2026.03.24

国会議事録

令和8年3月24日 農林水産委員会

○高橋光男君 公明党の高橋光男です。
 本日は大臣所信に対する質疑の機会をいただき、ありがとうございます。
 さて、政府は、昨年から令和十一年までを新たな食料・農業・農村基本法に基づく初動五年の集中対策期間と位置付けています。私は、この五年間でどのような政策を打つかでその先の我が国の食料安全保障が大きく変わると考えております。
 地元兵庫の各地で、私自身、生産者、流通、加工など、食と農に関わる方々のお声を伺っております。厳しい中でも現場を支えてくださっている皆様に、改めてこの機会に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 同時に、希望を持って挑戦する若い担い手にも多くお話を伺っております。若手を始め現場の皆様がこれからも続けられ、また、将来にわたって若い世代がやってみたいと思える農林水産業にしていかなければなりません。
 この点、大臣の所信をお聞きして印象的だったのが、特に、中山間地域であっても、将来にわたって営農して稼ぎ、暮らしていける農政を展開し、地域に対する貢献も含め、若い世代が地元に残って農林水産業に携わろうと思ってもらえる環境をつくりますとの箇所です。ここは恐らく大臣の思いも込めて書かれたものだと思いますけれども、この中山間地域を多く抱える兵庫が地元の私も全く同感です。
 是非、そうした環境づくりのためにも現場のお声を届け、変えるべきを変えていく、今後の政策に生かしていただきたいとの観点でお尋ねしてまいります。
 最初に、今日も諸先生方が御質疑されています今般の米国、イスラエルによるイラン攻撃を受けた資材高騰への対応についてお伺いをいたします。
 現下の中東情勢の緊迫化は、ガソリン、重油、軽油、灯油などの燃料だけでなく、肥料、飼料、輸送代など、農林水産の現場を直撃しております。もう一段上がるともたない、価格転嫁などできないといった悲鳴の声を私も現場から多く伺っております。
 おとついは、ここにおられる竹谷とし子公明党代表も長崎県対馬市の離島を訪問し、漁業組合、農業法人、アナゴの加工・運搬事業者などから現場の悲痛なお声をいただきました。
 是非政府として、この動向を注視していくといったような今日御答弁が幾つかありましたけれども、私はそれだけでは駄目ではないかというふうに思います。是非、価格の動向を監視することに加えまして、今後、長期化し、更に悪化するというこの最悪のシナリオを想定して、民間とも連携し、備蓄確保や代替調達などの予備的対応をしていただく必要があると考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木憲和君) 中東情勢による農林水産業への影響について、現時点で予断を持ってお答えすることは難しいんですが、ただ、やはりこの足下で原油の価格が高騰する中で、農林水産省としては危機感を持って動向を注視していく必要があるというふうに考えております。
 まず、その原油については、今月十六日に石油備蓄の放出が決定されるとともに、十九日からこの緊急的な激変緩和措置が実施されておりまして、まずこれにより農林漁業者の皆様の負担が一定程度軽減される見込みとなっております。これに加えまして、燃油や飼料等の価格の高騰に対しては、経営への影響を緩和するための補填金を交付する制度を措置をしております。
 施設園芸向けの支援についてはもう令和三年三月以降、そして、漁業者向けの支援については令和三年一月以降、継続して補填金を交付してきておりまして、今回の緊急的措置が講じられた後も引き続きこれらの補填金は交付されることとなります。
 そしてまた、これちょっと農業分野ですけれども、肥料についても大変心配する声が多くありますが、今日の、今朝の閣僚会議でも申し上げたんですが、春先の分までは大体確保しておりますが、秋以降の肥料価格がどうなるかということについては先が見通せる状況ではありませんので、どんな事態になったとしても農林水産業の現場の皆さんの経営を支えていくんだということで、様々な準備をさせていただきたいというふうに思います。
○高橋光男君 力強い御答弁をありがとうございます。
