2026.04.23
国会議事録
令和8年4月23日 農林水産委員会
○高橋光男君 おはようございます。公明党の高橋光男でございます。本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。
今日は、農林中金法、そして農業近代化資金融通法の改正審議でございますので、ちょっと専門的な話となりますけれども、お伺いしてまいりたいと思います。
今回の法改正は、二〇二四年度の金利変動などによりまして農林中金に一・八兆円もの大きな赤字が見込まれる事態になったことを受けまして、有識者検証会というものが設けられ、その報告書を踏まえて提出されたものでございます。この有識者報告書では、この運用の在り方にとどまらず、農業や食料の現場に資金をいかに届けていくのか、組織の体制をどのようにして見直していくのか、また制度資金をどう使いやすくしていくのか、そうした課題が示されているところでございます。
その意味で、今回の審議は単に農林中金の立て直しにとどまるものではございません。食料の安定供給を支える金融をこれからどう強くしていくのか、そうしたことを問う大事な法改正だと認識しております。有識者検証会の報告書と、現場からいただいたお声なども踏まえまして、質疑に入らせていただきたいと思います。
最初に、農業、食料システムへの出融資の位置付けについてお伺いいたします。
今回の法改正では、農林中金の目的やこの業務の中に、農林水産業者のための金融をこれまで以上にはっきり位置付ける方向が示されております。有識者報告書でも、農業、食品産業向けの出融資を強めていく必要があると指摘されております。加えまして、昨今の農業の規模拡大や加工、物流まで含めた食料システム全体の変化を見ますと、県をまたぐ大型案件や、農協組合員以外の利用も多い物流、加工施設などへの資金需要に対しましては、全国機関であるこの農林中金が果たす役割が大きいものと認識しております。
そこで、お伺いをいたします。
今回法改正を受けて、どの分野のどのような案件に重点を置き、どの程度の広がりでこの出融資を増やしていくのか、川上から川下まで食料システム全体の強靱化にどのようにつなげていくのかにつきまして、大臣及び農林中金の見解を伺います。
○国務大臣(鈴木憲和君) 御質問ありがとうございます。
農林水産省といたしましては、今回の法改正を契機として、農林中金には、その豊富な資金力や幅広いネットワークを生かしまして、農業者の経営拡大に伴う大型農機やスマート農機の導入、大規模なハウスなどの農業用施設の設置、そして物流、加工、輸出などの取組の進展に伴う加工流通施設の整備、さらにはフードテックの進展に伴う植物工場や陸上養殖などの整備など、農協やこれ信連では対応が難しい大規模な資金需要を伴う案件に対する融資、出資にこれまで以上に積極的に取り組んでいただきたいと考えております。
特にこのフードテックなんかは、植物工場でいうと一案件で数百億円規模の投資が必要になりますし、陸上養殖も、今大規模なもので数百億円の投資が必要になってきていて、なかなかそこにやはり、何でしょうね、これ正直リスクも当然伴いますから、リスクを一緒に取って、食料の供給力を増していくということに一緒になってやっていけると大変有り難いなというふうに考えております。
その上で、農林中金においては、こうした取組を通じまして、生産分野のみならず、加工、流通、販売なども含めた食料システム関連分野における民間投資の円滑化に寄与していただき、農林水産業の生産基盤と食料システムの強化を通じた食料供給力の向上に貢献していただくことを期待をしております。
○参考人(長野真樹君) お答えいたします。
まず、農林水産業者や食品事業者向けへの融資につきましては、JA、信連と役割分担の上、JAなどで対応できない大型案件ですとか、県域をまたぐような案件、こういったものに対しまして農林中金が取り組むべき領域と位置付けた上で体制面を強化し、積極的に対応をしてまいりたいと考えてございます。
また、出資につきましても、主にこれまでアグリビジネス投資育成株式会社を通じまして実践の方を行ってきておりまして、現在、出資件数、金額共に着実に増加をしておるところでございますが、大規模案件につきましては、我々の資金量あるいはネットワーク、こういったものを生かして、農林中金による直接的な取組、こういったものも進めてまいりたいと考えてございます。
