2026.07.16

国会議事録

令和8年7月16日 農林水産委員会

○高橋光男君 公明党の高橋光男でございます。
 本日は、気候変動等対応品種法案と種苗法改正案について質疑をさせていただきます。
 いずれも気候変動に対応する品種を育て、国内で種苗を安定的に作り、優れた品種を守り、生かすための大事な法案でございます。ただ、制度は現場で使えてこそ初めて意味があります。私はこれまで、採種、養蜂、農業の現場の方々、また、知財などの実務を扱っていただいている専門家の方々と対話を重ねてまいりました。そこで見えてきた課題を本日は取り上げたいと思います。各質問の論点は配付資料に整理をさせていただいておりますので、委員各位の皆様には是非御参照いただきながらお聞きいただければと思います。
 最初に、国内採種基盤の維持と基本方針や各計画への明記ということで、資料一の一の一についてお尋ねをいたします。
 重要品種を幾ら育成しましても、国内で安定的に採種できなければ農家には届きません。委員派遣で視察をさせていただいた宮城県の現場では、採種農家の高齢化、後継者不足、採種地の減少など、切実なお声をいただきました。また、網室、ネットで囲った栽培施設でありますが、であったり、パイプハウス、ビニールハウスですね、での採種への投資の負担、また水源確保の負担など、率直なお声をいただきました。これらの環境整備は地方だけではできません。
 したがって、我々野党全会派で提出をさせていただいた公的新品種育成促進法案の意義も私はここにもあるんだろうと思っております。すなわち、国が都道府県を財政面、人材面で手当てをし、支えていく、その中で公的な新品種育成と種子供給を守る基盤が不可欠となっておりますので、それが民間の品種開発にもつながる土台になるというふうに考えます。
 そこで、政府には、国内採種基盤の維持をしっかりと基本方針に明確に位置付けていただき、重要品種育成事業計画や都道府県の基本計画などにも確実に反映させることを求めたいと思いますが、大臣、お答えください。
○国務大臣(鈴木憲和君) 気候変動等対応品種法案におきましては、国内における重要品種の種苗の生産活動を対象に特例措置を講じることとしており、種苗生産圃場の集団化による効率的な種苗生産体制の構築を後押しすることで国内採種基盤の維持に寄与するものと考えております。また、新品種の迅速な育成に向けて、重要品種育成事業では、農研機構による先端的な研究設備の供用などの措置を講じ、産官学が連携した育成体制の構築を後押しすることとしております。
 基本方針においても、効率的な種苗生産につながるよう、良好な生産団地を形成するための集団化などの取組や関係者間の連携の重要性、そして、効率的な品種育成に向けた先端技術の利用や農研機構を中心とした産官学連携の強化などを位置付けることを検討しておりまして、それを踏まえ、国としても必要な支援を行うよう努めてまいります。
 あわせて、基本方針に定める内容が各計画に適切に反映されるように進めてまいりたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 基本方針にしっかりと位置付けていただくという御答弁でありましたけれども、その位置付けにとどまらず、しっかり予算と人材の支えまでつなげていくことが大事かというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、ここからは、交配用蜜蜂の問題につきまして何問か伺ってまいりたいと思います。
 資料の二になります。気候変動への対応を急ぐ中で見落としてはならないのが、花粉を運ぶ蜜蜂であります。私も、大臣所信、三月、あったときに、この交配用蜜蜂の重要性につきまして、大臣にも質問をさせていただきました。
 主要な農作物の七割は蜜蜂などの花粉を運ぶ力によって支えてもらっています。そうした意味で重要なわけでありますが、現場では、例えばイチゴやメロンなどの農作物だけではなくて、タマネギなどは種子生産でも交配用蜜蜂の不足が今深刻な問題となっております。地元の養蜂家からも、養蜂家側だけではなくて、そうした生産現場からも声を上げてほしいといったような声もいただいているところでございます。交配用蜜蜂の不足は単なる養蜂振興ではございません。種苗生産と食料安全保障の基盤であります。