 私は是非、この具体的なシナリオ、そうしたものを描いて、どういう局面になればどういった支援策を行っていくのか、そうしたことをしっかりと、先ほど、見通しがしっかり、先行きが分かる、そうした農政を進めていくという、お米の文脈でもおっしゃられていましたけれども、是非、現場の方々が安心するにはそういった見通し、今でこそ大変この資材高騰で苦しんでいらっしゃる現場がある中ですので、今回のこの事態を受けて、しっかりと即応的に機動的に来年度予算にもしっかり組み入れていただいて、例えばですけれども、肥料などは飼料と違って基金の制度もなければ補助事業もございません。したがいまして、こうしたものは、私は、是非この来年度予算の中にも組み入れて、この秋以降のそうした肥料を確保していくためにもう先手先手で是非政府には手を打っていただきたい、このことを強くお願いを申し上げたいと思います。
 続いて、お米券の検証についてお伺いしていきたいと思います。
 これは、今年度ですね、補正予算によって行われた事業でございますけれども、皆さんのお手元に、配付資料一を御覧いただければと思います。
 これ、私が調べたところによれば、全国でお米券の配付がなされたところは二十九自治体ございました。全市民対象もございますれば、非課税世帯また子育て世帯対象というのもございまして、配付額も一人当たり三千八十円から八千八百円までと、幅がございます。地元兵庫では、尼崎、西宮、川西市などで行われております。
 この事業は重点支援地方交付金を活用しておりますけれども、是非農水省としても、内閣府の事業として片付けるのではなくて、この実施自治体数また対象世帯、利用実績また地元流通への効果などを把握していただいて次に生かす、こうしたことが必要だというふうに考えますけれども、農水省の見解を伺います。
○政府参考人(山口靖君) お答え申し上げます。
 重点支援地方交付金を活用した食料品の物価高騰への支援に当たっては、地域の実情に応じて、いわゆるお米券に限らず、プレミアム商品券や地域ポイントなど、住民の方々に迅速な支援が届けられるよう、各自治体において御尽力いただいているものと承知しております。
 こうした中で、取組を行っている自治体からは様々な御意見いただいておりますが、既に住民の方々に支援が届いた自治体では大変有り難いなどの声もあるというふうに承知をしています。
 その上で、本交付金につきましては、各行政分野を所管する省庁において、その活用状況を把握して迅速な執行を促進するためのフォローアップを行うこととされております。それぞれの事業設計や対象事業等の取組内容について、農林水産省としても自治体の協力を仰ぎながらフォローアップ調査を実施しているところでございます。
 この各事業の政策効果の評価に当たっては、現段階においては実施中のものですとか実施前のものもありますことから、引き続き丁寧に状況を把握してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 ただいま御答弁いただいたところで、フォローアップ調査等を行っていくということなんですけれども、最後のところで触れられたように、まだ実施中のものもあれば実施前のものも今の段階であるというのがこれ実態なんですね。
 そういう意味では、ちょっと大臣、苦言めいたことを申し上げますけれども、衆院選後の会見で、米価高騰対策としてこのお米券が有権者に支持が得られたかというふうに、そういった趣旨の記者の質問に対しまして、大臣は、届いたところの消費者は良かったという話をたくさんいただいているところですので、基本的には評価をいただいたというふうに述べられておりますけれども、例えば私の地元西宮市ではこんなことがあったんです。お米券の配付、実はこれ二月の上旬に予定をしていたんですけれども、急遽決まった解散・総選挙のために、例えば投票の入場券ですね、これを郵送しないといけなくなったので、このお米券の配付というものが後回し、延期しなければいけなくなったと、そんなお声もいただきました。
 私は、これ物価高対策なのですから、やはりスピードが肝腎で、必要な時期に届かなければ意味がないと言えば言い過ぎかもしれませんけれども、そうしたお声を実際いただいているところでございまして、お米券の配付自体を否定するものではありませんけれども、是非今回のような、今でもまだ配付されていない実態を踏まえれば、どのようにすれば多くの自治体でこうしたお米券がしっかりと採用されて、そして迅速に届けられるようになるのか。是非、申請や精算の簡素化や伴走支援、デジタル化、こういったことを取り組んでいただく必要があろうかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木憲和君) ちょっと一個、事実関係だけ申し上げておかなければならないというふうに思いますのは、その総選挙によって何かが遅れたということなどの影響はなかったというふうに我々としては自治体の皆さんに確認は取れておりますので、そのことだけは申し上げておきます。
