2025.08.05

予算委員会

令和7年8月5日 予算委員会

○高橋光男君 おはようございます。公明党の兵庫県選出の高橋光男でございます。
 本日、この場に戻り、会派を代表しての質問の機会をいただきましたこと、委員長並びに理事各位、関係者の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。
 早速、本日議題の米国の関税措置等内外の課題につきまして質問に入らせていただきたいと思います。
 冒頭、今回、政府が米国側と極めて困難な交渉を重ねまして、最終的には双方にとって国益となるそうした合意を導かれたことに対しまして、総理並びに赤澤大臣、そして関係当局の皆様の御尽力に心から敬意を表したいと思います。
 今回の日米合意が、国民生活、そして我が国の経済、とりわけ中小企業・小規模事業者の現場にどのような影響を及ぼすことになるのか。その実態を見極め、的確に対処することが政治の責任でございます。
 公明党は一貫して、国民生活を苦しめる物価高への最大の対策は賃上げだと主張してまいりました。昨日、今年度最低賃金目安額が千百十八円と過去最大の上げ幅が、額が示されました。こうした流れを確かなものとするため、日本経済の屋台骨を支える中小企業・小規模事業者の皆様にとって賃上げの原資が確保され雇用が守られるよう、政府にはあらゆる施策を打っていただく必要がある、この重要性を強く求めた上で、早速質疑に移らせていただきます。
 まず最初に、総理にお伺いをいたします。農業分野への影響と今後の対応についてであります。
 価格転嫁が一番難しい産業は、一次産業だというふうに思っております。そこをどうやって支えていくか、喫緊の課題でございます。
 第一に、今日、繰り返し議論になっておりますけれども、今回の日米合意が米国産の米の輸入増によって我が国の主食用米市場に悪影響が出ないことを明確にお示しいただきたいと思います。
 あわせて、私は、今年は高温とまさに渇水問題、これは非常に大きな問題だというふうに考えております。地元兵庫を含めまして全国各地で発生をしております。例えばですが、総理の御地元にも近い豊岡では、七月の降雨量が平年の一割です。そして、香美町も二割、丹波、西脇といったところも三割にとどまっております。
 週末、私は酒米の王様と言われる山田錦の生産現場、多可町を視察してまいりました。そこにとって唯一の水源でございますため池は干上がりつつあります。そして、一番水が必要なこれからの出穂期、いわゆる穂が出るこの時期に合わせるためにはこの九月いっぱいまでは水を確保しなければいけないけれども、それが本当にできるのかと不安を抱えていらっしゃいました。全国一、ため池が多いのが兵庫県でもございます。こうした事態は他の地域でも発生しているかというふうに思います。
 米以外の農作物への、例えば野菜とか果物に対する影響も懸念され、更なる価格高騰を招く、こうしたおそれもございます。既に現場では、井戸水を確保したり、また給水車の手配が行われております。今般、農水省も国交省と一緒になって対策本部を立ち上げられまして、災害用のポンプ車の活用をすると、こうした新しい方針も出されております。
 私は、ここで政府に是非認識していただきたいなというふうに思うのは、今回のこの高温問題とか渇水問題というのは一種の災害だというふうに思います。したがいまして、であるならば、現場で行われていますこうした応急措置に対しては、私は遡及的にも支援をすべきではないかと、また、事前着工みたいな形でやっているというものも、これは後から認定をする、こうした緊急対応、国主導でのプッシュ型支援が私は早急に展開されるべきだというふうに考えております。
 あわせて、中長期的な対応も大事だと思っております。私、そのため池の現場で伺いました。土砂もたまっていますと、ため池、これ、是非掘削してほしい。また、農業用水路、これ途中の継ぎ目のところから漏水をしていますと、こういう老朽化対策は是非していただきたい、このようなお声をいただきました。
 是非、こうした措置をできるようにするためにも、私は食料安全保障の予算をしっかりと確保して現場に届けていく努力が必要だというふうに思いますけれども、総理の見解を伺います。
○内閣総理大臣(石破茂君) 御指摘のとおりに対応いたしてまいりたいと思っております。
