2025.06.09

国会議事録

令和7年6月9日 決算委員会

○高橋光男君 公明党、兵庫県選出の高橋光男です。質問の機会をいただき、感謝申し上げます。
 早速始めさせていただきます。
 まず、小泉農水大臣にお尋ねします。
 昨年、私が農水政務官時に提案をし実現をしていただいた備蓄米の新たな活用、今般、大臣主導の随意契約によって現場に届き始め、大変助かったと多くのお声が上がっております。卸業者も精米に御協力され、トラック、倉庫など物流事業者も懸命に御尽力いただいております。我が党、中野国交大臣の主導で備蓄米物流支援室も立ち上げていただきました。改めて、国の機敏な御対応と現場の皆様に敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 今後、流通状況をきめ細やかにフォローし、全国隅々まで隔たりなく届けていくことが重要です。どう対応していくのか、お答えください。
○国務大臣(小泉進次郎君) ありがとうございます。
 高橋委員におかれましては、私が大臣になる前から、この備蓄米活用についても御提言をいただいたと承知をしております。そして、同じく公明党の中野国交大臣におかれましても、大臣就任以降、早速、農水省のチームに応える形で物流支援室を立ち上げていただいて、おかげさまで当初の予定よりも更に早い五月の三十一日から、備蓄米、随意契約のものが店頭に並ぶようになりました。
 そして、今、これからも更に流通面どうするのかということでありますけれども、今コンビニさんでも始まって、これから大手三社のコンビニさんも全国の店舗、約五万店舗お持ちですから、こういったところに備蓄米が流れていくということは世の中の安心感にもつながると思います。
 そして、二回目の備蓄の随意契約のものは、一年前のものですから、二千円以上、二千円よりも更に安い千八百円程度で世の中に出ていきます。これは中小のスーパーさんや町のお米屋さんを対象としておりますので、このきめ細かい物流面についても、例えば十トントラック、十二トントラックでは対応し難い軽貨物の部分なども含めて国交省と連携をしっかり取って、物流面での課題、そして倉庫の分野の課題、そしてまた卸の皆さんにも御協力をいただいている精米の課題、こういったものを一つ一つ毎日しっかりとチェックしながら、流通が滞ることのないように取り組んでいきたいと思います。
○高橋光男君 是非、引き続きしっかりとお願いいたします。
 続きまして、生産現場への支援について総理にお伺いいたします。少し長くなりますが、是非お聞きいただければと思います。
 備蓄米には限りがございます。安定供給のためには、今年産五十万トン規模の増産が不可欠であります。私は二か月前、当委員会でそう訴え、総理からは、実行に移したいとの力強い御答弁をいただきました。では、どう進めていくのか。鍵は米価だと私は思います。農家は価格の見通しなしには作付けはできません。
 そこで、パネル一を御覧ください。(資料提示)
 まず、四角囲みのところ。兵庫県では、JAが今年産の最低保証価格を導入しました。玄米三十キロで一万一千円前後、キロ当たりにすれば三百八十円です。このいわゆる概算金は、二年前まで三十キロ七千円前後でした。これでは赤字です。今回、最低価格を設けることで集荷率の改善が期待されます。
 そして、一番右側にあるのがスポット価格です。一キロ八百七十円。小売で今なお五キロ四千五百円程度するのはこのためで、消費者には高過ぎる状況です。その横の輸入米が関税込みで約五百円。この差が輸入が止まらない要因となっています。
 したがいまして、私は、最低保証価格以上、輸入米価格以下、この間のつまり黄色のハイライト部分こそが米の持続可能な価格水準だと考えます。是非この認識を政府と共有させていただきたいと思います。
 これまで生産現場には赤字を強いてきました。一番左にありますように、生産現場の平均コストは一キログラム当たり約二百三十二円であります。そして、マージンはマイナス三十円。規模にもよりますが、基本的には作れば作るほど赤字、ここ数年は生産資材の急騰もしておりますのでもっとひどい状況でしょう。続けられるわけがありません。これは国民の皆様に是非知っていただきたいと思います。
 なお、青色の部分、集荷と卸売の相対取引価格は、過去十年平均が約二百四十円。昨年産の相対価格は四百十円と適正なレベルでありますけれども、元に戻れば持続は困難だと思います。
