2026.07.15

政府開発援助及び国際協力・人道支援等に関する特別委員会

令和8年7月15日 ODA・国際協力等特別委員会

○高橋光男君 公明党の高橋光男でございます。
 本日は、質問の機会いただき、ありがとうございます。
 現在、中東情勢の緊迫化や主要国のODAの削減に伴う支援の空白が生じております。その中で、我が国のODAの戦略性が一層問われております。本日は、人間の安全保障と有事の危機管理という極めて重要な課題について、現実的な観点からお伺いしていきたいと思っております。
 まず、骨太の方針について茂木大臣に伺います。
 今回、原案が示されましたけれども、ここに、我が国の外交と開発協力の基本理念である人間の安全保障の言葉がすっぽりと抜け落ちておりまして、援助関係者から強い懸念の声が上がっております。なぜ消えたのか、経緯と理由を御説明ください。また、政府の姿勢に変化がないかも併せて伺います。
○国務大臣(茂木敏充君) まず、政府の姿勢には何ら変化はないわけであります。我が国は、長年、外交、開発協力の基本理念として人間の安全保障を掲げてきました。二〇二三年の閣議決定によって改定をされました開発協力大綱は、我が国の開発協力に対する基本方針を政府として定めたものと位置付けられますが、この中でも、我が国の開発協力を貫く指導理念として人間の安全保障、これを明確に位置付けております。
 その上で、議員御指摘の骨太方針、私も経済再生担当大臣としてその策定に二年間携わってまいりましたが、これ、あくまで我が国の経済財政運営の基本方針でありまして、今年は同方針をコンパクトにまとめる観点から、我が国の外交政策、網羅的に言及されているわけではないと承知をいたしております。
 いずれにしても、我が国が外交、開発協力を進める上で人間の安全保障を重視する姿勢、これに何らの変化もなく、引き続き人間の安全保障、しっかりと推進していきたいと考えております。
○高橋光男君 政府の姿勢に変化がなければ、なぜ書かないのかということが問われているわけであって、私は、なおさら書くべきだというふうに思っております。
 実はこれ、我が党が自民党と連立を組んでいた際にも重視をしていた言葉でございます。開発協力大綱の指導理念に掲げられたということも、私自身も実は外務省で実務として携わらさせていただく中で、そのプロセスに関わらせていただきました。ここ数年見ても、毎年、人間の安全保障というのは骨太にきっちりと書かれているわけでありまして、この七文字が書けないというのは、やはり日本の外交姿勢が問われていると私は思っておりますので、是非、次期、今回のこの骨太で明確に示していただきたいなというふうに改めて思うんですけれども、確実にこうした文書に反映していただけないか、改めて大臣に御答弁いただけませんか。
○国務大臣(茂木敏充君) 恐らく、骨太の方針、文章で作りますので、七文字だけ入れればそれで済むという話ではないんだと思うんですね。先ほど申し上げたように、これはあくまで内政を中心にした経済財政運営の基本的な方針を示す、これが骨太の方針でありまして、今年はこれをコンパクトにする、こういう方針の下で、外交政策について網羅的に言及しているわけではない、明確にお答えしたとおりです。
○高橋光男君 実はこれ、次の問いにも関わる話なんです。
 骨太というのは、翌年度の政府の予算のまさに骨太、骨格になっていくわけでありまして、そうした人間の安全保障といったときに、例えば、これはバイだけではありませんけれども、マルチ、国際協力機関に対する支援、こうしたものをやっていくに当たって、継続していくに当たって、強化していくに当たって、まさに根拠となる文言となり、やはりそうしたことを明確に示すことが必要だということを、これから具体的にちょっとお伺いしてまいりたいと思います。
 国際機関向けのODA予算についてであります。これは五月にも、実はODA調査団の皆様の報告を受けた際に国光副大臣にお伺いしたテーマでもあります。
 配付資料、御覧ください。
 これは骨太の原案でありますが、補正予算に依存した財政運営からの脱却とあります。その補正予算、昨年度は、約千六百億円のうち、国際機関向けのODAは千二百億円と、何と四分の三を占めておりました。ここ数年見れば、大体その傾向は続いております。
 これまでそうした形で補正頼みだったマルチ支援の予算を、今後どう確保していくのでしょうか。適切に対応を図るといったような曖昧な答弁は結構です。補正で取らないなら当初でしっかり計上する、しないなら補正で確実に押さえる、明確な方針が必要だと思います。当初予算で抜本的に確保していく覚悟なのか、あるいはこれまでのような緊要な施策として補正予算を要求し続けるのか、お答えください。
○国務大臣(茂木敏充君) これまで、こういう国際関係の拠出金等々、また、例えば経済産業省の中小企業予算、補正に依存する、こういう傾向が非常に強かったわけでありますが、資料にも書いていただいたように、恒常的な施策については当初予算で措置をすると、これが現高市政権の方針でありますから、当然、恒常的なものについては当初予算でしっかりと確保していく、こういう考えであります。
○高橋光男君 今、その主語をおっしゃられなかったというふうに思います。
 国際機関向けの予算について、それを恒常的な予算とみなして、実際そうですよね、拠出金とか分担金、こうしたものについては、じゃ、当初でこれからは予算を確保していくということなんでしょうか。その点について明確に御答弁いただけますか。
