2025.03.10
予算委員会
令和7年3月10日 予算委員会
○高橋光男君 公明党の高橋光男でございます。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まず、総理にお伺いします。
国民の命に関わる高額療養費の引上げ見送りについてお尋ねします。
公明党は、今年一月に会合を開いて患者団体からお話を伺い、その結果を西田幹事長が自民党の森山幹事長に働きかけて、与党として、まず多数回該当を据え置く予算修正を行いました。その後も公明党は患者の方々との連携を続け、その結果、自公立の協議において多数回該当の判定基準を維持するとともに、斉藤代表からも事あるごとに総理に声をお届けしてまいりました。
さらに、参議院の審議におきましても、国民の声を丁寧に酌み取ることを訴え、この度、再度改めていただいたことを評価いたします。
そこで、今回の高額療養費見直しの見送りの理由、一連の意思決定を振り返って率直なお気持ち、今後の検討に臨む姿勢をお聞かせください。
○内閣総理大臣(石破茂君) 先般、当委員会において、谷合委員からも御指摘をいただきました。また、斉藤代表からも折に触れて、この問題についての御指摘を賜っておるところでございます。
先週の金曜日に、患者団体の皆様方から直接お話を丁寧に承る機会を得ました。また、アンケート結果も頂戴をいたしました。
私として、この制度の持続可能性は何としても維持をしなければならないし、保険者の方々の負担というものも当然考えなければいけないと思っておりますが、一番この問題について心を痛めておられる、心配しておられる患者の方お一人お一人の共感と納得が得られないままにこの制度の改定というものを進めるということはあってはならないというふうに判断をいたして、このような決断に至ったものでございます。八月の定率改定も含めまして、見直し全体について実施を見合わせるということでございます。
本年の秋までに改めて方針を検討し決定するということでございますが、この制度が患者の方々お一人お一人に不安を与えることがないように、そして、この制度はずっと続いていかねばならぬものでございますから、この制度の持続可能性を維持しますためにも、午前中の質疑でもお答えをしましたが、できるだけ丁寧に患者の方々の御意見を聞く、そして、まだこの議論が十分ではないと思っておりますが、保険者の方々の意見というものもきちんと聞いて、丁寧に丁寧にやってまいる所存でございます。
○高橋光男君 率直な御答弁、ありがとうございました。
公明党としましても、これまでも、そしてこれからも一貫して、患者の皆様、当事者の皆様のお声を聞いて政策反映に努めてまいる所存でございます。
続きまして、国民の命を守ること、また暮らしを守ること、同時に、基となる産業を守っていくこと、そして、困難を抱える人々に寄り添い、誰もが輝く社会を築くことは、政治の使命と責任と確信をいたします。
そのために、私は、今日は、日本の縮図と言われる地元兵庫の現場で伺ってきたお声を基に順に質問をさせていただきます。
なお、時間限られておりますので、なるべくコンパクトに的確な御答弁をよろしくお願いいたします。
改めまして、この度の大船渡で起こりました大規模山林火災により被害を受けられた住民の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。そして、鎮火に当たられた関係者の皆様にも感謝を申し上げたいと思います。
昨今の気候変動によりまして、山林火災の頻度、また規模が増えております。国民生活を守るためには、今回のような事態は何としても再発を防止していかなければなりません。
火災では初期消火が大変重要でございます。しかしながら、地上からでは限界がございます。日本では主にヘリコプターに頼っておりますけれども、空中消火能力を強化していくことが急務でございます。今回の火災を機に、海外では主流となっている消防飛行艇の導入を今こそ進めるべきです。
そこで、パネル一を御覧ください。(資料提示)
日本におきましても、救難飛行艇US2を改造した消防飛行艇の可能性が検討されてきました。歴史は古く、一九七〇年代、私生まれる前からですけれども始まっておりまして、タンクの開発や効果的な放水方法の確立など基本的な技術開発は完了しております。その性能も確認されております。残るは、一番右にございますように、実機の確保のみです。
そこで、総理にお尋ねいたします。