 総理、これまで政府は価格は市場でとしてきましたが、備蓄米で介入した今、私はその立場は変えるべきだと考えます。生産者からはよく、六十キロ二万円であれば何とかやっていけるとお聞きをいたします。精米換算でキロ三百七十円です。それに流通コストも足せば、小売では大体五キロ三千円台となります。私は、これが合理的な価格であり、総理もおっしゃっている水準ではないかというふうに考えます。
 そして、パネル二を御覧ください。
 今後必要な国の取組を三点にまとめました。第一に、今申し上げた最低保証価格の全国普及を国が主導すること。第二に、米の持続可能な価格水準の在り方を国として示し、補填措置も検討すること。そして、ここには、実勢額が適正な水準を下回った場合には、米国の価格損失補償、プライス・ロス・カバレッジといいますが、この制度のような補填措置も私は参考にすべきではないかと思います。そして第三に、生産性向上に加え、棚田や中山間地、酒米、飼料用米などの他種米生産への支援も一層強化すること。これらの取組を是非、骨太方針、また秋の経済対策、来年度予算、そして再来年、令和九年の新たな水田政策に反映させ、初動五年間での構造転換を主食たる米政策を中心に進めるべきです。
 総理、生産者の安心なくして消費者の安心はありません。米騒動の再発防止のためにも、国民の食料安全保障のためにも、私はこれが必要な農政改革だと確信をいたします。総理の御見解を伺います。
○内閣総理大臣(石破茂君) 貴重な御提案をいただきました。
 これを含めまして、米政策につきましては、新たな食料・農業・農村基本計画を踏まえまして、先ほど申し上げましたが、令和九年度に向けました水田政策の在り方を検討してまいります。その中で、現場の実態を調査、検証し、今まさしく、兵庫県ならではといいますか、委員ならではといいますか、酒米どうするかと。今、酒米が足りないという状況にございます。そういうような現場の実態を調査、検証し、お話のあった構造転換を図ってまいりたいと思っております。
 そこにおいて、私はこの議論はどうしてもしなきゃいかぬと思っているんですが、基盤整備をどうするかということでございます。どのようにして分散錯圃を解消し、農地を集積をし、機械の効率というものを上げということでございますが、そうすると基盤整備ということが不可欠になってまいります。
 そこは、土地改良法並びに土地改良法施行令によりまして生産者と集荷の者の負担はミニマムになっておるわけでございますが、それでは私有財産が増嵩しますのにどうしてそんなに高い補助率なのだということになれば、それは、米の値段が下がる、それは全国民が裨益すると、こういう理屈であったかと承知をいたしております。
 その際、米の価格に関しましては、消費者の皆様に御納得いただけるような生産性向上、農地の集約化は今申し上げたところでございますし、スマート技術の導入など生産性向上の努力が産地において重ねられ、そして、生産性向上に前向きに取り組んでいただける農業者の再生産を可能とし、安定供給につながると、お話にすればそういうことかと思います。
 これは、それぞれ、大切なものはただではございませんので、どうやって基盤整備に国民の御負担をいただくか。あるいは所得補償というもの、あるいは備蓄の在り方、どちらにしても国民の御負担を賜らねばならないものでございます。
 大切なものはただではないということを、委員の御指摘も踏まえ、私どもよく再認識しながら政策を構築いたしてまいります。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 公明党としましても、今現在、農林水産業キャラバンというのを行っております。そうした本当に現場の実態を踏まえた必要な提言、引き続き行っていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 続きまして、これも総理にお伺いいたします。
 食事補助の非課税上限額についてお尋ねいたします。
 現行は三千五百円、これ、四月、当委員会でも私、総理にお尋ねしましたが、四十年間据え置かれたままになっています。速やかな引上げが必要でございます。総理からは少し検討させていただきたいとの御答弁がありました。
 民間団体からは上限を六千円以上に拡大してほしいとの要望が出ています。これは企業千百社の声です。
 総理、是非、現場の声に寄り添い、物価上昇が続く今こそ、小幅ではなく大胆な見直しをお願いしたいと考えます。いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(石破茂君) そのような御要望があることはよく承知をいたしております。
 一九八四年といったら昭和五十九年かと思います。そのときからずうっと月三千五百円、非課税対象でございますが、のままというのはいかがなものかということで、所得税の扱いについて、御指摘のように強い御要望があるということは私も承知をいたしております。