 そこで、大臣に重ねて伺いますが、種苗会社、養蜂家、自治体、農研機構などが連携して、需給の把握、供給調整、ダニの問題、ダニの防除、さらには人材育成、代替技術研究などを一体的に進めていくべきと考えますが、御答弁をお願いします。
○国務大臣(鈴木憲和君) 施設園芸、果樹、種子などの生産現場では蜜蜂を花粉交配用に利用しておりまして、農産物及びその種子の安定的な生産を図る観点から、花粉交配用蜜蜂の安定供給は極めて重要であります。このような中で、近年は花粉交配用蜜蜂不足が施設園芸や果樹だけではなく種子の生産現場にも及んでいるものと承知をしており、種苗会社も含めた関係者が需給状況等を把握しつつ花粉交配用蜜蜂不足に対応することが必要になります。
 このため農林水産省では、令和八年度に、まず、このダニの増殖を抑える技術実証を全国三か所で行うほか、養蜂人材の育成として、今年も都道府県の獣医師に対する講習会を五月に開催をしたところであります。
 また、代替技術開発については、イチゴの花などに振動や気流を与え、雌しべに花粉を付着させるドローンなどの研究開発を支援してきているところであります。
 これらの対策を講じることにより、引き続き現場の状況をよく把握をしながら、花粉交配用蜜蜂などの安定供給に努めてまいりたいと思います。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 本当に蜜蜂は農業の裏方と言ってもいいと思います。裏方が倒れれば、生産が成り立たない、そういった意味でしっかりと対応していただくことをお願いしたいと思います。
 続きまして、新品種開発における花粉媒介昆虫との適合性評価と銘打って、資料の三に示させていただきました。次のページになります。
 新品種を作っても、採種や生産段階で受粉が安定しなければ現場は使えません。養蜂家からは、品種によって花粉量、蜜量、花の形などが変われば蜜蜂が訪花しにくくなる、花に訪れにくくなるというか、行きにくくなるという場合があるというふうな御指摘をいただいております。
 そこでですが、収量、品質、高温耐性、病害抵抗性だけではなくて、蜜蜂、マルハナバチ、マメコバチなどとの適合性も大切になるかというふうに思います。
 そこでお伺いしますが、基本方針であったり、研究開発指針、また普及段階のガイドラインなどで、是非、花粉量、蜜量、また花の形質、推奨される花粉媒介昆虫などを確認していただき、現場に情報提供する考え方を位置付けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(堺田輝也君) お答えいたします。
 受粉が必要な野菜や果樹等につきましては、品種育成の段階で蜜蜂などの花粉媒介昆虫を利用した栽培試験を実施しているところでございます。
 一方で、高温耐性等の形質を有し、広域への普及に対応した重要品種を育成するに当たりましては、受粉を含む栽培管理の観点や収量の安定性の観点から、品種を利用する農業者とも育成段階から連携することが重要と考えております。
 このため、重要品種育成事業計画では、育成段階から普及の加速化に向けて、農業者を含む関係者と連携する取組を必須とする方向で検討しておりまして、基本方針においてもこうした評価の必要性を位置付けてまいりたいと考えております。
 また、育成された重要品種については、現場への普及に資するよう、情報の提供元である品種育成者の意向も踏まえつつ、品種特性や花粉媒介昆虫等の情報も含めた栽培マニュアルなど、必要な情報の提供に取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋光男君 本当に、育てる段階から実際それを使われる現場のことを考慮していただく、この姿勢を徹底していただきたいというふうに思います。
 あわせまして、蜜蜂を支える地域環境についてもお伺いしてまいりたいと思います。
 資料の四になります。

蜜源植物、緑肥作物への支援をしっかりと農政上の支援体系に位置付けることというふうに書いております。
 蜜蜂不足の背景には、猛暑、ダニ、農薬等だけでなく、地域の蜜源不足もございます。養蜂家の努力だけでは限界があります。農地や公共施設、河川敷、のり面など、地域ぐるみで蜜源環境を整えていく必要があります。