先日の予算委員会で我が党谷合議員の質問に対し、US2を消防飛行艇にするには一機当たり二百八十億円、維持費は年間十億円との御答弁がございました。しかしながら、実際、同様の火災が生じた場合の損失額、また自然環境やふるさとの風景、こうしたものは金額に代えられないものだと私は思います。そうした価値に注目して、私は消防飛行艇の整備を早急に進めるべきだと考えます。
是非、防衛省や関係省庁の予算を確保していただいて、消防飛行艇を早急に配備し、全国の山林火災に提供、対応できる体制を構築していただきたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
○内閣総理大臣(石破茂君) 先般も谷合委員にお答えをいたしましたが、このUS2を使うということになりますと、かなり維持費も掛かると。でも、委員御案内のとおり、このUS2という飛行機は六機しかございませんのですね、今。で、最新鋭機が令和四年の五月に就役をしておるところでございますが、今六機ということでございます。最新鋭機、一機、二百十八億いたしました。そうすると、本当にこの飛行艇でなければならないのかという議論もしていかねばならないと思っております。
これ、防衛施設庁に研究するように防衛大臣を通じてお願いをしておるところでございますが、じゃ、C130だったらどうなるんだと。つまり、飛行艇でなければならないというのは、近くに湖沼があるとか、あるいは海があるとかというときは飛行艇の有用性がございますが、別にその飛行艇でなくても、C130にタンクを積んで、水プラス消火液を混ぜて散布をしたらどうなるのか、これ委員が御指摘になりましたように、海外では固定翼機による消防、消火というものが行われているわけでございまして、この検討を早急に行って、こういうような被害の発生、あるいは人々のなりわい、あるいは安らぎみたいなものを確保するためにこの検討は急いでまいります。
○高橋光男君 御指摘のとおりでして、私もメーカーからお伺いしております。これから一号機が退役し、これからさらに二号機も予定をされていると。それは、新たに造る救難飛行艇の方に部品等を活用するというふうにお伺いしております。しかしながら、残りのその部品等以外のところはスクラップにするわけでございますし、そうしたことをするぐらいならば、ほかの用途はあるのではないかと。
あと、散水能力も、ヘリコプターよりも消防飛行艇の方が三倍ぐらいあるというようなこともございますし、また、我が国としてこうしたものを、優れた飛行艇を整備すれば、国際防災協力にも活用することができるという、そうしたメリットもあると思いますので、是非真剣な御検討をよろしくお願いいたします。
続きまして、米の適正価格と安定供給についてお伺いします。
主食である米の品不足を二度と繰り返してはなりません。そして、物価高の今、米の高騰により国民に負担を掛け続けてはなりません。私はその決意に立って、昨年夏の騒動を受けた九月、農水政務官として、今回実施された備蓄米の活用につながる新たな仕組みを提案させていただき、本日いよいよ入札が始まりました。これにより、米が店頭からなくならないようにすること、かつ、価格がある程度目に見えて下がるようにしなければなりません。
そこで、まず江藤農水大臣にお尋ねいたします。
今回の備蓄米、集荷業者から卸売事業者への販売価格が高過ぎれば、小売価格は当然高止まりしたままになります。一方で、低過ぎても米価の急落を招きかねません。そこで、現場からは、両者が適正な相対取引価格で取引できるよう、備蓄米の販売価格の下限は令和六年産米の当初引上げ分を含む概算金レベル、つまり六十キロ当たり一万七千円程度、上限は追加引上げ分を含む概算金二万円の間が適正水準ではないかというお声をいただいております。
この点、公正な入札のため、お答えしにくい点はあろうかというふうに思いますが、政府の御見解をお願いします。
○国務大臣(江藤拓君) 高橋委員におかれましては、政務官のときに先立って、行政の中で備蓄米の活用はいかがかという提案をされたことについてはよく存じ上げておりますが、今それに至っているわけでありますから、そのときの判断、そのときの判断で、どれが正しかったかとは言いませんけれども、敬意を表させていただきたいと思います。
この売渡しにつきましては、いわゆる売渡し予定価格は設定してあります。これ、最低価格ですね、これから下では駄目ですよと。そして上については、必要以上におっしゃるように値段が高くなってしまうと政策目標と外れてしまいますので、ですから、年間の集荷数量を実績を基に申込みの上限数量を設定してあります。