 で、その場合にどうするかということを考えますと、物価動向だけではなくて、金銭支給の食事手当、現金でもらっていると、金銭でもらっていると、こういう場合には給与課税をされているという方々との公平性どうするか。あるいは、私、社員食堂がございましたが、サラリーマンの頃、現物での食事支給の機会がない方、そういう方々の公平性をどうするかということでございます。
 公平性を留意しなきゃいかぬので見直しませんよというのはかなり論理としては無理があるとは承知をいたしておりますが、この公平性をどういうふうに考えるかということも含め、あるいは、企業さんの従業員に対する食事の支給実態、これがどういうことかということも踏まえまして、どのように受け止めるべきか、御指摘を受け止めて、政府の中できちんと検討をさせていただきます。すぐのお答えにならなくて恐縮でございますが、そのように考えておるところでございます。
○高橋光男君 誠意ある御答弁、ありがとうございます。現場の声に寄り添っていただきたいこと、そして、我々公明党も与党としてしっかりとフォローさせていただくことをお約束申し上げたいと思います。
 次に、就職氷河期世代への支援についてお尋ねいたします。
 私も当事者の四十八歳です。三月の予算委員会で要望した後、関係閣僚会議を立ち上げていただきました。農水大臣もその構成員の一人です。しかしながら、農業分野での支援は担い手確保のための新規就農支援が中心で、私はそれだけでは不十分だと考えます。是非、既に就農している同世代が力を伸ばせるようにしたいと思います。
 ちなみに、農業と名の付く国家資格がないことを御存じでしょうか。これは地元の青年農家との間で出たアイデアでありますが、例えば農業経営管理士といった資格の創設なども一案だと思います。誇りを持って当たっていただける仕事にしていきたい、職業にしていかなければ私はいけないと思っております。教育訓練給付などのリスキリング支援の拡充、また同世代向けの補助や融資枠の拡大なども私は可能ではないかというふうに思います。
 小泉大臣、農業を始め一次産業の担い手に対してこそ、我々氷河期世代がリードしてもっと活躍できるような本格支援を始めませんか。是非、骨太方針や新支援プログラムに記していただきたいと思います。御所見をお願いします。
○国務大臣(小泉進次郎君) 今、高橋委員からは、農業の分野と就職氷河期世代、この支援の観点から御質問をいただきました。長期にわたって農業生産を担っていただける就職氷河期世代を含めた若い世代の農業者の育成確保は極めて重要だと考えています。
 委員がお尋ねの厚生労働省の教育訓練給付金は、農業法人で働く雇用保険の被保険者であれば年齢を問わず誰でも活用いただくことが可能であることから、厚生労働省を始めとする関係省庁と連携して、農業分野における活用の促進と指定講座の拡大に取り組んでいきたいと考えております。
 また、今、国家資格が農業分野はないという話がありましたが、農業分野の国家資格や民間資格は幾つか存在するものの、農業者は農作業に従事して学ぶことが、現場で学ぶことが多いことから十分に利用されておらず、他産業に比べ、専門家の育成や雇用時の活用が進んでいない状況だと認識をしています。
 こうした認識の下、関係省庁とも連携をして、氷河期世代を含む担い手が規模拡大やキャリアアップに向けた取組が行われるよう、様々な支援等を通じてしっかりと後押ししてまいりたいと考えています。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 続いて、社会参加支援についてもお尋ねします。
 引きこもりの方も多くいらっしゃいます。地元の伊丹市では、就労訓練を行政業務と組み合わせ、生活支援と社会参加を両立させる先進的な取組が進んでいます。私は、こうした取組をもっと全国展開していくべきだと思います。現場から要望がある国の公共事業における優先発注制度の導入も含めて、是非御対応いただきたいと思いますが、厚労大臣、お答えください。
○国務大臣(福岡資麿君) 御指摘の伊丹の取組は、好事例として、今自治体への通知などを通じまして全国への横展開を図らせていただいております。
 認定就労訓練事業であったり、同事業を行う事業に対する優先発注を更に普及させるために、この事業の積極的な活用などを新たな就職氷河期世代支援プログラムに位置付けさせていただきました。
