2025.03.24
国会議事録
令和7年3月24日 農林水産委員会
○高橋光男君 おはようございます。公明党の高橋光男でございます。
本日も質問の機会いただき、ありがとうございます。時間限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。
まず、一点目。規模拡大を希望する農家への支援につきまして副大臣にお伺いしたいと思います。
全国的に担い手や後継者の不足が深刻化する中、やる気のある若手農家がプロとして経営を続けていけるよう支援を充実させていくことが急務となっています。
私たち公明党は、農林水産業キャラバンというものを開始し、年始に兵庫県姫路市で第一回目を行いました。そうした取組も通じまして、現場の声を基に基本計画の提言を国に提出させていただきました。その中で、今申し上げた点につきましては、新規就農後も営農を継続できるような継続的支援の拡充、また、担い手となる若い農業者の経営力、技術力の向上に向けた支援の強化、また、重点支援交付金や地方創生交付金の公平な執行、自治体間の補助金の格差是正などを求めさせていただきました。
そこで、お伺いします。
今申し上げた点の取組状況や新たな基本計画での位置付け、また来年度予算での支援方針について御答弁をお願いします。
○副大臣(滝波宏文君) 高橋委員におかれましては、前農林水産政務官としてもこの分野におきまして御指導賜りまして、感謝申し上げます。
御質問いただいた件ですが、今後農業者の大幅な減少が見込まれる中で、我が国の農業が持続的に発展していくためには、意欲ある農業者の育成、確保がまさに重要と考えてございます。このため、認定農業者制度につきまして、自らの創意工夫により経営の改善を進めようとする農業者、当然若手の方も含めてでありますけれども、各種補助事業、金融支援、税制措置などの支援を行っているところでございます。
また、御指摘ありましたこの重点支援地方交付金につきましては、各自治体の自主的、主体的な取組を支援するものであるわけであります。御地元でも、農林水産分野におけるそういったことを、活用をやっているところとそうでないところ、違いがあるようには聞いてございますけれども、やはりこの農林水産分野でのこの重点支援地方交付金の活用をしっかりと促してまいりたいと考えてございます。
既に十二月にも出しているものでありますが、改めて、この担当者が替わる四月に農林水産分野におけるこの物価高騰対策支援の例を地方公共団体に対して改めて周知をしていきたいと思います。
そして、基本計画でございます。新しい地方経済・生活環境創生交付金など、関係省庁のこの補助事業の紹介等によりまして現場の多様な課題やニーズに対応していく旨、これ記載する方針でございます。
以上のような取組を通じてこの交付金の活用を促すとともに、活用のフォローアップ、これしっかり行ってまいりたいと思います。
○高橋光男君 ありがとうございます。
重点支援地方交付金につきましては、私が行かせていただいた姫路市とその周辺の自治体、実は姫路市全くないと、二年間、この補正予算でやっていない。一方で、その隣の町では連続でやっている。やはり、こういったところは現場のまさに不公平感があると思います。これは、内閣府とかの予算だということで農水省がハンドリングできないということで決め付けるのではなくて、しっかりとそうした状況を把握して、平等なそうした支援が行き届くような努力を是非国にも求めたいと思います。
続きまして、下水汚泥のリン回収の促進についてお伺いします。
肥料の三大要素の一つであるリンは、産出国が限られておりまして、枯渇が懸念されております。日本はその全量を輸入しておりまして、しかも九割以上を中国から調達しております。価格も高騰し、農業現場への影響が出ております。
こうした中、我が地元神戸市では、十年以上前から、下水処理場の消化汚泥から高純度のリンを回収し、こうべ再生リンとして供給する取組を進めております。
お配りした配付資料一を御覧いただければと思います。
これ、小学生向けのパンフレットでありますが、再生リンがどのように作られましてどう農業に生かされているのかが分かりやすく示されております。下水処理から回収されたリンを地域で循環させ、肥料として再利用する流れは、まさに見える形での資源循環でありまして、非常に先進的な取組と言えます。
そして、この再生リンを使った肥料、こうべハーベストといいますけれども、JA兵庫六甲の御協力もいただいて販売されておりまして、地域の循環型農業に大きく貢献をしております。
