2025.11.20
国会議事録
令和7年11月20日 農林水産委員会
○高橋光男君 公明党の高橋光男です。
質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まずは、鈴木大臣、御就任おめでとうございます。大臣が農水副大臣をされていた際に政務官として御一緒させていただいた者として、心より祝意を申し上げます。
では、早速所信に関する質問に入らせていただきます。本日は、国民の生活に直結し、最大の関心事の一つである米政策についてお伺いをいたします。
今日も様々な議論ございましたが、物価上昇が続き、米価も高騰する中において、農家の営みと国民の食生活の双方を安定させる仕組みが今ほど求められているときはございません。我が国の主食である米の持続的な供給を守ることは、食料安全保障の根幹であり、日本の農業の将来を左右する重要課題です。その認識に立って質問をさせていただきます。
まず、大臣に、生産者も消費者にも資する新たな仕組みについてお尋ねをいたします。
今月十四日の予算委員会で、我が党の横山信一議員から、生産者の手取りが生産費を下回った場合に差額を補う仕組みの必要性を提起しました。大臣からは、現行制度でどこまで手当てができるのか、また、生産性向上の取組への影響などの課題に触れられ、慎重に検討したいとの答弁がございました。
しかしながら、現行制度は生産者側への支援が中心であります。例えば、収入保険、またナラシ対策、このようなものがございますが、現在のような価格が急に上がった局面で消費者の負担を和らげるような恒常的な仕組みは存在しません。このまま価格高騰が続けば米離れが進み、生産の持続性にも影響が出てきます。
そこで、私は、米の持続的な供給を食料システム全体で支え合う視点、共助の取組が必要ではないかというふうに考えます。その根拠としましては、新たな食料・農業・農村基本法におきましてもこの食料システムという言葉を提起しております。すなわち、食料の生産から消費に至る各段階の関係者が有機的に連携することで全体として機能を発揮する一連の活動の総体ということで、大臣の所信でもこの言葉が触れられております。また、新たな食料システム法におきましても、食料の持続的な供給を実現するための取組の促進ということを掲げていることが挙げられます。
そこで、具体的に提案をさせていただきたいのが、仮称ではございますが、米安定基金というものでございます。配付資料一を御覧ください。表裏になっております。
この基金は、生産者、流通、小売、そして消費者の全てが少しずつではございますが負担をしていただいて、全体で一%程度積み立てる仕組みでございます。この積立金ができれば、市場価格が生産費を下回った場合、例えば五キロ三千円以下になったら農家を補填します。そして、逆に価格が高くなった場合、例えば五キロ四千円以上になれば、低所得者に対してお米クーポンなどで還元することができると思います。
この裏側の資料一の二にもございますように、この例外措置として、例えば今のような高騰時、高価格時には消費者の拠出は免除してもよいと思いますし、逆にこれから、例えば暴落、あってはならないと思いますけれども、低価格時には農家の拠出も免除してもよいのではないかと思います。
今、米市場は全体で約五兆円規模と言われておりますので、単純計算でも年間数百億円程度の財源を確保することができます。追加的に、例えばESG投資など、企業や地銀などの拠出も募ってもよいのではないかと思います。
そこで、政府の役割ですけれども、私はこれ、あくまで持続可能な価格水準、今朝も上月先生からこの幅というようなお話がありましたけれども、例えばこの三千円台の幅とするのであれば、中央値が五キロ三千五百円ぐらいになりますけれども、これは今後明らかにされるコスト指標に基づいて裏付けを与えていけばいいのではないかということで、政府として価格を統制するわけではございません。基本的には、新たな財政負担も掛けずに、食料システム全体の関係者の共助によって支え合う仕組みを目指します。
現在政府が検討されているお米券、これはこれで目の前の支援として否定はしませんが、単発的であり、地域差も出るでしょうし、また根本的な解決策にはならないと思います。一方で、今日申し上げたようなこの基金、やるとすれば様々な法的な整備も必要になってくると思いますけれども、もしこうした仕組みができれば、中長期的に安定財源を確保して必要な支援を届けることができるので、意義は小さくないのではないかと思います。