 私の地元兵庫県の稲美町というところでは、水活のメニューに蜜源植物を加えていただいているんですけれども、支援単価が低いんだということで活用が広がりにくいといったお声をいただいております。この点、蜜源植物やこの緑肥作物を蜜蜂の餌の、餌源というんでしょうか、餌の元となる、そうした環境として確保していただくこと、また、していくこと、さらには地力の向上、また化学肥料の低減、生物多様性、さらには耕作放棄地対策に資する取組として評価をしていただいて、国としてしっかり後押しをしていただきたいというふうに考えますが、見解をお願いいたします。
○政府参考人(長井俊彦君) お答えいたします。
 上質な蜜が取れる植物といたしましては、桜、ニセアカシア、レンゲ、トチ、アカメガシワ、菜種、ソバ等が養蜂家には人気があるなど、蜜蜂の蜜源となる植物は我々の身近なところに存在していると承知をしております。
 代表的な蜜源でありますレンゲにつきましては緑肥作物としても有効であるなど、蜜源となる植物は様々な利用目的で植栽管理されていることも多く、関係する部局と蜜源利用に関する理解を深めることは双方にとって有益であるとともに、そこから得られる蜂蜜を活用すれば地域振興にも役立つものと考えております。
 農林水産省では、養蜂等振興強化推進事業におきまして、養蜂家と耕種農家等の連携により、レンゲを始めとする蜜源作物の種子代や樹木の苗代、植栽後の管理費用、また環境保全型農業直接支払交付金において緑肥としてのレンゲの作付け、水田活用の直接支払交付金の中の産地交付金においてソバや菜種の作付けなどの支援を可能としているところであります。
 このほか、最適土地利用総合対策では、中山間地域の農地を対象として、地域ぐるみの話合いにより行う農用地保全のために蜜源作物の作付け等の粗放的利用を行う取組を支援しているところであります。
 こうした支援を地域で活用していただけるよう、関係部局間の連携を密にしながら、全国ブロック説明会での情報提供等によりまして取組の推進を図ることによって蜜源の確保に努めてまいりたいと考えております。
○高橋光男君 ありがとうございました。
 緑肥の関係でレンゲのお話ありましたけれども、私のこの稲美町では、ヘアリーベッチ、これを使って有機のお米等に挑戦をされておりまして、既に十アール当たり八俵の収穫を得ておりまして、慣行栽培米とほぼ同等のそうした収穫も得ているところでございますので、是非、現場がそうした支援を活用し、あわせて蜜源対策にもなるという、一石二鳥の取組になるわけですから、しっかり国としても後押ししていただきたいと思います。
 続きまして、農薬とドローン散布による蜜蜂等への影響についてお伺いをいたします。
 この点は、三月の所信でも私聞かせていただきました。ドローンの技術の進歩というのは非常に早いんですね。一方で、養蜂家からは、大型ドローンによる高濃度の農薬散布、また収穫後に開花した作物や切り株への訪花、また、訪花というのは花に訪れると先ほど申し上げたとおりでありますが、残留農薬の影響に強い懸念が示されております。技術が進むならば、安全評価も進めていかなければいけないというふうに考えております。
 農水省では、この散布方法や一時的な高濃度被曝の可能性も含めまして、養蜂現場や専門家の科学的知見を継続的に反映していただきたいというふうに思っております。あわせて、農薬評価については、評価後であっても新たな科学的根拠が示された場合は速やかに運用を見直すプロセスを明確にしていただきたいと思いますが、答弁をお願いいたします。
○大臣政務官(山本啓介君) お答えいたします。
 農薬の安全性を一層向上させるため、平成三十年に改正された農薬取締法に基づき、全ての農薬について最新の科学的知見に基づく再評価を順次行っているところであります。再評価においては、蜜蜂などへの影響評価の充実を図った上で、ドローンによる高濃度散布も含め、様々な使用方法に即した評価を行っているところであります。
 再評価の進捗としては、例えば、ネオニコチノイド系の農薬の一つでありますイミダクロプリドについては、専門家により蜜蜂への影響評価の案が取りまとめられ、開花期においてドローンによる高濃度散布を制限する案が検討されているところであります。このイミダクロプリドについては、現在、消費者庁において食品中の残留基準の評価に関する手続が行われているところであり、再評価が完了すれば、変更となった農薬の使用方法について現場への周知、指導を徹底してまいる考えであります。