 私は、これ農林水産副大臣のときから思っていることなのですが、自給率って、消費者の行動によって幾らでも変わる数字でございます。戦後間もなくが一番日本は自給率が高かったはずだ、餓死者がいっぱい出ているのに。それは、外国から物が買えないからそういうことが起こったのであってですね、自給率というのは結果として重要な数字ではございますが、大事なのは、委員御指摘のように、ため池であり、用水路であり、そういう農業インフラというものがいかにきちんとして維持されるかということだと思っております。これはまた今後の予算編成等々において国会の御議論を賜ることでございますが、いかにしてそのインフラをこれから先健全に維持していくかというのは極めて重要なテーマであり、予算措置を伴うものだというふうに考えております。
 あわせまして、この渇水を災害として捉えるかどうかにつきましては、政府部内でこれはいろんな議論がございますが、いかにしてこの困窮された状況というものに対応をスピーディーにできるか。先般も農水大臣が新潟に行って見てまいりました。私は選挙区に帰ることは今ございませんが、まさしく今、二十世紀梨なんて、今雨が降らないと玉が大きくならないわけでございます。そんな困っているのは世の中いっぱいあるはずなので、適切に、適宜に、スピーディーに対応できるということ、政府におきましてもこの渇水の対策の会議というものを立ち上げておりますが、そこにおいて、必要であれば大臣も入りまして、この渇水について政府がどう考えておるということを、これに苦しむ方々がそうだねと思っていただくものを講じてまいります。
 今後とも御指摘賜りますようにお願い申し上げます。
○高橋光男君 是非スピード感を持って対応していただきたいと思います。
 こうした今の緊急の対応には、今もう自治体の方には通知が行っています。着手届というものを出していただければ、既に着手をしていただいて、後付けで支援をしていただける、こうしたことができますけれども、これを自治体任せにするのではなくて、是非国も、農政局総動員して、そうした現場の声に応えていく、そうしたプッシュ型の支援、是非やっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 農水大臣、一言いただけますか。
○国務大臣(小泉進次郎君) 高橋先生におかれましては、備蓄米の件も含めて、日頃から農政に前向きな提言、ありがとうございます。
 今、災害という位置付けも含めて、適切に現場に寄り添った対応をというお話がありました。御指摘のとおり、農政局の職員挙げて、現場の声を伺いながら対応していきたいと思います。
 特に農水省としては、今までよりも一段踏み込みまして、渇水対策三本柱として人を出します。農水省、農政局、職員が必要であれば行っていただきたいと思います。そして、給水車など必要なものも手配をします。そして、お金の面も、人件費も含めて五〇%補助いたします。こういったことを、自治体の関係者、土地改良区の皆さん、生産現場の皆さんに、皆さんとともにお届けをして、予報では、何とかあした、もしかしたら北陸、東北、雨が降るかもしれないということが、災害になってはいけませんが、恵みの雨となることを願いつつも、それを待っているだけではいいと思っていませんので、全力で、総理が今、お話があったとおり、中長期の対策も含めて、今後の予算要求も含めて、しっかり農水省対応してまいります。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 小泉大臣にはもう一つお伺いしたいと思います。農林水産物の輸出についてであります。
 米国の関税変更によりまして、同国への輸出依存が高い、例えば緑茶、和牛、養殖ブリ、ホタテ、こうした本当に幅広い事業者の皆様への影響が懸念されます。迅速かつ正確な情報提供をお願いしますとともに、加工産品も含めまして、第三国への販路拡大、輸出先の多角化が急務でございます。是非、官民連携の下で、米国依存から脱却する強靱な体制の構築を目指すべきと考えます。
 大臣、政府の取組方針についてお聞かせください。
○国務大臣(小泉進次郎君) 今、輸出についてもお尋ねがありました。
 歯を食いしばって今までマーケットの開拓、海外市場の開拓に取り組んでこられた方は、今回の日米合意について、国内の米生産者は、ああ、守ってくれた、よかったと思っている一方で、輸出を今まで頑張ってきた方は、これからは一五%が乗るのかと、こういう思いで、国はこれから本当にどこまで輸出を後押しするんだろうか、そういうふうに思っていると思います。そこは御不安なく、我々、今まで以上に支援をしたいと、本腰を入れてやらなければいけない、米も含めてしっかり支援をします。
 特に、やはり現場の状況をお伺いをしながら、この一五%の関税を乗り越えてでもなお物ともしない輸出の強化策、これ必要だと思っています。幸いにも、今年の上半期は過去最高の輸出額が計上できています。これを引き続き強めるとともに、大事なことは、短期では国内の米需要なども物すごく供給しなければいけませんが、中長期を見据えたら、間違いなく、第二の備蓄としての輸出の出口というものは間違いなく不可欠です。