 今後は、この事業において特に成果を上げている事業所を国として公表し表彰を行うなど、企業へのインセンティブを検討いたしますとともに、優先発注を進める上での課題の整理や普及策について検討を進め、その結果を自治体等に対して周知をしていきたいと考えております。
 こうした取組を通じまして、認定就労訓練事業所における受注機会の増大に取り組んでいただくよう、全国の自治体に対して働きかけを行い、一層の普及に努めてまいります。
○高橋光男君 是非よろしくお願いします。
 続きまして、私自身も推進してきました神戸空港の国際化についてお尋ねいたします。
 四月から国際チャーター便が就航しました。最初の一か月だけでも優に五万人以上が利用されて、搭乗率も約八割と好調です。関西から世界への扉が一層広がりました。二〇三〇年の定期便就航を見据え、更なるインフラ整備が必要です。
 中野国交大臣、国の技術的、財政的支援を是非お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中野洋昌君) お答え申し上げます。
 神戸空港につきましては、令和四年の関西三空港懇談会におきまして、万博開始時からの国際チャーター便の就航、そして二〇三〇年前後を基本とした国際定期便の就航などが合意をされております。御指摘のとおり、本年四月より東アジア五都市に国際チャーター便が就航したところであります。
 国土交通省としまして、こうした航空需要の増加に対応するために、これまで神戸市が実施をしてきましたエプロンの増設工事について、その費用の一部を補助してきたところであります。今後とも、旺盛なインバウンド需要を中心とした航空需要を取り込み、そしてこの地域の活性化にしっかりと結び付けられるように、施設の整備などにつきましては、神戸市から具体的な内容をお伺いをしながら、国土交通省としても必要な支援、協力を行ってまいりたいと考えております。
○高橋光男君 続いて、このCIQというのも非常に大事です。すなわち、税関、入管、検疫の体制の強化であります。関係省庁で一丸となった対応を求めます。特にI、入管の現場からは悲鳴の声を直接いただいております。是非必要な人員確保や機材整備をお願いしたいと考えますが、法務大臣、お願いできますでしょうか。
○国務大臣(鈴木馨祐君) CIQについても御指摘ありがとうございます。
 神戸空港、かなり堅調なこれまでの伸びということも聞いておりますし、今後の伸びも更にということで見込んでいると聞いております。
 そういった中で、CIQ、これ極めて大事でございまして、今も応援であったり、あるいは常駐ということもさせていただいておりますけれども、今後に向けては、入管法の中で外国人が出入国すべき飛行場ということでそういった指定もございますので、関係機関とも連携の上、必要な検討も行っていきたいと思いますし、体制整備についてもしっかりと必要な増員要求を行っていくことを検討してまいりたいと思います。
○高橋光男君 恐らく最後の質問になるかと思いますが、外交課題につきまして岩屋大臣にお伺いしたいと思います。
 公明党は、平和創出ビジョンを提出しました。その場に私も同席をさせていただき、総理に直接提出させていただきました。北東アジア安全保障対話・協力機構というものを提案させていただきました。平和のための常設の対話の場を設けていこうという構想であります。
 ここで、歴史に私は学びたいと思います。欧州の安全保障協力機構、OSCEもかつて冷戦下でフィンランドが提唱して、まずは外交官級の準備会合から開始しました。二年掛けた調整の結果、一九七五年に前身のCSCEが設立されました。同様に、戦後八十年の今年、平和国家日本こそが主導して、東京で日米韓中ロの非公式の外交官会合を開始するのが私は現実的かつ有意義な一歩ではないかというふうに考えますが、大臣の御見解を伺います。
○国務大臣(岩屋毅君) 御党が策定された平和創出ビジョンにおきましては様々有益な御提案がありますけれども、その中で、北東アジア安全保障対話・協力機構の創設が提案をされていると承知をしております。これについては、先般、石破総理も御党の意見を承って、幅広い議論を経た上で実現に向け努力したいという答弁をされておられます。我が国が位置するこの北東アジアにおいて信頼醸成を行っていくことは極めて有益だというふうに思っております。
 政府としては、御党からの御提案、それから現在行われている様々な議論も踏まえまして、そして国際情勢、地域情勢の動向も見極めながら前向きに検討していきたいというふうに考えております。
○高橋光男君 以上で終わります。ありがとうございました。

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