このように、農林中金におきましては、川上と川中、川下、全ての領域に接点を持つ強み、この中には資金量でありましたり、独自のネットワークも含まれますけれども、こういったものを生かしながら、林業、漁業も含む第一次産業の持続性確保のために、強靱で持続的な食料システム構築へ貢献していくことを目指し、これまで以上に取組を進めてまいる所存でございます。
○高橋光男君 今回の法改正の方向について確認させていただきましたが、本当にこれからが大事だということだと思います。
条文を直せばいいということではなく、やはり農業、食品、物流まで含めて、現場で本当に足りないところに資金を手当てしていくことができるようにしていくこと、これをしっかり目に見える形で進めていくことが大事だというふうに思います。
続きまして、人材確保と育成、そして融資の実行体制についてお伺いしたいと思います。
有識者報告書におきましては、農林中金は有価証券中心に運用構造がありまして、出融資を担う職員は二割程度にとどまるとされております。また、案件を組み立てていくには相応の時間も手間も掛かるわけですが、人の体制が課題だというような説明もなされております。
現場でも、資金需要があっても、それをしっかりと見立てて事業性を見て案件の形にしていく人が足りなければ、実行にはなかなか結び付かない現実があると思います。
そこで伺いますが、農業、食料システムへのこの出融資を担う人材をどの分野でどう確保して育てていくのかと。農林中金は、本店と支店、支店も十七支店ほどですかね、限られているということですので、その中でこのJAや信連との連携、また人員配置、審査や案件形成の仕組みなどをどう見直して融資の実行体制を強めていくのかにつきまして、農林中金の方針を伺います。
○参考人(長野真樹君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、ここから農林水産業向けの融資を強化していくに当たりまして、それを支える人材育成、ここをいかに担保していくかといったところは非常に重要な課題だというふうに受け止めてございます。
その上で、私ども農林中央金庫では、農林水産業向け出融資を強化するために、昨年度に農業融資担当者を一割増強したということでございます。あわせまして、人材マネジメントポリシーを定めまして、一次産業と地域への貢献意識を持った職員一人一人が金融の専門性を醸成する人事制度、こういったものを開始してございます。
具体的には、農業融資機能を強化し、貸出業務等における経験、知見、こういったものに応じた研修、それと現場実践を通じた人材育成、こういったものを進めるとともに、農林水産業に知見を有する人材のキャリア採用、こういったものも進めております。
引き続き、中長期的にプロフェッショナルとなる職員の育成と確保、こういったものに不断に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○高橋光男君 融資担当者を一割ほど増やすというようなお話がございましたけれども、大事なのは、現場に寄り添った人材、案件を組み立てていけるこの専門人材、どのようにして増やしていけるのかといったことが大変重要だというふうに思いますので、その辺りしっかりと取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。
続きまして、今日も幾つか議論ございました外部理事の登用についてお伺いしたいと思います。
今回の法改正で外部理事の登用が可能となると。有識者報告書でも、多様な視点を確保するためには理事を含め組織全体でこの外部の見識を取り入れる必要があるというふうにされております。
ただ、この外部理事を置けばそれで十分かというと、私はそうではないというふうに思っております。なぜならば、今日も組織の全体としてというような議論もありましたが、まさにそことも関わるんですが、やはり、しっかりとこの現場の情報とか提案が上がってくる、そうした風通しの良い組織体制といいますか、そうしたものがなければ十分に機能しないというふうに考えるからでございます。
そこでお伺いいたしますが、この外部理事の登用を実効的にするためにも、理事会と下部組織との情報共有、また報告の流れ、議題の立て方、リスク情報の上げ方などをどのようにして改善していくのか。あわせて、理事会が適切に方針決定をできるようにどのような環境整備や組織体制の見直しを進めていくお考えなのか、農林中金の考えを伺います。
