと情報発信をしなければならなかったという点は反省だと思います。
○高橋光男君 私も、そこはきちっと農水省として今回の対応を検証して、このようなことが起こらないようにしっかり対策を打っていかなければならないというふうに考えております。
 これをしっかり、ちょっとそれを確認する上で、皆様に今日お配りした資料を是非御覧いただければと思います。これは、米の今年四月から十月までの各流通段階での供給状況を示したものでございます。上から四つ目と五つ目のこの表がございますけれども、これ、スーパーなどの小売業者の店頭での販売数量を示したものでございます。上は昨年を一〇〇とした数値、下は昨年と一昨年の販売状況との比較を示したグラフとなります。
 注目していただきたいのは、七月以降の各段階の動きであります。この上の三つのグラフにございますように、生産者から集荷、卸売、小売業者までの販売数量は例年よりも多くなっている状況です。しかしながら、それ以上のペースで店頭での販売量がどんと増えているのがこの下のグラフでも分かります。需要増に対して供給が追い付いていないような状況は、既にこれは七月頃から発生していたことが見受けられます。
 確かに、米が店頭に消えた、これが社会でより認知されたのは、あの南海トラフの緊急事態、地震情報ですね、の後でありましたけれども、このグラフが示しますように、既に兆候は七月からありまして、この間、私は取り得る手段がもっとあったのではないかというふうに考えます。その一つが大臣今おっしゃられた情報発信だというふうには思いますけれども。
 そこで、配付資料二も御覧いただければと思います。これ、今年の十月末に食糧部会で配付された資料でございます。下線は私の方で引かせていただきましたけれども、実際、しっかりとしたこの分析、また今後の対応というものを示しておりますけれども、資料二の二の方を見ていただきますと、その他の対応としまして、調査とか情報発信とか、そういったものに加えまして、様々な取組が書かれているわけでありますけれども、ここに赤で囲って検討中とある「この他の方法」として、私は次の提案をさせていただきたいというふうに思っております。
 それは、今回の事態が再発しても、機動的に対応できる政府備蓄米の機動的な活用でございます。
 具体的に申します。仮に今回のような米の需給逼迫の兆候を察知しましたら、まず備蓄米を民間在庫に貸し出します。これは放り出すんではなくて、貸し出します。そして、例えば一万トン、それを受けて、卸売などの民間在庫から小売業者に米を提供できるようにしていく、つまり、民間在庫を押し出すことで、スーパーなどでも消費者に提供可能となり、需給が改善することが期待できます。そして、貸与した一万トンにつきましては、例えば六か月後など、この需給が改善した段階で備蓄米に返還してもらうようにすると、それによって備蓄米はプラス・マイナス・ゼロでございますから問題はございません。したがいまして、これは単なる放出とは違います。
 是非、こうした民間とも協力した新たな仕組みを創設すること、実はこれ政務官時代から私は農水省内で検討をお願いしてまいりましたけれども、是非、一月にはまた食糧部会が予定されております、こうした新たな仕組みを議論することを提案させていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(江藤拓君) 新たな仕組みを議論することについては全く否定するものでは当然ありません、まあ議論は必要ですから。
 ただ、備蓄米には、食糧法という法律が、政務官、よく御存じでいらっしゃるんですけれども、何のために備蓄しているのか、法律上の定義があります。そして、備蓄米を一万トンといえども市場に出せば、当然、価格は変動します。それによって、例えば米の取引をしている方々にしてみれば逸失利益というふうに捉えるかもしれません。そして、新しい年の概算金は、市場価格がもし下がれば、政府が備蓄米を出したことによって、我々の概算金はもっと上がったはずなのに下がってしまったというふうに生産者の方々はネガティブに受け止めるかもしれません。
 様々なやはり議論をすべき課題があると思います。決して政務官、前政務官の御提案を全面的に否定するものではありませんが、これ、まだ私もなかなか時間がないんですけれども、しっかりまたどのような御提案をいただいたのか省内でも検討させていただいて、いずれ結論を出したいと思います。
○高橋光男君 真摯な御答弁ありがとうございます。
 私も、この仕組みにつきましては、私限りのアイデアでございませんでして、まさに、農水始め、現場のお声を受けてこういった新たな仕組み、一定程度御理解をいただいておりまして、是非こういったものがあれば有り難いというようなお声も受けて提案をさせていただいていることを申し添えます。
