2025.12.18

お知らせ

令和7年12月18日 農林水産委員会

★配布資料

○高橋光男君 公明党の高橋光男です。本日もよろしくお願いいたします。
 本日の議題は畜産物価格でございますが、その前に、目下の緊急課題としまして、養殖カキ大量へい死問題への対応について何点かお伺いしたいと思います。
 本年十月以降、瀬戸内海全域で養殖カキの大量へい死が発生しました。被害は、広島県や全国生産高二位の私の地元兵庫県を含め、広範囲に拡大しております。私自身、たつの市というところにございます室津漁協の皆さんに洋上まで案内していただきまして、養殖いかだのカキがほぼ全滅している様子を見て言葉を失いました。被害を受けた事業者の中には、今期分だけのみならず、来期の出荷予定分も含めて二年分の収入の見通しが立たない方もいらっしゃいます。
 こうした現場の切実なお声をいただきまして、我々公明党は、十二月二日、斉藤代表らとともに鈴木農林水産大臣に緊急要望を出させていただきまして、大臣に激甚災害に匹敵する支援をお願いさせていただきました。その際、大臣が応じていただいたとおりに、今回、政府として支援策パッケージを打ち出されたことに感謝申し上げたいと思います。本日資料としてお配りをしております。
 まず、大臣にお伺いをいたします。
 今回の政府パッケージは、この度の被害の規模や長期の影響を踏まえた激甚災害に匹敵する支援だと認識してよいでしょうか。
 また、現場では資金繰りへの不安が特に高まっております。収入が途絶えたまま、資材費や人件費、また債務の返済など、日々発生しているからです。特に、兵庫県でも、特定養殖共済、これ一〇〇%加入しているんですが、その支払が通常八月頃になると。来年のその頃まで事業が維持できないおそれがあり、融資につきましても、実質無利子化をしていただいたにしても、将来的には返済が発生をいたします。そのため、現場からは、是非この共済金を少しでも早く受け取れるようにしてもらえないかと、切なるお声をいただいております。
 私、是非、概算払でも、早期に提供できるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木憲和君) 御質問ありがとうございます。
 まず、この政策、カキのですね、対策の政策パッケージについては、私自身、東広島市の現場にて、水揚げされたカキのほとんどがへい死をしている状況を拝見をさせていただいて、本当に厳しい状況であることを改めて認識をしましたので、関係省庁の政策をまず総動員をして、取りまとめをさせていただいたものであります。
 さらに、その後になりますけれども、十五日月曜日には、兵庫県相生市には根本副大臣を派遣をさせていただきまして、現場を見た上で漁業者と意見交換も行いました。その際に、カキの養殖業者の皆さんからは、残ったカキを揚げると生きているものもやっぱりあるんですよね、そうしたものについては大切に育てて大きくしてから出荷をしたいという声も聞いておりまして、今後のその成長の状況や単価によってこれ生産金額が変わってくることとなります。
 この特定養殖共済は生産金額が減少した場合に補填する仕組みですので、この共済金の支払が生産金額が確定した後とならざるを得ないです。このため、操業が終了した漁業者から可能な限り早期に支払が行われるように漁業共済組合に対して要請をしているところであります。また、養殖事業者の資金繰りについては、農林漁業セーフティネット資金を利用することが可能です。
 高橋委員が今おっしゃっていただいたことは、私も広島に行った際に、先にですね、ある種、全損みたいな形でお支払いした方がよろしいんでしょうかというのを私もその現場にいた養殖業の皆さんに聞いたんですけど、いや、それはそこまでしなくていいというお答えでした。ちょっと、それ、もしかしたら漁業者によって感覚が違うのかもしれませんので、もしちょっとそういうことが具体的にありましたらまたおっしゃっていただければと思います。
○高橋光男君 ありがとうございます。真摯な御答弁だったと思います。
 是非、そういう現場現場によって状況が違うという中において、兵庫県でもこういった共済金、早く支払を求めているわけですので、政府からも関係するこの共済金が少しでも早く支払われるように働きかけを続けていただくとともに、融資につきましても、今最後、大臣言及されたセーフティネット資金、こちらについても、実質無利子化になるためにこの利子助成を補給してできると。ただ、そのためには市町村の罹災証明が必要だということでございますので、公明党としましても、地方議員の皆さんと連携して、手当てがなされるようにしてまいりたいというふうに思います。