 その上で、ちょっと今委員の御質問、我々としてやはり何をどういうふうに考えなきゃいけないかというふうに思うと、ちょっと今答弁を読もうかと思ったんですが、そうではない方がいいかなと思いまして、あえて言いますと、やはり我々、今から政府としては、この給付付き税額控除、やはり様々な所得の状況の皆さんに応じてもっと、何というか、ピンポイントでそれぞれの事情に合った形で生活を支えていくということが何よりも大事かというふうに思っております。それができれば、何というか、自治体が全員にお米券をみたいな、クーポンをみたいな話ではなくて、どちらかというと、本当に困っている方にちゃんと支援が行き届くということが一番効率的であり大事かというふうに思いますので、まずはそこに向かって努力をさせていただきたいと思います。
 その間に、やはりまだ物価高も含めて様々な状況の変化というのが特にこのイラン情勢であろうかというふうに思いますので、今回ちょっとこのフォローアップ調査、今行っているところなんですが、既存の電子地域通貨の仕組みを活用したアプリシステムとか、あとは事業設計に時間が掛からずに何が可能なのかというような、いい事例もたくさん生まれてきておりますので、そうした事例の中で何がベストなのか、そしてそれが一番コスト掛からず、自治体の皆さんの負担感もなくできるのかということは、ちょっと内々にしっかりと研究させていただきたいと思います。
○高橋光男君 是非次につながる取組を進めていただくことをお願いしたいと思います。
 続きまして、米のコスト指標についてお伺いしていきたいと思います。
 国民の主食である米をいかに持続的に安定供給していくか、これは本当に今後の農政の根幹だと思います。そのために重要なのが、この米のコストとまた価格でございますけれども、この度、その米につきましてコスト指標がイメージとして示されました。
 配付資料二の一を御覧いただければというふうに思います。
 こちら、米穀機構というところが作られたあくまでイメージでありまして、あくまでコストに関するものでございますけれども、米の適正価格での取引の参考になるコスト指標のイメージとなります。令和七年三月時点、これ下の方になりますが、生産、集荷、卸、小売の四段階の合計が、玄米一キロ当たり四百八十九円、精米五キロ換算で二千七百十八円、令和八年三月時点では五百五・九円、五キロ当たり二千八百十一円と示されております。ただし、これはコストでございまして利益を含んでおりません。したがって、取引価格そのものではございませんけれども。
 来月一日にこのコスト指標を定める食料システム法が施行されるわけですが、是非この指標作成団体の認定の見通しであったりとか正式な指標の公表時期などについてお尋ねしたいと思います。
 特に地元の関係者からは、コスト指標を作るだけでは現場は変わらないといったお声をいただいております。相対取引や契約交渉の場で参照され、価格決定に実際に組み込まれて初めて意味があると考えます。国として、ガイドブックの策定又は説明会等にとどまらず、実際に取引の場で使える形に落とし込む後押しが必要なのではないでしょうか。具体的にこの指標が何のためにどのように活用されるかについて、大臣にお答えいただければと思います。
○国務大臣(鈴木憲和君) 御質問ありがとうございます。
 米のコスト指標については、三月十日付けで米穀機構からコスト指標作成団体の認定申請が行われたところであります。現在、内容を確認するとともに、利害関係人の意見聴取、公正取引委員会への協議などの必要な手続を進めているところです。
 また、米穀機構においては、コスト指標作成団体として認定された場合、最新の統計などを用いて米のコスト指標を速やかに作成、公表する予定と承知をしております。
 肝腎なのは、コスト指標は適切に活用されなくてはなりませんので、分かりやすいガイドブックなども作成し、説明会などで広く周知しておりますが、この四月の食料システム法の施行後においては、関係者からの相談に丁寧に対応するとともに、必要に応じてフードGメンが指導、助言などを行うなど、的確に後押しする考えであります。