○参考人(長野真樹君) お答え申し上げます。
まず、外部理事の任用におきましては、経済、金融やガバナンスなどの分野に専門性をお持ちの方を複数名任用することを想定してございまして、これによって多様な視点を確保し、柔軟な意思決定を行ってまいりたいと考えてございます。
また、その会議体の在り方、これにつきましても、しっかりとその会議体、会議体ごとの役割と責任、こういったものを明確化するという一つの取組といたしまして、理事会の傘下に、新たに財務戦略委員会というものを設置してございます。昨年度からこの中に外部有識者二名を招聘するなど、理事会が適切に方針決定を行える環境の整備、こういったものに取り組んでおるところでございます。
なお、外部理事へ御就任いただいた際には、理事会当日、ただ御出席をしていただくということだけではなくて、理事会で適切に議決権を行使いただけるように、事前のレクチャーでございましたり、あるいは事後のフォローアップでありましたり、こういったものにもお時間を割かせていただきたい。加えまして、こういったことを通じてしっかりと、委員御指摘のとおり、適切な意思決定に資する情報の連携、こういったものを図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○高橋光男君 是非、現場の情報が経営判断に直結いたしますので、そうした共有がしっかりなされるようにお願いしたいと思いますし、これ実務としてしっかりとそういったことを詰め切っていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、金利上昇局面におけるJAの財務健全性と地域金融機能についてお伺いしたいと思います。
今回の検証は主として農林中金が対象となっておりますけれども、現場のJAからは、金利上昇が長引けば、低金利の時期に保有した長期債などで評価損が生じて、収益や自己資本に影響が出るのではないかといったお声をいただいております。そうなりますと、農業者向けの融資や共同利用施設などの整備、組合員向けのサービスなどにも影響を及ぼしかねません。地域の農業投資を支えるこの金融機能が弱まれば、担い手の育成や設備更新にも響いてくるかと思います。
そこで、お伺いいたします。
政府として、最近の金利上昇がJAの保有資産、収益、自己資本などにどのように影響を与えているというふうに見ていらっしゃるか。また、その影響が地域金融機能に及ばないよう、JAバンク全体の実態をどのように把握をし、どう対応していくお考えかについて御答弁をお願いします。
○政府参考人(小林大樹君) お答え申し上げます。
個別の農協のこの財務の健全性に関することにつきましてはコメントを差し控えさせていただきたいと考えておるわけでございますけれども、御指摘のとおり、農協において国内のこの金利上昇に伴いまして国債などの有価証券の評価損が発生しているということは、私どもも把握しているところでございます。
農水省といたしましては、各農協が健全性を維持して、農業金融を含めたこの地域金融機能、こういったものをしっかり発揮していただけるように、農協の監督官庁であります都道府県、それからJAバンク法に基づきまして農協信用事業を指導する農林中金、こういったところとも緊密に連携をいたしまして、まずはこの金利上昇といった経済・金融市場の動向が農協経営に与える影響、これがどうなのかというのをしっかり把握するとともに、各農協の有価証券運用の状況を含めて、この財務の健全性でありますとかリスク管理の体制等につきまして、しっかりモニタリング、指導をしていきたいというふうに考えてございます。
○高橋光男君 ありがとうございます。
事前の御説明でも、農水省はそうした都道府県やまた農林中金等を通じて各JAのそうした財務健全性を確認されているというふうにお伺いしておりまして、昨年度の決算、まだ出ておりませんが、確認する限りは特段の問題はないということもお聞きしておるところでございますけれども、やはり是非、今のこういった金利上昇面において地域の農業金融にしわ寄せが出ていないのか、そうした視点でも見ていただきたいというふうに思います。農家の方々が必要なときに必要な資金を借りられる状態を守ることが何より大事だということを申し上げておきたいというふうに思います。