 続きまして、養殖カキ事業者の雇用維持につきまして、今日は厚労省の参考人にお伺いしたいと思います。
 今回の大量へい死は、生産のみならず雇用にも深刻な影響を及ぼしております。具体的には、半年程度作業がなくなる可能性がございます。例えばカキむきの労働者、これ熟練の女性の方が多いんですけれども、そうした方々の雇用維持は事業継続にとって不可欠だというお声をいただいております。作業を身に付けるには年単位の時間が掛かりますので、一度離職が進めば人材の確保は容易ではございません。
 しかしながら、今回のパッケージ、この資料の一の二、裏面になりますけど、御覧いただければと思いますが、特に雇用調整助成金の対象は飲食業等の関連事業者のみになっておりまして、養殖事業者は対象となっておりません。
 厚労省に確認しましたところ、ここにございます経済上の理由とは雇用保険法上の規定でございまして、あくまで他の事業者や消費者との間の取引関係の悪化を指すと整理をされております。そのため、飲食業等は対象になりますけれども、生産者自体は対象とならないと、そういう扱いになっております。
 しかし、私はそれはおかしいんじゃないかというふうに思います。なぜならば、雇用保険法を見ますと、経済上の理由にこの具体例として産業構造の変化というのも記されておりまして、そうした場合には対象になると解釈も可能です。今回は、来年以降の再生産も今見通せない状況でございますから、まさに養殖カキ産業が危機にさらされている、構造変化をもたらす事態ではないかと思います。であるならば、雇用調整助成金も養殖事業者に適用すべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(藤川眞行君) それでは、雇用調整助成金に関する御質問に対してお答えいたします。
 雇用調整助成金については、先生もう御案内のとおり、事業主が景気の変動でありましたり産業構造の変化その他経済上の理由により急激な事業活動の縮小を余儀なくされ休業等を行った際に、一定の要件を満たせば、労働者に支払われた休業手当等の一部を助成するものでございます。
 それで、先ほどもございましたとおり、カキ養殖事業者がカキへい死の直接の影響により休業した場合は経済上の理由には該当しないため、雇用調整助成金の対象とはならないわけでございますけれども、これも先ほど御指摘いただいた、カキへい死により原材料が入荷できない等の理由で影響を受ける飲食業や加工流通業等の関連業者が行う休業につきましては、一定の要件を満たせば雇用調整助成金の対象になるものでございます。
 それで、またさらに、先生から御指摘がありました雇用保険法であります産業構造の変化という文言でございますけれども、これは、具体的には、経済社会状況の変化に伴い事業活動の大幅な事業縮小を余儀なくされ、他業種でありましたり他産業への事業転換を図る必要がある場合について、要件として規定したものでございます。ということでありまして、自然現象を直接な原因とする生産量減少に伴う今般のカキ養殖事業者の事業活動の縮小には、状況が異なるものというふうに考えてございます。
 いずれにいたしましても、今般のカキへい死被害への対応につきましては、厚生労働省といたしましても、先般取りまとめられた政策パッケージに基づき、雇用の維持等に関する支援につきましてできる限りの対応を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○高橋光男君 今の説明、ちょっと私はおかしいなと思うのは、産業構造の変化について、経済社会状況の変化に伴って事業活動の大幅な縮小を余儀なくされた場合は対象になると。しかしながら、自然現象を直接的な原因とする生産量の減少に伴う事業活動の縮小は対象にならないという整理でありますけれども、この経済社会状況の変化とか、そういったことは雇用保険法には何ら明記されておりません。産業構造の変化というふうに書かれてあるわけでありまして、それは解釈のしようによっては、今回の事態についても、本来こうした影響を一番受けるのはまさに養殖事業者なわけですから、来年以降もできない、そうした状況において、果たしてそれを放置していていいんですかということだと思いますので、是非、今この雇用維持等に関する支援、ここに書いていただいている技能実習生に対する支援、これは事業者、大変重要なものでありますのでいいんですけれども、厚労省のメニュー、雇調金、そして産業雇用安定助成金、産業雇用助成金、これ対象になるんですけれども、実は能登半島地震のときも、実は漁業者の方々一件もマッチングされていないという、そういったようなこともありますので、ここの部分がまさに手薄いということを認識していただいて、しっかり日本人の労働者も守っていく支援策を是非よろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、原因究明と瀬戸内海の環境改善策についてもお伺いしたいと思います。