 さらに、合理的な価格形成に関する取組の浸透には消費者への理解を得ることが不可欠であります。生産現場の実情やコスト高騰の背景などに関する理解醸成を図るべく、フェアプライスプロジェクトというのを展開をしておりますが、この中でもコスト指標に関する消費者の認知度向上にも取り組んでまいりたいと思います。
○高橋光男君 これ、あくまで全国一本の今コスト指標なわけですね。その平均コストだけでいいのかという問題もございます。
 今日も様々な議論ございましたが、やはり特に中山間地域においては、狭い圃場、傾斜地、水管理、草刈り、また機械が入りにくい、こうした見えない負担があります。現場からは、この中山間の追加コストが入らなければ現場は納得しないという農家のお声もいただいております。
 是非、地域差とか、とりわけこの中山間の追加コスト、これをどのように反映していくお考えか、伺います。
○政府参考人(山口靖君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の米のコスト指標につきましては、米穀機構において、昨年十二月から、生産、流通、販売の各団体の関係者に学識経験者も加わっていただきまして、真摯に各段階の御議論をいただいたところでございます。
 そこで関係者の意見としてまとまってきたものは、活用するデータの出典や改定頻度につきましては、各段階の委員の意見を基に、農産物の生産費統計等の統計や公表データを活用し、原則年一回の改定を行う、地域別の指標を作るか否かについては、生産段階の委員から、まずは全国一本で作成することが適当、地域のデータについては、地域ごとに区々であることもあって、必要に応じて地域段階で工夫するとの御意見があり、全国で一つの指標とすることとなったというふうに聞いております。
 コスト指標は、生産、流通、販売の各関係者の御議論で定められるものでございますが、農林水産省としても、先ほど申し上げたその地域ごとの段階の地域別データ、こういったものの活用の工夫をいただくことは重要なことであると考えておりまして、必要なデータに関する御相談などあれば積極的に対応させていただきたいと考えております。
○高橋光男君 様々条件が違うと思いますので、地域ごとにも違いますし、こういった地勢ごとにも違うといったようなところをしっかりと踏まえたコスト指標、これがきちっと全国的に活用されるようなものとなっていくように、農水省からも、関係団体、機関等と連携して進めていただきたいということをお願いしたいと思います。
 続きまして、生産者が安心して米作りをする上で大事な取組として、複数年契約についてお伺いしたいと思います。
 米価の乱高下は、生産者には作付けの不安を生み、消費者には米離れを招きます。例えば、地元兵庫県では、そうした状況の中で、JAたじまさんが農家との三年契約ということで前年の高い水準で買取り価格を保証しておりまして、農家さんも安心して作れるといった評価の声をいただいております。
 一方で、農家さんからしてみれば、災害などで契約数量が納められない場合にどうしたらいいのかといったような不安もございまして、制度設計が課題だというふうに考えます。
 いずれにしましても、国としてこの長期契約の普及を需給安定と担い手確保の柱の一つとして位置付けて、災害時の扱いなどに関する技術的な助言も併せて、普及に向けて後押しをしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○副大臣(山下雄平君) 高橋委員の御指摘のように、実需者と消費者のニーズにかなったお米が安定的に供給される米流通を構築するため、生産から供給、実需までのサプライチェーンが結び付く長期契約の推進は大変重要な取組と認識しております。
 農林水産省においては、複数年契約を含む播種前契約の拡大を推進しており、先ほど御指摘の兵庫県たじまの事例も含めて、産地などと卸、実需者等による播種前契約の締結のために要した商談や販売促進に関わる経費などの支援を行っているところであります。
 今後も、経営上のメリットや、先ほど御指摘のありました災害時の扱いも含めた契約書サンプルなど、実際の契約締結の事例紹介なども通じて、複数年契約の更なる拡大に努めていきたいというふうに考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 再生産の見通しが立つかどうかというのは、特に若いこれからの担い手が続けていけるかどうかにも直結する大事な課題だというふうに思いますので、複数年契約はその土台の一つになり得ると考えますので、国としてしっかり普及を後押ししていただきたいと思います。