 なお、農薬取締法においては、評価濃度、再評価後も含め、現に登録されている農薬について定められた使用方法で使用してもなお蜜蜂を含む人畜に被害を生ずるおそれがあり、これらの事態の発生を防止するための必要があるときには、専門家の意見を聞いて、登録内容の見直しなどの措置を講ずることができる旨明文で規定をされているところであります。
○高橋光男君 このドローンなんですけれども、例えば、今最大散布量が毎分四十リットルというような大型ドローンというようなものも使われ始めているわけでありまして、先ほどイミダクロプリドについては再評価を進めているということですが、そうした農薬も様々な種類がある。一方で、その評価を進めていただくに当たって、その散布方法ですよね、そうしたまだ規制が掛かっていないものも含めて、何の今法的な制限がない中でやっているということで現場は戦慄しているというふうなお話もいただいているところでございますので、しっかりと対応していただくようにお願いいたします。
 ここからは、種苗法改正に関しまして、主に知財の専門家である弁理士の先生方からいただいたお話を中心に取り上げさせていただきたいと思います。
 資料一の三の六を御覧ください。
 今回の種苗法改正は、単に育成者権を厚くするだけではありません。気候変動に耐える品種を育て、守り、食料安全保障、輸出競争力、知財を活用した稼ぐ農業につなげる制度改正だと理解しております。
 一方で、令和二年改正で、海外持ち出し制限や自家増殖の許諾制が整備されました。しかし、出願中品種の流出であったり、また輸出目的保管、侵害事案への立証責任といったような課題、また損害額算定など課題がある中での改正というふうに思っておりますが、この令和二年改正で何が改善し、何が残された課題なのか、今回の改正の立法事実は何かについて伺います。あわせて、品種登録件数とか、海外出願件数、侵害対応件数、ロイヤリティー収入など、今回の改正後の効果をしっかり今後検証し、公表すべきと考えますが、政府の見解を求めます。
○大臣政務官(山本啓介君) 令和二年改正では、海外流出防止の対策を強化するため、育成者権者が登録品種の海外持ち出しを制限できる制度を導入し、現在、国内育成品種では三千三百三十品種で海外持ち出し制限が明確されているほか、登録品種である旨の表示の義務化などの制度の充実を図った結果、登録品種の海外流出問題への国民の認知度は高まっており、海外流出防止に一定の抑止効果があったと考えております。他方で、かんきつのあすきなどが出願中、登録前に海外に持ち出されたことが明らかになるなど、現行の種苗法では対応できない新たな課題が判明したことなどを踏まえ、今回の改正を行うものとしております。
 今回の種苗法改正法案については、五年後をめどに、法施行後の状況を把握し、その結果を踏まえて見直しの検討を行うこととしております。その際には、例えば、我が国の優良品種の海外流出の状況について調査し、抑止の効果を把握するとともに、食料・農業・農村基本計画において海外ライセンス推進などの新たな施策が打ち出されていることから、ライセンスによる知的財産収入の状況など、優良品種の保護、活用の効果について把握することが想定されます。このほかにも、海外出願件数などについてもその状況を把握することは重要であると考えております。
 今後、種苗法改正の効果を把握し、必要な見直しを検討していくこととなりますが、その際には、指標も含めてどういう検証結果を公表できるか、今後検討してまいりたいと考えております。
○高橋光男君 是非しっかり検証し、公表していただくことをお願い申し上げます。
 続きまして、資料の七番を御覧ください。

ここは大臣にお尋ねをいたします。
 今回の改正法では、育成者権の存続期間を現行二十五年から三十五年へ、永続性植物については三十年から四十年へそれぞれ十年延長し、既存の登録品種にも適用されます。新品種の育成や産地形成には長い年月が掛かります。現場でも、白菜では最低十年、タマネギでは、採種の機会が限られておりますので、最低二十年も要するという声がありますので、期間延長には一定の意義があると考えます。