 是非、国民の主食である米でございますので、消費者まで届いて初めて食料安全保障でございますから、もちろんこれは全体で生産者のことも考えないといけません。価格への影響ということもちゃんと考えないといけませんけれども、やはり今回の夏の事態というものは、やはり米がなくなってお困りになられた方がたくさんいらっしゃったのが、私も大変厳しいお声をいただいたのはこれ事実でございまして、是非、こうしたものを再発を防止していくための一つの選択肢として考えていくことを是非お願いを申し上げたいというふうに思います。
 続いて、同じように、この食品アクセスの問題でございますけれども、政府備蓄米といえば、今回の総合経済対策の閣議決定と同時にフードバンクへの提供も決定されたことを評価いたします。私自身、地元兵庫、また政務官として北海道で受けてきた現場の御要望を国に届けてまいりました。特に現場からは、新学年になるときに一番支出が大きいと、その大きいのは子育て世帯であって、そこへの進学パックに間に合うようにしてほしい、また申請手続を年に一回で済むようにして、報告も事務負担に配慮するなど簡素化してほしい、さらには福祉団体にも提供できるようにしてほしいなどのお声をいただいております。
 必要な方々に速やかに行き渡るように、是非こうした声に応じていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(山本佐知子君) 備蓄米の無償交付につきましては、子供食堂、子供宅食に加えまして、食育活動を支援するフードバンクにも新たに無償交付することとしまして、年度内の交付を目指しています。来年二月頃から交付申請ができるよう現在準備を進めているところであります。
 また、交付申請手続について簡素化をしてほしい、これは本当に大変多くの、私自身もお問合せ大変いただいておりますけれども、これも円滑かつ安定的に交付できるように、九か所の地方農政局等のほか、全国の地域拠点五十一か所全てで申請、相談に対応できる、また交付申請書類のそもそもの簡素化、また一度の交付申請で年間複数回の配送をできるということもしております。
 今回の措置によりまして、フードバンクを通じ、食育活動を支援として、政府備蓄米が福祉団体等にも提供可能となるので、よく周知してまいりたいと思っております。
 また、この備蓄米の無償交付については、先生もおっしゃっておられますように、引き続き現場の御要望等に丁寧に寄り添いながら対応してまいります。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 しっかりと取り組んでいただいて、本当にスピーディーにやっていくことが必要でございますので、よろしくお願いいたします。
 次に、能登半島地震と豪雨災害への対処、営農再開のための支援についてお尋ねいたします。
 震災から間もなく一年、改めて被災者の方々に衷心よりお見舞いを申し上げますとともに、これまで支援に当たられた官民の関係者に心から感謝を申し上げます。
 私は現地に六度訪問させていただいてまいりました。農林水産業の被災者の方々のお声を伺ってまいりまして、先月も行ってまいりまして、現地のJAや若手農家からいただいた御要望についてお尋ねいたします。
 まず、JAからは、是非、二重被災です、地震後にまた豪雨に、地震後、新たなその農業用機械等を新調されたんですけど、それが豪雨によって駄目になってしまったと、本当に心が折れそうだというようなことで、そうした方々の、やはりこれ実際一割負担というものがありますから、この負担をなくしていただきたい、是非そうした特別な補助制度をつくっていただけないかというような御要望をいただいたところでございます。
 是非、国、県、市町が一体となった支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(滝波宏文君) 高橋委員の何度も現地に入られるお姿に敬意を表したいと思います。
 私自身も隣の県でありますので、七回、災害ボランティア含めて入ってございます。本当に二回の、二度の被災ということに、何でまた、そういう思いに応えていく必要があるんだろうと私も思ってございます。
 能登半島における今回のこの地震と豪雨によりまして、二重に被災した農業用機械等につきましては、二度目の被災からの復旧費用の自己負担分、これ十分の一になりますが、これにつきましては県と市町で支援することとしたというふうに承知してございます。このため、農家負担なしで農業用機械等を復旧することが可能になっていると承知してございます。
○高橋光男君 ありがとうございます。我が党としても、部会等でこれ是非お願いしたいということが県、市町の協力によって実現したということでございますので、しっかりとこうした支援が行き届くようにお願いを申し上げます。
 次に、輪島の若手農家からいただいたお声でございます。
 震災時よりも今回の豪雨災害の方が、多くの方たちから心が折れたという声を聞いています。被害が甚大過ぎるため、行政としても皆にもういい顔をすることはできないのではないかと。ここは十年、二十年先を見据えて、本当に担っていける農家への農地の集約や、そうした人材への特別な支援が可能となるような特区のようなものが必要ではないかというものでございます。