 続きまして、米の合理的な価格形成に当たって、持続可能な価格水準といったものはどういったものかといったことをちょっと時間を掛けて議論させていただきたいと思います。
 お配りした資料も御覧いただきながら、資料の二の二になります。
 生産者から消費者までの、食料システムといいますけれども、この全体の関係者の納得の下で、再生産価格を下回らない取引慣行をいかに定着させていくかが合理的な価格形成において非常に重要だというふうに考えます。
 私は、お米は高ければ良いとも安ければ良いとも思いません。再生産できること、消費者が買い続けられること、この両立が大事だと考えます。現場からも、市場任せでは米の価格は安定しないといったお声をいただいておりまして、重く受け止める必要があると考えます。そのためには、流通各段階でこのコストや利幅の見える化、また過度な値決め慣行の是正など、取引の仕組みを整備していく必要があると考えます。
 そこで、配付したこの資料について、これ価格を比較をしているんですけれども、私は、国産米の持続可能な価格水準と銘打って、その私なりの考え方を示したものでございますが、同様の資料は昨年も国会で提示して議論してまいりました。
 左から、玄米一キロ当たりの令和四年の段階別コスト構造、そして今回米穀機構が示した令和七年、八年時点のコスト指標のイメージ、これが左の三つのグラフになります。いずれも利益は含まれておりません、あくまでコストでありまして、これを見れば、この数年で全て上がってきていることが分かるかと思います。
 一方で、この右の三つ、これは価格を示したものでありますけれども、左から、関税込みの輸入米価格、昨年産の相対取引価格、そしてスポット価格になります。相対価格は、過去十年間の平均価格に比べると、昨年産、これ倍以上増えておりますね。そして、輸入米価格を上回りました。これに加えて、卸売業者間のスポット取引価格、こちらには一例としてあきたこまちを取り上げておりますけれども、一キロ八百七十二円といったような、こうした銘柄、まあほかにもございますけれども、こうしたレベルになると、当然ながら輸入米を大きく上回る価格ですので、外国産に切り替わるといったような流れとなりまして、実際そうなりました。
 以上から、私は、これからは、このコスト指標を下回るような価格はそもそも再生産可能ではないと、そして一方で、この輸入米を、価格を大幅に超える価格も国内産の米離れにつながるという点で持続可能ではないという、その価格の在り方を国としても私は明確に示すべきではないかと思います。
 すなわち、ここでは一キロ五百五・九円を最低水準としまして、この輸入米五百十八円、これを大幅に上回るような、例えば昨年のこの八百円を超えるような水準では当然持続可能ではないということで、実際、このあきたこまちで見てみると、今年の二月時点では三百八十二円まで下がってきております。
 したがって、こうした米価の乱高下、これはやはり安定的ではございませんから、こうしたものを避けていくためにも、しっかりと持続可能な水準とは何かと考えたときに、私は、この最低水準以上ですね、また、この相対取引価格、これは卸売間の価格ですので、卸売と小売の利潤も少し上乗せしないといけないと思いますけれども、その間ぐらいがやはりこの持続可能な価格水準なのではないかということだと考えます。
 今申し上げたようなことは国としても私は示すことは可能だというふうに思いますし、是非そうしたことを、このコスト指標と併せて、実際のこの現場の価格形成に結び付けていく上でも有意義だというふうに考えますけれども、大臣の見解を伺います。
○国務大臣(鈴木憲和君) お答え申し上げます。
 まず、米のコスト指標は食料システム法が施行される四月以降に最終的に決定をされますが、まず、コストが明確になることを通じて、生産者の再生産、再投資が可能で、かつ消費者にも理解が得られるような価格水準の下で米が持続的に供給されていくということを期待をしております。
 ここまでは委員と私たちともう全くそごがなく、一緒なんだというふうに思いますが、その先でちょっとやっぱり考え方があれなのは、やっぱり米の価格は、今この委員がお示しをいただいた資料二の二のような、要するにこれ、輸入米とのバランス、バランスというか、価格関係ですよね。そういったことも見ながら、需給バランスなど民間の取引環境の中で決まっていくものでありまして、国としてなかなかこの水準じゃなきゃ駄目なんだということについて評価をするということは適当ではないとも考えておりますし、正直言って、それは現実的に難しいのではないかというふうに考えております。