ですから、この値段で、今具体的な数字を言われましたけれども、それが正しいとか正しくないというのは私から申し上げられないんですが、基本的には財政法という法律がありますし、それから予算決算及び会計令、これに基づいて売出し価格については設定をしておりますので、そのような懸念を持たれるような価格帯にはならないのではないか、でも、あくまで入札ですから正直一抹の不安はありますけれども、そう思っております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
一方で、現場からは、品薄感がもう既に出ていますと。追加の備蓄米を求めるお声、その規模と時期を明確にしてほしいとのお声、地域ごとに偏らないようにしてほしいとのお声、卸売から全く情報がなく困っているといったお声をいただいております。
まずは今回の効果を見極める必要があろうかと思いますけれども、是非政府として要すればちゅうちょなく追加で備蓄米を出していただきたい、情報も行き届くようにしていただきたい、このように御対応いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(江藤拓君) 今後、備蓄米がこのような事態に対応することが、できればないことがベストだと思っております。しかし、このような事態がもし起これば同様に対応することはあり得るんだろうと思います。
ただ、改めて申し上げますが、この備蓄米とはという、米穀の備蓄とは、三条の第二項ですが、米穀の生産量の減少により、生産量の減少により供給が不足する事態に備え、必要な数量の米穀を在庫として保有することをいうと、これが備蓄米の趣旨ですから、これから外れることは余りやってはいけないんだろうと思います。
売渡しについても、農林水産省令の方でもありますけれども、これ二十九条ですが、様々な法律に照らして、正しいか正しくないかは常にやはり検証していかなきゃなりません。ただ、今回は余りにもイレギュラーな事態でありますので特例的に売渡しをしたということでありますから、御理解いただければと思います。
○高橋光男君 私申し上げたように、お米を届けることも大事ですけど、情報もしっかりと、農水省には、今何が起きていて、それのためにどのようなことが今後起きるのかということについてしっかりと御説明をお願いしたいと思います。
続いて、総理にお尋ねをいたします。
国民が期待する現行価格の低下と生産者にとっても再生産可能な価格としていくことを両立させていくことが極めて重要だと思います。このバランスをどう図っていくのか、具体を示すために図を用意しました。パネルを御覧ください。
これは玄米一キロ当たりのコスト構造と価格を示したものでございます。比較のため、令和四年産の全国平均段階別コストを一番左に示しております。生産の部分が一キロ約二百三十二円、マージンが赤で書いていますようにマイナス三十・七円と記しておりますが、一キロ当たり三十円の赤字があるということです。
次に、真ん中にございます昨年、令和六年産の概算金の二つのグラフを御覧ください。一キログラム当たり二百八十三円、追加引上げ分込みで三百二十五円、これは農家が米を出荷する際に集荷業者から前払として支払われる金額です。そして、実際に集荷業者と卸売業者と取引する際の相対取引価格でございますが、最近はキロ四百円になっております。これは令和四年産が約二百三十円、令和五年産までの十年間の平均額が二百三十八円でございましたので、これらに比べると高い水準になっていることが分かります。
一方、現在、店頭価格は、先ほど午前中にもございましたように、五キロ四千円を優に超えております。これは、一番右にございますスポット価格、すなわち卸売間で少量の米を即時に取引する際の価格でございますけれども、現在、キロ、何と約八百八十円となっておりまして、これを反映したものと見られます。小売段階ではそれ以上になっていることが実態かと思われます。
大事なことは、これだけ高く売られていても農家には必ずしもその分が還元されていないということです。そして、農家さんの立場からは、従来の集荷業者に出荷せずに、高い値段を持ちかけられる新手の事業者などに販売をしてしまうと。やむを得ないことだと私は思います。なぜなら、これまでも今お示ししたように赤字が続いてきたわけでございますので。そして、消費者は高額な米を買わざるを得ないという状況が続いてしまっているわけでございます。
総理、こうした事態を一刻も早く改善し、国として米の価格と供給の安定化を両立させるべきです。いかがでしょうか。