 こういった中長期の方針もしっかりと説明をしながら、ぶれずに、この関税によって揺らぐことのない、そういったメッセージを政策としても発信したいと思います。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 続きまして、自動車、自動車部品関税につきまして経産大臣にお伺いいたします。
 私は、貿易黒字国として我が国は最低水準の一五%に今回引き下げられたことというのは交渉努力の成果でございまして、高く評価をいたします。とりわけ、日本で製造して、そして米国に輸出をする、こうした形を維持できたことというのは本当に複数の国内メーカーにとって極めて重要な成果だったと思います。
 自動車産業は、申し上げるまでもございませんが、我が国最大の輸出品目であり、五百五十万人の雇用を支える基幹産業でございます。工場が所在する愛知、静岡、神奈川、北関東など、地域経済を支える現場への影響を注視する必要がございます。
 そこで、地域やサプライチェーン全体への影響を的確に把握をして機動的に対応できる体制を構築するとともに、国内需要の喚起や第三国展開支援など、業界の要望にも丁寧に応えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(武藤容治君) 高橋委員におかれましては、本当にいつも気を遣っていただきまして、私も岐阜県でございますので、ありがとうございます。
 今回、赤澤大臣に頑張っていただきまして、こういう形になっております。米国の関税措置がある中でも、中小企業を含めて賃上げ、そして国内投資を引き続き進めていかなければなりません。自動車産業は、サプライチェーンの裾野が広く、地域経済への影響も大変大きいと、そういう中で賃上げや国内投資を進める上でも鍵となる産業であります。
 去る七月三十一日になりますけれども、総理とともに、今回の合意に伴う影響について、自動車業界また自動車部品業界と意見交換を、先ほど総理もおっしゃられましたけれども、させていただきました。その際には、一五%で合意したことには評価はするけれども、決して影響は小さくないということが事実、そして、サプライチェーン維持の必要性を言われています。また、国内需要喚起などの対策の要望などの御意見もいただいたところであります。
 政府としては、様々なこれからも機会を捉えて、米側に対し、自動車、自動車部品関税の引下げを含めて、今般の合意を実施する措置を速やかに求めてまいりたいと、とるように求めていきたいと考えています。また、合意の内容を丁寧に説明するとともに、いただいた御意見、また内容を丁寧に説明するとともに、いただいた御意見を踏まえて、自動車産業への影響を把握しながら、追加的な対応が必要であればちゅうちょなく実施してまいりたいと考えているところです。
○高橋光男君 是非しっかりとお願いいたしたいと思います。
 続きまして、経済安全保障の観点から、半導体及び医薬品分野につきまして赤澤大臣にお尋ねをいたします。
 これらも米国が関心が高い分野で、戦略物資でございまして、我が国にとってもサプライチェーンの安定確保は極めて重要な課題でございます。現在、国内では北海道のラピダスプロジェクト、いわゆる先端半導体プロジェクトが進んでおりまして、こうした製造工程の一部で高い技術力とインフラを有する我が国の強みを私は最大限活用すべきだと思います。また、医薬品分野も、埼玉や富山県などには製造拠点ございますけれども、是非、官民連携の下でこの日米協力を進めて、国内の供給体制の強化にもつなげる私はチャンスにすべきだと思っております。
 是非、政府としてこれらの分野の協力枠組みを具体化して、我が国の国益にも資する取組を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(赤澤亮正君) 昨日、御党の岡本委員からも御指摘をいただき、私ども、この関税をただピンチと捉えるだけじゃなくて、ピンチをチャンスにしていきたいということを申し上げました。今委員の御指摘も本当に重要な御指摘だと思っております。
 半導体や医薬品は、経済安全保障上重要な物資でございます。今回の合意を通じ、日米がこれらの分野において共に利益を得られる強靱なサプライチェーン、これを構築していくために緊密に連携していく、このことは我が国の戦略的不可欠性を高めるとともに、我が国の経済安全保障を確保をいたします。そして、日本の経済成長を更に加速させていく上でも非常に有意義であると考えております。我が国の国益を実現する観点から、まさに委員御指摘のとおり、米国に投資できるチャンスを最大限生かしていきたいと思っております。