 ですので、このため、コスト指標を作成する委員会において、農林水産省は議決権を有する委員としては参画しておらず、制度の趣旨や公表資料等について参考意見を述べるオブザーバーとしての参画にとどめてきております。
 ただ、その食料システム法では、コストに関する具体的な根拠とともに、取引条件に関する協議の申出があった場合は誠実に協議に応じる旨の努力義務を規定をしておりますし、取引条件の一方的な決定など、この努力義務違反となる事案については、指導、助言、勧告、公表などの措置を通じて実効性の確保を図っていきたいというふうに考えております。
 やはり、これ、コストの話というのは、私も大変難しいと思うのは、これ、全国平均の一本なんですよね。先ほど委員がおっしゃっていただいたような、例えば中山間地域だったらどうなのか、もっと言うと、かなり大規模に、本当に条件のいいところで五十ヘクタール以上やれているところはどうなのかというと、そこにはかなりの開きがあるわけですので、それぞれがやっぱり持続可能になる姿の取引の環境というのは何かというのは、実は全国一本では決まらないということであろうかと思いますので。
 ですので、我々として、その取引の在り方、持続可能で再生産が可能でなければ困りますが、この価格水準じゃないとというところまで国としてというのはやっぱり難しいのではないかなというふうに思っております。
○高橋光男君 私は、現場の方から、是非そういった安定的な持続可能な価格水準というのはどれぐらいなのかということをしっかりと政策的にも打ち出して、やはりこれを下回る、これからのことを考えると、その価格というのは少なくとも持続可能ではないと。それは、もちろん今大臣がおっしゃられたように、地域ごとに、また経営規模ごとに当然ながらコストというのは違うというふうに考えますけれども、やはり、じゃ、そうしたこれから再生産可能でないその価格ということを考えたときには、やはり何らかの政策的な関与ということが必要なのではないかということでございます。
 やはり、続けられないときに、先ほど議論もございました所得補償みたいな考え方もあろうかと思いますし、また、条件によっては中山間の直払い、こうしたものを充実させていくことで埋め合わせることもできるかもしれませんけれども、是非、じゃ、その根拠となるそのコストが何で、そしてやはり、この生産者の方々に一定程度保証しなければいけない価格は一体どこなのか、こうしたことを私は考えていく必要があるという問題提起として是非受け止めていただきたいというふうに思います。
 続いて、少しちょっと時間がなくなってきましたので、一問飛ばしてお伺いしていきたいと思います。現場の若手の養蜂家の方からいただいたお話であります。蜜蜂の被害であります。
 この蜜蜂というのは農業に欠かせない存在であります。主要な農作物の約七割は、花粉を運ぶ力によって支えられています。しかし、現在、花粉交配用の蜜蜂の死亡や減少が全国的な課題となっております。
 この点に関しては、昨年、当委員会におきましても、藤木委員長そして徳永先生も御質問がございました。猛暑によるダニ被害というのもあろうかというふうに思いますが、私、今日、農薬被害についてまずはお伺いしたいと思います。
 養蜂現場では、この農薬が原因と疑われる蜜蜂の大量死が、蜂群、蜂の群れですね、の急減に結び付いていて発生しているというふうに言われております。
 資料三の一を御覧いただきたいと思います。
 これは、農薬が原因の可能性がある被害報告件数をまとめたものですけれども、直近の五年間で大体十件から二十件程度で推移しております。発生した都道府県数も数えてみると四件から十三件にとどまっておりまして、地元兵庫県もこの五年間で僅か二件のみとなっております。しかし、養蜂の現場からは、件数が少な過ぎて実感と合わない、被害の時期は繁忙期と重なっていて、今の手続では報告自体が現実的ではないといったようなお声をいただいております。
 まずお伺いしますが、農水省として今の報告件数で実態をつかめていると考えているかについてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(坂勝浩君) お答え申し上げます。