○国務大臣(江藤拓君) おっしゃるとおりだと思っております。
やはり、農林水産省そして政府は、国民に安心で安定的に食料を供給する義務、これを負っております。それが農林水産省の存在意義でもあります。ですから、今回、米のこの騒動は我々にとっても大問題であります。ですから、現代の価格低下、これがどのような影響をもたらすのか。生産現場にとっては、安く売っているはずなのに、スーパーの店頭に行くととんでもない値段で売られているというのは、非常に農家の方々にとってもフラストレーションがあります。ただ、その一方で、この高い値段の価格形成が市場でなされているということであれば、今年のいわゆる概算金それから精算金については大いに期待ができるんじゃないかという声も片方であるわけであります。
先ほどの御質問と重なりますが、売出し価格それから買戻しの価格、これもしっかりコントロールしませんと、消費者にとってだけいいその水準ということはなくて、そして生産者の方々にとっても、再生産だけではなくて、意欲を持ってまた米を作っていこうという価格帯に是非持っていこうというふうに思っておりますので、基本的には、あらゆるものの価格は国がコントロールするというのは正しくはないので、あらゆるものの値段は市場で決まるというのが大原則ですから、その原則を守りながら、国民の食の安全、食へのアクセスを維持するために努力してまいりたいと思います。
○高橋光男君 ありがとうございます。
私、価格を政府がコントロールすべきだとは思っておりません。一方で、持続可能な生産のために、米の適正な価格基準は何なのかと、どの辺りにあるのかということを私は明確にすること、これは別の話としてできるのではないかと思っております。それが今求められているのではないかと思っております。
先ほど説明はいたしませんでしたが、こちらのパネルにございますように、国産米が今、輸入米のキロ四百五十円、これを大きく上回っているのが実態なんですね。こうした状況が続けば、日本の主食たる米が本当になくなってしまいかねないことを私は懸念をいたしております。消費者にもこうした状況を御理解していただいた上で、納得する価格で流通できるようにすること、それがこのパネルの青囲みで示させていただいたように、この度の改正基本法第二条五項にございます合理的な配慮に努めること、これは生産者から消費者に至る食料システム全体で配慮していかなければいけないことだということでございますけれども、そうした価格基準を示していくことが私はすごく大事なのではないかというふうに考えております。
是非、そのためにも、全国の生産コストの見える化、これを図っていただくとともに、場合によっては公正取引委員会の関与も得まして不当価格による取引を抑制していくこと、またそして生産条件が不利なところには補填措置、特に中山間地域の農家には直接支払の強化や、また輸出に意欲的に取り組む事業者への支援を強化していただき、本年そして中長期的に是非お米を増産する、そうしたインセンティブを働かせていく、こうしたことが必要だと思います。
改めて、総理にお伺いします。こうした取組を通じて、米の適正な価格を形成するために本腰を入れて形成していただき、生産者の取組を支え、安定供給を実現していくべきではないでしょうか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 昔、食管制度というのがあって、米の価格は政府が決めていた。で、私、当選二回、三回の頃ですが、米価を決めるのに自民党本部で四日間ぐらい徹夜しましたですよね。で、もう大体四晩目ぐらいになって、心身共に疲労した辺りで決まるみたいなところがありましたです。
で、その頃から生産費所得補償方式というのがあって、再生産を可能にする、そういう米価でなければならぬと、それはそうだと。じゃ、一体誰の再生産を可能にするのということであって、そこはもうコスト低減に一生懸命励んできた大規模なところ、昔、二種兼業農家とよく言っておりましたが、必ずしもお米で食べてないけれども先祖伝来の土地を維持するためにやっておられるところは当然コストは高いと。そうすると、一体、再生産可能な米価とは一体誰の再生産なのというところにどうも答えが見出せなかったし、今もそうでございます。