○国務大臣(茂木敏充君) それで結構です。
○高橋光男君 今、本当に重要な御答弁だったかというふうに思います。我々としても、しっかりとそこは後押しをさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 では、続きまして、無償資金協力に関して政務官にお伺いしたいと思います。
 最新のデータでは、二国間ODAにおいて、基礎生活分野、いわゆるBHN、ベーシック・ヒューマン・ニーズでありますけれども、この十年間で一割以上減っておりまして、全体の約二四%。一方で、経済インフラは、四割弱からちょっと増えて、今、五割近くまで増えております。
 私は、一貫して、国会の場で、人間の命と尊厳に直結する基礎生活分野への支援強化を訴えてまいりました。しかしながら、今回、外務省に確認させていただいたんですけれども、例えば、アフリカ向けでも、ガーナの国際回廊改善、道路ですけれども、これに約六十三億円、その後継案件に三十七億円、計百億円、無償資金協力でやっております。ほかにも、ジブチ、ギニア、リベリアなどでも同様のインフラ案件に巨額の無償資金が投入されております。これでは、やはり全体の中でそうしたインフラ案件の占める割合が大きくなると、基礎生活分野や人材育成なども圧迫されるかというふうに思います。
 大型の経済インフラ案件は、原則、有償円借款としていき、また、無償資金協力については基礎生活分野に優先的に確保していくような一定の整理が必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(英利アルフィヤ君) 高橋委員、ありがとうございます。お答えいたします。
 長年外務省でお勤めになられて、ODAも関連する部署でもいらっしゃったとお伺いしました。そのような御経験から、建設的な御質問、御指摘、誠にありがとうございます。
 まず、定義からお答えさせていただければと思います。
 まず、無償資金協力ですけれども、こちらは、開発途上国に資金を贈与し、施設の整備や資機材の調達を支援する、返済義務を課さない資金協力であるため、開発途上国の中でも所得水準の低い国を中心に実施されているものであります。有償資金協力は、無償資金協力と比較して大規模な支援を行いやすく、途上国の経済社会開発に不可欠なインフラ建設等の支援に効果的であります。また、途上国に返済義務を課すことで、自助努力を促す効果もあります。
 日本は、各国のニーズや所得水準、財政状況も踏まえ、有償資金協力、無償資金協力や技術協力等の各スキーム、こちらの特徴も生かしつつ効果的に組み合わせることによって、効率的かつ効果的なODAの実施に努めてきています。所得水準が相対的に高い国については、有償資金協力の活用を最大限追求することとしています。
 保健や教育を含む基礎生活分野におきましては、我が国は、人間の安全保障を確保する上で不可欠な分野として、開発協力大綱においても基本方針や重点政策として明記しています。こうした方針に基づきまして、引き続き基礎生活分野における無償資金協力も実施してまいります。
 ありがとうございます。
○高橋光男君 明確に方針を打ち出していただいたかというふうに思いますので、特にアフリカなどはやはりそうしたBHNの分野へのニーズが大きいということを踏まえて、しっかりとこれからも継続していただくようにお願いいたします。
 それでは、ここからは、有事への備え、真に現実的な危機管理の観点から、ICRC、赤十字国際委員会についてお伺いしてまいります。
 お手元の配付資料を御覧ください。
 これはICRCの概要を示したものですが、私も外交官として駆け出しの頃、内戦直後のアンゴラで彼らの活動を目の当たりにしました。彼らが現場で機能できるのは、当該国で情報不開示や証言の免除を含む特権・免除で活動の信頼が担保されてきたからです。これによって、資料にもございますような様々な保護の活動が可能となっております。
 現在、我が国を取り巻く戦後最悪の安全保障環境の中でどのような有事があるのか。そのような危機が現実味を帯びてきている中において、私は、在留邦人の退避や、在留邦人というのはこの日本の国内も意味をしますけれども、そうした方々の退避、また捕虜の安否確認等でICRCの役割は不可欠になってくるというふうに思っております。有事になってからでは遅いんです。平時から機密情報の交換ができる法的基盤を整えるべきではないでしょうか。お答えください。
○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。
 我が国の周辺国・地域では、核・ミサイル能力の強化、急速な軍備増強、力による一方的な現状変更の試みなどの動きが一層顕著になってきております。我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しているということは、政府といたしても認識しております。
 そのような認識も踏まえまして、これまで政府とICRCとの間では、人道支援に係る日・ICRC政策協議や、外務省及び防衛省のハイレベルとICRC側のハイレベルとの面会、ICRCによる自衛隊の捕虜取扱い訓練の視察、人道法に関するセミナーなどを実施してきております。委員おっしゃられたような問題意識も踏まえながら、引き続き、関係省庁とともにICRCとの連携を継続してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 これからも継続していただくということなんですけれども、今おっしゃられたような意見交換とか訓練の視察といったような話は、あくまでこれは平時の今の関係性でありまして、私がお聞きしているのは、有事に邦人や、日本人や捕虜の機密データを守る確固たる不可侵の法的担保の話をさせていただいております。