それでは、具体的に、そのような金利上昇の下で農業投資をどのように後押ししていくかについてお伺いいたします。
JAなどの現場からは、施設更新や機械の更新、暑さや水不足への対応など、これからの農業に必要な投資は増えていく、一方で、金利が上がると資金調達の負担が重くなって投資が先送りされやすいといったようなお声もいただいております。特に若手やこれから規模拡大に挑む経営体ほど、返済額が将来変わらないような固定金利のような融資メニューや利子負担の軽減、またあるいは保証制度の強化、こうした仕組みが重要だといった御指摘もいただいております。
そこでお伺いいたしますが、政府としてJAを含む地域金融機関とどのようにして連携して農業投資の金利負担を抑えつつ必要な投資が止まらないようにしていくのか。今申し上げたような固定金利だとか利子補給、保証、つなぎ資金、こうしたものの確保なども含めて、是非前向きな投資を後押しをしていく、そのための具体策についてお伺いいたします。
○大臣政務官(山本啓介君) お答えいたします。
農業者の資金ニーズに対して地域金融機関から円滑に資金が供給されるよう、低利かつ固定金利で長期の借入れも可能とする農業近代化資金などの民間の地域金融機関が取り扱う制度資金や、農業者が担保や保証人を提供しなくても資金を借りやすくするため、農業者の信用力を補完する農業信用保証保険制度のほか、地域計画に位置付けられた認定農業者への貸付け当初五年間の金利負担軽減措置や保証引受け当初五年間の保証料助成措置などの様々な施策を講じることにより、チャレンジする農業者の農業投資に係る負担を軽減しているところであります。
今後とも、農林水産省としては、これらの措置を継続し、農協を始めとする地域金融機関と連携して、チャレンジする農業者の経営改善や規模拡大に向けた前向きな投資をしっかり後押しをしてまいりたいと考えております。
○高橋光男君 今の御説明のあったような既存の仕組みがあることも承知をしておりますけれども、やはりこの負担感、これからも増していくというふうに思います。したがって、制度がしっかり本当に投資の後押しになっているのかということも含めて、利用のしやすさも含めて点検していただきたいなというふうに思います。
その関連ででありますけれども、この融資手続の簡素化、また迅速化についてもお伺いしたいと思います。
有識者報告書におきましては、農業近代化資金につきましては、借入限度額が少ない、農地取得に使えない、償還期間が短いといったような課題に加えまして、都道府県の利子補給手続に時間が掛かるために貸付決定や融資実行が遅れて、営農に影響するおそれがあるとも指摘されております。最近のように金利の動きが大きい局面においては、手続の遅れそのものが利用者の資金計画を不安定にしてしまいかねないかというふうに思います。
そこでお尋ねいたしますが、今回の法改正を機に、借入限度額、これ引き上げられますけれども、この申請書類とか審査、また利子補給の決定など、この融資実行に至るまでの各段階、これをどのようにして簡素化し、迅速化していくのか、利用者にとっても分かりやすく使いやすい制度にしていくための取組の方針についてお伺いいたします。
○政府参考人(小林大樹君) お答え申し上げます。
御指摘のありましたこの融資実行のタイミング、こういったものも含めまして、農業者のニーズに応じた融資実行がしっかりなされるということは極めて重要だというふうに考えてございます。
このため、都道府県等の関係機関と連携いたしまして、まずこの農業近代化資金に係る都道府県の利子補給手続、これにつきまして、各県が農業者からどういった申請書類を提出していただいているのか、こういったものを国としても一回検証いたしまして、簡素化を図るということが一点でございます。
それからもう一点は、この借入れの申込みから融資決定までの期間を短縮するという観点でございますけれども、この間、融資を実際に行う民間金融機関、それから保証を付けるということでありますと農業信用基金協会、それから利子助成をするのは都道府県というふうに主体がいろいろございまして、それぞれが順番に審査をやっていますとやっぱり時間が掛かるということになりますので、こういった各審査を同時並行で実施すると、こういったことも検討しまして、融資手続の簡素化、迅速化というのを図ってまいりたいと思いますし、また、この今回の改正に当たりまして、こういったことを都道府県でありますとか融資機関にしっかり説明を重ねていって、こうした手続の簡素化、迅速化の取組が徹底されるように進めてまいりたいと考えてございます。