そうすると、委員が御指摘になりましたように、中山間だけれども水保全みたいな、水源涵養機能と申しますかね、そういうものを維持するためにも重要なところ、あるいは、これから先人口減ります、高齢化も進みますので、突然米をたくさん食べるということは想像しにくい。そうすると、コストを下げないと、御指摘になったように、外国の米と競争できませんものですから、短粒種で来ました場合に。そうするとやっぱり、輸出するためにコストを下げる努力をしてきたところ、あるいは水源涵養機能を営んでおると、そういういろんなバリエーションの米作りがあって、どういう米作りをどのようにして補償していくかということを細かく議論しないと、政策として整合性が取れなくなると思っております。
農水省、江藤大臣を中心として、この米作りというものが続いていくように、やっぱり日本の国が今日あるのはこの米があったからこそきているのであって、そして、世界の中で米を、食料を増産していない、農地をどんどん減らしている、そんな国、日本ぐらいなものでございますから、新たな農政というのは、委員の御指摘もいただきながら、農水省、政府全体として確立をしてまいりたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。是非、公明党としても、新たな水田政策しっかり申入れをさせていただきたいと思います。
続きまして、品種改良と食料安全保障についてお尋ねをしたいと思います。
気候変動が進みまして、世界的に食料生産の不安定化が進んでおります。こうした中、食料安全保障を強化するために品種改良の加速が求められています。私の地元兵庫県佐用町には世界最高性能の放射光施設、SPring8を活用し、高温耐性を持つこの度新たな兵庫県産の品種、「コ・ノ・ホ・シ」、この地球と書いた新たな品種が開発されました。
こうした品種改良の重要性を踏まえて是非お願いをしたいのは、一方で、こうした放射光施設によってナノレベル、ミクロレベルで解析ができる、得意とする施設、またもう一方で、農水省が所管するゲノム解析を得意とする農研機構があります。しっかりこれ両者が合わさって、今全国でこの品種改良を進めようとしているわけですから、言わば国家プロジェクトとして是非高温耐性の品種の加速化を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(江藤拓君) お答えさせていただきます。
まさに委員がおっしゃるように、これから世界中の気候が大幅に変更、変わってしまうというこの時代において、高温耐性を持つ、そういったものを作ることは、農家の所得にも直接つながりますし、食料の安全保障にも直接つながることであるので、大変大事だと思います。
品種の改良は、より早くやること、それからコストを抑えること、そういったことが極めて重要でありますので、今御指摘があったSPring8、これ、兵庫県の方ではもう開発ができたということでありますが、農研機構では、今これも御紹介がありましたが、ゲノム解析とか、どういう組合せ、品種のどういう組合せをするとどういう特性を持った、どういう耐性を持つことができるかというようなことも研究できますので、農研機構やSPring8、そういったあらゆるものを使って、収益性の高い、そして厳しい気候にも強い、そういうものを開発するために農林水産省としても予算をしっかり付けていきたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
このSPring8ですね、実はほかにもいろんな用途で使われています。
その一つが、これから可能性があるのはインフラの老朽化対策だと思っております。アスファルトや鉄などの物性を解明することによって、インフラの老朽化対策がこのSPring8を舞台に今進められようとしております。国としても、こうした最先端技術を活用して、是非効率的な点検、監視を進めていくべきだと考えます。
中野国交大臣、この取組についての御見解をお聞かせください。
○国務大臣(中野洋昌君) 高橋委員にお答え申し上げます。
私も兵庫県ですので、SPring8、どんな研究しているかはよく伺っているところでございます。
委員御指摘のとおり、インフラ老朽化進んでおりますので、これの点検技術、特に新技術の開発、こうしたことにはしっかりと国としても力を入れてまいりたいと思っております。
特に、SPring8では、今非常に高い精度で物質の構造や性質を解析ができるということで、インフラ老朽化に関するミクロな物性レベルでの研究が今行われているということは承知をしております。
例えば、アスファルト舗装の損傷、破壊に関する研究ということについては、これは、舗装がどうやって効率的に点検ができるか、また品質が向上できるか、こういう観点から、実は国立研究開発法人の土木研究所、これ国交省で所管でございますが、この研究者、技術的な支援を行うなど、実は国土交通省でもこうした研究開発、今まさに協力をしているところでございます。