国は、二〇三〇年までに国内資源の利用割合を四割に引き上げる目標を掲げておりますが、こうしたリン回収の取組はまだまだ一部の自治体に限られておりまして、全国的な普及はこれからとなっております。もちろん、リン回収のみならずコンポストであったり、また堆肥の利用、こうしたものを併せてやっていかなければならないんですけれども、このリン回収について、山本政務官に二点お伺いしたいと思います。
まず、神戸市のような先進的な取組を全国に広げていくためには、やはり施設整備などの初期投資への支援が必要不可欠だと思います。国は、今後どのような支援策を講じていくお考えか。もう一点は、再生リンを使った肥料の品質や安全性につきまして、農家や消費者の理解を深めていくということがこれ非常に大事なんですね。そのために、広報や教育の取組、このパンフレットもその一環でありますけれども、極めて重要だと思います。この点、是非神戸の経験を生かしていただきたいというふうに考えますが、国としてどう推進していくお考えか、御答弁をお願いします。
○大臣政務官(山本佐知子君) お答えいたします。
化学肥料は、その原料の多くを海外に依存しており、食料安全保障を強化するためにも、下水汚泥等の国内資源の利用拡大は極めて重要であると考えます。これは本当に御指摘のとおりでございます。このため、農林水産省では、下水処理場を所管する国土交通省とも連携し、下水汚泥からの回収されたリン等の肥料利用を推進をしています。
このうち、国交省では、神戸市等の処理場において、リン回収の効率性や、また品質の向上に向けた実証事業を実施し、その成果の更なる展開に向けて新たな施設整備等への支援を実施しています。
また、当省においても、農家や消費者の理解醸成に向けた取組を精力的に行う神戸市等の優良事例の横展開を図るため、まず六年度補正予算においては、新たな肥料の導入に伴う施肥効果の実証などに要する費用への支援を行っております。また、全国の関係者を参集したマッチングフォーラムなどのイベントを開催し、神戸市などの先進的な事業者の表彰を行うなど、様々な支援を実施しています。ちなみに、神戸市さんは毎年参加をしていただいております。
また、以前、私所属している自民党の部会でも、この神戸市さんの事例は紹介をしていただきました。神戸市の方とオンラインで結んで御説明をしていただきまして、大変市民の方にもこのハーベスト、好評であるということで、私も今でも鮮明に記憶をしております。
今後とも、国交省、地方公共団体、農業団体など、関係機関と連携をして、国内肥料、資源の利用拡大に取り組んでまいります。
○高橋光男君 ありがとうございます。
では次に、有機農業推進について大臣にお伺いしたいと思います。
本日の御説明でも言及されたみどりの食料システム戦略で掲げる目標、二〇五〇年に百万ヘクタール、取組面積ですね、この実現には一層踏み込んだ取組が求められております。この点、国は、昨年度の二十七億円の予算から増額し、今年度の補正予算では三十八億円を措置していると承知をいたします。
私は、政務官時代から現場の実践者の方々のお声を伺い、また実際、現場でも有機農業を体験をさせていただいてまいりましたが、やはりそうした方々からお伺いするのは、大事なこととして、まず一点目ですが、地域の風土に合った技術を確立していくための研究体制を強化していくこと、二点目は、技術指導を行う団体への支援や指導体制を整備していくこと、さらには、現場の実践者が、まさにこの農家さんが気軽に相談できる体制づくりを支援していくことが不可欠だと御指摘をいただいております。
そこで、来年度予算も含めて国は今後どのように取り組んでいくのか、御見解をお聞かせください。
○国務大臣(江藤拓君) これはもう国が決めた方針ですから、何が何でも実現しなければなりません。この百万ヘクタールというのは非常に意欲的、極めて意欲的ですよ。それだけのマーケットが果たしてあるのかということも考えなければなりません。
そして、私の地元でも、一生懸命取り組んでいる若いやつはいますけれども、みんな自分で工夫してやっていますよね。先輩がいない。特にJAに相談しても有機をやったことある営農指導員なんかいない、もう県にもいない、市役所にもいないということでありますから、この相談体制、指導体制をいかにつくるかということは極めて重要だと思います。極めて難しいですが、予算を付ければ指導員ができるわけではありませんけれども、金の問題だけではなくて、これは人的な資源の発掘、そういったものをデータ上で示すことも必要ですし、クラウド上に載せることも有効かもしれません。いろんな手法を使ってやはり様々な知見を集め、そういう横展開する努力をしなければならないんだろうと思っております。