 半導体については、これも委員御指摘のとおりですが、経産省が進めるラピダスプロジェクトを始め、次世代技術の確立に向けて米国等の同志国と協力しながら研究開発及び量産体制構築に向けた取組を進めております。半導体製造装置、部素材の分野における日本企業の強みを生かしながら、今回の合意を踏まえてサプライチェーン強靱化に向けて米国と緊密に連携してまいりたいと考えております。
 医薬品についても、我が国は世界的に用いられる新薬を幾つも生み出してきた創薬力を有する数少ない国の一つでございます。今回の合意を踏まえ、どのような医薬品を協力の対象とするか等も含めて、日米における医薬品のサプライチェーン強靱化に向けた具体的な協力の枠組みについて検討を進めてまいりたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 そうしましたら、最後のテーマになるかと思いますが、是非、自由貿易と日本外交の在り方についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 今年は戦後八十年という節目の年であります。歴史を振り返れば、第二次大戦後、国際経済秩序というのは、ブレトンウッズ体制の下でIMF、また世銀等が設立されました。また、WTO体制等の下で、ルールに基づくこの自由貿易というものが進められている中で、我が国がまさに貿易立国として世界経済とともに成長をしてまいりました。
 しかしながら、今回のこのトランプ政権の対応等、まさに一方的な措置、これは逆行するものでありまして、私は非常に懸念をしております。この自国中心主義というものに対しまして我が国がどう処するのか、これまさに今問われている私は課題だというふうに思っております。その平和を実現していく上でも、やはり経済の安定というのは非常に重要でございます。
 その上で、私自身思うんですけれども、私、十七年という僅かの期間でありますが、外交官として仕事をさせていただいた経験に基づいて申し上げますと、他国の犠牲の上に自国の繁栄を築くようなことをする、これがまさに私は平和にとっての脅威だというふうに考えております。したがいまして、我が国はまさに自国中心ではなく、この自由貿易の旗手として、是非、私はトランプ政権の後までも見通した上で、今何をすべきなのか、そのことを考えて経済外交等も進めていくべきだと思っております。
 そこで、まず外務大臣にお伺いします。手短にお答えいただきたいと思います。
 日本は、アメリカだけではございません、世界を広く見たときに、南米地域、またさらには中東、こうした地域において自由貿易協定、またEPA、経済連携協定、こうしたようなものもしっかりと私は早期締結に向けてやっていくべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) 高橋委員御指摘のように、現下の国際情勢考えると、日本が主導権を取って自由貿易の枠組みを更に拡充、拡大していくことが必要だと思っております。
 御指摘のあったメルコスールを始めとする中南米諸国との経済関係強化は、グローバルサウスとの連携強化を図るという観点からも極めて重要で、我が国経済界からも強い関心が示されております。そこで、三月の日・ブラジル首脳会談、石破・ルーラ会談では、この日・メルコスール戦略的パートナーシップ枠組みを早期に立ち上げて貿易関係の深化に向けて協議を進めようということを確認をしてもらいました。
 メルコスールとの経済関係強化の在り方については、農産品などのセンシティブな課題もありますので、国内の様々な意見も踏まえながら引き続き議論していきたいと思います。
 それから、湾岸諸国でございますが、この湾岸諸国、湾岸協力理事会、GCCとは一時中断していた日GCC・EPA交渉を昨年十二月に再開をいたしました。これと並行して、UAEとの間でも昨年九月にEPAの交渉開始を発表して、現在交渉中です。早期妥結に向けて交渉を加速していきたいと考えております。
○高橋光男君 最後は要望にとどめますけれども、今月はTICADがございます、第九回アフリカ開発会議。アフリカも有望な市場でもございます。
 是非、経済、社会、平和と安定と、この三本柱の下で日本外交をしっかりと総理のリーダーシップの下でお進めいただいて、そして、この平和外交、我が党も平和創出ビジョンというものを打ち出しました。しっかりとそうしたものを踏まえて与党として推進していただくことを強くお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。
 ありがとうございました。

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