 農林水産省におきましては、農薬による蜜蜂の被害の発生状況を把握し、被害防止対策の検討に資することを目的といたしまして、蜜蜂被害事例調査を実施しております。委員お示しになった件数というのは、この調査の結果でございます。
 この調査におきましては、まず、巣箱の前に蜜蜂の死体の増加などの異常な事態を発見した養蜂家の方からの第一報を都道府県が受けて開始いたします。まず、蜂に見られる症状や疾病の兆候の有無などを確認いたします。その上で、農薬以外の原因が特定できないとなった場合におきましては、次に、周辺農地での農薬の使用状況などについて調査を実施いたします。その上で、農薬の原因の可能性がある被害事例を報告件数として計上しているところでございます。
 この調査の実施に当たりまして、私ども農林水産省といたしましても、養蜂家の方が被害を報告しやすくなるよう努めているところでございますけれども、報告件数につきましては、このような調査の仕組みを通じて把握されたものであるというふうに認識しております。
○高橋光男君 具体的にこの報告制度の見直しを私は今回求めたいと思っているんですね。この実態を調べるに当たって、私も養蜂家から何がこの報告を妨げる原因になっているかということをお聞きいたしました。
 配付資料三の二を御覧いただきたいと思います。
 これ、国が整理しております蜜蜂被害の調査フローなんですけれども、これ各県の対応は異なる部分もあるようなんですけれども、兵庫県では、まず法定伝染病かどうかの調査が行われます。そして、次に農薬の影響調査が行われると。これ、現地調査と書いていますけれども、実際は二回あるんです。そのための日程調整、また調査当日も半日時間を取られるということで、二度対応しないといけないという負担があるそうです。
 また、検体をこの養蜂家自身が家畜衛生保健所に送付するのは自己負担となっておりまして、これらはえてして繁忙期と重なっておりまして、調査への対応をするために、ふだん厳格に管理している例えば巣箱の点検スケジュールというものがあるんですが、これが狂うと、いわゆる分蜂といって、蜜蜂が群れごと逃げてしまうといったような経済的な損失も発生するそうなんですね。これ一群れ当たり大体二十万円から三十万円ぐらい損失になるそうです。
 一言で言うと、報告することのリスクや負担が養蜂家にとって重過ぎるということであります。また、報告すると地域との関係も悪くなるのではないかといった懸念もございます。
 そこで、是非、例えば第一報を、匿名性を確保した上で、電話一本等で、短い入力で済むような形とするとともに、必要な場合に詳しい調査に進むようなこの二段階方式にしていただくなど、この現場の負担とリスクを軽減する報告制度にしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○大臣政務官(山本啓介君) ありがとうございます。
 委員御指摘のとおり、既に養蜂家の負担があるという声を農水省としても確認しております。そして、そのことから、異常を発見した養蜂家から都道府県に電話で一報できる体制としているほか、令和七年度からはオンラインを活用した調査ということも対応させていただいています。
 また、先ほどお話しいただいた通常複数回実施する現地調査、これをまとめて一回で実施する、そして、検体の採取、発送についても、これは県によってはですけれども、発送についても県が御協力いただいて行っていただいたり、その検査結果を養蜂家に伝達をしたりと、そういうふうな県との協力をいただいております。こうした事例の横展開を今後図っていきたいというふうに思っています。
 また、蜜蜂被害の実態把握には養蜂家からの情報提供がやはり重要でありますので、都道府県と連携しながら、被害調査の方法を把握し、養蜂家から被害報告をしやすい環境となるように適切に対応してまいりたいというふうに思っています。
○高橋光男君 是非よろしくお願いいたします。
 続いてですが、ドローン散布、農薬のですね、この安全評価についてお伺いしたいと思います。
 近年、このドローンによる農薬散布が広がっています。農水省でも再評価を進めていただいておりまして、開花期の散布制限など見直しを行っていただいておりますが、より一層の取組が必要と考えます。
 現場の養蜂家からは、例えば収穫後に開花した作物や収穫期の切り株にも蜜蜂が来て、そこに残留農薬があるために生育に影響が出ているというふうにも言われております。そうした現場の実態と、今、再評価プロセス中というふうにお伺いしておりますけれども、必ずしもそうしたことを前提としない現在のやり方との間にずれがあるのではないかというお声をいただいております。