 今回の原因、何らまだ特定されていません。様々言われております。高水温であったり貧酸素、また栄養塩の不足、こうしたこと言われておりますけれども、是非、原因究明しなければ再発防止策を打てないわけですので、実態調査と科学的分析をお願いしたいと思います。現在、水研機構を始めとする国の研究機関、また県の水産研究所、大学などの協力体制を是非構築していただいて、オールジャパンで徹底した原因究明、また品種改良、こうしたものを早急に進められるように予算的な手当てもしていただきたいと思います。
 併せてお伺いいたしますけれども、瀬戸内海では、かねてから栄養塩不足が指摘されておりまして、私の兵庫県でもノリの色落ちや、またイカナゴの不漁などの原因になっておりまして、漁業関係者からも何とか豊かな海に戻してほしいということで、自ら、例えば海底耕うんの取組などもしていただいて、国にも支援していただいております。今年は、特にマガキの餌となる植物プランクトンが少なかったということもデータで確認されておりまして、その要因に、窒素やリンなどの栄養塩不足が指摘されております。
 是非、水産庁、国交省、環境省などが縦割りを廃していただいて、流域対策や環境改善を政府一体となって進める統括的な仕組みを構築していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(山下雄平君) 私も瀬戸内海関係の皆様から幾度となくお話をお伺いしておりまして、そうしたお声を踏まえて今回の政策パッケージを策定させていただきましたけれども、そのパッケージにおきましても、今後もカキ養殖を続けていくために、原因を分析し対策を講じていけるよう、徹底した原因の究明を柱の一つに掲げております。
 へい死の原因については、高水温、高塩分など様々な要因が挙げられておりまして、今月三日には、水産庁や水研機構、関係県及びその試験研究機関による連絡協議会を開催しておりまして、引き続き、被害の状況の把握と原因分析を、必要に応じ大学等の専門家にも御協力をいただいて、オールジャパンで、御指摘ありましたように、徹底して進めていきたいというふうに考えております。
 また、一昨日成立いたしました補正予算におきまして、持続的なカキ養殖の実現に向けた支援策として、海洋環境の変化に対応して行う三倍ガキなど人工の種苗の導入や、近年の漁場環境に応じたへい死率の改善につながるような養殖手法の実証支援をこの補正予算に盛り込んだところであります。
 政策パッケージを速やかに実行し、県と自治体がしっかり連携を取って、カキ養殖業者の皆さんが経営継続意欲を失わずに来年以降のカキ出荷を再開していただけるように対応していきたいというふうに考えております。
 また、この瀬戸内海の閉鎖水域におきましては、近年の海水温の上昇に加えて、窒素、リンといった栄養塩類の不足などが養殖ノリの色落ちやカキのへい死等の要因の一つであるというふうに指摘されております。私の地元でも、有明海ですので、こうしたノリに大変影響が出ているところであります。
 このため、農林水産省では、水研機構であったりとか自治体の研究機関と連携し、栄養塩類と水産資源との関係について調査研究を実施しているところであります。これらの調査研究で得られました成果については、関係自治体の研究機関等に提供しているほか、例えば海域ごとに開催されます湾灘協議会、御地元におきましては播磨灘の協議会を設置しておりまして、環境省や国土交通省とともに参加してきたところであります。
 環境省におきましてはこの特措法に基づく栄養塩類の管理を推進しておりまして、得られた知見も活用して、兵庫県におきましては他県に先駆けて地域ニーズに応じた管理計画が作成されているというふうに認識しております。また、国交省におきましては、下水処理施設からの栄養塩類を供給する能動的運転管理を実施するためのガイドライン策定等の技術的助言を行っているというふうに認識しております。