そして、やっぱり除草にも手間が掛かりますしね。私の地元でもお茶なんかでも有機でやっている若いのがいますが、まあ本当に朝から晩まで働いていますよ、もう農薬使わないんだから、とにかく人の手を使うしかない。そして、収量も、彼はいい収量取っていますが、下手をすると収量も三割ぐらい簡単に落ちますから、その分価格を上げなきゃなりませんが、それだけの価値を市場で認めてもらわなければいけない。ただ、お茶なんかは抹茶を中心に海外での伸びがすさまじいです。特に有機ということが付くと途端に市場価値は上がりますので、そういった成功事例も輸出を含めてお示しすることによって、生産者の意欲を高め、そういう技術指導者も育成し、そして、何とかこの百万ヘクタールという面積を実践できるように、新しい交付金制度、これも、令和九年には環境直接支払交付金、これもつくる方向性で今議論をしておりますから、是非また先生方と議論をしていい内容にしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○高橋光男君 ありがとうございます。
続いて、今大臣が言及された指導体制の整備に関してなんですけれども、やはり私は、長年取り組んでこられたそうした団体に対してしっかりと御協力をいただきながら進めていくことが大変大事だというふうに思います。
しかしながら、実は現場の民間団体から国の制度が使いにくいといったお声もいただいているんですね。例えば、私の地元兵庫県内で十五年以上にわたって有機農業教室を開催してきたNPO法人、兵庫農漁村社会研究所というところがございます。こうしたところは、まさに県内十か所以上でそうした取組を毎月のようにやられているんですけれども、やはり、参加される農家さんには、それにお金を払って習わないといけないという、それはやはり国の補助とかがなかなか使えないという中でそういう実態があるんですね。例えば、その報償費みたいなものが出せない、また、他の事業、今やっていないようなことも求められる、そうしたようなことで使えないといったお声をいただいております。
こうした現場の実情を踏まえて、是非補助制度の運用面での見直し、柔軟な見直しや改善というものが必要だというふうに思いますけれども、農水省の見解をお願いします。
○政府参考人(松尾浩則君) お答え申します。
有機農業の普及に当たりましては、民間の方々の活動を促進するため、これまで技術研修会の開催などの活動に対する支援を行ってきたところでございます。
一方で、この事業につきましては、支援内容ごとに事業実施主体が異なっており、複数の支援メニューを利用したい農業者からは、複数箇所への支援、複数箇所へ支援する必要があったと、こういったことから、令和七年度は事業を一本化して全国各地でワンストップで支援を受けられるような見直しを行ったところでございます。
引き続き、委員御指摘のような御意見もよく踏まえながら、現場の声をよくお聞きして事業の効果的な運用に努めてまいりたいと思っております。
○高橋光男君 ありがとうございます。私もしっかりフォローアップさせていただきます。
続きまして、ちょっと話が変わりますが、農地転用の関係でお伺いしたいと思います。
農作物栽培高度化施設というものがございます。この点、地元の高砂市にいらっしゃる行政書士の先生からいただいた情報を基に質問させていただきます。この施設は一定の条件を満たせば農地転用の許可が不要になるんですけれども、実はそこに附帯する施設、例えばトイレとか駐車場などの扱いにつきまして御指摘をいただきました。
お配りした資料二を御覧いただければと思います。これ、実際の事例を基に農作物栽培高度化施設と附帯設備の配置を示しております。この図にありますように、トイレや駐車場は一見して営農に必要不可欠な附帯設備だと考えられます。
しかしながら、このケースでは、農業委員会が附帯設備の扱いを判断するに当たり市役所の建築主事に確認したところ、建築確認が必要だと言われ、また、都市計画法六十条の証明も必要だという回答があったために、結果的に農業委員会は農地転用が必要だと判断してしまいました。その結果、トイレにつきましては建築確認の申請、また駐車場も含めて、農地法の五条の許可、都市計画法六条の証明、農振法上の用途の軽微変更といった様々な手続が必要となり、事業者の大きな負担となりました。