 しかし、中小育成者や、また自治体などにおいては、出願費用、海外出願費用、侵害事案への対応費用、また許諾契約の管理などが重くのしかかってくるかと思います。先日の参考人質疑でもその点を確認させていただき、国による更なる支援設計を求める指摘をいただきました。
 そこで、大臣にお尋ねしますが、存続期間延長によりどのような投資回収効果を見込むのか、あわせて、費用の支援や専門家による相談を組み合わせた支援制度が必要かと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木憲和君) 育成者権者が頑張って育種をしようというふうに思えるかどうかのこの最大の課題は、やはりこの増大する開発コストを回収できるかどうかに懸かっているというふうに考えております。このため、国内外にライセンスなどを行い開発コストを回収し、更なる新品種育成につなげていくというこのサイクルを回していくということが重要になります。
 また、育成者権者にとっては、海外における契約の締結などは、語学や法令の専門知識などが大きな負担となっていると承知をしております。このため、先生からも今御指摘ありますが、中小の種苗企業や個人の育種家も含めて、優良品種の育成者権者から委託などを受けて、国内において優良品種の普及と流出防止に向けた管理を行い、海外においても海外の信頼できるパートナーとのライセンス契約の締結、そしてライセンスを受けた品種の無断栽培の監視や権利侵害に対する訴訟などを行う専門性を持った育成者権管理機関をできるだけ早期に立ち上げることとしております。
 こうした取組に加えまして、中小事業者も含め海外出願や侵害対応を専門家に依頼する費用などについて支援を行っております。
 これらの施策を合わせて、品種の保護、活用を推進してまいります。
○高橋光男君 そうした支援が実際、本当に現場の方々に使っていただけるものにしていただくこと、また、そしてその専門家といったときに、従事される実務者の方々がしっかりと関与できるような体制にしていただくことが大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の八に移りたいと思います。
 輸出目的保管への育成者権効力の拡張と実務フローというふうに書かせていただいております。
 改正案では、海外持ち出し制限の届出をした登録品種について、譲渡した後であっても、海外持ち出し制限国への輸出を目的として倉庫等に保管する行為に対して育成者権の効力を及ぼすことになっております。輸出をされてからではもう遅いといったところで、そうしたところに手当てをするということが大変大事だということだと思います。
 一方で、どのような事実があればこの輸出目的保管と判断されるのか、その辺りが明確になっていないのではないかという御指摘をいただいております。権利者がどのような証拠を整えればよいのか、不明確なままでは使えないと思います。
 購入代行、また倉庫、物流、ECプラットフォーム、税関なども含めて、相談窓口、関係機関との連携、民事差止め、刑事対応等との関係などを整理した実務フローをしっかりと示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(杉中淳君) お答えいたします。
 現行法では種苗の輸出を行わないと育成者権侵害とはならず、かつ当該輸出貨物が日本の国外に移動すると我が国の法律あるいは種苗法が適用されなくなるため、差止めの命令を行える機会は非常に限定的であるというものでございました。このため、本改正において、差止め命令等の実効性を高めるために、その前段階の輸出目的の保管についても育成者権者の効力が及ぶこととするものでございます。
 この輸出目的の保管について、輸出目的と物流、これ一般的には、最終的には通関事業者に委ねられることが多く、その前段階で引渡しのための保管が行われ、通関後は保税倉庫に保管されるということが一般的でございます。したがって、通関事業者向けの貨物であるということが一つの判断基準というふうになると思います。
 それ以外にも、輸出目的保管となるものは存在し得るため、輸出目的保管の判断に資する具体例も含めて、QアンドAなどによって関係者に周知をしていきたいと考えております。育成者権者、種苗の利用者などを含めて、関係者が本制度を理解することで、育成者権侵害に対して育成者権者が行動するということも容易になると考えております。
○高橋光男君 ありがとうございます。