 このように、これまでも各関係省庁で連携し、水質の保全と豊かな海の両立に向けて取り組んできているところでありますけれども、特措法が令和三年に改正された趣旨を踏まえつつ、今回の政策パッケージにお示ししたように、関係省庁や自治体、研究機関とが連携し、海域のニーズや状況に応じて栄養塩類を供給する仕組みを推進していきたいというふうに考えております。
○高橋光男君 詳細な御説明ありがとうございました。
 兵庫県は先駆けて、栄養塩類管理計画であったり、また能動的運転管理ということで、下水道を窒素やリンの濃度を高めて放出する取組が進んでおりますけれども、もう兵庫県だけの取組では十分でございませんので、是非、これを全体として取り組んでいただけるように、国として推進をしていただくようにお願いいたします。
 ここから畜産関係についてお伺いしてまいりたいと思います。
 まず、鳥インフルエンザの発生時の初動体制について大臣にお尋ねいたします。
   〔委員長退席、理事上月良祐君着席〕
 今、断続的に発生をしておりまして、今週、残念ながら、私の地元姫路でも確認されました。供給への不安が先行して、卵の価格も高騰しているところでございます。被害の拡大を抑えるために何といっても大事なのは、初動対応だと思います。防疫措置や殺処分、移動制限、こうしたものが遅れれば、被害は連鎖的に広がるからです。
 また同時多発的なことも起こり得るわけでありまして、自治体職員だけでは対応できない中で、是非民間との連携も大事だと思いますが、どのように実動体制を構築し、支援していく方針なのか、大臣にお伺いします。
○国務大臣(鈴木憲和君) 委員まさに御指摘のとおり、高病原性鳥インフルエンザの蔓延防止のためには、各県において迅速な初動対応のためのまず防疫演習や人員等の確保を平時から行っていただくことにより、実動体制を強化することが重要です。
 農林水産省といたしましては、この県が行う防疫演習への支援などにより、都道府県の実動体制を強化をしているところです。
 兵庫県で十二月十六日に発生をしましたけれども、県がこれは事前に民間事業者と連携協定を締結をしておりまして、発生直後から民間事業者も含め十分な人員を動員をして、迅速に防疫措置を実施していると承知をしております。
   〔理事上月良祐君退席、委員長着席〕
 引き続き、都道府県と緊密に連携をしながら、本病の発生予防と蔓延防止に緊張感を持って対応してまいりたいと思います。
○高橋光男君 あと、鶏卵の需給調整策につきましては、これも要望にとどめさせていただきますけれども、やはり鶏卵というものは、生産回復には時間差が掛かりますので、需給が逼迫すると価格が急騰しやすいという、そういった特性がございます。
 そうした中で、今、注目されております加工用卵、いわゆる凍結液卵、こうしたものを活用していくことだとか、また流通調整、必要最小限度の輸入対応、こうしたものを是非機動的に組み合わせて、価格の急騰を抑える仕組みを構築していただくように国にお願いしたいと思います。
 続きまして、和牛肉需要拡大緊急対策についてもお伺いをいたします。
 黒毛和種の子牛価格は高騰しておりまして、先月十一月の全国平均価格は約七十三万円となりまして、二〇二二年四月以来の七十万円台となっております。一方で、枝肉相場は伸び悩み、飼料価格は高止まりしております。子牛が高い、枝肉は安い、飼料は高いままという状況が重なり、肥育経営は厳しさを増しております。
 こうした中で、枝肉価格を支える和牛肉需要拡大対策は大変大事でございまして、今回の補正でも百七十億円が措置されました。しかし、地元では十分に活用されていないところもあります。なぜならば、やはり申請や報告の手続が煩雑だと、また小規模事業者ほど利用しにくいと、そうしたお声をいただいております。
 是非、こうした事業が必要とされる現場に公平に届くように、申請負担の軽減とか伴走支援、こうしたものを進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(長井俊彦君) お答えいたします。
 本事業におきましては、第三者委員会であります外部審査委員会によりまして、取組の新規性や販路拡大などの事業効果につきまして、審査を経て採択の手続を取っているところでございます。
 こうした中で、できる限り多くの事業者の方に参加いただきますように、計画書様式の簡素化を始めとした事務負担の軽減を図っているところでございまして、この七補正も、そういったことも図ってまいりたいと思っております。