○高橋光男君 御答弁ありがとうございます。
しっかり、制度はあっても、これなかなか遅くて使えなければ、現場では役に立たないといったようなこともあろうかというふうに思いますので、不断の改善を進めていただきたいなというふうに思います。
今回のその近代化資金、どのようにして利用を促していくのかといった取組の一つとして、これまで農地取得等に使えなかったというような課題に対して、新たな今回対応として今年度から導入されたこの農業経営高度化資金というものが使われるものと承知いたします。この資金では、今申し上げた農地等の取得や借換えなどにも使えるようになります。
一方で、この対象者なんですけれども、これまで近代化資金というのは、農業者とか共同利用事業者とか、それらに限られてきたわけですけれども、新たに地域計画に位置付けられた者というものが、等というふうな形で対象が変わります。この地域計画自体、今進められているわけでありますけれども、ただ、現場では、まだその手続上間に合わないといいますか、今後位置付けられる見込みはあっても、まだしっかりとこの担い手として位置付けられていない方であったりとか、また、兼業農家さんも含めて、地域農業を支える多様な経営体、いわゆる多様な担い手と言われる方がいらっしゃいます。真に資金を必要とする方が使えるように柔軟な運用が必要ではないかというふうに思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。
○国務大臣(鈴木憲和君) 大切な御指摘だというふうに思います。
農業近代化資金の貸付限度額の引上げによって、例えば、農業経営の規模を拡大しようとする場合に行う大型の農業機械の導入やハウスなどの農業用施設の増設、そして、農産物の付加価値向上に取り組む場合に行う加工施設の整備などのうち、これまででできなかった比較的大きな資金需要に対しても、農業近代化資金でまずは対応できるようになると考えております。
そして、御指摘の新たに設けます農業経営高度化資金につきましては、その規模の大小にかかわらず、地域計画に位置付けられた者である限りにおいて、これは貸付対象となります。
そして、地域計画も、今まだ、何というか、進行途上のものもたくさんありますので、進行途上なんだけれども借りたいということが当然あり得ますので、そういう場合は、今後、この地域計画に位置付けられることが確実であることの証明を市町村から受けた者なども対象とする考えであります。
実際に、地域計画に位置付けられた者については、認定農業者などの担い手を中心に、小規模な経営体も含めた多様な経営体が位置付けられているところでありまして、もちろん、これ兼業農家の方も入っているケースも多々あります。また、改正後の農業近代化資金については、これまで同様の小規模な資金需要に対しても対応できることには変わりはありません。
今回の改正後の農業近代化資金が、中小規模の方々も含めて、前を向いて現場で設備投資して頑張ろうという方にしっかり応えていけるように周知もさせていただきます。
○高橋光男君 ありがとうございます。
兼業農家さんも含めて、多様な担い手が対象になるという重要な答弁だったかというふうに思います。
前回の委員会でも議論があったかと思います。そうした多様な担い手の方々に対する経営安定対策といいますか、セーフティーネット的な位置付けとしても、今回新たに設けられましたこの農業経営高度化資金というものがしっかり活用されるように、政府から促していただきたいなというふうに思います。
続きまして、現場からは、機械や施設のための資金は借りやすい一方で、雇用とか人件費、資材購入、出荷までなどのつなぎなど、必要な運転資金は借りにくいといったお声をいただいております。特に、規模拡大の時期ほど先に資金が必要になりますけれども、十分な支援が受けにくく、経営拡大の壁になっているというお声をいただいております。こうした実情を踏まえますと、設備資金のみならず、運転資金も含めて農業経営全体を支える視点が必要ではないかというふうに思います。
政府として、政府系金融、信用保証、利子負担の軽減など、どのように組み合わせて、農業者が実際に借りやすい仕組みにしていくのかについて見解を伺います。