 是非、国として、県や市町と密に連携して地域に入っていただきたいと思います。そして、こうした将来の担い手の声に寄り添っていただきたい。そして、行政と担い手が協力して将来的な復興ビジョンを作って支援していく仕組みがこの持続可能な地域農業のために必要ではないでしょうか。
 また、災害復旧も、査定ができても、請負業者が不可欠であります。また、業者にとって利益にならない工事は進みません。したがって、是非、広域的に、土地改良建設協会などの協力も得まして、業者を可能な限り確保して進めていただきたいと考えます。御答弁をお願いします。
○副大臣(滝波宏文君) 済みません、お答えする前に、先ほどの質問の、対しまして、県、市町には交付税措置も付いてございます。その点も付言させていただきます。
 そして、今の御質問につきましては、高橋委員御指摘のとおり、奥能登の農業の復旧復興に当たって、この地域の農業の将来の姿、これを関係者、国、自治体、JA、そして地域の農業者が共通の認識を持って進めることが重要であるというふうに認識しているところであります。
 このような認識に基づきまして、十一月二十八日、この国、県、市町、JAの四者から構成される奥能登営農復旧・復興センターが穴水町のJA能登本店にワンストップの支援組織として設置されております。このセンターを拠点として、四者が一体となって、奥能登の各集落を巡回しながら、農地の復旧の進め方、復旧した農地を誰が担うのか、復旧した農地でどのように作付けを進めるのかなどについて、地域の担い手の参画も得ながら議論を行うこととしております。
 奥能登地域における、また先生、委員御指摘のこの建設業者の確保につきましては、国としても、御指摘の土地改良建設協会に要請をいたしまして、県内外の二十三業者を確保したというふうに聞いてございます。現在、調整の付いたところから順次復旧工事に着手しており、来春には一枚でも多くの農地での営農再開ができるよう復旧工事を進めてまいりたいと考えてございます。
 農水省としましては、引き続き、県や市町と密接に連携し、建設業者の確保を努めるとともに、再び奥能登地域で営農したいという農家の方々のお気持ちに寄り添い、地域の農業の将来を見据えた地震と豪雨からの能登の復旧復興を一体的に推進するため、切れ目なく支援してまいります。
○高橋光男君 最後の質問になります。
 厳しい冬に入った能登におきましては、温かい食事の提供が不十分な地区がまだございます。
 先日、避難所や孤立集落に月に一度レスキューキッチンカーとして東京から支援に当たられている団体の代表と懇談しました。その翌日も珠洲市で炊き出しをされまして、私たちは食の支援だけではなくて心の支援もしているとおっしゃっていました。尊い活動に心から敬意と感謝を申し上げます。
 一方、代表からは、キッチンカーは単発的で、また散発的な派遣になっていて、提供体制をもっと強化すべきだという声もいただいております。
 そこで、国として温かな食料を必要としている地域や提供状況を改めて把握するとともに、切れ目なく届けていくために、継続してこのように活動しているキッチンカーへの例えば太陽光パネルの設置なども支援是非お願いしたいと思います。
 また、今後の大規模災害に備えまして、地域内で地域にあるキッチンカーが活用、活動できるように、今般、国が行ういわゆるデータベース、登録制情報もこの自治体にも共有しまして、平時から災害用の備蓄食料を有事の際に活用できるようにする、何もなければ防災訓練での炊き出しなど活用するような仕組みが必要ではないでしょうか。
 今回、発災当初から炊き出し用の野菜の提供も課題でございました。災害時に健康の維持に必要な野菜が不足がちになることは、私自身も経験した阪神・淡路大震災の経験からも明らかでございます。是非、地域内の連携で食材を確保し、温かい食事も提供していただけるよう、省庁横断的に取り組んでいただきたいと思います。
 時間がございませんので、内閣府防災にのみ答弁をお願いします。
○政府参考人(河合宏一君) 災害時に温かい食事を提供するなど良好な生活環境を確保することは重要でして、内閣府が作成する避難所運営指針等を先週改定し、キッチンカーの活用などについて盛り込みました。
 能登の被災地においては、企業、業界団体の御協力の下、キッチンカーを派遣しており、引き続き現地のニーズも踏まえながら継続して支援してまいります。
 加えて、今般成立した補正予算において、キッチンカー等を登録するためのデータベースの整備を進めるとともに、キッチンカーや炊き出し用資機材の購入などを支援する新地方創生交付金による枠組みを創設することとしています。本交付金で購入する資機材については平時から官民連携した訓練での活用を促すなど、災害時に実効性のある取組にしてまいります。
 以上です。
○高橋光男君 終わります。

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