 また、事業参加に必要な情報につきましては、関係団体を通じ広く発信することによりまして、多くの方が利用できるようにしてまいりたいと思っております。
○高橋光男君 もう一つの需要喚起策としてやはり大事なのは、和牛の輸出強化だと思います。ここは大臣にお伺いしたいと思います。
 国内の牛肉消費は、やはり節約志向の影響で伸び悩んでいると、需要を創出していくことは大事だと、その意味で更なる輸出の拡大が不可欠だと思います。まさに円安を逆手に取って、もっと増やせるはずだと思っております。
 しかし、現状は、国の輸出目標、今、二〇三〇年一千百三十二億円というものに対しまして、昨年で大体六百五十億と、半分程度ということになっておりまして、やはり今後の鍵は中国への輸出再開だと思います。
 今年七月に日中間の検疫協定を締結されるなど進展はございますが、まだ正規ルートでの輸出再開には至っていないと。そうした中で、今、台湾有事の発言等を受けて日中関係悪化しているところでございますけれども、是非、中国を含め輸出先の多角化、これ、大臣が自らリードしていただいて、中国との当局間協議、これ七月以降まだ開催されておりません。そうした中で早期に進めていただいて、輸出できる環境を整えていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木憲和君) 高橋先生からの御指摘は、もうまさにそのとおりだと思っておりまして、この牛肉の輸出、大変大事です。
 特にこの二〇二四年は過去最高を記録しておりまして、農林水産省としては、輸出先の多角化に向けて、関係省庁と連携した新たな輸出先国の解禁や規制緩和などの協議を進めさせていただきます。さらには、この輸出拡大に向けては、輸出対応型施設の整備や省力化機械等の導入による機能強化、オールジャパンでのプロモーションなどの推進の支援に取り組み、更なる輸出拡大やってまいります。
 特に、この中国向けについては、先生から今御指摘いただいたように、七月に日中動物衛生検疫協定が発効いたしました。様々な機会を捉えて粘り強く、私としても関連の協議をやらせていただきたいというふうに考えております。
○高橋光男君 力強い御答弁、ありがとうございました。是非よろしくお願いいたします。
 続きまして、繁殖母牛の増頭支援についてお伺いしたいと思います。
 中長期的に和牛肉生産を維持発展させていくには繁殖基盤の安定が不可欠でございます。私の地元兵庫の但馬牛は、神戸ビーフでも有名でございますが、需要量を供給できていない状況です。背景には、純粋な血統を守るために他県の牛を導入できないため、繁殖母牛が不足をして、導入コストが大きな負担となっております。かつて存在した増頭奨励金、これ廃止されて以降更新が進みにくいと、また離農する繁殖農家も急速に増えている状況です。肥育農家も高額で導入せざるを得ない状況が続いています。
 こうした実情は、単に一つの産地やブランド維持といった話にとどまらず、国の需要に応じた生産や、先ほど申し上げた輸出拡大の目標実現にも関わる重要な課題だと思います。もちろん、過去の全国一律の増頭奨励金、これ過剰供給を来し、価格が下がるというような問題を発生しかねません。枝肉価格への影響もありますので、それは繰り返すべきではないと思いますけれども、やはり現在この地域や品種ごとに事情が違うということを踏まえて、例えば対象を限定して若手や後継者育成などに重点化するなど、計画的な増頭支援を強化していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(山本啓介君) 今委員から非常にこう、御地元の話も交えながら、産地それぞれの事情についても言及をいただきました。
 ただ、全体的な政策について少し答弁をさせていただきたいと思います。
 足下では、枝肉価格、子牛価格は昨年を上回って推移しているものの、物価上昇等に伴う消費者の生活防衛意識の高まりにより和牛肉の需要は軟調に推移しております。
 一方、牛肉生産量は当面高い水準で推移すると見込まれ、補正予算においても和牛肉の需要拡大対策を措置している中、国として繁殖雌牛の増頭支援を再開することは適切ではないというふうな考えを持っています。再開基準については、牛肉の需要や生産の動向を総合的に勘案し慎重に検討する必要があり、現時点でお示しすることは困難であると思います。