○副大臣(山下雄平君) お答えします。
高橋委員が御指摘のように、この設備投資だけではなく、資金、運転資金のニーズなど、多様なニーズに応えていくことが大変重要だということは認識しております。
このため、近代化資金におきましても、これまでも、設備資金だけではなく、資材購入などの農業経営に必要な費用を広く長期運転資金の対象としてきたところであります。さらに、今回、この近代化資金の中に設けます経営高度化資金につきましては、借換えなども使途の対象に追加することにより、より一層様々なニーズに応えていきたいというふうに考えております。
また、近代化資金を利用しやすくという点におきましては、先ほど政務官の山本からも答弁申し上げましたけれども、農業者が担保や保証人を出さなくても資金を借りやすくするために、信用力を補完する農業信用保証保険制度の対象とすることでありますとか、認定農業者への貸付け当初五年間の金利負担の軽減でありますとか、保証引受け当初五年間の保証料の助成措置などといった措置、負担軽減措置を通じまして、より一層利用しやすくなる制度としていきたいというふうに考えております。
○高橋光男君 しっかりと副大臣のお言葉で述べていただいて、ありがとうございました。
最後に、一般金融機関も含めた農業向け新規貸出しの拡大についてお伺いしたいと思います。
有識者報告書では、この制度を所管する農水省と、実際の貸出しを行う農林中金を始めとする農協系統において、制度資金の在り方を検討し、農協系統による農業向け貸出しを促進するというふうにされております。
一方で、現場からは、この農協系統だけで全ての資金需要を支えるのではなくて、地方銀行など地域金融機関も含めて農業向け新規貸出しの裾野を広げる必要があるということが指摘されております。
一方で、地銀などからは、農業法人の経営情報とか現場の実態はつかみにくいんだと、またリスクを見極めにくいと、さらには、農地の評価や生産、販売の不確実性から審査に手間が掛かること、制度資金に加えて民間資金を借りようとした際に、相談先や審査が分かれていて農業者にとって提案しにくいのではないかと、ワンストップで対応できないのかといったような課題も指摘されております。特に、大型案件や加工、物流などを含む案件においては協調融資とか役割分担が重要でございますが、今回の法改正を機に、地銀等と農協系統や公庫等との連携、案件情報の共有、審査の知見の横展開など、どのように進めて農業向け新規貸出しを促す環境整備につなげていくお考えなのかについて、最後、お尋ねいたします。
○政府参考人(小林大樹君) お答え申し上げます。
この農業融資を拡大していく上では、農協等に頑張っていただくというのはもちろんなんですけれども、あわせて、御指摘のありました地方銀行などにもしっかり農業融資頑張っていただくと、こういうことが大事でございます。
こういった地方銀行などが農業融資に取り組みやすくするような環境整備につきましては、現在、日本政策金融公庫におきましてやっていただいておりまして、例えば、この融資判断をやる上での参考とするための農業経営の実力を数値化した情報サービス、こういうACRISというものがございますけど、こういったものの提供でありますとか、日本政策金融公庫と地方銀行等が協調融資などしまして審査ノウハウを横展開するでありますとか、それから農業経営のアドバイスを行う農業経営アドバイザー制度、こういったものを日本政策金融公庫の方で取り組んでいただいているところであります。あわせて、民間金融機関が取り扱う農業者向けの制度資金についてもしっかり内容を充実させていくということも重要であるというふうに考えてございます。
農水省といたしましては、引き続き、この地銀等による農業融資の環境整備に取り組んでおります日本政策公庫とも連携しながら、今回の改正によりまして資金内容が拡充されたこの農業近代化資金につきまして、地方銀行も含めてしっかりと周知いたしまして、こうした地銀も含めた民間金融機関による農業融資がしっかり促進されるように努めてまいりたいと考えてございます。
○高橋光男君 時間が参りましたので、しっかりと農水省としましても現場の課題を丁寧に洗い出していただきまして、地域金融機関のお力も引き出しながら、この農業向けの貸出しが広がっていくように御対応いただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