 したがって、今の状況を考えると、私は危機感が欠如しているとも言えなくもないかというふうに思うんですけれども、改めて、その点、御認識を伺いたいと思います。
○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の問題意識というのは非常によく理解するところではございますが、繰り返しにはなりますが、私ども政府とICRCとの間で、先ほど申し上げましたような様々な意見交換、訓練といったものを緊密に行ってきておりまして、こういったやり取りというのを引き続き継続していきたいと考えております。
○高橋光男君 引き続き継続するというのをどのようにしていくのかということは最後にまた大臣にもお尋ねしてまいりたいと思いますが、その前に、我が国が今、国際人道グローバルイニシアチブという形でICRCとも一緒になって、百を超える国々との間で、ICRCが展開する人道活動へのODA等で多額の支援も併せて行っているところでございます。
 一方で、現在、国内のICRCの駐日代表部には特権を一切認めず、実質的にスイスの私的法人として扱っております。これによって様々な不都合があるんですね。例えば、他の国際機関等に比べて在留資格というものが違ったり、また、銀行口座というものも法人名義では開設できないといったような実態がございます。
 我が国として、海外ではこの特権を享受する形で国際法人格を持っているICRCに対して、あたかも国際機関、国連機関等と同等に拠出金を通じて活動を支援しておきながら国内ではその法的地位を認めないという姿勢は、私は日本の人道外交として一貫性を欠くのではないかというふうに思います。国際社会に対して国際人道法の尊重を訴える上でも説得力を損ないかねません。
 政府としてこのギャップをどう認識し解消していくお考えか、政務官に伺います。
○大臣政務官(英利アルフィヤ君) ありがとうございます。お答えいたします。
 ICRCは世界各国で人道支援を展開し、我が国もICRCを通じて人道支援のために拠出を行っている状況でありますが、その際に、支援対象国、ICRCに特権等を付与していることが必ずしも必要とは政府としては考えていません。また、現時点で我が国がICRCとの間で特権・免除を不可欠とする国内における具体的な協力事項はなく、ICRCは特権・免除がない現状でも国内では活動できています。
 我が国としては、ICRCとの協力を引き続き進めていく考えであります。
 ありがとうございます。
○高橋光男君 現在、ICRCとの間で国内では特権・免除を不可欠とする具体的協力がないというお話でしたが、それはあくまで今が平時であって、我が国が今平和だからそれで済んでいると。しかしながら、有事に備えて何をするのかということ。これを私は今の状態で放置しておくのはよくないのではないか。そうした事態に備えて、今どのような扱いをICRCとの間でするのが現実的な対応なのか、現実的な危機管理なのか、その点をしっかりと政府として認識して対応していただきたいと思います。
 最後に、大臣にお伺いいたします。
 政府はこれまで、現行の特権・免除条約等の対象が政府間機構に限定されていること等を理由に特権付与に慎重な姿勢を示してきたと承知をいたします。しかし、英国など他国は既に法整備を進めております。むしろ、先進国では特権・免除を与えている国の方が多いんですね。しかしながら、私は、日本がこういった状況の中で、できない理由を探すのではなくて、有事に備えるために、少なくとも、外務省のみならず、関係する防衛省、法務省などの関係省庁を横断した検討の場を今すぐにでも立ち上げることぐらいはすべきではないでしょうか。
 大臣、関係省庁で検討を開始すると是非お答えいただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(茂木敏充君) 委員の問題意識、これは理解をさせていただきました。
 外務省にいらして様々な仕事に関わってきた経験、こういったものも踏まえた今の問題意識だと思っておりまして、関係省庁ともどういう形がいいかということについては検討させていただきたいと思います。
○高橋光男君 しっかりと今検討していただくという御答弁をいただき、ありがとうございます。私も、今すぐ、例えば地位協定みたいな、これフィリピンでそういったような事例があるみたいです、を結べといえば、例えばICRCはあくまで民間法人だとすると、国際機関と同じような特権・免除を有するということを国際法的に整理するのは難しい、そういった側面があるかと思いますが、ほかの国では、特別法、特措法的な扱いでそうしたICRCに対する特権・免除というものを認めている事例も多々ありますので、そうした具体的な事例も研究していただきながら、是非有事に備えた危機管理という意味で政府にはしっかりと対応していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 以上です。

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