今後とも、いろんな大学、研究機関、民間企業、様々な主体と連携をさせていただいて、このSPring8を始めとした最先端技術を活用とした研究開発、これはしっかりと促進をし、インフラの老朽化対策に資する新技術が早く社会実装できるように、しっかりと国土交通省としても努めてまいりたいと思います。
○高橋光男君 もう一点、SPring8は、二〇二九年に向けてSPring8Ⅱということで今の輝度の更に百倍の高度化が予定をされております。一方で、それに伴ってデータ量というのが飛躍的に増加しますので、これを解析するためには、例えば同じ兵庫にございますスーパーコンピューター「富岳」も「富岳NEXT」ということで、二〇三〇年、更に開発を目指しておりますけれども、この両者をつなぐデータネットワーク、大容量のですね、そうしたものを整備していく必要があると考えますけれども、この点、文科大臣、どのように進められるか、お聞かせください。
○国務大臣(あべ俊子君) 委員にお答えいたします。
SPring8と「富岳」の連携を強化しながら研究成果の更なる創出を推進していくことはまさに重要でございまして、二〇二九年の運用開始を目指して進めておりますSPring8Ⅱが実現すれば、委員がおっしゃるように、現行の約百倍となる世界最高峰の性能となるわけでございまして、従来よりも高精細なこのデータを短時間で取得できるようになるため、データ量が飛躍的に増加することが見込まれているところでございまして、「富岳」の次世代になる新たなフラッグシップシステムにつきましても、遅くとも二〇三〇年頃までに運転開始を目指して開発を進めているところでございます。
引き続き、両施設のより一層の連携に向けまして、将来のデータ量の増加も踏まえて検討を進めてまいります。
○高橋光男君 続きまして、就職氷河期世代支援についてお伺いいたします。
政府は、二〇一九年から当世代向けの支援策を進め、正規雇用者の増加など一定の成果を上げてきました。しかし、現在、四十代から五十代前半となった氷河期世代、私もその一人でございますが、親の介護を担ういわゆるビジネスケアラーとなる可能性が高いことが懸念されておりまして、今後十年間で約二百万人にも達すると予想されております。この世代は、若い頃の非正規雇用経験が重くのしかかって、賃金が低く、貯蓄も不十分なことは周知の事実です。今後、介護による離職や更なる収入減が深刻な課題となり得ます。
そこで、これまでの就労支援に加え、仕事と介護の両立支援を中核的な取組として新たに位置付けるべきではないでしょうか。また、これまでの就労支援は無業者や非正規雇用者が中心でした。しかしながら、今後は、正規雇用者への転職、キャリアアップ支援にも重点を置き、就職氷河期世代へのリスキリングも強化すべきではないでしょうか。政府の見解を伺います。
○国務大臣(三原じゅん子君) いわゆる就職氷河期世代の方の中には、不本意ながら不安定な仕事に就いている方や無業の状態にある方、仕事と介護の両立に直面していらっしゃる方や、待遇に満足していないけれども苦労して得た正規雇用の職を手放せない方など、様々な課題に直面している方々が多くいらっしゃいます。そのお一人お一人の人生に寄り添った支援が重要であるというふうに考えております。
今後とも、実態調査によって性別や就業の状況等の属性にも配慮して就職氷河期世代の方々の実態や支援ニーズを把握し、施策の充実、図ってまいりたいと思っております。
御指摘のビジネスケアラーへの支援につきましては、仕事と介護の両立支援制度に関する個別周知、利用の意向確認、相談窓口の設置等、事業主に義務付けたこの改正育児・休業、あっ、介護休業法、来月一日から施行されます。また、正規雇用の方の転職やキャリアアップに資するリスキリングにつきましては、昨年十月に教育訓練給付の給付率が引き上げられるなど取組が進められております。
両制度を所管する厚生労働省では改正内容の周知に取り組まれているところでございますので、就職氷河期世代支援策としても、共に当該世代の方々への周知、取り組んでまいりたいと思っております。
○高橋光男君 この後、女性の活躍、起業支援の強化、またジェンダーギャップの解消支援、またさらには日本の平和外交の更なる推進について取り扱わせていただく予定でしたが、残念ながら次の機会に譲らせていただくこととしまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。