是非、再来年度に向けたこの水田政策の見直しに当たって生産と消費の双方を支えるこうした新しい仕組みを検討していただきたいと考えますが、大臣の見解を伺います。
○国務大臣(鈴木憲和君) 高橋委員には、私の副大臣時代に一緒に政務官としてお仕事していただき、本当にありがとうございました。また、特に農林水産業の食の分野での国際協力も含めて、委員とは本当に問題意識をいつも共有させていただいていること、感謝申し上げます。
今御質問のあった点ですが、まず、米の安定供給を図るためには、生産者の再生産が可能であり、消費者も安心して購入できる価格に落ち着いていくということが重要であると考えております。
まずは、この食料システム法を受けて、米の合理的な費用を考慮した価格形成に向けて、米のコスト指標作成のための準備会合を設置をしておりますので、その議論をまずは進めさせていただいた上で、このコスト指標は、その生産から販売に至る各段階でどれだけのコストが掛かっているのかを明確にして、消費者の理解も得ながらコスト割れでの供給を抑止しようとするものであります。これがしっかりとまずは着実に進むように後押しをしてまいりたいと思います。
そして、現場の声もお伺いをしながら、令和九年度以降の水田政策の見直しの一環として農家経営の安定のための施策を検討してまいりたいと思います。
今御提案をいただいた米安定基金ですが、ちょっと今回初めて私も資料も拝見いたしましたので、今すぐに私の考えが明確にどうこうあるわけではないんですが、ただ、今ちょっと拝見をしただけでもいろいろ難しい点があるのではないかと思うのは、例えばなんですけど、この仕組み、まずですね、これ生産者、流通、小売、消費者の全てが少しずつ負担をして積み立てる、これができるのかできないのかということとか、あとは、これの仕組みだと税と要するに一緒、ある種税で、今回重点支援交付金で食品への負担を和らげるということをこれからお願いすることになりますけれども、それとちょっと考え方としては似ているのかなということも一つ思います。
それと、やはり我々、いろんなこのセーフティーネットというか、安定のためのアイデアというのはあり得るんだというのは私も理解をしますが、ただやはり、何というんですかね、これだとどんどん要は価格が下がってもいいじゃないかというある種仕組みにさえなってしまう可能性もあると、運用の仕方によってですね。そういったことにもやはり十分留意をしていろいろ議論をしていく必要があるんだろうなと思いますので、是非これからもいろいろ議論させていただければと思います。
○高橋光男君 確かに税に取られかねないといったような視点はあるかと思います。例えば、今FIT制度、これエネルギー、再エネ賦課金みたいな、これは消費者も含めて負担しているわけですね。それで再エネを促していくような、そうした政策的な仕組みもございますので、もちろん様々な法的な問題はあろうかというふうには思いますし、所得が増えていけばこの幅も、私はこの右側にスライドしていくということをすれば機能していくことができるかというふうに思いますので、是非よろしくお願いします。
最後に、もう私、十分ですので、質問、最後にさせていただきますが、酒米支援でございます。
私の地元、山田錦、今回の主食米の高騰を受けて転換が進んでおりまして、大変御不安の声をいただいております。そうした中で、来年度の当初予算で、農水省としてコメ新市場開拓等促進事業ということで、新たに酒米支援を入れていただきました。しかし、これ、非常に条件がややこしいということのお声をいただいたり、また交付単価も是非加工用米等と同じ三万円ぐらいに引き上げてほしいと。
今回、最大三年間で三万円というふうになっていますので、是非こうした現場の声に応えていただきたいと思いますが、最後にお願いいたします。
○副大臣(山下雄平君) 委員御指摘のように、令和八年度概算要求において、コメ新市場開拓等促進事業の対象に酒造好適米を新たに追加したところであります。具体的には、産地と実需の連携強化の下、生産性向上等に取り組む場合に十アール当たり一万円、長期的な結び付きを促す観点から、その取組年数に応じて最大三年間で三万円、十アール当たりですけれども、交付単価を設定し、令和八年度にまとめて支払う仕組みとしているところです。
なお、議員からも御指摘もありましたけれども、現場の実情に沿ったものとなるよう、概算決定に向けて議論を進めてまいりたいというふうに考えております。
○高橋光男君 以上で終わります。ありがとうございました。