こうした混乱が生じた背景には、この附帯設備の考え方が農業委員会、自治体の関係部署に十分周知されていなかったことがあるというふうに考えられます。そもそもこれらの附帯設備につきましても基本的には農作物の栽培に通常必要不可欠なものとして農地扱いにできれば、本体施設と一体的に農地法四十三条の届出と農振法の除外申請だけで済んだはずなんですね。
しかしながら、この附帯設備に関しましては、現在、平成三十一年の通知によりまして、二アール、二百平米ですね、未満であれば転用許可は不要となっているんですけれども、なぜ、私は、これ絶対基準の数値なのか、よく理解できません。なぜならば、本体施設が大きくなれば、当然そうしたものに必要な附帯設備というのはそれなりの規模が必要になってくるはずなんですね。したがって、今の現在の営農実態に即したやはり検証が必要なのではないかというふうに思います。
そこで、本件の扱いを改めて整理、明確化した上で、農業委員会はもちろん、自治体の関係部局にも周知徹底を改めてしていただきたい、そのために新たな通知も発出していただきたいと思いますが、副大臣の御見解をお願いします。
○副大臣(滝波宏文君) お答えいたします。
農作物栽培高度化施設は、専ら農作物の栽培の用に供されるものであること等の要件を満たす場合に限り、その底面をコンクリート等で覆うものであっても耕作に該当するものとみなして特別に農地同様と取り扱っております。一方、トイレや駐車場等を設置することは農地を農地以外のものにすることではあるものの、耕作の事業に必要不可欠なものについては農業用施設に該当し、その規模が二アール未満の場合は転用許可は不要と。また、農用地区域内の場合には用途区分の変更、農地から農業用施設用地に転ずるということでありますが、済みません、変更ということでありますが、これは必要ですが、その手続は市町村が行うことから、農業者の事務負担は生じないと承知してございます。
そのため、御指摘のような施設につきましては、農業者にとってはおおよそ農地転用等の手続は不要なんですけれども、こういった農作物栽培高度化施設に設置する施設の取扱いについては、これまで通知で示しているところでありますけれども、高橋委員御指摘のような現場の実態があることも踏まえまして、その考え方は改めて現場に通知し、丁寧に周知してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 是非よろしくお願いします。
続きまして、都市農業についてお伺いします。
地元兵庫では、尼崎市におきまして、伝統野菜のブランド化や地域福祉と結び付いたコミュニティーファーム、都市近郊の利を生かした園芸作物の栽培など、持続可能な農業を目指して様々な取組が進められています。また、伊丹市では、その市の出身の若者が県内の養父市に移住しまして有機野菜を生産し、それを伊丹市内の学校給食に提供するといった連携も進められているところであります。都市住民の農業への理解促進にもつながる非常に重要なものだと考えます。
今、地域計画の話もありますけれども、あわせて、私は、こうした都市部における、地方計画といいますが、この都市農業振興基本法のこの計画も進めていくこと、大変重要だと思っておるんですが、何らかのインセンティブがなければこれ広がりがないというふうに考えます。国はどう対応していくのか、簡潔に御答弁をお願いします。
○大臣政務官(山本佐知子君) ありがとうございます。
まず、この都市農業振興基本法においては、地方公共団体は地方計画を定めるよう努めるとしております。前回、九都道府県九十四市区町が地方計画を制定しております。
委員御指摘のように、こうした地方計画におきましては、市町村を超えた交流活動といった取組についても都道府県がコーディネートするなど、農林水産省としてもこうした連携の事例も含めて優良な事例の横展開、こういったものも努めてまいりますとともに、インセンティブについては交付金の地区採択に当たっての加点要素となっております。こうしたメリット措置を講じておりますので、こうした措置も活用しつつ、地方計画の策定を一層推進をしてまいります。
○高橋光男君 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。