 かなり専門的な話になっていくと思いますので、おっしゃったようにQアンドAとか、そうした情報をしっかりと整理していただいて、提供していただくことをお願い申し上げたいと思います。
 続いて、九番になりますが、登録品種名で販売された種苗に関する推定規定というものがございます。登録品種の名称を使用して譲渡、貸渡し等がなされた種苗については、今回、改正案では、育成者権の侵害訴訟上、実物の入手や栽培試験などを要せず、当該登録品種の種苗であるということが推定されるということが新たに規定されます。
 例えばですが、第三者がシャインマスカットの名称を勝手に使用してネット販売している場合には、育成者権者がその種苗を入手して立証しなくても、販売された種苗が登録品種の種苗だと推定されるわけでありまして、無断販売への抑止として有効な措置になってくるかというふうに思います。
 一方で、現場からは、登録品種名とか流通名、商品名、商標名、こうしたものが様々混在している中で、この名称の関係、それぞれの関係が曖昧なままでは制度が過剰に働くおそれもあるし、逆に機能しないおそれもあるんじゃないかといったような御指摘をいただいております。
 そこで、推定規定の適用範囲をしっかり明確にしていただき、品種登録データベースや表示制度を整えるとともに、訴訟時の専門家活用などと併せて、これにつきましてもQAとかガイドラインに示すべきと考えますが、今後の政府の対応について答弁をお願いします。
○政府参考人(杉中淳君) お答えいたします。
 登録品種につきましては、まず商品名、またおっしゃったような商標登録をしたときのその登録商標名などを別途使用している場合であっても、登録品種については名称を使用してしっかり表示するという義務がございますので、推定規定は登録品種名称のみを対象にしているところでございます。
 ここで大事なのは、登録品種の名称使用というのがしっかり行われるということを遵守することが大切でございますので、今回の改正では名称使用義務違反の過料も引き上げることとしておりまして、この登録名称の使用を徹底していきたいというふうに考えております。
 今回の改正によって、委員御指摘の商標名や商品制度との関係、これについて根本的な変更を行う必要はないと考えておりますけれども、登録品種名称の使用義務を含めて、QアンドAなどで各制度の関係も明確にしながら、新しい制度について周知していきたいと考えております。
○高橋光男君 しっかり周知をお願いいたします。
 時間がなくなりましたので、最後に、十一、蜜蜂による自然交雑の責任範囲とQAによる萎縮防止ということで、短くお尋ねいたします。
 蜜蜂は数キロ飛び回ります。したがって、養蜂家が野外の自然交雑を完全に管理することは不可能です。過度な権利保護へのおそれが現場の萎縮を招いてはならないと思います。
 養蜂家が管理できない自然交雑は、通常は育成者権侵害の対象にならないと理解してよいでしょうか。そして、そうした現場の不安を払拭するため、その旨もQアンドAなどで明確にお示しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○委員長(藤木眞也君) 時間が参りましたので、答弁は簡潔にお願いします。
○大臣政務官(山本啓介君) 一般論として、育成者権侵害に当たるかどうかは個々の事例の関係を踏まえ裁判所が判断するものであり、行政が判断するのは適切ではないと考えております。
 その上で、海外における類似の判断を踏まえれば、一般的に、蜂による自然交雑自体は養蜂家による育成者権の侵害に当たるとは考えられません。しかしながら、養蜂家が自然交雑により入手した品種を増殖すれば権利侵害に当たることも考えられます。
 いずれにしても、国が知財権侵害にならないケースを具体的に示すことは、知財権侵害につながるリスクを排除できないことを御理解いただきたいと考えております。
○高橋光男君 時間が参りましたので終わりますが、どこまでも現場第一で、そうしたお声をいただいて、今回の法改正が皆さんにとってしっかり理解され、活用されるものとなることをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

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