 そこでお伺いしたいと思うんですが、二点、現場からいただいている御要望として、一つは、この再評価の結果に対して、是非、養蜂家などから科学的根拠のある異議が出た場合には速やかに見直す仕組み、いわゆる再々評価の仕組みを取り入れていただきたいということ。そして二点目は、このドローン散布というのは少ない水で高濃度に散布される特徴がございます。したがって、今再評価はこれ平均の濃度を見ているようなんですけれども、蜜蜂が一時的に高濃度の農薬にさらされる可能性も含めて評価していただきたいという、こういったお声をいただいておりますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(山本啓介君) お答えいたします。
 まず、再評価についてのお問いでございますけれども、こちらは、そもそも農薬の安全基準等々というものは法に定められておりますので、安全性を確認した上で定められた方法での使用を認めているということは前提でありますけれども、農薬の安全性を一層向上させるために農薬の再評価を進めております。養蜂や蜜蜂の、今先ほど委員おっしゃったように、詳しい養蜂家そのものの方であったり専門家の意見を聞きつつ、最新の科学的な知見に基づいて評価をしておりますし、また、その結果に対して様々な考えがあるかと思いますけれども、その評価結果に対するものはパブリックコメントを実施しており、そういった御意見についても再評価をしていくというふうな形で最終的に取りまとめております。
 そして、収穫後開花した作物や収穫後の切り株に蜜蜂が訪れる場合については、一般的にリスクは低いものと考えておりますけれども、蜜蜂が持ち帰る蜜の量などについてまだ十分科学的な知見がないということから、今後、新たな科学的知見が明らかとなった場合には、関係者の声を聞きつつ科学的な審議を行い、適切なリスク管理措置を検討してまいりたいというふうに思っています。
 またあわせて、ドローンについてお話しいただきました。ドローンについては、高濃度散布のタイミングで蜜蜂がそれらを受けるのではないかというふうな御指摘でございました。これらの確度についても再評価してまいるということで、ドローンによる散布も含め蜜蜂が高濃度の農薬を直接浴びた場合の影響も現在評価をしているというところでございます。
○高橋光男君 是非、現場の皆さんのそういった、養蜂家の方の声を反映できるような取組をお願いしたいと思います。
 それでは最後にですが、大臣にお伺いいたします。
 花粉交配用のこの蜜蜂の安定供給は、イチゴやメロンなどの施設園芸の生産に直結し、産地維持にも関わる重要な課題です。現場からは、セイヨウミツバチではなくマルハナバチで代替していますけど、コストが掛かるとか、ビーフライというハエで対応しているところもありますけれども、観光農園などでは客が嫌がるので使えないといったような声をいただいております。
 是非、養蜂家と園芸産地双方の現場を支える取組を既存の仕組みも生かしながらやっていただきたいですし、また、人材育成も大変重要な課題だと思っております。花粉交配用の蜜蜂の安定供給を農業政策上の重要課題として位置付けて対応すべきと考えますが、最後に、大臣、お願いします。
○国務大臣(鈴木憲和君) 花粉交配用蜜蜂の安定供給は極めて重要であると認識をしております。近年、ダニ被害も蜜蜂の減少要因であるため、夏場に蜜蜂を一か月以上低温管理した施設に隔離することによりダニの増殖を抑える技術の実証、そして、巣箱の消毒や適切なダニ駆除剤の使用などを解説するダニ防除マニュアルの作成などへの支援を実施をしております。
 また、専門的な人材育成も重要でありますので、この講習会を開催しておりまして、蜜蜂の生理、生態、そして蜜蜂の伝染病の蔓延要因、防除対策などについて、専門家から講義することにより人材基盤の整備を図っているところであります。
 引き続き、これ、現場の状況をよく把握しながら、私もサクランボのところでありますのでよくお話伺いますので、花粉交配用蜜蜂の安定供給が実現できるように努めてまいりたいと思います。
○高橋光男君 以上で終わります。ありがとうございました。

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