 また、国が講じている繁殖基盤の回復に向けた支援策については、重点支援地方交付金の利用も考えられるほか、畜産クラスター事業による機械導入や、高齢の繁殖雌牛から若い繁殖雌牛への更新、簡易畜舎の整備などを実施しており、繁殖基盤の安定的な維持発展に向けて支援の内容の情報提供を積極的に行ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○高橋光男君 一律で私も再開すべきではないと思いますけれども、今こうして子牛価格も上がってきている中で、私が申し上げたような現場は非常に繁殖基盤が痩せ細ってますので、やはり、中長期的に見たときにどのタイミングでやはり再開するのか、その判断基準は何なのかということを、透明性を持ってやはりお示しいただくことも必要なのではないかというふうに思いますので、国の方でしっかりと対応していただきたいというふうに思います。
 最後に、一問飛ばしまして、国産飼料の話。
 今日も様々御指摘がございました。私も、是非、地域に根差した生産、また、そのために必要な国の事業を活用していくべきだという点について指摘をさせていただきたいと思います。
 繰り返しになりますけれども、畜産は、輸入飼料への依存が大きいという中で、国際価格や為替の影響を受けやすい構造にございます。そうした中で、飼料高騰は経営を直撃をしていると、国産飼料の拡大が必要なわけでありますけれども、特に、水田比率が高い、また畑作転換が難しい地域、中山間地域などでは制約がございます。
 そうした中でも、兵庫県では、小規模であっても稲のWCSやイタリアンライグラスなどの牧草を栽培し、堆肥を水田に戻すといった循環型農業、耕畜連携、こうしたものを進めていただいている地域もございます。是非、こうした取組もきめ細やかに、国がこの国産飼料の生産、活用だというふうに位置付けて、支援をしていただきたいというふうに思っております。
 そこで注目したのが、今回の補正予算で畜産クラスター事業に新たに設けられた持続性に着目した支援メニューです。
 資料二を御覧ください。
 これ、今申し上げたように、ここに下線を引かせていただいている、右側の方ですけれども、国産飼料の生産、利用というふうにございますように、私が申し上げた地域ならではの取組、こうしたものも対象になろうかというように思いますけれども、やはりクラスター事業は、兵庫県でも今全体でまだ二十四しかないです。全国では千以上協議会があるんですけれども、まだまだ少ないという中において、そうした地域の、ならではの取組を後押しするにはハードルが高いと、やはり若手の畜産農家さんとか、そうしたお声をいただくことが多いです。したがいまして、是非、申請負担の軽減や要件の柔軟化、また伴走支援というものを強化していただきたいなというふうに思います。
 また、別の現場からは、やはり和牛を育てる以上、日本国内の資源をもっと取り入れた飼養体系、これを是非確立するための支援を強化していただきたいという声もいただいております。
 その中で、例えば、余っているキノコの菌床、こうしたような国産副産物であったり、いわゆるエコフィードと言われるようなものでもございますけれども、こうしたものの活用をもっと進めて、国産資源を食べて育つ和牛につながる取組を後押しすべきかと考えますが、最後に政府の見解をお伺いいたします。
○大臣政務官(山本啓介君) 先ほどの増頭の話もそうでありますが、それぞれの地域、一生懸命工夫を凝らして頑張っている地域は、それはそれとしてしっかり評価をしながら、今後の政策に反映していきたいと。
 今お話しいただきました、できるだけ国内の飼料生産基盤に立脚した政策を進めるべき、それは当然そのように私も理解しております。畜産経営に転換することが重要と認識していますので、未利用資源の活用も含め、国産飼料の生産、利用の拡大を推進してまいります。
 また、畜産クラスター事業については、協議会を組織することで事業を活用しやすくする仕組みを講じており、協議会の活動を支援することで意欲ある多様な畜産経営を支援してまいりたいと思います。
○高橋光男君 最後に、やはり現場の皆さんのそうしたお声を今日も紹介をさせていただいて、様々な取組をお願いさせていただきましたが、是非、農水省としても大臣主導の下で、現場に入っていただいて、そうした方々のお声に寄り添った施策を畜産分野でも進めていただくことを最後にお願いしまして、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。

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